すべての災いを取り除く祈り

さまざまな神格が崇められるインドにおいて、最初の祈りは、何よりもまずガネーシャ神へ捧げられます。
あらゆる物事の始まりに礼拝されるガネーシャ神は、すべての災いを取り除き、全世界に幸福をもたらすといわれる存在です。
そんなガネーシャ神は、「障害を取り除く神」を意味する「ヴィグネーシュヴァラ」という名前で崇められます。

ガネーシャ神は障害除去の神として唯一無二の存在であり、その礼拝を通じては、障害を克服するための力が授けられるといわれます。
目まぐるしく変化をする現代社会においては、揺れ動く心の働きがさまざまな障壁となって、私たちの前を塞ぐことがあります。
思い通りにならない状況に障害を見出し、自分自身に限界を定め、幸せを遠ざけていることも少なくありません。
ガネーシャ神のマントラの詠唱を通じて本質に心を定める時、障害を乗り越え、前進するための力が授けられるでしょう。


・ॐ विघ्नेश्वराय नमः
・om vighneśvarāya namaḥ

・オーム ヴィグネーシュヴァラーヤ ナマハ
・意味:ヴィグネーシュヴァラ(障害を取り除く神)に帰依いたします。

一年の始まりに捧げられるガネーシャ神への祈りは、障害を乗り越える力となって、私たちの内に呼び覚まされるはずです。
皆様にとって、幸せ多き一年となりますように、心よりお祈り申し上げます。

大切なものを手にするためのマントラ・サーダナ

クリシュナ神を讃えるマントラを通じた、大切なものを手にするためのマントラ・サーダナです。

このマントラの波動は、人々の意識に前向きな変化をもたらし始めるといわれ、愛情のある関係を引き寄せると信じられます。
集中力と献身を伴うその神聖な音の波動は、真摯な信仰のもとで唱えられる時、あらゆる願望を実現することができるともいわれます。
最愛の人、物質的な利益、知識の向上、悪影響からの保護など、大切なものを手にするために、さまざまな目的で唱えることができます。


・ॐ क्लीं कृष्णाय नमः
・om klīṁ kṛṣṇāya namaḥ

・オーム クリーン クリシュナーヤ ナマハ
・意味:クリシュナ神に帰依いたします。

「クリーン」は原初のエネルギー、カーマ神、クリシュナ神などを象徴する種子であるといわれています。
「カ(Ka)」は欲望の神カーマデーヴァをあらわし、またクリシュナを意味するともいわれます。
「ラ(La)」はインドラをあらわし、「イー(Ee)」は充足感や満足感をあらわすといわれます。
このビージャ・マントラを復唱することで、自身の意識が徐々に拡大し、やがては宇宙全体を包み込み、自己意識と宇宙意識が一体化するといわれます。

このマントラは、ストレスを感じたり、緊張したり、強制を感じたりせず、心地よく感じるまで、何回でも唱えることができます。
まずは1マーラー(108回)の詠唱に取り組み、その恩恵を感じるために、40日間の実践を努めると良いでしょう。
難しければ、21日間、または7日間の実践を心に決めて取り組むことが勧められます。

怠け心を取り除くためのマントラ・サーダナ

怠け心を取り除くためのマントラ・サーダナをご紹介いたします。

怠惰や無気力といったネガティブなエネルギーは、人間の最大の敵となり得ることがあり、時に心身に病を生み出すものでもあります。
このマントラ・サーダナでは、早朝に太陽に向かい、以下のスーリヤ神(太陽神)を礼拝するマントラを108回唱えます。


・ॐ नमो भगवते सूर्याय स्वाहा
・om namo bhagavate sūryāya svāhā

・オーム ナモー バガヴァテー スーリヤーヤ スヴァーハー

マントラを唱える間、シルクの紐を手に持ちます。
マントラを唱え終えたら、シルクの紐を左手の親指に巻き付けます。
シルクの紐を左手の親指に巻き付けられない場合は、片足で立ち、このマントラを唱えます。
自分自身の内から怠惰や無気力が消え失せるまで、このマントラ・サーダナを毎朝繰り返します。

スーリヤ神は、世界中の人々が古くから礼拝してきた自然の恵みであり、多くの別名があります。
スーリヤ神を礼拝することによって、健康、活力、良運がもたらされ、さまざまな困難が解消されるといわれます。

参照:Mantra To Remove Laziness

美しさを得るためのマントラ・サーダナ

美しさを得るためのマントラ・サーダナをご紹介いたします。

インドでは、美しさや輝きを得るために、月を礼拝することが伝統的に行われています。
このマントラ・サーダナを通じては、月を瞑想しながら、以下のマントラを108回唱えます。
特に、満月の日に実践することが勧められます。
または、月を礼拝する吉日である月曜日に行うことも良いでしょう。


・ॐ चन्द्राय नमः
・om candrāya namaḥ

・オーム・チャンドラーヤ・ナマハ
・意味:チャンドラ神(月)に帰依いたします。

夜空に輝く月は、うっとりするほど美しく見える時があります。
満ちる時、欠ける時、さまざまに変化をするその姿に、心惹かれることも少なくありません。

インドでは、月が満ち欠けをするようになった理由の一つに、ガネーシャ神との深い繋がりが伝えられます。
ガネーシャ神は、誕生日に好物の甘いお菓子をたらふく食べた後、大きなお腹でバランスを崩し転んでしまいます。
空の月は、ガネーシャ神のこの失態を見て大笑いをしました。
ガネーシャ神はひどく怒り、月に呪いをかけると、月の美しさは満ち欠けをするようなったと言われます。

しかし、過ちに気づいた月はガネーシャ神に許しを乞いました。
そして、その美しさが変化を見せるようになるも、夜空で輝き続けるようになったと言われます。
私たち自身も、内面の美しさは、外面の美しさよりもはるかに強力であるということを常に意識しておくことが大切となるでしょう。

参照:Mantra for Beauty

シーター・ラーマ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ दाशरथाय विद्महे सीतावल्लभाय धीमहि ।
तन्नो रामः प्रचोदयात्‌ ॥
・om dāśarathāya vidmahe sītāvallabhāya dhīmahi |
tanno rāmaḥ pracodayāt ||

・オーム ダーシャラターヤ ヴィッドゥマヘー シーターヴァッラバーヤ ディーマヒ
タンノー ラーマハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがダシャラタ王の息子を知り、シーターの夫である方を瞑想できるように
ラーマよ、我らを導き給え

・ॐ जनकजायै विद्महे रामप्रियायै च धीमहि ।
तन्नः सीता प्रचोदयात्‌ ॥
・om janakajāyai vidmahe rāmapriyāyai dhīmahi |
tannaḥ sītā pracodayāt ||

・オーム ジャナカジャーヤイ ヴィッドゥマヘー ラーマプリヤーヤイ ディーマヒ
タンナハ シーター プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがジャナカ王の娘を知り、ラーマの最愛の方を瞑想できるように
シーターよ、我らを導き給え

ラーマ神とシーター女神を讃えるガーヤトリー・マントラです。
霊的叡智の宝庫であるインドにおいて、人々の心に深く刻まれた物語が、ラーマ神とシーター女神の歩みが綴られたラーマーヤナです。
純粋の象徴であるシーター女神は、ラーマーヤナにおいて、王子であるラーマ神の妃として描かれます。
シーター女神をめぐるラーマ神の行状記が書かれたラーマーヤナは、私たちに霊性を育む多くの教えを示すとともに、さまざまな問いを投げかけます。
その壮大な物語を通じては、日々を幸せに、ダルマの中で生きる術を学ぶことができるでしょう。

心を浄化し強化するためのマントラ・サーダナ

心を浄化し、強化するためのマントラ・サーダナ(霊性修行)をご紹介いたします。3〜5分の実践で心をリフレッシュし、前向きなエネルギーを引き寄せる方法として伝えられるサーダナです。

常に働き続ける私たちの心には、さまざまな思考がとめどなく溢れ、1日を通して心を騒つかせます。前向きに考えることを決意したとしても、およそ3時間毎に行われる思考のプロセスに中断され、心は迷い始めます。時には、後向きで好ましくない影響を生み出す思考が心に入り始めることもあります。

以下のシンプルなマントラ・サーダナは、心を浄化し、リフレッシュする効果的なサーダナであると伝えられます。

1、 午前6時から午後10時まで、3時間毎にこの心の浄化のマントラ・サーダナを実践します。およそのタイミングは、午前6時、午前9時、正午、午後3時、午後6時、午後9時です。その他の3時間毎のタイミングでも構いません。

2、 上記のタイミングに、以下のマントラを唱えます。

・हरि ॐ(10回)
・ハリ・オーム

・ॐ श्री चैतन्य गोरक्षाय नमः(27回)
・オーム・シュリー・チャイタンニャ・ゴーラクシャーヤ・ナマハ

・与えられたグル・マントラがある方は、そのマントラを27回唱えます。グル・マントラがない方は、唱える必要はありません。

このサーダナは3〜5分で実践でき、自宅でも職場でも、立位でも座位でも、または歩いていても実践できるサーダナです。声に出して唱えることも、心の中で唱えることもできます。この実践を通じて、心が浄化され、強化されることを感じることができるでしょう。

参照:Matra Sadhana to Cleanse and Strengthen Mind

ナーガ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ भुजङ्गेशाय विद्महे सर्पराजाय धीमहि ।
तन्नो नागः प्रचोदयात्‌ ॥
・om bhujaṅgeśāya vidmahe sarparājāya dhīmahi |
tanno nāgaḥ pracodayāt ||

・オーム ブジャンゲーシャーヤ ヴィッドゥマヘー サルパラージャーヤ ディーマヒ
タンノー ナーガハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがブジャンゲーシャ(蛇の主)を知り、サルパラージャ(蛇の王)を瞑想できるように
ナーガよ、我らを導き給え

蛇神であるナーガ神を讃えるガーヤトリー・マントラです。
このガーヤトリー・マントラは、カーラ・サルパ・ドーシャの影響を緩和すると伝えらます。
カーラ・サルパ・ドーシャは、ラーフとケートゥの間に他の7つの惑星が位置している時に生じ、生涯を通じて多くの苦悩を与えると信じられます。
ラーフとケートゥは、それぞれ月の昇交点と月の降交点にあたりますが、インド占星術では惑星と見なされています。
不死の霊薬アムリタを盗んだという悪しきカルマを持つラーフとケートゥは、凶星と考えられ、非常に恐れられています。
カーラ・サルパ・ドーシャは、蛇神の礼拝を行うことにより、その影響が緩和されると信じられます。

トゥラシー・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ तुलसीदेव्यै च विद्महे विष्णुप्रियायै च धीमहि ।
तन्नो बृन्दः प्रचोदयात्‌ ॥
・om tulasīdevyai ca vidmahe viṣṇupriyāyai ca dhīmahi |
tanno bṛndaḥ pracodayāt ||

・オーム トゥラシーデーヴィヤイ チャ ヴィッドゥマヘー ヴィシュヌプリヤーヤイ チャ ディーマヒ
タンノー ブリンダハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがカミメボウキの女神を知り、ヴィシュヌ神の最愛を瞑想できるように
ブリンダ(トゥラシーの別名)よ、我らを導き給え

トゥラシー(カミメボウキ)は、インドでは、古くから人々に崇められてきたもっとも神聖な植物のひとつで、この木は、ヴィシュヌの妃であるラクシュミー女神の化身であると考えられています。
聖木としてのトゥラシーはすっきりとして非常に芳しい香りを放ち、浄化の作用があるとして、インドの家庭の庭先には必ず植えられています。
トゥラシーは、乱れがちな体内の環境に均衡をもたらし、一定に保つとされるハーブ「アダプトゲン」の一つでもあり、それは心身の緊張や不安を和らげるものとも言われます。
大自然と共に生き霊性が豊かであった古代の人々は、心身に安定をもたらすさまざまな作用を自然の中に見出し、それらを神々として崇めてきました。
純潔を象徴するこのトゥラシーは、さまざまな儀式においてその葉を捧げることが欠かせず、またヴィシュヌ派の人々にとって、トゥラシーの数珠は非常に重要な意味を持つものとして用いられています。

アンナプールナー・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ भगवत्यै च विद्महे माहेश्वर्यै च धीमहि ।
तन्नो अन्नपूर्णा प्रचोदयात्‌ ॥

・om bhagavatyai ca vidmahe māheśvaryai ca dhīmahi |
tanno annapūrṇā pracodayāt ||
・オーム バガヴァティヤイ チャ ヴィッドゥマヘー マーヘーシュヴァリヤイ チャ ディーマヒ
タンノー アンナプールナー プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがバガヴァティー(ドゥルガー女神)を知り、マーヘーシュヴァリー(シヴァ神の妃)を瞑想できるように
アンナプールナー(食物に満たされた方)よ、我らを導き給え

アンナプールナーは、サンスクリット語で「食物に満たされた者」の意味があり、食物、幸福、富、豊穣の女神として信仰されています。
アンナプールナー女神を信仰する人々は、食物に困ることがなく、その家庭には平安が満ちあふれ、家族の長寿が約束されるといわれています。

ガネーシャ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ लम्बोदराय विद्महे महोदराय धीमहि ।
तन्नो दन्तिः प्रचोदयात्‌ ॥

・om lambodarāya vidmahe mahodarāya dhīmahi |
tanno dantiḥ pracodayāt ||
・オーム ラムボーダラーヤ ヴィッドゥマヘー マホーダラーヤ ディーマヒ
タンノー ダンティヒ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがラムボーダラ(突き出たお腹をもつ方)を知り、マホーダラ(大きなお腹をもつ方)を瞑想できるように
ダンタ(牙のある方)よ、我らを導き給え

ガネーシャ神の大きなお腹には、さまざまな神話が伝わります。
その一つにおいて、ガネーシャ神の大きなお腹は、この全宇宙をあらわすと伝えられます。
悲しいこと、そして嬉しいこと、それらすべてを受け入れる(消化できる)のが、このガネーシャ神のお腹です。
それは、あらゆる物事を受け入れる大きな受容の力を象徴します。
私たちは、物事をあるがままに受け入れる代わりに、抵抗し執着をするために、さまざまに悩み苦しむといわれます。
大きなお腹のガネーシャ神の姿を瞑想し祈ることで、あらゆる物事をあるがままに受け入れ、幸せに生きる力を手にすることができるでしょう。