カーラ・バイラヴァ・ジャヤンティ2020

シヴァ神のさまざまな姿の一つに、カーラ・バイラヴァ神という姿があります。カーラ・バイラヴァ神は、カールッティカ月(10月~11月)の満月から8日目(アシュタミー)に降誕したと信じられ、2020年は12月8日に降誕祭が祝福されます。

満月から8日目に降誕したとされるカーラ・バイラヴァ神には、主となる8つの姿があります。それぞれはアシュタ・マートリカー(八母神)を妃として持ち、8つの方向を守ると信じられます。タントラの世界ではとりわけ熱心に礼拝される神格です。

カーラ・バイラヴァ神は、欲望にまみれ驕り高ぶった態度を見せたブラフマー神を罰するために、シヴァ神から生まれたと伝えられます。カーラ・バイラヴァ神の姿となったシヴァ神は、5つあったブラフマー神の頭を切り落とし、長きにわたる苦行を行いました。

「カーラ」は「時」、「バイラヴァ」はシヴァ神の化身した恐ろしい姿を意味します。シヴァ神のもっとも恐れられる姿にも関わらず、カーラ・バイラヴァ神への礼拝は限りのない保護と繁栄を授けると信じられます。それは、私たちの欲望という最も恐ろしい敵を倒すとともに、優れた精神力を授けてくれるからに違いありません。

そんなカーラ・バイラヴァ神は、犬を乗り物として描かれることがあります。インドでは古くから、犬は死の世界に関連があると捉えられてきました。そんな犬を乗り物とすることは、時を征服することの象徴でもあります。

過去や未来に囚われる時、私たちは恐怖や衰退を感じることが少なくありません。欲望は、もっとも大切な今という瞬間を見失わせることもあります。今を粗末にすることは、カーラ・バイラヴァ神に無礼を働くことに変わりなく、今を全力で生きることで、カーラ・バイラヴァ神へのもっとも偉大な礼拝が成し遂げられます。そうして生きることで、恐怖や衰退を見せる欲望という強敵は倒され、限りのない保護と繁栄が授けられるように思います。

(文章:ひるま)

ギーター・ジャヤンティ2020

2020年は、12月25日にギーター・ジャヤンティを迎えます。バガヴァッド・ギーターの生誕日として祝福されるギーター・ジャヤンティは、クリシュナ神によってこの世界にバガヴァッド・ギーターがもたらされた日として祝福されます。毎年、11月~12月に生じる新月から11日目のエーカーダシーがその時です。

バガヴァッド・ギーターは、ヒンドゥー教における最も重要な聖典の一つであり、世界においても価値ある哲学的古典と見なされています。サンスクリットでギーターは「詩」、バガヴァッドは「神」を意味することから、バガヴァッド・ギーターは「神の詩」と訳されます。ウパニシャッドの概説として、ギートーパニシャッドと呼ばれることもあります。聖仙ヴィヤーサによって書かれたとされる叙事詩マハーバーラタの一部にあり、ヒンドゥー教の真髄として受け継がれてきました。偉大な実在について、宗教を超えた霊的教義が記されたバガヴァッド・ギーターは、至高のあらわれであるクリシュナ神によって説かれ、紀元前2世紀頃に成立したと伝えられます。

信仰を持った継続的な学びは、困難と向き合う方法を示し、私たちの魂を浄化すると共に、内なる平安を生み出します。原本はサンスクリットで記されながらも、バガヴァッド・ギーターは世界に広まり、マハートマー・ガーンディー、アルベルト・シュヴァイツァー、ヘルマン・ヘッセ、ラルフ・ワルド・エマーソン、オルダス・ハクスリー、ルドルフ・シュタイナー、ニコラ・テスラといった多くの著名人に読まれ、時を超えたその叡智に人々は感銘を受けてきました。神とは何か、その根本となる確かな知識に加え、究極の真実、生と死、行為と結果、永遠の魂、解脱、人生の目的、存在の意味といった、深い概念が記されています。

バガヴァッド・ギーターは、ヴェーダとウパニシャッドの精髄です。思想や宗教を超え、あらゆる人々が読むことのできる聖典であり、そこには、ヨーガ、バクティ、ヴェーダーンタ、カルマに関する崇高な知識と、実践的な教えが含まれています。 バガヴァッド・ギーターは、多くの偉大な思想家たちに影響を与えてきました。理解することが非常に困難であるとされた、一元論と二元論の概念を並立しながら、その合一を主張しています。一元論と二元論は、それぞれ異なる起源と目的を持つ古代インドのシャド・ダルシャナ(六派哲学)に属しますが、それらすべては、解脱を得るための実践的な教えとして認められ取り入れられてきました。
シャド・ダルシャナ(六派哲学)は、ニヤーヤとヴァイシェーシカ、ヨーガとサーンキヤ、ヴェーダーンタとミーマーンサーが、それぞれ対となり互いに補い合う関係です。バガヴァッド・ギーターには、異なるサーンキヤの概念と、ヴェーダーンタの概念の調和が見られます。

ギーターに触れ、その教えを吸収し、実践することで、現代においても、世俗の浮き沈みに惑わされることのない、確固たる人生観を築くことができるでしょう。

(SitaRama)

アクシャヤ・ナヴァミー2020

2020年11月23日は、アクシャヤ・ナヴァミーの吉日です。

アクシャヤ・ナヴァミーは、カールッティカ月(10月~11月)のシュクラ・パクシャ(月が満ちる約2週間)のナヴァミー(9日目)に祝福されます。
一説に、このアクシャヤ・ナヴァミーにおいて、サティヤ・ユガ(黄金の時代)が始まったと伝えられます。
それ故、この日は「サティヤ・ウガーディ」としても知られます。
ウガーディの語源は、「ユガ+アーディ=新しい時代の始まり」にあるとされます。

このアクシャヤ・ナヴァミーに真摯な祈りを捧げることで、あらゆる願望が成就し、モークシャを達成することができると信じられています。
また、アクシャヤ・ナヴァミーはあらゆる寄付や施しを行う吉祥な日とされます。
アクシャヤに「不朽の、不滅の」という意味があるように、この日に行う慈善行為は廃れることがなく、今生または来世に渡って、恩寵をもたらすと信じられます。

アクシャヤ・ナヴァミーにおいては、人々は早朝に起床し、日の出の前に沐浴を行います。
身を清めた後にプージャーを行い、1日を通して断食を努めます。
また、キールタンやバジャンなどの神々を讃える讃歌を捧げながら1日を過ごします。

アクシャヤ・ナヴァミーには、神々の住居とされるアムラの木にプージャーを行う慣習もあります。
この日はアムラ・ナヴァミーとも呼ばれ、健康を祈願し、人々はアムラの木を礼拝してその実を食すことがあります。

参照:2020 Akshaya Navami

トゥラシー・ヴィヴァーハ 2020

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インドでは7月のグル・プールニマー(師を讃える満月祭)前より、聖なる4カ月間であるチャトゥル・マースが続いています。
この間はヴィシュヌ神が眠りにつく時とされ、そして、霊性を高める神聖な時であると言われます。
この4カ月間には、クリシュナ降誕祭、ガネーシャ降誕祭、ナヴァラートリー祭、ダシャラー祭、そしてディーワーリー祭と、神々を讃える神聖な時が続き、その象徴を見つめながら、自分自身と向き合う瞬間が多くあります。

そしてこのチャトゥル・マースの終わりが、2020年は11月26日のエーカーダシーにあたり、ヴィシュヌ神が目覚める時です。
11月26日から30日の満月にかけては、ヴィシュヌ神とトゥラシー女神の結婚を祝福するトゥラシー・ヴィヴァーハの祝福が執り行われます。
トゥラシー・ヴァヴァーハについてはさまざまな説がありますが、一説に以下のように伝えられています。

悪神ジャランダーラは、ヴィシュヌ神を心から崇拝する女神ヴリンダーと結婚をしました。
ヴリンダーが純潔である限り不滅であるという力を得た悪神ジャランダーラは尊大となり、この世を恐怖に陥れます。
ヴィシュヌ神はこの世を救うため、悪神ジャランダーラになりすまし、ヴリンダーを誘惑します。
ヴリンダーが純潔を失ったため、ジャランダーラは戦いによって命を落とし、ヴリンダーはひどく悲しみました。
ヴリンダーはヴィシュヌ神を咎め、ヴィシュヌ神の姿をシャーラグラーマ(アンモナイトの化石とも言われる神聖な黒石)と変え、自ら命を断ちます。
しかし、ヴィシュヌ神はヴリンダーの魂を純潔の象徴である聖木トゥラシーとし、各家庭で崇拝される姿を彼女に与えます。
そしてヴィシュヌ神はヴリンダーと結婚をする約束をしました。

トゥラシー・ヴィヴァーハは、ヴィシュヌ神とトゥラシーのこの神聖な関係を称えるものであり、ヴィシュヌ神そのものであるとされるシャーラグラーマと、トゥラシーへの礼拝が広く執り行われます。
トゥラシーはラクシュミー女神の化身としても崇拝され、時にヴィシュヌ神、もしくはクリシュナ神の妻としても描かれる存在です。

聖木としてのトゥラシーはすっきりとして非常に芳しい香りを放ち、浄化の作用があるとして、インドの家庭の庭先には必ず植えられています。
純潔を象徴するトゥラシーは、様々な儀式においても、その葉を捧げることが欠かせません。
ヴィシュヌ派の人々にとって、トゥラシーの数珠もまた非常に重要な意味を持つものです。

また、ヴィシュヌ神が眠りにつくチャトゥル・マースの4ヶ月間においては、結婚の儀式は勧められず、インドではこの間、結婚式が執り行われることはありません。
しかしこのトゥラシー・ヴィヴァーハを境に結婚シーズンが始まり、各地で盛大な結婚の祝祭が続く時となります。

日々の一瞬一瞬に深い意味が存在するインドの暦、その内にある神々の象徴にそって生きる日々は、全体世界との深い繋がりと共に、大きな平安を授けてくれるものです。
皆さまの一日一日もまた、幸せに満ちた大切なものとなりますよう心よりお祈り申し上げております。

(文章:ひるま)

参照:Tulsi Vivah

ゴーパー・アシュタミー2020

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2020年11月22日はゴーパー・アシュタミーの吉日です。クリシュナ神が牛飼いとなった日として、聖なる牛が崇められる時です。ゴーパー・アシュタミーは、ディーワーリーの後に祝福されるゴーヴァルダナ・プージャーに関連があるとされています。

ゴーヴァルダナ・プージャーは以下のように伝えられます。

インドラ神は非常に尊大であったため、クリシュナ神は人々に、インドラ神ではなく動物や自然(牛や山)を礼拝することを勧めます。インドラ神はひどく怒り、大雨を降らせました。その大雨による洪水から人々を守るため、クリシュナ神はゴーヴァルダナ山を持ち上げ傘にし、人々を救います。この日は、ゴーヴァルダナ・プージャーと呼ばれる盛大な祝福が行われる時となり、2020年は11月15日にあたります。

それからおよそ7日後、インドラ神はクリシュナ神にひれ伏します。その日がゴーパー・アシュタミーであると信じられています。

インドでは牛は聖なるものとして崇められ、ミルクは料理や飲み物だけでなく、プージャーなどの儀式にも欠かせません。尿や糞は、薬や燃料、家々の塗料としても用いられます。多くの幸せを運ぶ聖牛からの恵みは、日々に必要不可欠なものであり、ゴーパー・アシュタミーでは牛たちがきれいに着飾られ、プージャーや祈りが捧げられます。

参照:2020 Gopashtami

チャタ・プージャー2020

boat sailors at sunrise sunset in ganga river at allahabad indian asia

今年は11月14日に祝福されるディーワーリー祭。このディーワーリー祭の後、インドの一部地域や慣習において、太陽神への祈りであるチャタ・プージャーが4日間に渡って執り行われます。2020年は11月18日から11月21日に祝福されますが、主たるプージャーは11月20日です。この祝祭は、チャット・パルヴァ、ダーラー・チャタ、スーリヤ・シャシュティーなどとも呼ばれます。

太陽神に捧げられるこのチャタ・プージャーにおいて、人々は聖なる河において沐浴をして身を清め、断食や太陽神へのプージャーを熱心に執り行います。水すらも摂らない36時間の断食を行う慣習もあると伝えられます。この間に捧げられる太陽神への祈りと断食は、さまざまな病を回復し、健康をもたらすと伝えられます。

こうして食物からのエネルギー摂取を中断することは、私たちに、太陽からの純粋なエネルギーを、直接心身に取り込む機会を与えると信じられています。古い時代、多くの聖仙たちが食物を摂らず、太陽からのエネルギーを受けることで生存していたといわれ、それは、このチャタ・プージャーによるものであったとも伝えられます。

さまざまなエネルギーを受ける私たちの心と体にとって、生命を育む太陽からのエネルギーの影響は計り知れないものです。日照時間が短くなり、太陽の温かさを欲するこれからの季節、このチャタ・プージャーを行うことで、そのエネルギーをより高く享受できるのかもしれません。

チャタ・プージャーにはさまざまな神話が伝えられますが、一説には、ラーマ神が魔王ラーヴァナを倒し、シーター女神と共に王国アヨーディヤへと凱旋した後、王国で断食と共に太陽神への祈り行っていたことに由来があると伝えられます。

人々は、古くから自然の恵みである太陽への祈りを行ってきました。現代でも、不食と太陽がもたらすさまざまな恩恵が、多く話題にされています。自然の恵みに感謝をすると共に、古代から受け継がれてきたこうした行いを、今見つめ直してみるのも良いかもれしません。

(文章:ひるま)

参照:Chhath Puja

ゴーヴァルダナ・プージャー2020

インドの各地が眩い光に包まれるディーワーリーの祝祭は、数日間に渡ってさまざまな祝福が続きます。
そんなディーワーリーにおいては、ゴーヴァルダナ・プージャーと呼ばれる、クリシュナ神を讃える祝祭があります。
2020年は11月15日となり、およそ5日間に渡るディーワーリーの4日目に祝福されます。

ゴーヴァルダナ・プージャーには、バーガヴァタ・プラーナに記された、クリシュナ神とインドラ神にまつわる神話があります。
人々が雷雨の神であるインドラ神ではなく、身近にある食物をもたらす大地や、雲を生み出すゴーヴァルダナ山を礼拝し始めた時、インドラ神はひどく怒り、7日間に渡って大雨を降らせました。
すると、クリシュナ神は小指で持ち上げたゴーヴァルダナ山を傘とし、人々や大地を大雨から守ったと伝えられます。
その日が、ディーワーリーの4日目にあたると信じられます。

ゴーヴァルダナ・プージャーは、「食事の山」を意味する「アンナクータ」とも呼ばれ、56種類もの食事をクリシュナ神に捧げて礼拝をする慣わしがあります。
クリシュナ神は、ヴァスデーヴァとデーヴァキーの8番目の子どもであり、満月から新月に向かう8日目(アシュタミー)に生まれたと信じられます。
そんなクリシュナ神は、幼少の頃、1日に8食の食事をとっていたと伝えられます。

インドラ神が7日間に渡って雨を降らせた時、クリシュナ神は7日間に渡ってゴーヴァルダナ山を持ち上げ続けました。
その間、クリシュナ神が食事をとることはなかったといわれます。
1日に8食をとるクリシュナ神であったために、人々は7日間分の食事(8食×7日間=56食)となる56種類の食事を捧げて、クリシュナ神を礼拝するのだと伝えられます。

私たちの平和な暮らしの中には、大自然の恵みという大きな力が働いています。
私たちは、常にその恵みに気づいていなくてはなりせん。
そうしてひとりひとりが大自然を敬いながら生きる時、世界には大きな平安が広がるはずです。

生きるために欠かすことのできない身近にある食事を通じて、万物の源としてのクリシュナ神を礼拝する時、私たちは大切なことに気づくことができるに違いありません。
そうした行いは、大自然を守り、平和な社会を生み出す何よりもの機会になるはずです。
この時に改めて、自分自身の周囲を見つめ、世界を育む大自然の恵みに感謝を捧げたいと感じます。

(文章:ひるま)

2020年ディーワーリーのプージャー時間

いよいよディーワーリーが近づいてきました。新月の暗い夜に祝福されるディーワーリーは、2020年は11月14日です。11月13日のダンテーラスからおよそ5日間にわたって、さまざまな祝祭が続きます。

新月は先祖供養が行われることも多く、ディーワーリーの当日は先祖たちへの祈りを捧げた後、断食をする人々が多くいます。そして、夕刻のラクシュミー・プージャーを終えた後に断食を終え、花火をしたり、クラッカーを鳴らしたり、家族で食事をしたり、盛大な祝福が行われます。

ラクシュミー・プージャーは新月の日の日没後の夕刻となりますが、プージャーに適したムフールタをご紹介いたします。インドでも地域や慣習によって異なるため、ご参考までにご覧ください。この時間は、ラクシュミー女神がやってくるといわれます。

【インド(ニューデリー)】
アマーヴァシャー(晦)の時間:2020年11月14日14時17分~11月15日10時36分
プージャーに適した時間:2020年11月14日17時28分~11月14日19時24分

【日本(東京)】
アマーヴァシャー(晦)の時間:2020年11月14日17時47分~11月15日14時06分
プージャーに適した時間:2020年11月14日17時47分~11月14日18時26分

※場所によって時刻には若干差異が出ます。
Lakshmi Puja, Diwali Puja Timings
※時間は実際にプージャーを執り行う場所に準じます。日本にいらっしゃる方は日本時間をご参照ください。

ディーワーリー祭では、家々や身の回りをきれいにし、灯りを灯してラクシュミー女神を迎え入れます。皆様もどうぞ良いディーワーリーをお迎えください。

ナラカ・チャトゥルダシー2020

人々が待ちに待ったディーワーリーの祝祭が近づいてきました。
広大な地に異なる慣習が生きるインドでは、このディーワーリー祭の前後に各地でさまざまな祝祭が行われます。
そんな中で、ディーワーリー祭の前日には、ナラカ・チャトゥルダシーという悪を追い払う祝祭が祝福されます。
2020年は11月14日です(2020年は暦の関係上、ディーワーリーとナラカ・チャトゥルダシーが同日に重なります)。

このナラカ・チャトゥルダシーは、大破壊をもたらした悪魔ナラカースラ(地獄のアスラの意味)を、クリシュナ神の妻のひとりであるサティヤバーマーが倒した日として崇められます。
一部の慣習では、カーリー女神がナラカースラを倒した日として、カーリー女神への盛大な礼拝が行われることもあります。

ナラカースラの生まれにはさまざまな説がありますが、一説には、大地の女神であるブーミと、ヴィシュヌ神の化身であるヴァラーハ神との間に生まれたと信じられます。
神の子として生まれたにも関わらず、ナラカースラは後にバーナースラと呼ばれる悪魔と関わりを持ち、その悪に染まるようになります。

やがて、世界を征服する力を手に入れようと、ナラカースラは苦行を始めました。
そして、母親であるブーミ女神以外には殺されないという恩恵を手に入れます。
子どもを殺す母親はいないと、永遠の命を手にできると思ったのかもしれません。
そんなナラカースラは、16000人もの女性を誘拐し監禁するなど、世界を恐怖に陥れました。

しかし、ナラカースラはブーミ女神の化身と信じられるサティヤバーマーに倒されます。
そして、クリシュナ神が倒されたナラカースラから16000人の女性を解放すると、一人一人を妻として受け入れたといわれます。

秋から冬へと日が短くなる、暗い新月の夜に祝福されるディーワーリー祭は、闇に光を灯すことで祝福される祝祭です。
私たちは生きる日々において、いつ悪の手に沈むか分かりません。
神の子でありながら悪魔になったナラカースラのように、欲望に支配され、一歩間違えば、光から一転して闇を経験することもあります。

ディーワーリー祭は、善が悪に打ち勝つことを象徴する祝祭です。
このナラカ・チャトゥルダシーの日は、チョーティー・ディーワーリー(小さなディーワーリー)とも呼ばれ、人々は小さな光を灯し始め、本格的なディーワーリーの準備を始めます。

この機会を通じて神々に近づき、意識的に光を灯す行いを実践して見るのも良いかもしれません。
そうした行いは、私たちを闇や悪から遠ざけ、光と善をもたらしてくれるはずです。

(文章:ひるま)

富の祝祭−ダンテーラス2020

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2020年は11月13日に、ディーワーリーの始まりとして祝福される「ダンテーラス(ダントラヨーダシー)」を迎えます。

「ダン」は富を、「テーラス」は13日目を意味し、満月から数えて13日目に行われる富の祝祭です。新しいものや、金や銀といった価値あるものを購入したり、また新しい事業を始めるにも吉兆な日として知られ、マーケットは大賑わいとなり、富と財宝の神として崇められるクベーラ神や、幸運や繁栄の女神として崇められるラクシュミー女神もまた盛大に礼拝されます。「富」を祝福するこのダンテーラスには、富だけではないとても深い意味が秘められています。

そこにはこんな言い伝えがあります。ある若王は、結婚から4日目に蛇にかまれて死ぬという運命をホロスコープに持っていました。若王が結婚した後、妻となった女性は、その4日目にありとあらゆる宝石や装飾品で家を飾り付け、美しい歌を歌い始めます。蛇となって現れた死の神ヤマは、輝く装飾に目がくらみ若王の下に近づけず、また若妻の歌う美しい歌に酔いしれました。結局死の神ヤマは、若王に死を与えることなく、その場を去って行ったと伝えられます。

この日がダンテーラスにあたり、若王の妻が行ったように家々を煌びやかに飾りつけることで、悪いものが追い払われると信じられています。実際に多くの家庭では、この日からディーワーリーに向けさまざまな飾りつけを行い、光を灯し始めます。

またこの言い伝えは、ホロスコープに書かれた運命すらも、私たちは正しい行いによって変えることができるということを物語っています。若妻の夫を思う心が生み出した美しい行いは、夫の運命を、また若妻自身の運命を変えました。このように、一瞬一瞬の出会いや行いを、大きな気づきと共に正しい思いで全うすることで、その先には明るい未来が待ち受けていることを私たちに伝えています。

一部の慣習では、アーユルヴェーダの神であるダンヴァンタリ神もまた、このダンテーラスの日に誕生したとして盛大な祝福が行われます。この日から、ディーワーリー祭が始まります。このダンテーラスに始まる美しい祝祭を、光と共に迎えられますよう、この日家々を美しく飾ってみるもの良いかもしれません。

(文章:ひるま)

参照:”Dhanteras”, https://en.wikipedia.org/wiki/Dhanteras