スーリヤ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ आदित्याय विद्महे मार्ताण्डाय धीमहि ।
तन्नः सूर्यः प्रचोदयात्‌ ॥
・om ādityāya vidmahe mārtāṇḍāya dhīmahi |
tannaḥ sūryaḥ pracodayāt ||

・オーム アーディティヤーヤ ヴィッドゥマヘー マールタンダーヤ ディーマヒ
タンナハ スーリヤハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがアーディティヤ(アディティの息子)を知り、マールタンダ(ムリタンダの子孫)を瞑想できるように
スーリヤよ、我らを導き給え

太陽神スーリヤに捧げるガーヤトリー・マントラのひとつです。
巡る季節の中で万物に命を吹き込む太陽には、12のアーディティヤ神群として讃えられる側面があります。
12のアーディティヤ神群は、1年の12ヶ月に対応するといわれ、万物に浸透する太陽の偉大な恵みを見ることができます。
私たちの生きる日々の一瞬一瞬には、太陽の恵みが溢れています。
巡る季節の中で、この偉大な存在を中心に動いているということを認識する時、私たちの歩みは常に光のある方へ正しく導かれるでしょう。

ラーマ・ガーヤトリー・マントラ

・ॐ भरताग्रजाय विद्महे सीतावल्लभाय धीमहि ।
तन्नो रामः प्रचोदयात्‌ ॥
・om bharatāgrajāya vidmahe sītāvallabhāya dhīmahi |
tanno rāmaḥ pracodayāt ||
・オーム バラターグラジャーヤ ヴィッドゥマヘー シーターヴァッラバーヤ ディーマヒ
タンノー ラーマハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがバラタの兄を知り、シーターの夫である方を瞑想できるように
ラーマよ、我らを導き給え

正義の化身であるラーマ神を讃えるガーヤトリー・マントラです。
叙事詩のラーマーヤナにおいて、王国から追放されたラーマ神を慕う、異母兄弟のバラタがいました。
バラタは王位を継承する身でありながらも、ラーマ神を敬い、ラーマ神が不在の間は、その履物を玉座に祀り、ラーマ神を王として礼拝し続けます。
ラーマ神は妃であるシーターにとっては真の夫であり、忠誠の弟子であるハヌマーンにとっては最高の師匠でした。
正義に満ちた兄として、王として、夫として、時には友として息子としても理想の存在であったことから、ラーマは完璧な人格者と考えられています。

オーム・ガーヤトリー・マントラ

・ॐ ॐकाराय विद्महे डमरुजातस्य धीमहि ।
तन्नो प्रणवः प्रचोदयात्‌ ॥
・om omkārāya vidmahe ḍamarujātasya dhīmahi |
tanno praṇavaḥ pracodayāt ||
・オーム オームカーラーヤ ヴィッドゥマヘー ダマルジャータスヤ ディーマヒ
タンノー プラナヴァハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがオームカーラを知り、太鼓から生じたもの(ダマルジャータスヤ)を瞑想できるように
プラナヴァよ、我らを導き給え

聖音オームのガーヤトリー・マントラです。
聖音オームは、オームカーラあるいはプラナヴァとも呼ばれ、原初音であり、宇宙創造の基本音とされます。
それは最も神聖な音であり、全能の神の初音、そして、音楽や言語を含めた音のすべてがここに融合したものです。
ウパニシャッドでは、この音は神秘の音であり、すべてのマントラや賛歌の究極の根源であるとされています。
また、オームは始めを示す音であるだけでなく、終わりを示す音でもあります。
このオームの音節には、過去、現在、未来のすべてが含まれ、究極的には、時間の概念そのものも超越しています。
シヴァ神は、破壊と創造のアーナンダ・ターンダヴァム(至福の踊り)を踊る時、ダマルを使用するといわれます。
両面太鼓のダマルは、顕在と非顕在のような、存在の異なる状態の象徴であり、宇宙全体が生まれ消えていくことの象徴であるとされます。
シヴァ神は、このダマルから生まれる音によって宇宙の創造と破壊を繰り返します。

ヴァルナ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ जलबिम्बाय विद्महे नीलपुरुषाय धीमहि ।
तन्नो वरुणः प्रचोदयात्‌ ॥
・om jalabimbāya vidmahe nīlapuruṣāya dhīmahi |
tanno varuṇaḥ pracodayāt ||

・オーム ジャラビムバーヤ ヴィッドゥマヘー ニーラプルシャーヤ ディーマヒ
タンノー ヴァルナハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが水の形(ジャラビムバ)を知り、青い魂(ニーラプルシャ)を瞑想できるように
ヴァルナよ、我らを導き給え

水の神や海の神として崇められるヴァルナ神のガーヤトリー・マントラです。
ヴァルナ神は、ミトラ神とならび、12のアーディティヤ神群を代表した神格です。
アーディティヤ神群は、1年の12ヶ月に対応するともいわれ、ヴァルナ神は6月〜7月に対応するとされます。
水の要素として身体に宿り、この世界での生活を可能にすると伝えられます。
また、ヴァルナ神は、東・西・南・北・北東・南東・北西・南西の8つの方角を守る神々、アシュタ・ディクパーラ(ローカパーラ)の1柱として崇められ、西の方角を司ります。

サラスワティー・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ वाग्देव्यै च विद्महे ब्रह्मपत्न्यै च धीमहि ।
तन्नो वाणी प्रचोदयात्‌ ॥
・om vāgdevyai ca vidmahe brahmapatnyai ca dhīmahi |
tanno vāṇī pracodayāt ||

・オーム ヴァーグデーヴィヤイ チャ ヴィッドゥマヘー ブラフマパットニャイ チャ ディーマヒ
タンノー ヴァーニー プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが言葉の女神(ヴァーグデーヴィー)を知り、ブラフマーの妃(ブラフマパトニ)を瞑想できるように
ヴァーニーよ、我らを導き給え

学問や芸術の女神として崇められる、サラスワティー女神のガーヤトリー・マントラのひとつです。
サラスワティー女神には、言葉の女神を意味するヴァーグデーヴィーという別名があります。
また、サラスワティー女神はブラフマー神の妃として崇められる存在です。
ブラフマー神は、ヒンドゥー教の三大神に数えられ、創造を司る神として崇められます。
言い伝えでは、ブラフマー神が世界を創造する際、無秩序で混沌とした状態が続いていたといわれます。
世界に平安をもたらすにはどうしたらいいかブラフマー神が考えると、それには正しい知識が必要であると女神が答え、その象徴であるサラスワティー女神が生まれたと伝えられます。
サラスワティー女神への礼拝によって、私たち自身の内なる世界には正しい知識や知性が生まれ、真に豊かな日々を築くことができると信じられます。

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ラクシュミー・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ महादेव्यै च विद्महे विष्णुपत्न्यै च धीमहि ।
तन्नो लक्ष्मीः प्रचोदयात्‌ ॥
・om mahādevyai ca vidmahe viṣṇupatnyai ca dhīmahi |
tanno lakṣmīḥ pracodayāt ||

・オーム マハーデーヴィヤイ チャ ヴィッドゥマヘー ヴィシュヌパトニャイ チャ ディーマヒ
タンノー ラクシュミーヒ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが偉大な女神(マハーデーヴィー)を知り、ヴィシュヌの妃(ヴィシュヌパトニ)を瞑想できるように
ラクシュミーよ、我らを導き給え

美と豊穣の女神として崇められる、ラクシュミー女神のガーヤトリー・マントラのひとつです。
乳海撹拌において生み出された14の宝のひとつであるラクシュミー女神は、そのあまりの美しさに、多くの神々や聖仙から求婚されたといわれます。
しかし、ラクシュミー女神は横になり眠っていたヴィシュヌ神を求めました。
働き者で努力を怠らない者を好むラクシュミー女神は、ヴィシュヌ神は世界を守り、そして維持する神であることから、大変な努力と働きを行う者と考えたからだといわれます。
働きがあるところには、豊かさが生じます。
私たちが手にするお金、宝石、家、子孫、食事、そうした豊かさは、すべてラクシュミー女神のあらわれです。
その豊かさに気づくことは、自分自身の内にラクシュミー女神を呼び覚ますことであり、その気づきが更なる豊かさを招くと信じられています。

ドゥーマーヴァティー・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ धूमावत्यै विद्महे संहारिण्यै धीमहि ।
तन्नो धूमा प्रचोदयात्‌ ॥
・om dhūmāvatyai vidmahe saṁhāriṇyai dhīmahi |
tanno dhūmā pracodayāt ||

・オーム ドゥーマーヴァティヤイ ヴィッドゥマヘー サンハーリンニャイ  ディーマヒ
タンノー ドゥーマー プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが煙のような方(ドゥーマーヴァティー)を知り、破壊する方(サンハーリニー)を瞑想できるように
ドゥーマーよ、我らを導き給え

ドゥーマーヴァティー女神は、ドゥルガー女神の10の化身であるダシャ・マハーヴィディヤーに数えられる女神です。
シヴァ神を飲み込むことによって自らを生みだすと信じられ、未亡人の女神として伝えられます。
ドゥーマは煙を意味し、その姿は醜くも、そこに女神としての姿を見てとれる者に、恵みを授けると信じられます。
ドゥーマーヴァティー女神は、霊性の向上のために礼拝され、特に礼拝は、夜に1人で行うことが勧められます。
ドゥーマーヴァティー女神の礼拝は、世俗から離れる感覚を引き起こすと言われ、この世を放棄し霊的な道へ進む人にとって適切なものであると伝えられます。
ドゥーマーヴァティー女神は否定性を追払い、真の知識を獲得するために煙幕を超越する恩恵を授けると信じられています。

バイラヴァ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ क्षेत्रपालाय विद्महे तीक्ष्णदंष्ट्राय धीमहि ।
तन्नो भैरव प्रचोदयात्‌ ॥
・om kṣetrapālāya vidmahe tīkṣṇadaṁṣṭrāya dhīmahi |
tanno bhairava pracodayāt ||

・オーム クシェートラパーラーヤ ヴィッドゥマヘー ティークシュナダンシュトラーヤ ディーマヒ
タンノー バイラヴァ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが地を守る方(クシェートラパーラ)を知り、鋭い歯をもつ方(ティークシュナダンシュトラ)を瞑想できるように
バイラヴァよ、我らを導き給え

バイラヴァ神は、シヴァ神の化身した恐ろしい姿として知られています。
欲望にまみれ驕り高ぶった態度を見せたブラフマー神を罰するために、シヴァ神はバイラヴァ神の姿となり、5つあったブラフマー神の頭を切り落とし苦行を行いました。
それ故、ブラフマー神の頭は4つとなり、一方バイラヴァ神は切り落としたブラフマーの頭を持った姿で描かれます。
シヴァ神のもっとも恐れられる姿にも関わらず、バイラヴァ神への礼拝は限りのない保護と繁栄を授けると伝えられます。
それは、私たちの欲望という最も恐ろしい敵を倒すとともに、優れた精神力を授けてくれるからだと信じられています。

ヴァーストゥ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ वास्तु पुरुषाय विद्महे भूमिपुत्राय धीमहि ।
तन्नो वास्तु प्रचोदयात्‌ ॥
・om vāstu puruṣāya vidmahe bhūmiputrāya dhīmahi |
tanno vāstu pracodayāt ||

・オーム ヴァーストゥ プルシャーヤ ヴィッドゥマヘー ブーミプットラーヤ ディーマヒ
タンノー ヴァーストゥ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがヴァーストゥの神(ヴァーストゥ・プルシャ)を知り、大地の息子(ブーミプットラ)を瞑想できるように
ヴァーストゥよ、我らを導き給え

ヴァーストゥとは、地球の磁場、太陽系の影響、また他の天体や宇宙線などの影響を統合した建築の科学です。
それは、設計・建築に関するヴェーダのシステムであり、居住者に幸運、平和、繁栄、健康、幸福、調和をもたらす重要な役割を担います。

こんにちでは、世界的な都市化現象と居住地の減少にともない、ヴァーストゥの法則に合致する家やオフィスを構えることは、現実にはほとんど不可能となっています。
そして、不適切な建築によって秩序が乱されたときに、ヴァーストゥ・ドーシャ(ドーシャは闇、欠点などの意味)が生じます。
そこで居住者は、心配や不安、ストレスなどを感じ、身体的・精神的な病が引き起こされます。
その悪影響を取り去るために、ヴァーストゥ・プージャーを行ったり、ヴァーストゥ・マントラを唱えたりして、建築の神であるヴァーストゥ・プルシャの恩寵と、自然の調和を喚起するための波動を生み出します。

ヴァーストゥ・ガーヤトリー・マントラは、秩序正しい波動を生み出し、住居を宇宙の秩序と調和させる働きを持ちます。
このマントラを定期的に唱えたり、聞いたりするならば、ヴァーストゥの欠点を克服し、精神的・物質的な生活の向上がもたらされるでしょう。

カーマデーヴァ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ कामदेवाय विद्महे पुष्पबानाय धीमहि ।
तन्नो अनङ्गः प्रचोदयात्‌ ॥
・om kāmadevāya vidmahe puṣpabānāya dhīmahi |
tanno anaṅgaḥ pracodayāt ||

・オーム カーマデーヴァーヤ ヴィッドゥマヘー プシュパバーナーヤ ディーマヒ
タンノー アナンガハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがカーマデーヴァ(愛の神)を知り、花の矢を持つ方(プシュパバーナ)を瞑想できるように
アナンガ(肉体のない方)よ、我らを導き給え

カーマデーヴァは欲望に基づいた愛の神として伝えられ、ヴァサンタ(春の神)を親友とし、春の季節に活発になると言われます。
そんなカーマデーヴァは、チャンパカ、ロータス、ジャスミン、マンゴー、アショーカの5つの花の矢を持つと伝えられます。
美しい香りを放つカーマデーヴァの矢は、私たちの感覚を魅了します。
豊かな感情を生み出すその力は、時に、心の平安を奪うものとして捉えられることがあるも、春を引き連れ美しい花を運ぶカーマデーヴァの矢は、死や腐敗に包まれ荒廃していた世界に、命や再生をもたらし、再び繁栄を呼び覚ましました。

一説に、カーマデーヴァはシヴァ神に愛の矢を放ち、その第3の目を開かせたと伝えられます。
最初の妻であるサティーを亡くしたシヴァ神は、悲しみのあまり、深く長い瞑想を続けていました。
サティーがパールヴァティーとして姿を現し再び結ばれる時を迎えるも、シヴァ神は目を開けることはありません。
そんなシヴァ神を目覚めさせようと、カーマデーヴァが愛の矢を打ち放ちます。
しかし、怒ったシヴァ神の第3の目から出た閃光によって、カーマデーヴァは焼き尽くされ、灰となりました。

焼き尽くされてしまったカーマデーヴァをひどく悲しみ、妃であるラティ(快楽の女神)は夫を蘇らせようと苦行を始めます。
カーマデーヴァが灰になったとされるヴァサント・パンチャミーから、ホーリー・フェスティバルまでの約40日間、ラティは厳しい苦行を行い、心のイメージとしてカーマデーヴァを蘇らせました。
カーマデーヴァは肉体のない者=アナンガと呼ばれるように、ラティはそこで、肉体的ではない精神的な深い愛と喜びを見つけたといわれます。