ハヤグリーヴァ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ वागीश्वराय विद्महे हयग्रीवाय धीमहि ।
तन्नो हंसः प्रचोदयात्‌ ॥
・om vāgīśvarāya vidmahe hayagrīvāya dhīmahi |
tanno haṁsaḥ pracodayāt ||

・オーム ヴァーギーシュヴァラーヤ ヴィッドゥマヘー ハヤグリーヴァーヤ ディーマヒ
タンノー ハンサハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが言語の神を知り、馬の首を持つ方を瞑想できるように
ハンサよ、我らを導き給え

ハヤグリーヴァ神は、ヴィシュヌ神の化身であり、馬の頭をした知能と知識の具現である神格です。
かつて、2人の悪魔マドゥとカイタバはブラフマーからヴェーダを盗みました。
ヴェーダがないために、全世界が闇に包まれ、ブラフマーは創造を続けることができません。
ブラフマーは、ヴィシュヌ神のもとへ駆けつけ、ヴェーダを取り戻すための助けを求めました。
ヴィシュヌ神は光沢のある白い馬の顔の馬頭観音となり、パーターラ(悪魔の棲む地界)へと行って悪魔を倒し、ブラフマーにヴェーダを取り戻させました。
そして、暗闇に飲み込まれていた世界が光に包まれたと伝えられます。
また、ハンサには馬という意味がある一方で、識別力の高さの象徴として崇められる白鳥の意味もあります。
ハヤグリーヴァ神への祈りや瞑想は、聡明な知識をもたらし、あらゆる分野で頭角を現すようになるという伝統的な信仰があります。

インドラ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ सहस्रनेत्राय विद्महे वज्रहस्ताय धीमहि ।
तन्नो इन्द्रः प्रचोदयात्‌ ॥
・om sahasranetrāya vidmahe vajrahastāya dhīmahi |
tanno indraḥ pracodayāt ||

・オーム サハスラネートラーヤ ヴィッドゥマヘー ヴァジュラハスターヤ ディーマヒ
タンノー インドラハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが千の眼を持つ方を知り、雷を手にする方を瞑想できるように
インドラよ、我らを導き給え

雷雨の神として崇められるインドラ神は、後代ではその立場が下がるも、リグ・ヴェーダにおいては火の神であるアグニ神と同様に、数多くの賛歌が捧げられ、神々の王としても崇められる神格です。
特に、酷暑期からモンスーンへ移り変わる季節は、インドラ神と巨大な蛇であるヴリトラとの戦いにあらわされます。
地上から水を奪ったヴリトラは、大干ばつをもたらし、人々を苦しめていました。
これを見たインドラ神は雷によってヴリトラを倒し、地上に雨をもたらしたと伝えられます。
厳しい自然と共に生きるインドでは、自然のさまざまな動きに神々の表情を重ね、その偉大な力に、現代でも多くの人々が祈りを捧げ続けています。

グル・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ गुरुदेवाय विद्महे परब्रह्मणे धीमहि ।
तन्नो गुरुः प्रचोदयात्‌ ॥
・om gurudevāya vidmahe parabrahmaṇe dhīmahi |
tanno guruḥ pracodayāt ||

・オーム グルデーヴァーヤ ヴィッドゥマヘー パラブラフマネー ディーマヒ
タンノー グルフ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがグルデーヴァを知り、至高の存在を瞑想できるように
グルよ、我らを導き給え

グル(導師)は、インドでは神と同じ存在として敬意が払われています。
「闇を取り除く者」を意味するグルは、精神性を育む道を歩む中で、大きな障壁となる「無知」という暗闇を取り払い、「知識」という光をもたらす存在です。
真っ暗な道を進む時、道を照らす灯りが必要であるように、グルはまさに、心に生じる疑いや迷いといった暗闇を追い払う、明るい光そのものです。
インドでは、現代でも多くの人々がグルに寄り添い、人生の探求を続けています。

アイヤッパ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ बोधनाथाय विद्महे भवपुत्राय धीमहि ।
तन्नो शास्त प्रचोदयात्‌ ॥
・om bodhanāthāya vidmahe bhavaputrāya dhīmahi |
tanno śāsta pracodayāt ||

・オーム ボーダナーターヤ ヴィッドゥマヘー バヴァプットラーヤ ディーマヒ
タンノー シャースタ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが覚醒の主を知り、シヴァ神の息子である方を瞑想できるように
シャースタよ、我らを導き給え

アイヤッパ神のガーヤトリー・マントラのひとつです。
アイヤッパ神は、ヨーガの補助具であるヨーガパッタを膝に巻いた姿で描かれ、南インドのケーララ州でとくに人気の高い神です。
シヴァ神とヴィシュヌ神の子孫であるダルマ・シャースタの化身と言い伝えられることから、シャースタとも呼ばれます。
アイヤッパ神は超人的、神的な知識と勇気を持ち合わせ、人々に恩恵を授け、病を治癒する神として古くから崇められています。

カーリー・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ कालिकायै च विद्महे श्मशानवासिन्यै धीमहि ।
तन्नो अघोरा प्रचोदयात्‌ ॥
・om kālikāyai ca vidmahe śmaśānavāsinyai dhīmahi |
tanno aghorā pracodayāt ||

・オーム カーリカーヤイ チャ ヴィッドゥマヘー シュマシャーナヴァーシンニャイ ディーマヒ
タンノー アゴーラー プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが暗黒の女神を知り、火葬場に住むお方を瞑想できるように
シヴァ神にとってかけがえのないお方よ、我らを導き給え

カーリー女神のガーヤトリー・マントラのひとつです。
カーリーは、「時間」や「黒色」を意味するカーラの女性形です。
物質である肉体を持って生じた私たちは、始まりがあり終わりがある時間の中で、常に不安と恐怖に苛まれています。
暗黒の女神と称されるように、カーリー女神が見せる姿はおぞましくも、その様相とは反対に、肉体の中でもがき苦しむ魂を解放する偉大な愛を秘めています。

ダクシナームールティ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ दक्षिणामूर्तये विद्महे ध्यानस्थाय धीमहि ।
तन्नो धीशः प्रचोदयात्‌ ॥
・om dakṣiṇāmūrtaye vidmahe dhyānasthāya dhīmahi |
tanno dhīśaḥ pracodayāt ||

・オーム ダクシナームールタイェー ヴィッドゥマヘー ディヤーナスターヤ ディーマヒ
タンノー ディーシャハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがダクシナームールティを知り、瞑想に耽るお方を瞑想できるように
知性の主よ、我らを導き給え

ダクシナームールティは、シヴァ神の師としての姿であり、知識や悟りの化身として崇められる存在です。
容易く見つかる存在ではないグルを求める中で、ダクシナームールティは誰もがグルとして崇められる偉大な存在です。
ダクシナームールティは、サンスクリット語で「南面を向く者」の意味があります。
一説にシヴァ神は、ヒマラヤの地で弟子に教えを説いた時、南を向いて座っていたといわれます。
このシヴァ神のダクシーナムールティとしての姿を崇める者は、死から不死へと導かれると信じられています。
インドにおいて、南は死を意味する方角のため、ダクシナームールティは死すなわち変化をもたらす神といわれます。

ムリタ・サンジーヴァニー・マントラ

インドには、死者を蘇らせると信じられる強力なマントラが伝わります。
ムリタ・サンジーヴァニー・マントラと呼ばれるこのマントラは、ガーヤトリー・マントラとマハームリティユンジャヤ・マントラが交互に唱えられるマントラです。

ガーヤトリー・マントラは、万物に命を吹き込む太陽の光を讃えるマントラです。
マハームリティユンジャヤ・マントラは、死に打ち勝つマントラとして知られ、すなわち輪廻の鎖を断ち切るマントラとして崇められます。

ムリタ・サンジーヴァニー・マントラは、賢者のシュクラーチャーリヤによって見出されたと伝えられます。
シュクラーチャーリヤは、長年にわたるシヴァ神への苦行によりこのマントラを発見し、このマントラを唱えることで、死者を蘇えらせることができたと伝えられます。

ムリタ・サンジーヴァニー・マントラは次のように唱えられます。


ॐ हौं जूं सः
ॐ भूर्भुवः स्वः
ॐ त्र्यम्बकं यजामहे
तत् सवितुर् वरेण्यं
सुगन्धिं पुष्टिवर्धनम्
भर्गो देवस्य धीमहि
उर्वारुकमिव बन्धनान्
धियो यो नः प्रचोदयात्
मृत्योर्मुक्षीय मामृतात्
स्वः भुवः भूः ॐ सः जूं हौं ॐ
om hauṁ jūṁ saḥ
om bhūrbhuvaḥ svaḥ
om tryambakaṁ yajāmahe
tat savitur vareṇyaṁ
sugandhiṁ puṣṭivardhanam
bhargo devasya dhīmahi
urvārukamiva bandhanān
dhiyo yo naḥ pracodayāt
mṛtyormukṣīya māmṛtāt
svaḥ bhuvaḥ bhūḥ om saḥ jūṁ hauṁ om

オーム ハウン ジューン サハ
オーム ブールブヴァハ スヴァハ
オーム トリャムバカン ヤジャーマヘー
タット サヴィトゥル ヴァレーニャン
スガンディン プシュティヴァルダナム
バルゴー デーヴァッシャ ディーマヒ
ウルヴァールカミヴァ バンダナーン
ディヨー ヨー ナハ プラチョーダヤートゥ
ムリティヨールムクシーヤ マームリタートゥ
スヴァハ ブヴァハ ブーフ オーム サハ ジューン ハウン オーム

※このマントラは非常に強力であるため、グルの教えのもとでしか唱えてはならないとされる場合があります。

参照:Sanjeevani Mantra to bring back the life in a dead body

ドゥルガー・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ गिरिजायै विद्महे शिवप्रियायै धीमहि ।
तन्नो दुर्गा प्रचोदयात्‌ ॥
・om girijāyai vidmahe śivapriyāyai dhīmahi |
tanno durgā pracodayāt ||

・オーム ギリジャーヤイ ヴィッドゥマヘー シヴァプリヤーヤイ ディーマヒ
タンノー ドゥルガー プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがギリジャー(山の娘)を知り、シヴァプリヤー(シヴァ神の最愛)を瞑想できるように
ドゥルガーよ、我らを導き給え

シヴァ神の妃であるドゥルガー女神を讃えるガーヤトリー・マントラのひとつです。
ギリジャーは、ヒマーラヤ山脈の娘であり、パールヴァティー女神と同一視されます。
空を突き破るように高く隆起する山々は、インドでは古代より、偉大なエネルギーの象徴として崇められてきました。
この地の本質として、あらゆるものを宿すと考えられてきたそのエネルギーは、私たちを育む、慈しみに満ちた存在です。
そのエネルギーの象徴である女神は、私たちの身体において、第1番目のチャクラであるムーラーダーラ・チャクラに眠っていると伝えられます。
内なる世界で女神が目覚め霊的な旅を始める時、そのエネルギーはやがて、頭頂で待つシヴァ神と結ばれると信じられます。

シャンカラ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ सदाशिवाय विद्महे सहस्राक्ष्याय धीमहि ।
तन्नो साम्बः प्रचोदयात्‌ ॥
・om sadāśivāya vidmahe sahasrākṣyāya dhīmahi |
tanno sāmbaḥ pracodayāt ||

・オーム サダーシヴァーヤ ヴィッドゥマヘー サハスラークシャーヤ ディーマヒ
タンノー サーンバハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがサダーシヴァ(永遠のシヴァ神)を知り、サハスラークシャ(千眼を持つ方)を瞑想できるように
サーンバ(宇宙の母を伴う方)よ、我らを導き給え

シヴァ神を讃えるガーヤトリー・マントラのひとつです。
永遠であるシヴァ神を讃えるサダーシヴァは、無の境地を示します。
かつてない吉兆(シヴァ)と光輝をもたらすものでもあります。
また、千眼を持つシヴァ神はすべてを見通す存在であり、サハスラークシャという御名で崇められます。
宇宙の母であるアンバー女神を伴うシヴァ神は、サーンバという御名で崇められることもあります。

シーター・ラーマ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ दाशरथाय विद्महे सीतावल्लभाय धीमहि ।
तन्नो रामः प्रचोदयात्‌ ॥
・om dāśarathāya vidmahe sītāvallabhāya dhīmahi |
tanno rāmaḥ pracodayāt ||

・オーム ダーシャラターヤ ヴィッドゥマヘー シーターヴァッラバーヤ ディーマヒ
タンノー ラーマハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがダシャラタ王の息子を知り、シーターの夫である方を瞑想できるように
ラーマよ、我らを導き給え

・ॐ जनकजायै विद्महे रामप्रियायै च धीमहि ।
तन्नः सीता प्रचोदयात्‌ ॥
・om janakajāyai vidmahe rāmapriyāyai dhīmahi |
tannaḥ sītā pracodayāt ||

・オーム ジャナカジャーヤイ ヴィッドゥマヘー ラーマプリヤーヤイ ディーマヒ
タンナハ シーター プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがジャナカ王の娘を知り、ラーマの最愛の方を瞑想できるように
シーターよ、我らを導き給え

ラーマ神とシーター女神を讃えるガーヤトリー・マントラです。
霊的叡智の宝庫であるインドにおいて、人々の心に深く刻まれた物語が、ラーマ神とシーター女神の歩みが綴られたラーマーヤナです。
純粋の象徴であるシーター女神は、ラーマーヤナにおいて、王子であるラーマ神の妃として描かれます。
シーター女神をめぐるラーマ神の行状記が書かれたラーマーヤナは、私たちに霊性を育む多くの教えを示すとともに、さまざまな問いを投げかけます。
その壮大な物語を通じては、日々を幸せに、ダルマの中で生きる術を学ぶことができるでしょう。