マカラ・サンクラーンティ2019

2019年1月15日はマカラ・サンクラーンティです。マカラ・サンクラーンティは、春の到来を告げる収穫祭であり、インドに限らず、東南アジアの国々でもお祝いされる盛大なお祭りです。

マカラとは「山羊座」、サンクラーンティとは「変遷」のことであり、この日より太陽が山羊座に入ることから、マカラ・サンクラーンティと呼ばれています[1]。

マカラ・サンクラーンティは日本でいう冬至にあたり、昼がもっとも短い日であり、この日から太陽は北方への回帰を始めます(ウッタラーヤナ)。
緯度の違いから、日本では例年12月22日頃がそれにあたります。

インドの聖典「バガヴァッド・ギーター」では、ウッタラーヤナについて次のように述べられています[2]。
「火、光明、昼、白月、太陽が北に向かう六ヶ月。そこにおいて、逝去したブラフマンを知る人々はブラフマンに達する。(8.24)」

インドでは太古よりウッタラーヤナの期間中に肉体を去ることは、成就に至るために重要であると考えられてきました。
そのためマハーバーラタの英雄として知られるビーシュマは、この吉兆の時に死ぬことを望み、ウッタラーヤナが訪れるまで、矢でできた臥床で死を待ったといわれます。

マカラ・サンクラーンティの吉日では、インド各地において、朝早くから沐浴をし、祈りを捧げ、太陽の恵みに感謝し、豊作を祈願します。
また精神的な恵みを得るためにも重要な吉日であると考えられています。

プラーナ文献では、マカラ・サンクラーンティから1ヶ月間、太陽神スーリヤが息子である土星神シャニの家を訪れると述べています。
山羊座は、インド占星術における土星神シャニが支配する星座です。
父スーリヤとその息子シャニは、いつもはあまり仲が良くありませんが(敵対星座)、父スーリヤが1ヶ月間、息子シャニの家に来ることにより、お互いの関係を確かめ合います。
これは占星術的には、一般の父と息子の関係にとっても重要な意味があるととらえられています。
息子にとっては、父を快く受け入れることで、よりよい家族関係を築くのに重要な時期であるといわれます[3]。

また太陽が北へ向かう6ヶ月の間(冬至から夏至の間)、ここから神々の昼が始まるとして、多くの祭事はこの期間を中心に行われることになります。
太陽が南へ向かう6ヶ月の間(夏至から冬至の間)は、神々の夜にあたる時期と考えられ、ギーターでは、「そこにおいて、逝去したヨーギンは月光に達してから回帰する。(8.25)」と、忌み嫌われている時期であることが窺えます。

しかし、ガンディーが「無執着ヨーガ」の中で、「信愛に従い、ひたすら無執着の行為を行い、真理を見た者は、いつ死のうとも解脱を勝ち得る。」と述べているように[4]、真理とともに生きている人々にとっては、毎日がマカラ・サンクラーンティのような吉日であるといえるのかもしれませんね。

太陽の恵みを感じやすくなるこの時期、皆さまに大きな恵みがありますように。

Reference
[1] Sankranthi, Wikipedia, http://en.wikipedia.org/wiki/Makar_Sankranti
[2] 上村勝彦訳,バガヴァッド・ギーター,岩波文庫,1992
[3] Makar Sankranti, http://www.rudraksha-ratna.com/news_letter/makarsankranti-mailer-2015.html
[4] 赤松明彦著,『バガヴァッド・ギーター』神に人の苦悩は理解できるのか?,岩波書店,2008

2019年のサンカタハラ・チャトゥルティー

月の満ち欠けのそれぞれ4日目はチャトゥルティーと呼ばれ、ガネーシャ神に捧げられる吉兆な日として崇められます。満月からの4日目はサンカタハラ・チャトゥルティーと呼ばれ、新月からの4日目はヴィナーヤカ・チャトゥルティーと呼ばれます。

サンカタハラの「サンカタ」は「困難」、「ハラ」は「取り除く」を意味します。このサンカタハラ・チャトゥルティーにおいては、ガネーシャ神のマントラを唱えたり、祈りを捧げたり、断食を行うことが勧められます。これらのヴラタ(戒行)によって、困難を抱える人々からは障害が取り除かれ、幸せや豊かさがもたらされると信じられています。

2019年のサンカタハラ・チャトゥルティーをご紹介いたします。特に、ガネーシャ神に捧げられる火曜日にこのチャトゥルティーが重なることはとりわけ吉兆な時とされ、それはアンガーリカー・サンカシュティ(サンカタハラ)・チャトゥルティーと呼ばれます。2019年はアンガーリカー・サンカシュティ(サンカタハラ)・チャトゥルティーは生じません。

1月24日(木)
2月22日(金)
3月24日(日)
4月22日(月)
5月22日(水)
6月20日(木)
7月20日(土)
8月19日(月)
9月18日(水)
10月17日(木)
11月16日(土)
12月15日(日)

参照:Sankashti Chaturthi 2019

ヴィヴァーハ・パンチャミー2018

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2018年12月12日はヴィヴァーハ・パンチャミーの吉日です。ヴィヴァーハ・パンチャミーは、ラーマ神とシーター女神が結婚をした日として崇められ、マールガシールシャ月(11月から12月)の新月から5日目に祝福されます。

古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」の舞台の一つで、シーター女神が生まれた場所であり、また、ラーマ神とシーター女神が結婚した場所ともされるネパールのジャナクプルには、各地から帰依者が集まり、盛大な祝福が行われます。

2つの魂の結合を祝福するこの日、ラーマ神の御名やシーター女神のマントラを唱えたり、また祈りを捧げることで、大きな幸せが授けられると信じられています。

参照:2018 Vivah Panchami

カーラ・バイラヴァ・ジャヤンティ2018

KATHMANDU, NEPAL - CIRCA NOVEMBER 2013: Kaal Bhairav statue at Basantapur Durbar square in Kathmandu circa November 2013 in Kathmandu.

シヴァ神のさまざまな姿の一つに、カーラ・バイラヴァ神という姿があります。カーラ・バイラヴァ神は、カールッティカ月(10月~11月)の満月から8日目(アシュタミー)に降誕したと信じられ、2018年は11月30日(一部地域では29日)に降誕祭が祝福されます。

満月から8日目に降誕したとされるカーラ・バイラヴァ神には、主となる8つの姿があります。それぞれはアシュタ・マートリカー(八母神)を妃として持ち、8つの方向を守ると信じられます。タントラの世界ではとりわけ熱心に礼拝される神格です。

カーラ・バイラヴァ神は、欲望にまみれ驕り高ぶった態度を見せたブラフマー神を罰するために、シヴァ神から生まれたと伝えられます。カーラ・バイラヴァ神の姿となったシヴァ神は、5つあったブラフマー神の頭を切り落とし、長きにわたる苦行を行いました。

「カーラ」は「時」、「バイラヴァ」はシヴァ神の化身した恐ろしい姿を意味します。シヴァ神のもっとも恐れられる姿にも関わらず、カーラ・バイラヴァ神への礼拝は限りのない保護と繁栄を授けると信じられます。それは、私たちの欲望という最も恐ろしい敵を倒すとともに、優れた精神力を授けてくれるからに違いありません。

そんなカーラ・バイラヴァ神は、犬を乗り物として描かれることがあります。インドでは古くから、犬は死の世界に関連があると捉えられてきました。そんな犬を乗り物とすることは、時を征服することの象徴でもあります。

過去や未来に囚われる時、私たちは恐怖や衰退を感じることが少なくありません。欲望は、もっとも大切な今という瞬間を見失わせることもあります。今を粗末にすることは、カーラ・バイラヴァ神に無礼を働くことに変わりなく、今を全力で生きることで、カーラ・バイラヴァ神へのもっとも偉大な礼拝が成し遂げられます。そうして生きることで、恐怖や衰退を見せる欲望という強敵は倒され、限りのない保護と繁栄が授けられるように思います。

(文章:ひるま)

ギーター・ジャヤンティ2018

2018年は、12月18日(日本時間では19日)にギーター・ジャヤンティを迎えます。バガヴァッド・ギーターの生誕日として祝福されるギーター・ジャヤンティは、クリシュナ神によってこの世界にバガヴァッド・ギーターがもたらされた日として祝福されます。毎年、11月~12月に生じる新月から11日目のエーカーダシーがその時です。

バガヴァッド・ギーターは、ヒンドゥー教における最も重要な聖典の一つであり、世界においても価値ある哲学的古典と見なされています。サンスクリットでギーターは「詩」、バガヴァッドは「神」を意味することから、バガヴァッド・ギーターは「神の詩」と訳されます。ウパニシャッドの概説として、ギートーパニシャッドと呼ばれることもあります。聖仙ヴィヤーサによって書かれたとされる叙事詩マハーバーラタの一部にあり、ヒンドゥー教の真髄として受け継がれてきました。偉大な実在について、宗教を超えた霊的教義が記されたバガヴァッド・ギーターは、至高のあらわれであるクリシュナ神によって説かれ、紀元前2世紀頃に成立したと伝えられます。

信仰を持った継続的な学びは、困難と向き合う方法を示し、私たちの魂を浄化すると共に、内なる平安を生み出します。原本はサンスクリットで記されながらも、バガヴァッド・ギーターは世界に広まり、マハートマー・ガーンディー、アルベルト・シュヴァイツァー、ヘルマン・ヘッセ、ラルフ・ワルド・エマーソン、オルダス・ハクスリー、ルドルフ・シュタイナー、ニコラ・テスラといった多くの著名人に読まれ、時を超えたその叡智に人々は感銘を受けてきました。神とは何か、その根本となる確かな知識に加え、究極の真実、生と死、行為と結果、永遠の魂、解脱、人生の目的、存在の意味といった、深い概念が記されています。

バガヴァッド・ギーターは、ヴェーダとウパニシャッドの精髄です。思想や宗教を超え、あらゆる人々が読むことのできる聖典であり、そこには、ヨーガ、バクティ、ヴェーダーンタ、カルマに関する崇高な知識と、実践的な教えが含まれています。 バガヴァッド・ギーターは、多くの偉大な思想家たちに影響を与えてきました。理解することが非常に困難であるとされた、一元論と二元論の概念を並立しながら、その合一を主張しています。一元論と二元論は、それぞれ異なる起源と目的を持つ古代インドのシャド・ダルシャナ(六派哲学)に属しますが、それらすべては、解脱を得るための実践的な教えとして認められ取り入れられてきました。
シャド・ダルシャナ(六派哲学)は、ニヤーヤとヴァイシェーシカ、ヨーガとサーンキヤ、ヴェーダーンタとミーマーンサーが、それぞれ対となり互いに補い合う関係です。バガヴァッド・ギーターには、異なるサーンキヤの概念と、ヴェーダーンタの概念の調和が見られます。

ギーターに触れ、その教えを吸収し、実践することで、現代においても、世俗の浮き沈みに惑わされることのない、確固たる人生観を築くことができるでしょう。

(SitaRama)

ヴァイクンタ・チャトゥルダシー2018

カールッティカ月(10月~11月)の月が満ちる14日目、インドではヴァイクンタ・チャトゥルダシーという吉日が祝福されます。2018年は11月21日となるこの日は、ヴィシュヌ神とシヴァ神に捧げられる日として、インドの各地で礼拝が執り行われます。

ヴァイクンタ・チャトゥルダシーは、シヴァ神が神聖な武器であるスダルシャナ・チャクラを、ヴィシュヌ神に授けた日と伝えられます。ヴィシュヌ神がシヴァ神を礼拝するために、1000の蓮の花を捧げていた時のことでした。1000個目の蓮の花がないことに気づいたヴィシュヌ神は、足りない蓮の花の代わりに、蓮のようだと称される自らの片目を捧げ、シヴァ神がその献身さに心を動かされたからだと伝えられます。

スダルシャナ・チャクラは、太陽の炎から生まれた、あらゆる悪を滅ぼす強力な円盤型の武器といわれます。その輪は、まるで輪廻の世界をあらわしているように見えます。このスダルシャナ・チャクラには、ある有名な神話があります。

父親のダクシャから結婚を反対され、焼身をはかったサティーを思い悲しみにくれていたシヴァ神は、サティーの身体を抱え破壊の踊りを踊りました。ヴィシュヌ神は、その破壊の踊りを止めようと、スダルシャナ・チャクラでサティーの身体をバラバラにします。シヴァ神は、サティーの身体がバラバラになった後、正気を取り戻したと伝えられます。

肉体や物質に対する執着や欲望は、誰しもが抱くものです。その執着や欲望という暗闇の中で、私たちは大きな苦難を経験し、輪廻を繰り返さなければなりません。スダルシャナ・チャクラは、私たちのそんな執着や欲望を断ち切り、輪廻からの解放をもたらす強力な武器となるものです。

常日頃、太陽の炎でできたこのスダルシャナ・チャクラを思うことで、私たちはその光を知ることができます。その過程であらゆる悪は滅ぼされ、魂の平安を得ることができるに違いありません。このヴァイクンタ・チャトゥルダシーが、皆様にとっても意味のある日となりますように、心よりお祈り申し上げます。

(文章:ひるま)

トゥラシー・ヴィヴァーハ 2018

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インドでは7月のグル・プールニマー(師を讃える満月祭)前より、聖なる4カ月間であるチャトゥル・マースが続いています。この間はヴィシュヌ神が眠りにつく時とされ、そして、霊性を高める神聖な時であると言われます。この4カ月間には、クリシュナ降誕祭、ガネーシャ降誕祭、ナヴァラートリ祭、ダシャラー祭、そして先日のディーワーリー祭と、神々を讃える神聖な時が続き、その象徴を見つめながら、自分自身と向き合う瞬間が多くあります。

そしてこのチャトゥル・マースの終わりが、2018年は11月19日のエーカーダシーにあたり、ヴィシュヌ神が目覚める時です。11月20日から23日の満月にかけては、ヴィシュヌ神と女神トゥラシーの結婚を祝福するトゥラシー・ヴィヴァーハの祝福が執り行われます。トゥラシー・ヴァヴァーハについてはさまざまな説がありますが、一説に以下のように伝えられています。

悪神ジャランダーラは、ヴィシュヌ神を心から崇拝する女神ヴリンダーと結婚をしました。ヴリンダーが純潔である限り不滅であるという力を得た悪神ジャランダーラは尊大となり、この世を恐怖に陥れます。
ヴィシュヌ神はこの世を救うため、悪神ジャランダーラになりすまし、ヴリンダーを誘惑します。ヴリンダーが純潔を失ったため、ジャランダーラは戦いによって命を落とし、ヴリンダーはひどく悲しみました。
ヴリンダーはヴィシュヌ神を咎め、ヴィシュヌ神の姿をシャーラグラーマ(アンモナイトの化石とも言われる神聖な黒石)と変え、自ら命を断ちます。しかし、ヴィシュヌ神はヴリンダーの魂を純潔の象徴である聖木トゥラシーとし、各家庭で崇拝される姿を彼女に与えます。そしてヴィシュヌ神はヴリンダーと結婚をする約束をしました。

トゥラシー・ヴィヴァーハは、ヴィシュヌ神とトゥラシーのこの神聖な関係を称えるものであり、ヴィシュヌ神そのものであるとされるシャーラグラーマと、トゥラシーへの礼拝が広く執り行われます。トゥラシーはラクシュミー女神の化身としても崇拝され、時にヴィシュヌ神、もしくはクリシュナ神の妻としても描かれる存在です。

聖木としてのトゥラシーはすっきりとして非常に芳しい香りを放ち、浄化の作用があるとして、インドの家庭の庭先には必ず植えられています。純潔を象徴するトゥラシーは、様々な儀式においても、その葉を捧げることが欠かせません。ヴィシュヌ派の人々にとって、トゥラシーの数珠もまた非常に重要な意味を持つものです。

また、ヴィシュヌ神が眠りにつくチャトゥル・マースの4ヶ月間においては、結婚の儀式は勧められず、インドではこの間、結婚式が執り行われることはありません。しかしこのトゥラシー・ヴィヴァーハを境に結婚シーズンが始まり、各地で盛大な結婚の祝祭が続く時となります。

日々の一瞬一瞬に深い意味が存在するインドの暦、その内にある神々の象徴にそって生きる日々は、全体世界との深い繋がりと共に、大きな平安を授けてくれるものです。皆さまの一日一日もまた、幸せに満ちた大切なものとなりますよう心よりお祈り申し上げております。

(文章:ひるま)

参照:http://en.wikipedia.org/wiki/Tulsi_Vivah

チャタ・プージャー2018

boat sailors at sunrise sunset in ganga river at allahabad indian asia

今年は11月7日に祝福されるディーワーリー祭。このディーワーリー祭の後、インドの一部地域や慣習において、太陽神への祈りであるチャタ・プージャーが4日間に渡って執り行われます。2018年は11月11日から14日に祝福されますが、主たるプージャーは11月13日です。この祝祭は、チャット・パルヴァ、ダーラー・チャタ、スーリヤ・シャシュティーなどとも呼ばれます。

太陽神に捧げられるこのチャタ・プージャーにおいて、人々は聖なる河において沐浴をして身を清め、断食や太陽神へのプージャーを熱心に執り行います。水すらも摂らない36時間の断食を行う慣習もあると伝えられます。この間に捧げられる太陽神への祈りと断食は、さまざまな病を回復し、健康をもたらすと伝えられます。

こうして食物からのエネルギー摂取を中断することは、私たちに、太陽からの純粋なエネルギーを、直接心身に取り込む機会を与えると信じられています。古い時代、多くの聖仙たちが食物を摂らず、太陽からのエネルギーを受けることで生存していたといわれ、それは、このチャタ・プージャーによるものであったとも伝えられます。

さまざまなエネルギーを受ける私たちの心と体にとって、生命を育む太陽からのエネルギーの影響は計り知れないものです。日照時間が短くなり、太陽の温かさを欲するこれからの季節、このチャタ・プージャーを行うことで、そのエネルギーをより高く享受できるのかもしれません。

チャタ・プージャーにはさまざまな神話が伝えられますが、一説には、ラーマ神が魔王ラーヴァナを倒し、シーター女神と共に王国アヨーディヤへと凱旋した後、王国で断食と共に太陽神への祈り行っていたことに由来があると伝えられます。

人々は、古くから自然の恵みである太陽への祈りを行ってきました。現代でも、不食と太陽がもたらすさまざまな恩恵が、多く話題にされています。自然の恵みに感謝をすると共に、古代から受け継がれてきたこうした行いを、今見つめ直してみるのも良いかもれしません。

(文章:ひるま)

参照:http://www.chhath.org/

ゴーヴァルダナ・プージャー2018

the lifting of govardhan

およそ5日間にわたって祝福される盛大なディーワーリー祭は、広大なインドの地で、さまざまな祝福が執り行われます。中でもとりわけ有名なのが、ディーワーリー祭の4日目に祝福される、ゴーヴァルダナ・プージャーです。2018年は11月8日に祝福されます。家庭では、神聖な牛の糞でゴーヴァルダナ山に見たてた山やクリシュナ神の像を作り、花や色粉で彩った後にプージャーを行い、祈りを捧げます。

ゴーヴァルダナ・プージャーには、バーガヴァタ・プラーナに記されたクリシュナ神とインドラ神にまつわる神話があります。大昔、人々は熱心にインドラ神を礼拝し、豪華な食事を捧げていました。雷雨の神であるインドラ神への礼拝は、雨を降らせ大地を肥沃にし、人々に豊かな食物を授けると信じられていたからです。

そんな人々にクリシュナ神は、「インドラ神を礼拝するのではなく、身近にある、食物をもたらす大地や、雲を生み出すゴーヴァルダナ山そのものを礼拝する方が良い。」と伝えます。そしてクリシュナ神の導きの下、人々はインドラ神の代わりに、大地やゴーヴァルダナ山を礼拝し始めました。

インドラ神はひどく怒り、7日間に渡って大雨を降らせ、大洪水を引き起こします。するとクリシュナ神は、小指でゴーヴァルダナ山を持ち上げ傘とし、人々や大地を大雨から守ったと伝えられます。その日が、ディーワーリー祭の4日目にあたると信じられています。

大地や山といった、大自然のありのままの姿を礼拝することは、ヒンドゥー教の礎として大切に伝えられてきた行いであり、今でも人々の中心にあるものです。ゴーヴァルダナ・プージャーは、「食事の山」を意味する「アンナクータ」とも呼ばれ、一部の地域や慣習では、何十種類もの豪華な食事が準備され、大自然の恵みを礼拝するといわれます。

クリシュナ神という万物の源を支えに行うこうした礼拝は、大自然を守り、調和の内に平和な社会を生み出す基本に他ありません。それはまた、大きな世界との共存を教えてくれるものであり、自分自身の周囲に幸せをもたらすものでもあります。この時改めて、自分自身の周囲を見つめ、私たちが得るこうした恵みに感謝をする時間を過ごすのもよいかもしれません。

(文章:ひるま)

参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Govardhan_Puja

富の祝祭−ダンテーラス2018

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2018年は11月5日に、ディーワーリー祭の始まりとして祝福される「ダンテーラス(ダントラヨーダシー)」を迎えます。「ダン」は富を、「テーラス」は13日目を意味し、満月から数えて13日目に行われる富の祝祭です。新しいものや、金や銀といった価値あるものを購入したり、また新しい事業を始めるにも吉兆な日として知られ、マーケットは大賑わいとなり、富と幸運の女神であるラクシュミー女神もまた盛大に礼拝されます。「富」を祝福するこのダンテーラスには、富だけではないとても深い意味が秘められています。

そこにはこんな言い伝えがあります。ある若王は、結婚から4日目に蛇にかまれて死ぬという運命をホロスコープに持っていました。若王が結婚した後、妻となった女性は、その4日目にありとあらゆる宝石や装飾品で家を飾り付け、美しい歌を歌い始めます。蛇となって現れた死の神ヤマは、輝く装飾に目がくらみ若王の下に近づけず、また若妻の歌う美しい歌に酔いしれました。結局死の神ヤマは、若王に死を与えることなく、その場を去って行ったと伝えられます。

この日がダンテーラスにあたり、若王の妻が行ったように家々を煌びやかに飾りつけることで、悪いものが追い払われると信じられています。実際に多くの家庭では、この日からディーワーリー祭に向けさまざまな飾りつけを行い、光を灯し始めます。

またこの言い伝えは、ホロスコープに書かれた運命すらも、私たちは正しい行いによって変えることができるということを物語っています。若妻の夫を思う心が生み出した美しい行いは、夫の運命を、また若妻自身の運命を変えました。このように、一瞬一瞬の出会いや行いを、大きな気づきと共に正しい思いで全うすることで、その先には明るい未来が待ち受けていることを私たちに伝えています。

一部の慣習では、アーユルヴェーダの神であるダンヴァンタリ神もまた、このダンテーラスの日に誕生したとして盛大な祝福が行われます。この日から、ディーワーリー祭が始まります。このダンテーラスに始まる美しい祝祭を、光と共に迎えられますよう、この日家々を美しく飾ってみるもの良いかもしれません。

(文章:ひるま)

参照:”Dhanteras”, https://en.wikipedia.org/wiki/Dhanteras