2020年12月の主な祝祭

2020年12月の主な祝祭をご紹介いたします。

大きな祝祭は少ない12月ですが、盛大な結婚式が多く執り行われる地域や慣習があり、祝福に包まれる時が続きます。また、バガヴァッド・ギーターが生まれたとされるギーター・ジャヤンティや、三大神が一体となったダッタートレーヤ神の降誕祭などが祝福されます。

12月4日 サンカタハラ・チャトゥルティー
12月8日 カーラ・バイラヴァ・ジャヤンティ
12月11日 エーカーダシー
12月12日 プラドーシャ
12月13日 シヴァラートリー
12月15日 新月
12月16日 ダーヌ(射手座)・サンクラーンティ
12月19日 ヴィヴァーハ・パンチャミー
12月25日 エーカーダシー/ギーター・ジャヤンティ
12月27日 プラドーシャ
12月29日 ダッタートレーヤ・ジャヤンティ
12月30日 満月

*地域や慣習によって、日にちに前後の差異が生じます。

1年を通じた祝祭、またその詳細について、インド暦カレンダーでご紹介しております。

参照:Month Panchang

正義の地

アルジュナが直面する混乱と葛藤に、クリシュナ神が勇ましく教えを説くバガヴァッド・ギーター。
その舞台となるのは、マハーバーラタの大戦が始まろうとしている聖地、クルクシェートラです。
この戦場という舞台は、人間の苦悩を暗示していると広く解釈されてきました。
そんなバガヴァッド・ギーターの舞台になったクルクシェートラには、ある神話が伝わります。

クルクシェートラは、クル族の王に由来する土地です。
古代において、その土地はサラスワティー川とドリシャドヴァティー川の間にあったといわれ、現在ではインド北部のハリヤーナー州に位置します。
心身の穢れを清める聖地として、水辺は精神的にも物質的にも、人々の拠り所となる場所でした。

クル王が馬車に乗ってこの土地を訪れた時のこと、馬車の金を使って鋤を作り、その不毛の地を耕し始めたといわれます。
神々の王であるインドラ神は、クル王に何をしているのか尋ねました。

クル王は、8つの美徳を育てる土地を準備していると答えます。
8つの美徳とは、苦行(タパス)、真実(サティヤ)、寛容(クシャマー)、親切(ダヤー)、清浄(サウチャ)、布施(ダーナ)、合一(ヨーガ)、禁欲(ブラフマチャリヤ)でした。

さまざまな困難に直面しても、その美徳を育てるために土地を耕し続けたクル王は、恩恵を与えられます。
その恩恵は、いつまでもクル王の名前がその土地において語り継がれるということ、そして、その土地における戦いで命を落とした者は、誰でも天の国に行くというものでした。

そうして聖地となったクルクシェートラは、ダルマクシェートラとも呼ばれます。
ダルマクシェートラは、正義の地を意味します。
この正義の地は、個々の内に存在しているものに他ありません。

人生において8つの美徳を育む私たちは、時に混乱と葛藤に直面することがあっても、正義のために戦い続ける必要があります。
その戦いにおいては、クリシュナ神の教えが綴られたバガヴァッド・ギーターが何ものにも代えがたい支柱になるはずです。
そして戦いを終える時、得る勝利は個の魂の解脱として、私たちの生きる目的を成就してくれるに違いありません。

(文章:ひるま)

参照: Kurukshetra—The Land of Dharma

グレートコンジャンクション2020

2020年12月21日、社会に激変が起こるとされる惑星の配置、グレートコンジャンクションが生じます。グレートコンジャンクションとは、木星と土星が同じ位置で重なる現象をいい、2020年は12月21日に、やぎ座でそのグレートコンジャンクションが生じます(日本時間では12月22日)。

肯定的な木星の影響は、拡大や成長をもたらす一方で、否定的な土星の影響は、制約や障害をもたらすとされます。この相反する2つの力の作用は、物事の動きに大きな影響を与えると考えられ、世界の歴史を形作る作用があるとされてきました。

以下に、2020年のグレートコンジャンクションについて、「Jupiter–Saturn Conjunction 2020」よりご紹介いたします(抄訳)。

2020年の木星と土星のコンジャンクション

グレートコンジャンクションは、およそ20年ごとに生じ、個人と社会、つまり、すべてに影響を与える強力なエネルギーを引き起こします。その入り混じった力は、歴史を形成するある種の特色をその時代に残すもので、実際、木星と土星のコンジャンクションのサイクルを調べることで、歴史を紐解くことも可能です。占星術で歴史を分析するマンデーン占星術では、このコンジャンクションが主要なテーマとなります。

木星は約1年、土星は約2年半に渡ってひとつの星座に留まる動きの遅い惑星です。それらの性質が人々の意識に働きかける時間が十分にあることから、個人のホロスコープに応じて、それぞれの人生に強力な方法で影響を与える可能性があります。そして、2020年のやぎ座における木星と土星のコンジャンクションは、以下に示す理由から、特に強力なものになると考えられます。

このグレートコンジャンクションが生じる時(サイデリアル式)

土星は2020年1月25日にやぎ座に入ります。そして、木星は3月30日にこれに加わり、木星と土星が一緒にやぎ座に留まる期間が始まります。しかし、双方の逆行が生じるため、木星と土星が一緒にやぎ座に留まる期間は複雑になります。土星はやぎ座に留まるも、木星は7月1日にいて座に逆行し、11月21日まで留まります。したがって、1番目の期間は3月30日から7月1日までとなります。2番目の期間は11月21日に始まり、木星がみずがめ座に移動する2021年4月6日まで続きます。しかし、木星は再び逆行し、9月15日にやぎ座に戻ります。したがって、3番目の期間は、2021年9月15日から11月21日までとなります。

まとめると、木星と土星がやぎ座にある期間は次の通りです。

・2020年3月30日から2020年7月1日まで
・2020年11月21日から2021年4月6日まで
・2021年9月15日から2021年11月21日まで

また、木星と土星が1度以下で重なる時、つまり、惑星戦争として知られるグラハ・ユッダが生じるのは次の通りです。

・2020年12月16日から18日まで:5度でのコンジャンクション
・2020年12月21日から24日まで:6度でのコンジャンクション

そして、完全なコンジャンクションが生じる時は2020年12月21日となり、ナクシャトラがウッタラ・アーシャダーにおいて、6.20度の位置で生じます。ウッタラ・アーシャダーのエネルギーは、阻止できない勝利を与える力として知られます。このコンジャンクションが冬至で生じることも、非常に重要な意味を持ちます。このコンジャンクションのエネルギーはピークにおいて著しく強まるも、その影響は、木星と土星がやぎ座で一緒に留まる期間全体に広がります。

※日付は場所によって前後する場合があります。

支配的になるエネルギーは

惑星がある星座で重なる時、さまざまな要因がその惑星の相対的な強さを決定します。時に、どの惑星がどの惑星を押さえ込むかを判断することは、複雑で、困難を伴います。しかし、ここでは違います。土星は明らかに、このやぎ座のコンジャンクションにおいて支配的であり、社会や個人という広範囲にわたって影響を生み出します。惑星戦争として知られるグラハ・ユッダは、2つの惑星が1度以下で重なる時に生じますが、その戦いにおいて勝敗を定義する指標はさまざまです。この場合、木星の方が大きいにも関わらず、土星の輪がより大きな広がりを持つことによって、土星が勝利者となります。また、土星はやぎ座を支配しています。自らが支配する星座にある時、その惑星は力を得るため、ここで土星の力はさらに増します。そして、やぎ座にある木星は減衰するため、木星の光はもっとも弱くなり、また傷つきます。さらに、木星が減衰する位置は5度であり、それはまさに木星と土星がグラハ・ユッダで重なる位置です。加えて、土星の暗黒のエネルギーが自ずともっと強くなる冬至においてこのコンジャンクションが生じるため、土星の支配力はさらに大きくなります。ウッタラ・アーシャダーのエネルギーも、土星の支配の影響を強化します。個人に生じる影響はそれぞれのホロスコープによってさまざまに異なるも、誰もが、また世界全体も、この強まる土星の力と弱まる木星の光を経験するでしょう。この戦いにおいては、土星が勝利するのです。

地の性質を持つ土星が同じく地の性質を持つやぎ座に留まる2020年〜2021年の間にこのコンジャンクションが生じることにも、重要な意味があります。歴史的に、木星と土星のコンジャンクションは、同じ元素で長期間、通常は約200年に渡って生じます。そして、20年の周期性があり、その間、それぞれの元素の特徴をその時代に示します。コンジャンクションが前の元素と次の元素の間で交互に現れる移動の期間は、大きい方の期間を繋ぎ、その期間は60年から140年まで変化します。

世界への影響

現在の地の性質が支配する期間は、1961年に始まり2199年まで続きます。しかし、その間、2000年におひつじ座の終わりに近い位置で生じた火の性質でのコンジャンクションにより、小規模でも火の性質が新世紀の時代精神の一因になることが明確になりました。1901年に始まっていた火の性質から地の性質への移行の動きは、20世紀の終わりまで完全に終わったわけではなく、その異常な状態により、20世紀を特有で長期にわたる転換期として見ることができます。火の性質は、たとえ暴力や戦争に突入したとしても、国家主義的な野望を支持します。それは、正義、独立、自由のための戦いを意味します。一方で、地の性質は、安全、物質的な利益、富の追求、資源の開発、そして技術の開発への意欲を育みます。

1921年、第1次世界大戦の戦火、オーストリア=ハンガリー帝国の崩壊、ロシア革命、アイルランド独立戦争に続き、600年以上を経て地の性質でのコンジャンクションが生じました。それは、1929年のウォール街大暴落につながった投機ブームをもたらします。そして、1941年に木星と土星のコンジャンクションが再び火の性質で生じると、第2次世界大戦が激化、インドとアフリカでは独立運動が高まり、その後のおよそ20年間で、インドとアフリカの大部分が植民地支配から解放されました。1961年には、戦後の物質的な繁栄が現れ、限りない拡大と発展の価値を特徴とする地の性質の新時代が本格的に始まります。1981年には、再び地の性質でのコンジャンクションが生じ、その傾向を加速させます。新技術の成長と企業の力はかつてないほど拡大し、国家政府が強力な企業の経済的な利益に従属するようになり、企業はデジタル技術でその支配を固めていきます。

地の性質の影響下で、営利企業や大規模な複合企業が成長し、企業の利益が脅かされると軍事力を誘発します。軍事力は大衆の恐怖とパラノイアを煽り、不足や欠乏の感覚を吹き込みます。これは、企業の力を増大させる別の効果となるものであり、富裕層とそうでない人々の間の社会的な格差を拡大しました。これらはすべて土星のテーマであり、2020年のコンジャンクションがそれを一層高め、木星がやぎ座で極端に減衰することによって、さらに悪化します。

木星は倫理、正義、信念の性質を示しますが、これらはすべて土星の支配によって覆い隠されます。そこでは、経済的な安全、企業の利益や統制が優先されます。したがって、マンデーン占星術の観点から2020年のアドバイスをするとすれば、警戒を怠らないことです。個人データを保護しましょう。主義や思想の宣伝戦略と心理操作のツールへと密かに変容を遂げたソーシャルメディアの使い方に注意する必要があります。自分自身に適度な経済的安定を確保しながら、社会の正義、環境の保護、不利な立場にある人々への人道的な支援といった、大きな問題を決して忘れないことが大切です。今後の地の性質が支配的になる期間においては、気候変動、環境破壊、種の絶滅に関する問題の危険性が非常に高くなります。そして今、2020年、木星が伝える倫理的なビジョンを私たちが必要とする時、木星の光は減衰するのです。

精神的な意味

しかし、土星の支配によるこの世界への影響は重要なものとなる可能性があります。大局的な見地から真に重要なことは、精神的な面におけるものです。精神的な進化に日々を捧げてきた人々にとって、木星と土星のコンジャンクションはより深い意味を持ち、土星の力から隠された恵みがもたらされます。木星と土星は、どちらも精神的な資質の徴候を示しますが、それらは互いにまったく正反対の方向に現れます。

光、富、慈悲、友愛の惑星として、木星は創造のあらゆる面において神性を知覚する能力を与えます。その影響力は、私たちの人生におけるあらゆる経験に精神的な要素を吹き込みます。万物は神の現れだからこそ、すべてに神性を見出すことは賛美に値します。このようにして、木星は世界と関わります。木星は倫理と正義を推し進め、真理の道に従って役目を果たすため、大きな心で任務を遂行しています。物質的な豊かさは、富、子ども、社会的地位、そして世俗的な称賛といった形で示されるかもしれませんが、うまく機能する木星は、そういった恵みに執着することはありません。すべての人により崇高な道義を与えるために、それらを利用するのです。木星は、特に法律、医学、哲学、教育など、人物を向上させるあらゆる高度な知識の象意があります。木星は神々のグルであり、貴僧であり、その精神性は、儀式、真言、礼拝に向けられています。

一方で、暗闇、制約、否定、孤独の惑星として、土星は物質界に関するすべてを制限し、不満にさせます。土星は、身体的な病気、精神的な苦悩、経済的な困難、不安定な情緒、喪失や苦痛をもたらします。質素な生活は土星の性質に分類されますが、すべての人にとってそうであるとは限りません。土星の影響下で、特定の人は、権力や財産の面で大きく上昇することができます。しかし、活動の縮小は依然としてあり、不満、苦悩、不安となって現れます。物質的な不足または物質的な獲得、そのどちらの場合を通じても、土星はある種の存在に関する失望を助長します。土星はこの世の儚さを教え、この世界に疲れ変容に熟した心を、放棄と超越へ向かわせます。

土星の道は「十字架の道」です。土星はゆっくりと少しずつ動くため、その道は非常に長い時間がかかる場合があります。しかし、最終的に、土星の道は物質的な束縛からの解放であるモークシャにおいて締めくくられます。サンスクリット語で土星はシャニと呼ばれます。シヴァ神と密接に関係するシャニは、マーヤー(幻想)による歪みや視野の狭さを払い除けます。土星は無明(無知)の覆いを取り払い、真理の実現をかなえます。暗闇を通して、魂は無限の輝きに開かれます。それが土星という神秘の本質なのです。

木星(グル)は知識の惑星であり、土星(シャニ)は知恵の惑星です。木星と土星のコンジャンクションにおける土星の支配は、深い精神的な変革の可能性の扉を大きく開きます。それは、限りのある時間に打ち勝つ永遠の勝利です。この期間への心構えができている人にとって、これは秘められた恵みとなります。しかし、そうでなければ、実に困難な時となるでしょう。このコンジャンクションの間に、障害を経験する可能性があるとしても、まず取り入れるべき対策は、回心、つまり心の大きな方向転換です。土星を信じ、身を任せてください。土星は、人の心に働きかけ、行動を起こさせるもの、つまり、真珠を育てる促進剤となるものです。土星がもたらすものには、あなたの内なる目覚めにつながる教訓が含まれていることを確信してください。

出典:Seven Winds Yoga and Jyotish “Jupiter–Saturn Conjunction 2020”, http://www.sevenwindsyoga.com/blog/jupiter-saturn-conjunction-2020/

ヴァイクンタ・チャトゥルダシー2020

カールッティカ月(10月~11月)の月が満ちる14日目、インドではヴァイクンタ・チャトゥルダシーという吉日が祝福されます。2020年は11月28日となるこの日は、ヴィシュヌ神とシヴァ神に捧げられる日として、インドの各地で礼拝が執り行われます。

ヴァイクンタ・チャトゥルダシーは、シヴァ神が神聖な武器であるスダルシャナ・チャクラを、ヴィシュヌ神に授けた日と伝えられます。ヴィシュヌ神がシヴァ神を礼拝するために、1000の蓮の花を捧げていた時のことでした。1000個目の蓮の花がないことに気づいたヴィシュヌ神は、足りない蓮の花の代わりに、蓮のようだと称される自らの片目を捧げ、シヴァ神がその献身さに心を動かされたからだと伝えられます。

スダルシャナ・チャクラは、太陽の炎から生まれた、あらゆる悪を滅ぼす強力な円盤型の武器といわれます。その輪は、まるで輪廻の世界をあらわしているように見えます。このスダルシャナ・チャクラには、ある有名な神話があります。

父親のダクシャから結婚を反対され、焼身をはかったサティーを思い悲しみにくれていたシヴァ神は、サティーの身体を抱え破壊の踊りを踊りました。ヴィシュヌ神は、その破壊の踊りを止めようと、スダルシャナ・チャクラでサティーの身体をバラバラにします。シヴァ神は、サティーの身体がバラバラになった後、正気を取り戻したと伝えられます。

肉体や物質に対する執着や欲望は、誰しもが抱くものです。その執着や欲望という暗闇の中で、私たちは大きな苦難を経験し、輪廻を繰り返さなければなりません。スダルシャナ・チャクラは、私たちのそんな執着や欲望を断ち切り、輪廻からの解放をもたらす強力な武器となるものです。

常日頃、太陽の炎でできたこのスダルシャナ・チャクラを思うことで、私たちはその光を知ることができます。その過程であらゆる悪は滅ぼされ、魂の平安を得ることができるに違いありません。このヴァイクンタ・チャトゥルダシーが、皆様にとっても意味のある日となりますように、心よりお祈り申し上げます。

(文章:ひるま)

信愛が灯す光

ラクシュミー女神が降誕した日として祝福されるディーワーリーは、ラーマ神がアヨーディヤー王国へ凱旋する日として祝福される時でもあります。
叙事詩のラーマーヤナにおいて、ランカー島で魔王のラーヴァナを倒し、勝利を収めた後のことでした。
ディーワーリーの夜に灯される無数の光は、王国に戻るラーマ神を迎え入れるために、その道を照らす明かりでもあります。

アヨーディヤー王国へ戻るラーマ神の側には、ラーヴァナに誘拐された、妃であるシーター女神の姿がありました。
深い教えが秘められたラーマーヤナを通じては、ラーマ神は主であり、シーター女神は心であると説かれることがあります。
そして、離れてしまったラーマ神(主)とシーター女神(心)を結びつけたのが、ラーマ神に忠誠を誓うハヌマーン神(信愛)でした。

ハヌマーン神は、ラーヴァナに誘拐されたシーター女神を救うべく、ランカー島に向かって飛び立ちます。
そこでシーター女神を見つけると、ラーマ神の真の使者である証として、ラーマ神から預かった指輪をシーター女神に見せました。
その指輪を目にした時のシーター女神を思うと、苦難の中に差し込む明るい光がはっきりと見えるようです。

ラーマーヤナで起こる出来事は、私たちの日々の歩みにおいて繰り返される出来事に他ありません。
離れてしまいがちな主と心。
しかし、主の救済の手は、常に差し伸べられています。
それに気づくためには、自分自身の内で信愛を育まなくてはなりません。
その時、心が主から離れどんな暗闇に落ちてしまっても、必ず主と一体になり、光のもとに戻ることができるはずです。

ディーワーリーが祝福されるのは、日没が早まった秋、暗い新月の夜です。
暗闇が広がるこれからの時、意識的に光を灯すことを心がけたいと感じます。
その光は、主と一体になる喜びを迎え入れるための道を、どんな時も照らしてくれるはずです。
ディーワーリーを迎え、皆様にも大きな恩寵がありますように、心よりお祈り申し上げます。

(文章:ひるま)

クベーラ神の苦行

数日間に渡りたくさんの光が灯されるディーワーリーの祝祭の中で、とりわけ盛大な祝福が行われるダンテーラス。
富の祝祭として祝福されるダンテーラスでは、財宝の神であるクベーラ神への祈りが捧げられることが多くあります。

クベーラ神は、10の方角を守るダシャ・ディクパーラの1柱に数えられ、北方を守る役割を担います。
インドでは、多くの富が流入するように、住居の北側から障害物を取り除き、広い空間を設けることがあります。
また、北向きに開く金庫を置いておくと、クベーラ神が富をいっぱいに満たしてくれるともいわれることがあります。

そんなクベーラ神は、鬼神であるヤクシャの主とされ、魔王のラーヴァナとは異母兄弟にあたります。
鬼神であったクベーラ神が、財宝の神として人々から広く崇められるようになった理由には、さまざまな神話が伝わります。

一説に、かつてクベーラ神は、ランカー島を支配していたことがありました。
しかし、ラーヴァナと対立した際にランカー島を奪われると、世界を放浪し始めます。
やがて、シヴァ神が住まう北のカイラーサ山に辿り着きました。

シヴァ神は、泥棒や邪鬼といった社会が悪と見なすような存在にも祝福を与える慈悲深い神です。
そんなシヴァ神が住まう北のカイラーサ山に落ち着いたクベーラ神は、シヴァ神への苦行を熱心に行うようになりました。
その苦行にシヴァ神は喜び、財宝の神としての地位と、自分自身が住まう北方を守る重要な役割を与えます。
それはすべて、クベーラ神の苦行による賜物でした。

善の質と悪の質は、光と闇に例えられ、誰しもの内に存在しています。
鬼神であったクベーラ神は、苦行により、財宝の神として広く崇められるようになりました。
どんな存在も、神々へ心を定めることにより、悪の質である闇が払われ、善の質である光に満たされていくということを伝えているようです。

ダンテーラスが祝福されるのは、日没が早まり、暗い夜が長くなる時です。
この時、悪の質である闇に支配されることがないように、光を灯して、内なる善の質を照らしたいと感じます。
その行為は、私たちを明るい道に導き、より豊かな富を注いでくれるに違いありません。

(文章:ひるま)

太陽とパーリジャータの愛

秋が深まり、夜が長くなる時となりました。
インドではこの季節に、たくさんの光を灯すディーワーリーが盛大に祝福されます。
ディーワーリーは、ヒンドゥー教の創造神話である乳海撹拌を通じて、ラクシュミー女神が生まれた時としても祝福される時です。

乳海撹拌を通じては、ラクシュミー女神を含め、14の宝が生まれたと伝えられます。
その宝のひとつに数えられる、パーリジャータと呼ばれる木があります。
決して枯れない木ともいわれるこのパーリジャータには、ある美しい神話が伝わります。

パーリジャータの木は、夜に花を咲かせ、太陽が昇ると地面にその花を落とすといわれます。
地面に落ちた花は神々に捧げてはならないといわれる中で、このパーリジャータだけは、地面に落ちた花を神々に捧げても良いと伝えられます。

一説に、太陽に恋をしたパーリジャータという、とても繊細な王女がいたと伝えられます。
その愛に気づいた太陽は、パーリジャータのもとを訪れました。
しかし、繊細なパーリジャータには太陽の光が強すぎ、その熱に焼かれてしまいます。

パーリジャータを哀れんだ太陽は、枯れない木としての命をパーリジャータに与えました。
そして、光が弱まる夜にパーリジャータのもとを訪れ、愛を伝えるのだといいます。
パーリジャータは、その愛に花を開いて芳しい香りを放つも、朝に太陽の光が差し込むと、開いた花を落とすと伝えられます。

パーリジャータにまつわる神話はさまざまに異なりますが、その多くが、太陽との美しい愛のあり方を伝えています。
さまざまな欲望が生じる肉体を持つ私たちにとって、時に真実の光は強すぎることがあります。
しかし、太陽が夜にそっとパーリジャータのもとを訪れるように、暗闇の中にも神の愛が届いていることを忘れてはなりません。

夜の帳が下り、パーリジャータの香りに気づく時、太陽とパーリジャータの愛を感じる瞬間がありました。
そして朝、地面に落ちたパーリジャータの花を神々に捧げる時、決して枯れない真の愛の強さを学んだように思います。
暗闇の中でも美しい花を咲かせることができるように、どんな時も神の愛に気づいていたいと感じます。

(文章:ひるま)

2020年11月の主な祝祭

2020年11月の主な祝祭をご紹介いたします。

11月は、待ちに待ったディーワーリーの祝福を迎えます。その後は、7月から続いていた聖なる4ヶ月間であるチャトゥル・マースが終わりを迎え、大きな祝祭は落ち着くも、盛大な結婚式が続く祝福に包まれる時を迎えます。

11月4日 カルヴァー・チャウト/サンカタハラ・チャトゥルティー
11月8日 アホーイー・アシュタミー
11月11日 エーカーダシー
11月13日 ダンテーラス/ダンヴァンタリ神の降誕祭/プラドーシャ/シヴァラートリー
11月14日 ディーワーリー/ナラカ・チャトゥルダシー
11月15日 新月/ゴーヴァルダナ・プージャー
11月16日 バーイー・ドゥージュ/ヴリシュチカ(蠍座)・サンクラーンティ
11月20日 チャタ・プージャー
11月22日 ゴーパーアシュタミー
11月26日 エーカーダシー/チャトゥル・マースの終わり
11月27日 トゥラシー・ヴィヴァーハ/プラドーシャ
11月28日 ヴァイクンタ・チャトゥルダシー
11月30日 満月

*地域や慣習によって、日にちに前後の差異が生じます。

1年を通じた祝祭、またその詳細について、インド暦カレンダーでご紹介しております。

参照:Month Panchang

光の女神

霊的叡智の宝庫であるインドにおいて、さまざまな姿で崇められる女神たちは、世界を動かす力として、いたるところに存在しています。
私たちが生きる日々には、女神たちの大きな力が働いていることを決して忘れてはなりません。
そんな女神たちの中に、ジョーティと呼ばれる女神がいます。

ジョーティは、光を意味します。
ジョーティ女神は、一説に、パールヴァティー女神の額から発出した閃光として生まれたと伝えられます。
とりわけ、カールッティケーヤ神の姉妹として崇められることが多くあります。
それは、カールッティケーヤ神の武器である鋭い槍が、ジョーティ女神として崇められているからです。

カールッティケーヤ神は、シヴァ神とパールヴァティー女神の息子であり、霊的探究の守り神として崇められます。
カールッティケーヤ神が手にする鋭い槍は、母であるパールヴァティー女神から授けられ、知識を象徴するものと伝えられてきました。
知識は、豊かな人生を歩むために、何よりもの武器となるものです。
それは、無知という暗闇を照らす光でもあります。

カールッティケーヤ神は、母であるパールヴァティー女神から授けられた知識を象徴する槍を力に、悪魔を倒しました。
私たち自身も、神々が授ける知識という力を用いながら、無知が生み出す不安や恐怖といった暗闇を払拭する光を灯さなくてはなりません。
その時、日々の中で向き合うさまざまな難題を強く打ち破ることができるはずです。

知識を武器に、私たちの霊的探究を守るカールッティケーヤ神の軍旗には、雄鶏が描かれています。
雄鶏は、カールッティケーヤ神が倒した悪魔とされる一方で、闇を切り開く太陽を呼び覚ますかのように鳴き始める姿が、神聖視される動物でもあります。

そんな雄鶏を掲げるカールッティケーヤ神の力が、ジョーティ女神です。
こうした神々の存在に心を定める時、私たちは豊かな人生を歩むための真の知識を深めていくことができるはずです。
そうすれば、日々の中でたとえ暗闇に直面しても、明けない夜がないように、常に光をもたらすことができるに違いありません。

(文章:ひるま)

勝利の女神

夕暮れが早まり、夜が長くなる秋の季節。
その暗い新月の夜を照らすように祝福されるのが、眩い光が溢れるディーワーリーです。
闇を照らす光が灯るこの祝祭は、悪に対する善の勝利を祝う象徴でもあります。

ディーワーリーは、ラクシュミー女神への祈りが捧げられる時でもあります。
ヒンドゥー教の創造神話である乳海撹拌を通じ、ラクシュミー女神はこのディーワーリーの日に姿をあらわしたと信じられているからです。

ラクシュミー女神は、豊かさを司る女神です。
物質的な豊かさだけでなく、目には見えない心の豊かさを授ける女神でもあります。
そんなラクシュミー女神の姿の中に、ヴィジャヤ・ラクシュミーと呼ばれる姿があります。

ヴィジャヤーは勝利を意味します。
ヴィジャヤ・ラクシュミーには、ラクシュミー女神を心から崇拝する、あるひとりの男の神話が伝わります。

ラクシュミー女神は、その男の心を確かめようと、ある試練を与えることを考えました。
そして、「不吉な時に生まれた運命により、豊かさを享受することはできない」と男に伝えます。

しかし、その言葉に男の心が揺らぐことはありませんでした。
そして、変わらずにラクシュミー女神への祈りを捧げ続けます。
その姿に感銘を受けたラクシュミー女神は、あらゆる富を男に授けました。

しかし、この時すでに、男は物質的な欲望から解放された聖者に変わっていました。
授けられた富を必要とせず、男は王国のためにその富を捧げます。
そうして生まれたのがヴィジャヤナガル王国であり、男はヴィディヤーラニヤと呼ばれる聖者になったと伝えられます。

私たち自身、日々の歩みの中で経験するさまざまな試練に、心が揺らぐことが少なくなりません。
そうして光を見失い、闇に落ちていくことも往々にあります。
しかし、ラクシュミー女神に定まったヴィディヤーラニヤの心に、光と闇が入り乱れることはありませんでした。

信じる心から生まれる何にも揺らぐことのない強さは、王国を築き上げたヴィディヤーラニヤのように、必ず勝利をもたらしてくれるはずです。
ラクシュミー女神が姿をあらわしたと信じられるディーワーリーに、光を灯しながら、その存在を自分自身の内に確かめたいと感じます。

(文章:ひるま)

参照:Goddess Vijaya Lakshmi