ゴーヴァルダナ山の恵み

インドの各地が眩い光に包まれるディーワーリーの祝祭は、数日間に渡ってさまざまな祝福が続きます。
そんなディーワーリーにおいては、ゴーヴァルダナ・プージャーと呼ばれる、クリシュナ神を讃える祝祭があります。
2019年は10月26日となり、およそ5日間に渡るディーワーリーの4日目に祝福されます。

ゴーヴァルダナ・プージャーには、バーガヴァタ・プラーナに記された、クリシュナ神とインドラ神にまつわる神話があります。
人々が雷雨の神であるインドラ神ではなく、身近にある食物をもたらす大地や、雲を生み出すゴーヴァルダナ山を礼拝し始めた時、インドラ神はひどく怒り、7日間に渡って大雨を降らせました。
すると、クリシュナ神は小指で持ち上げたゴーヴァルダナ山を傘とし、人々や大地を大雨から守ったと伝えられます。
その日が、ディーワーリーの4日目にあたると信じられます。

ゴーヴァルダナ・プージャーは、「食事の山」を意味する「アンナクータ」とも呼ばれ、56種類もの食事をクリシュナ神に捧げて礼拝をする慣わしがあります。
クリシュナ神は、ヴァスデーヴァとデーヴァキーの8番目の子どもであり、満月から新月に向かう8日目(アシュタミー)に生まれたと信じられます。
そんなクリシュナ神は、幼少の頃、1日に8食の食事をとっていたと伝えられます。

インドラ神が7日間に渡って雨を降らせた時、クリシュナ神は7日間に渡ってゴーヴァルダナ山を持ち上げ続けました。
その間、クリシュナ神が食事をとることはなかったといわれます。
1日に8食をとるクリシュナ神であったために、人々は7日間分の食事(8食×7日間=56食)となる56種類の食事を捧げて、クリシュナ神を礼拝するのだと伝えられます。

私たちの平和な暮らしの中には、大自然の恵みという大きな力が働いています。
私たちは、常にその恵みに気づいていなくてはなりせん。
そうしてひとりひとりが大自然を敬いながら生きる時、世界には大きな平安が広がるはずです。

生きるために欠かすことのできない身近にある食事を通じて、万物の源としてのクリシュナ神を礼拝する時、私たちは大切なことに気づくことができるに違いありません。
そうした行いは、大自然を守り、平和な社会を生み出す何よりもの機会になるはずです。
この時に改めて、自分自身の周囲を見つめ、世界を育む大自然の恵みに感謝を捧げたいと感じます。

(文章:ひるま)

ナラカ・チャトゥルダシー2019

人々が待ちに待ったディーワーリーの祝祭が近づいてきました。
広大な地に異なる慣習が生きるインドでは、このディーワーリー祭の前後に各地でさまざまな祝祭が行われます。
そんな中で、ディーワーリー祭の前日には、ナラカ・チャトゥルダシーという悪を追い払う祝祭が祝福されます。
2019年は10月26日です。

このナラカ・チャトゥルダシーは、大破壊をもたらした悪魔ナラカースラ(地獄のアスラの意味)を、クリシュナ神の妻のひとりであるサティヤバーマーが倒した日として崇められます。
一部の慣習では、カーリー女神がナラカースラを倒した日として、カーリー女神への盛大な礼拝が行われることもあります。

ナラカースラの生まれにはさまざまな説がありますが、一説には、大地の女神であるブーミと、ヴィシュヌ神の化身であるヴァラーハ神との間に生まれたと信じられます。
神の子として生まれたにも関わらず、ナラカースラは後にバーナースラと呼ばれる悪魔と関わりを持ち、その悪に染まるようになります。

やがて、世界を征服する力を手に入れようと、ナラカースラは苦行を始めました。
そして、母親であるブーミ女神以外には殺されないという恩恵を手に入れます。
子どもを殺す母親はいないと、永遠の命を手にできると思ったのかもしれません。
そんなナラカースラは、16000人もの女性を誘拐し監禁するなど、世界を恐怖に陥れました。

しかし、ナラカースラはブーミ女神の化身と信じられるサティヤバーマーに倒されます。
そして、クリシュナ神が倒されたナラカースラから16000人の女性を解放すると、一人一人を妻として受け入れたといわれます。

秋から冬へと日が短くなる、暗い新月の夜に祝福されるディーワーリー祭は、闇に光を灯すことで祝福される祝祭です。
私たちは生きる日々において、いつ悪の手に沈むか分かりません。
神の子でありながら悪魔になったナラカースラのように、欲望に支配され、一歩間違えば、光から一転して闇を経験することもあります。

ディーワーリー祭は、善が悪に打ち勝つことを象徴する祝祭です。
このナラカ・チャトゥルダシーの日は、チョーティー・ディーワーリー(小さなディーワーリー)とも呼ばれ、人々は小さな光を灯し始め、本格的なディーワーリーの準備を始めます。

この機会を通じて神々に近づき、意識的に光を灯す行いを実践して見るのも良いかもしれません。
そうした行いは、私たちを闇や悪から遠ざけ、光と善をもたらしてくれるはずです。

(文章:ひるま)

富の祝祭−ダンテーラス2019

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2019年は10月25日に、ディーワーリーの始まりとして祝福される「ダンテーラス(ダントラヨーダシー)」を迎えます。

「ダン」は富を、「テーラス」は13日目を意味し、満月から数えて13日目に行われる富の祝祭です。新しいものや、金や銀といった価値あるものを購入したり、また新しい事業を始めるにも吉兆な日として知られ、マーケットは大賑わいとなり、富と財宝の神として崇められるクベーラ神や、幸運や繁栄の女神として崇められるラクシュミー女神もまた盛大に礼拝されます。「富」を祝福するこのダンテーラスには、富だけではないとても深い意味が秘められています。

そこにはこんな言い伝えがあります。ある若王は、結婚から4日目に蛇にかまれて死ぬという運命をホロスコープに持っていました。若王が結婚した後、妻となった女性は、その4日目にありとあらゆる宝石や装飾品で家を飾り付け、美しい歌を歌い始めます。蛇となって現れた死の神ヤマは、輝く装飾に目がくらみ若王の下に近づけず、また若妻の歌う美しい歌に酔いしれました。結局死の神ヤマは、若王に死を与えることなく、その場を去って行ったと伝えられます。

この日がダンテーラスにあたり、若王の妻が行ったように家々を煌びやかに飾りつけることで、悪いものが追い払われると信じられています。実際に多くの家庭では、この日からディーワーリーに向けさまざまな飾りつけを行い、光を灯し始めます。

またこの言い伝えは、ホロスコープに書かれた運命すらも、私たちは正しい行いによって変えることができるということを物語っています。若妻の夫を思う心が生み出した美しい行いは、夫の運命を、また若妻自身の運命を変えました。このように、一瞬一瞬の出会いや行いを、大きな気づきと共に正しい思いで全うすることで、その先には明るい未来が待ち受けていることを私たちに伝えています。

一部の慣習では、アーユルヴェーダの神であるダンヴァンタリ神もまた、このダンテーラスの日に誕生したとして盛大な祝福が行われます。この日から、ディーワーリー祭が始まります。このダンテーラスに始まる美しい祝祭を、光と共に迎えられますよう、この日家々を美しく飾ってみるもの良いかもしれません。

(文章:ひるま)

参照:”Dhanteras”, https://en.wikipedia.org/wiki/Dhanteras

アホーイー・アシュタミー2019

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2019年10月21日、主に北インドでは、アホーイー・アシュタミーを迎えます。このアホーイー・アシュタミーは、夫の幸福を願う女性たちの断食日であるカルヴァー・チャウトから4日目、また次に訪れるディーワーリー祭の8日前にあたるとされています。

この日は主に、母親たちが子どもたちの幸せを願い断食や祈りを行います。アホーイー女神(ホーイー女神)に捧げられる日として崇められます。

一説には、7人の息子を失ったある母親にまつわる神話があります。深い森に子どもたちと住んでいた母親は、ディーワーリー祭が近づき、家を飾り付けようと土を集めに出かけました。野生動物のすみかの近くで穴を掘っていた時、誤って幼獣を殺してしまします。母親は心を痛めましたが、どうすることもできず、土を家へと持ち帰りました。

数年後、7人の息子が母親のもとから消えてしまします。村人たちは、野生の動物に連れ去られてしまったに違いないと口にしました。母親は、自らが幼獣を殺めてしまった罪に気づき、村人たちに告白します。すると、このアホーイー・アシュタミーの断食や祈りを勧められました。母親はこの日に幼獣の絵を描き、断食と祈りを努めます。その涙は母親の罪を清め、無事に息子たちが母親のもとへと戻ってきたと伝えられています。

それ以来、多くの母親たちが、子どもたちの幸せを願い、この日に断食や祈りを行うといわれます。

インドではディーワーリー祭が近づいています。皆様もどうぞ喜びに満ちた時をお過ごしください。

参照:Ahoi Ashtami 2019 date – Importance of Ahoi Ashtami Vrat Puja

カルヴァー・チャウト2019

2019年10月17日、インドではカルヴァー・チャウトの祝福が盛大に執り行われます。

カルヴァー・チャウトは主に北インドで行われる、既婚の女性たちによる断食です。より良い結婚生活と夫の健康を願って行われるものであり、早朝に身体を清めた後、女性たちは陽が昇る前にフルーツなどの食事をとり、その後日没まで完全な断食を行います。陽が沈み、月の光が現れた頃、プージャーを行い花と水を月に捧げます。

その際は、ふるいを通して出てきた月を見ます。その後、ふるいを通して夫の顔を見て、カルヴァー(ポット)に入った聖水を飲み、断食を終えます。ふるいを通して月と夫の顔を見ることは、あまりにも崇高な存在を直接見ないようにするため、または、ふるいを通じて悪いものを払い良いものだけを見るため、などと伝えられています。

このカルヴァー・チャウトの断食は、シヴァ神とパールヴァティー女神に捧げられるものと言われます。シヴァ神のために厳しい苦行を行ったパールヴァティー女神のように、女性たちはこの厳しい行いを通じて、夫の幸せと、円満な結婚生活を祈ると伝えられています。

女性たちは結婚時を象徴する赤色などのサリーを身にまとい、メヘンディ(へナ)やバングルで美しく着飾ります。家族間ではプレゼントが交換され、プージャーが執り行われます。女性たちが集まり、カルヴァー・チャウト・カター(カルヴァー・チャウトの神話の読誦)が行われる慣習もあります。

この慣習は、お嫁に行った女性達が結婚を通じ得るさまざまな問題を女性達の間で共有し助け合うことから始まったと伝えられています。また一説には、北インドを支配するムガル帝国と戦うため、戦地へと赴く夫の健康と幸福を女性達が祈っていたことに始まりがあるとも伝えられています。

参照:http://en.wikipedia.org/wiki/Karva_Chauth

コージャーガラ・プールニマー2019

秋の澄んだ夜空に浮かぶ満月の輝きは、心を奪われるほど美しいものです。インドには、そんな月夜を喜ぶ、甘美な祝祭があります。ナヴァラートリー祭を終えた後に迎える、コージャーガラ・プールニマー(シャラダ・プールニマー)と呼ばれる満月です。2019年は10月13日となるこの満月(日本時間の満月は14日)は、インドの各地でさまざまな祝祭が執り行われます

一説に、この満月の月明かりは、不老不死の霊薬であるアムリタのような恩恵を私たちの心身に授けるといわれます。この夜、人々はキールと呼ばれるミルク粥を作り、月明かりの下に捧げます。この月明かりを浴びたものはアムリタになると信じられ、人々は心地よい月明かりの下で、アムリタとなったミルク粥を食します。

この夜にミルク粥を食する理由には、生命の科学に基づいた教えがあります。インドでは、長く続いていた酷暑期と雨期が終わり、夏から秋に向かう季節です。日中はまだとても暑く、夜は少しずつ冷え始めます。この時、私たちの身体では熱の性質をもつピッタが乱れ、心身にさまざまな不調があらわれ始めます。夜にミルクと米を食することは、このピッタを落ち着かせるための最善の方法として勧められてきました。

月夜の下に置かれたミルク粥は夜風に冷まされ、私たちの心身に入るとピッタを落ち着かせます。健康と幸福を授けるミルク粥、それはまさに、霊薬であるアムリタに他ありません。

収穫祭にあたる地域も多いこの満月は、豊穣の女神であるラクシュミーを夜通し礼拝する時でもあります。この夜、ラクシュミー女神は目を覚ましている者を見つけると、その者に喜びを授けるのだといわれます。美しい自然の情景、特に、満月を眺めることはピッタを落ち着かせると信じられてきました。ラクシュミー女神は、私たちに健康と幸福を授けるために、この夜にあらわれるのかもしれません。

神々の力のあらわれである大自然に調和をしながら、身体と心と向き合い、幸せに生きる術がインドには溢れています。次の満月、皆様もどうぞ、月明かりを浴びながら至福の時をお過ごしください。

(文章:ひるま)

マハートマー・ガーンディー生誕祭

広大でさまざまな思想や宗教が入り混じるインドでは、それぞれの暦に応じて多くの祝日があります。そんなインドにおいて、国全体が祝日となる国民の休日は、年に3日しかありません。そのうちの1日が、10月2日に迎えるマハートマー・ガーンディーの生誕祭です。

バガヴァッド・ギーターを指針とし、非暴力と不服従を基にインドの独立を率いたガーンディーは、偉大な魂として現代でも多くの人々から崇められています。

「見たいと思う世界の変化に、あなた自身がなりなさい。」
―マハートマー・ガーンディー

“Be the change that you wish to see in the world.”
― Mahatma Gandhi

世界に平和があるように心よりお祈り申し上げます。

光の祭典−ディーワーリー(ディーパーヴァリー)

2019年10月27日は、ヒンドゥー教の三大祭のひとつであるディーワーリーの祝日です。このお祭りは、別名ディーパーヴァリーともよばれ、サンスクリット語では「光の列、夜のイルミネーション」を意味します。
この祭典期間中は、ろうそくや煌びやかな照明がインド全国の街中で灯され、その美しさはおおくの人々を魅了します。

このお祭りは、以下のように解説されています[1]。

「ディーパーヴァリーは「光の祭典」として知られ、正義が悪に打ち勝った象徴である。ランプには、その勝利の祝福と人類の希望の記として、灯が点される。ディーワーリーまたはディーパーヴァリー(陶器製のランプの列)を祝う理由は、ラーマが宮殿から追放され14年間を森で暮らす間に、シーターを奪った羅刹王ラーヴァナを殺し、凱旋したラーマを祝福するためである。ラーヴァナを殺した日は、ダシャラー(ディーワーリーの19〜21日前日)として祝われる。祭典は、光とランプに焦点がおかれ、地域によっては、花火が打ち上げられるところもある。

ディーパーヴァリーは、ヒンドゥー暦のアーシュヴィン月に6日間連続で祝われる。おおよそ10月あるいは11月に行われるが、インドでは、もっとも人気があり、待ち望まれている祭典のひとつである。ヒンドゥー教徒、ジャイナ教徒、シーク教徒は、この祭典を、人生の祝福、そして家族と社会の絆を深めるために祝う。ジャイナ教徒にとっては、もっとも重要な祭典であり、ジャイナ教暦では新年にあたる。またシーク教徒にとっても、信仰上重要な祭典である。

・ヒンドゥー教における意義
祭典は、悪に対する正義の勝利を象徴する。サンスクリット語のディーパーヴァリーは、光が暗闇に勝利したことをあらわす光の列を意味する。サンスクリット語の知識が廃れるにしたがい、特に北インドでは、名称が一般にディーワーリーと変化した。

ディーワーリーの日は、多くの人は新しい服を身につけ、お菓子を分け合い、爆竹を鳴らす。北インドの経済界では、事業年度はディーワーリーの日に開始され、新しい商業帳簿はこの日から付けられる。

ヒンドゥーでは、この祭典を祝う理由を、次のようにいくつか挙げている。

・スカンダ・プラーナによると、女神シャクティは、シヴァ神の半身を手に入れるために、シュクラ・パクシャのアシュタミー(月が満ちる時)から21日間の苦行を行った。この誓願(ヴラタ)は、ケーダラ・ヴラタとして知られる。ディーパーヴァリーは、この苦行が完了した日である。この日、シヴァ神は左半身にシャクティを受け入れ、アルダナーリーシュヴァラとして顕現した。熱心な帰依者は、空間を意味するカラシャと呼ばれる容器に21本の紐を入れ、35日間21種類の供養を行う。最終日はケーダラ・ガウリー・ヴラタとして祝われる。

・ディーワーリーは、アヨーディヤの王ラーマが羅刹王ラーヴァナを殺し、シーターと弟のラクシュマナとともに、アヨーディヤへと凱旋した祝いでもある。道に沿ってオイルランプに灯りを点すことで、暗闇にある人々の道を照らすと信じられている。北インドでは、祭典はヴィクラム暦の最終日に行われる。次の日は北インドの新年にあたり、アンナクットと呼ばれる。

・クリシュナの妻のひとりであるサティヤバーマーによって、大破壊をもたらした悪鬼ナラカースラ(地獄のアスラの意味)が倒された祝日。クリシュナのアヴァターの時代であるドゥヴァーパラ・ユガにもたらされた。別の解釈では、悪鬼はクリシュナ自身に倒されたともいわれる。南インドでは、シャリヴァハナ暦にしたがうため、ディーワーリーの新年は一致しない。
(以下略)」

地方によっては、女神ラクシュミーをお祀りするところなどもあるようです。この日はインドの習慣にならって、ランプに灯を点し正義の復興を願ったり、日頃お世話になっている人々に贈り物をしてみるのもよいかもしれませんね。

出典
[1] Wikipedia “Diwali”, http://en.wikipedia.org/wiki/Diwali

ダシャラー祭(ヴィジャヤ・ダシャミー)

2019年は9月29日から10月7日まで、秋のナヴァラートリー祭が祝福されます。そのナヴァラートリー祭を終えると、10月8日には、盛大なダシャラー祭(ヴィジャヤ・ダシャミー)が祝福されます。

ダシャラー祭は、秋のナヴァラートリー祭を終えた後に祝福され、ドゥルガー女神が悪神マヒシャースラを倒した日として崇められます。また、ラーマ神が魔王ラーヴァナに打ち勝った日として、悪に対する善の勝利を象徴するとても吉兆な日でもあります。街のあちこちでは魔王ラーヴァナをかたどった人形が燃やされるなど、盛大な祝福が執り行われます。

ダシャラー祭に深く関わりがある魔王ラーヴァナは、10の頭を持ち、自らの頭を切り落としながらブラフマー神への苦行を行ったことで有名です。この10の頭に象徴されるものは、色欲、怒り、執着、強欲、慢心、嫉妬、自己中心、偽り、酷薄、自尊心といった、私たちの心を支配する悪質な感情や思考の数々と言われます。一方で、それは4つのヴェーダと6つのシャーストラを象徴し、ラーヴァナが知識に卓越した存在であることを象徴していると言われることがあります。そんなラーヴァナが唯一成し得なかったこと、それは感覚の制御でした。

ラーヴァナの10の頭は、5つの知覚器官と、5つの行為器官であるとも伝えられ、それは、目・耳・鼻・舌・皮膚(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の5つの知覚器官、そして、口・手・足・生殖器官・排泄器官・(発声・操作・移動・生殖・排泄)の5つの行為器官にあたります。ラーヴァナは大きな王国を築くも、こうした常に変化を続ける肉体の知覚や行為を制御することができず、決して幸せに留まることはなかったと伝えられます。

一方で、ラーマ神は、この地において邪悪な力を破壊するために誕生したと言われています。信じがたいほどの超越的な資質に恵まれ、不屈でいて勇敢であり、無比の主として崇敬されています。ラーマ神の人生は、信心深い従順さ、比類のないの純真さ、汚れのない純潔さ、称賛に値する充足、自己犠牲、自我の放棄、そのものであったと言われます。ラーマ神への礼拝を行うことにより、心は守られ、崇高な真実を理解するための備えとなる信念を与えられると信じられています。

肉体をまとう私たちの内には、ラーヴァナの質も、ラーマの質も存在しています。悪質に苛まれる時、人は死の時まで、無数の不安と焦燥に苦しまねばなりません。それが、自分自身の内の無知から生じるものだからです。これらの悪質を滅し、至福に至るための唯一の方法が、自分自身の内にある神性に究極的に気づくということであると古くから示されてきました。ダシャラー祭は、9日間のナヴァラートリー祭を通じて清められた自分自身の神性を讃える日でもあります。

皆様にとって実りある時となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

ヴィシュヴァカルマン・プージャー2019

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2019年9月17日はヴィシュヴァカルマン・プージャーの吉日です。

ヴィシュヴァカルマン・プージャーは、北インドや東インドにて行われる祝祭です。

ヴィシュヴァカルマンは、インド神話においてあらゆるものを設計した神として知られています。現在でも、物造りや技術の神様として、工場などにおいて広く祀られ崇められています。

ヴィシュヴァカルマン・プージャーはヴィシュヴァカルマンの生誕日だとする説もありますが、あらゆるものを設計し、創造したとされるヴィシュヴァカルマンは全ての起源であるとされることから、生誕日が存在することはつじつまが合わないとする信仰もあります。

それでもこの日は特に、物造りに関わる人々にとってはとりわけ吉兆な時であり、ヴィシュヴァカルマンへのプージャーが熱心に執り行われます。

※ヴィシュヴァカルマン・プージャーは、ガネーシャ降誕祭の最終日であったり、カニャー・サンクラーンティ(太陽が乙女座に変遷する時)であったり、地域や慣習によって異なります。

参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Vishvakarman