サラスワティー・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ वाग्देव्यै च विद्महे ब्रह्मपत्न्यै च धीमहि ।
तन्नो वाणी प्रचोदयात्‌ ॥
・om vāgdevyai ca vidmahe brahmapatnyai ca dhīmahi |
tanno vāṇī pracodayāt ||

・オーム ヴァーグデーヴィヤイ チャ ヴィッドゥマヘー ブラフマパットニャイ チャ ディーマヒ
タンノー ヴァーニー プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが言葉の女神(ヴァーグデーヴィー)を知り、ブラフマーの妃(ブラフマパトニ)を瞑想できるように
ヴァーニーよ、我らを導き給え

学問や芸術の女神として崇められる、サラスワティー女神のガーヤトリー・マントラのひとつです。
サラスワティー女神には、言葉の女神を意味するヴァーグデーヴィーという別名があります。
また、サラスワティー女神はブラフマー神の妃として崇められる存在です。
ブラフマー神は、ヒンドゥー教の三大神に数えられ、創造を司る神として崇められます。
言い伝えでは、ブラフマー神が世界を創造する際、無秩序で混沌とした状態が続いていたといわれます。
世界に平安をもたらすにはどうしたらいいかブラフマー神が考えると、それには正しい知識が必要であると女神が答え、その象徴であるサラスワティー女神が生まれたと伝えられます。
サラスワティー女神への礼拝によって、私たち自身の内なる世界には正しい知識や知性が生まれ、真に豊かな日々を築くことができると信じられます。

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ラクシュミー・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ महादेव्यै च विद्महे विष्णुपत्न्यै च धीमहि ।
तन्नो लक्ष्मीः प्रचोदयात्‌ ॥
・om mahādevyai ca vidmahe viṣṇupatnyai ca dhīmahi |
tanno lakṣmīḥ pracodayāt ||

・オーム マハーデーヴィヤイ チャ ヴィッドゥマヘー ヴィシュヌパトニャイ チャ ディーマヒ
タンノー ラクシュミーヒ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが偉大な女神(マハーデーヴィー)を知り、ヴィシュヌの妃(ヴィシュヌパトニ)を瞑想できるように
ラクシュミーよ、我らを導き給え

美と豊穣の女神として崇められる、ラクシュミー女神のガーヤトリー・マントラのひとつです。
乳海撹拌において生み出された14の宝のひとつであるラクシュミー女神は、そのあまりの美しさに、多くの神々や聖仙から求婚されたといわれます。
しかし、ラクシュミー女神は横になり眠っていたヴィシュヌ神を求めました。
働き者で努力を怠らない者を好むラクシュミー女神は、ヴィシュヌ神は世界を守り、そして維持する神であることから、大変な努力と働きを行う者と考えたからだといわれます。
働きがあるところには、豊かさが生じます。
私たちが手にするお金、宝石、家、子孫、食事、そうした豊かさは、すべてラクシュミー女神のあらわれです。
その豊かさに気づくことは、自分自身の内にラクシュミー女神を呼び覚ますことであり、その気づきが更なる豊かさを招くと信じられています。

ドゥーマーヴァティー・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ धूमावत्यै विद्महे संहारिण्यै धीमहि ।
तन्नो धूमा प्रचोदयात्‌ ॥
・om dhūmāvatyai vidmahe saṁhāriṇyai dhīmahi |
tanno dhūmā pracodayāt ||

・オーム ドゥーマーヴァティヤイ ヴィッドゥマヘー サンハーリンニャイ  ディーマヒ
タンノー ドゥーマー プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが煙のような方(ドゥーマーヴァティー)を知り、破壊する方(サンハーリニー)を瞑想できるように
ドゥーマーよ、我らを導き給え

ドゥーマーヴァティー女神は、ドゥルガー女神の10の化身であるダシャ・マハーヴィディヤーに数えられる女神です。
シヴァ神を飲み込むことによって自らを生みだすと信じられ、未亡人の女神として伝えられます。
ドゥーマは煙を意味し、その姿は醜くも、そこに女神としての姿を見てとれる者に、恵みを授けると信じられます。
ドゥーマーヴァティー女神は、霊性の向上のために礼拝され、特に礼拝は、夜に1人で行うことが勧められます。
ドゥーマーヴァティー女神の礼拝は、世俗から離れる感覚を引き起こすと言われ、この世を放棄し霊的な道へ進む人にとって適切なものであると伝えられます。
ドゥーマーヴァティー女神は否定性を追払い、真の知識を獲得するために煙幕を超越する恩恵を授けると信じられています。

バイラヴァ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ क्षेत्रपालाय विद्महे तीक्ष्णदंष्ट्राय धीमहि ।
तन्नो भैरव प्रचोदयात्‌ ॥
・om kṣetrapālāya vidmahe tīkṣṇadaṁṣṭrāya dhīmahi |
tanno bhairava pracodayāt ||

・オーム クシェートラパーラーヤ ヴィッドゥマヘー ティークシュナダンシュトラーヤ ディーマヒ
タンノー バイラヴァ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが地を守る方(クシェートラパーラ)を知り、鋭い歯をもつ方(ティークシュナダンシュトラ)を瞑想できるように
バイラヴァよ、我らを導き給え

バイラヴァ神は、シヴァ神の化身した恐ろしい姿として知られています。
欲望にまみれ驕り高ぶった態度を見せたブラフマー神を罰するために、シヴァ神はバイラヴァ神の姿となり、5つあったブラフマー神の頭を切り落とし苦行を行いました。
それ故、ブラフマー神の頭は4つとなり、一方バイラヴァ神は切り落としたブラフマーの頭を持った姿で描かれます。
シヴァ神のもっとも恐れられる姿にも関わらず、バイラヴァ神への礼拝は限りのない保護と繁栄を授けると伝えられます。
それは、私たちの欲望という最も恐ろしい敵を倒すとともに、優れた精神力を授けてくれるからだと信じられています。

ヴァーストゥ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ वास्तु पुरुषाय विद्महे भूमिपुत्राय धीमहि ।
तन्नो वास्तु प्रचोदयात्‌ ॥
・om vāstu puruṣāya vidmahe bhūmiputrāya dhīmahi |
tanno vāstu pracodayāt ||

・オーム ヴァーストゥ プルシャーヤ ヴィッドゥマヘー ブーミプットラーヤ ディーマヒ
タンノー ヴァーストゥ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがヴァーストゥの神(ヴァーストゥ・プルシャ)を知り、大地の息子(ブーミプットラ)を瞑想できるように
ヴァーストゥよ、我らを導き給え

ヴァーストゥとは、地球の磁場、太陽系の影響、また他の天体や宇宙線などの影響を統合した建築の科学です。
それは、設計・建築に関するヴェーダのシステムであり、居住者に幸運、平和、繁栄、健康、幸福、調和をもたらす重要な役割を担います。

こんにちでは、世界的な都市化現象と居住地の減少にともない、ヴァーストゥの法則に合致する家やオフィスを構えることは、現実にはほとんど不可能となっています。
そして、不適切な建築によって秩序が乱されたときに、ヴァーストゥ・ドーシャ(ドーシャは闇、欠点などの意味)が生じます。
そこで居住者は、心配や不安、ストレスなどを感じ、身体的・精神的な病が引き起こされます。
その悪影響を取り去るために、ヴァーストゥ・プージャーを行ったり、ヴァーストゥ・マントラを唱えたりして、建築の神であるヴァーストゥ・プルシャの恩寵と、自然の調和を喚起するための波動を生み出します。

ヴァーストゥ・ガーヤトリー・マントラは、秩序正しい波動を生み出し、住居を宇宙の秩序と調和させる働きを持ちます。
このマントラを定期的に唱えたり、聞いたりするならば、ヴァーストゥの欠点を克服し、精神的・物質的な生活の向上がもたらされるでしょう。

個々の魂を解脱へと導くパシュパティ神(シヴァ神)への祈り


・ॐ पशुपतये नमः
・om paśupataye namaḥ

・オーム パシュパタイェー ナマハ
・意味:パシュパティ神に帰依いたします。

パシュパティはシヴァ神の姿です。パシュは個々の魂(ジーヴァ)を意味し、パティは神、師やシヴァを意味します。したがってパシュパティは、個々人の神、動物の神としてのシヴァ神をあらわします。

シャイヴァ(シヴァ派)・シッダーンタによると、本来ジーヴァとしての個々の魂は、無限に拡がり、遍在しています。しかし、個人が所持する不純物が、本来無限である魂を限定し、無知なるものと貶めています。このような個人を束縛する不純物は索縄(パーシャ)と呼ばれ、自然界には、アーナヴァ、カルマ、マーヤーの3種類のパーシャが存在します。パーシャの文字通りの意味は糸ですが、その糸は、個我の汚れというアーナヴァ、行為の汚れというカルマ、幻力であるマーヤーという3本のより糸から構成されています。この3本のより糸が、個人を束縛へと結びつけています。

アーナヴァは無知であり、無始以来個我と結びつき、妄想の原因となる不活性なエネルギーです。それは、個人の束縛の根本原因であるといわれています。しかし、拭い去ることもまた可能です。

カルマは、想い、言葉、行為の結果として個人を束縛します。カルマは、生死の輪廻へと個人を結びつけ、利と不利益を生みだします。しかし、抑制・消滅させることも可能です。

マーヤーは、道具としての肉体、そして経験の対象を個人に与えます。マーヤーは、悪用と足枷の原因となる無知の影響下にもかかわらず、進化のために宇宙を創造します。マーヤーもまた、消滅させることが可能です。

カシュミール・シャイヴィズム(シヴァ派)によると、この3種類の束縛のために、個人の魂はパシュ(家畜、動物、神と区別しての個人の魂)と呼ばれています。個人の魂が霊性の道に向かって前進するとき、その本質はシヴァ神と合致し、永遠不滅の真理としての本性をあらわし、すべてに浸透して光輝の意識へと到達します。

自らの魂がシヴァ神と同一であると思い起こされたとき、解脱に到達するといわれます。すべての障壁が取りのぞかれたとき、この思いがこの人生で想起されるでしょう。

パシュパティ神への祈りは、パーシャからの解放をもたらし、この人生におけるモークシャの妨害となるものを取り除くとされています。また、パーシャの束縛による感情の荒波を鎮める作用があるといわれます。この生における魂をモークシャへと導き、束縛や執着によって生じる無知、苦悩、苦痛を滅ぼす意識、すなわちルドラ・コンシャスネスへと高めると信じられています。

プラティヤンギラー・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ अपराजितायै विद्महे प्रत्यङ्गिरायै धीमहि ।
तन्नो उग्रा प्रचोदयात्‌ ॥
・om aparājitāyai vidmahe pratyaṅgirāyai dhīmahi |
tanno ugrā pracodayāt ||

・オーム アパラージターヤイ ヴィッドゥマヘー プラティヤンギラーヤイ ディーマヒ
タンノー ウグラー プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがアパラージタ(決して打ち負かされない方)を知り、プラティヤンギラーを瞑想できるように
ウグラー(勇猛な方)よ、我らを導き給え

プラティヤンギラー女神は、シヴァ神の第3の目から生じた女神です。
女性の人間の身体に、雄のライオンの顔を持ちます。
それは、シヴァとシャクティの結合した破壊力の象徴として崇められます。
また、人間とライオンの結合は、善と悪の均衡を象徴します。
そこにはある言い伝えがあります。

悪魔ヒラニヤカシプを倒したヴィシュヌ神の化身であるナラシンハ(人獅子)は、怒りのあまり非常に獰猛で、どんな神も彼を止めることは不可能でした。
するとシヴァ神は、そんなナラシンハを鎮めようと、ライオンと鳥の2つの姿を持つシャラベーシュワラというもっとも強力な姿であらわれます。
この二人の戦いは世界を恐怖に陥れました。
この二人の戦いを鎮めたのが、プラティヤンギラー女神であると伝えられます。

それ故、プラティヤンギラー女神はヴィシュヌ神とシヴァ神の力を合わせ持ち、何よりも強力であると信じられます。
また、プラティヤンギラー女神は、シャクティ・セーナーと呼ばれるラリター・トリプラ・スンダリー女神の軍隊の戦士の一人であり、無敵の守りをもたらすと伝えられます。

プラティヤンギラー女神は、強力で凶暴ながら、聖なる母として奥深い側面を持っています。
強い保護をもたらすため、さまざまな病や苦しみ、黒魔術といったネガティブな影響を防ぐとして広く礼拝されています。

シャンカ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ पाञ्चजन्याय विद्महे पद्मगर्भाय धीमहि ।
तन्नो शङ्खः प्रचोदयात्‌ ॥
・om pāñcajanyāya vidmahe padmagarbhāya dhīmahi |
tanno śaṅkhaḥ pracodayāt ||

・オーム パーンチャジャニヤーヤ ヴィッドゥマヘー パドマガルバーヤ ディーマヒ
タンノー シャンカハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがパーンチャジャニヤを知り、パドマガルバを瞑想できるように
シャンカよ、我らを導き給え

太陽が昇り、そして沈む時、インドの地には、祈りとともにシャンカ(法螺貝)の音が響き渡ります。
古来より、祈りの儀式において必要不可欠なものであったシャンカの音は、世界の安寧や心身の健康を生み出すものとして、大切に受け継がれてきました。
かつて、クリシュナ神と他の戦士たちがシャンカを吹き、マハーバーラタの大戦が始まったといわれます。
そして、シャンカを吹いた戦士たちは皆、戦いに打ち勝ちました。

パーンチャジャニヤは、クリシュナの持つ法螺貝の名前です。
海に棲む悪魔パンチャジャナ(クリシュナに殺された)の貝あるいは骨からつくられたとされています。
パドマガルバはヴィシュヌ神の別名であり、蓮から生まれたもの、蓮を孕むものといった意味があります。

シャンカの生み出す音は、ネガティブな波動を払い、場を清める力があると信じられます。
何よりも、シャンカを吹くことで生じる深い呼吸によって、心身の健康がもたらされると伝えられています。

オーム シュリー ドゥルガーヤイ ナマハ

ॐ श्री दुर्गायै नमः
・om śrī durgāyai namaḥ

・オーム シュリー ドゥルガーヤイ ナマハ
・意味:栄光あるドゥルガー女神に帰依いたします。

ドゥルガー女神のもっともシンプルで唱えやすいマントラのひとつです。
ドゥルガー女神は全宇宙の母なる女神として、また、シヴァ神の妃として崇められ、パールヴァティーやチャンディーなどさまざまな神格となり姿を現します。
その唯一の目的は悪を滅ぼすことであり、ドゥルガー女神は無敵を誇る「シャクティ(神聖なエネルギー)」となりました。
力、勇気、正義、恐怖心を克服した者、英知、光輝の象徴となり、悪を打ち負かす無敵の戦士かつ女神として多くの人々を惹きつけます。
このマントラを唱え最強の女神の力を祈願することで、不安、恐怖、悲しみ、嘆きなどのネガティブな影響を払拭し、本来自身に内在している強靱な精神力と活力を呼び覚まします。

ヴァラーハ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ धनुर्धराय विद्महे वक्रदंष्ट्राय धीमहि ।
तन्नो वराह प्रचोदयात्‌ ॥
・om dhanurdharāya vidmahe vakradaṃṣṭrāya dhīmahi |
tanno varāha pracodayāt ||

・オーム ダヌルダラーヤ ヴィッドゥマヘー ヴァクラダンシュトラーヤ ディーマヒ
タンノー ヴァラーハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが弓の使い手である方を知り、曲がった牙を持つ方を瞑想できるように
ヴァラーハよ、我らを導き給え

ヴァラーハ神は、ヴィシュヌ神の10の化身の第3番目の化身である猪の頭を持つ神格です。
ヴィシュヌ神は、悪魔によって沈められた大地を救うために、猪となって大地を持ちあげたと伝えられます。
真理を追究する者は、凄まじい勢いで真っ直ぐに突き進む猪のように、あらゆる犠牲を恐れることなく進むべきであることを象徴しているといわれます。