マハーラクシュミー・ヴラタ2019

マハーラクシュミー・ヴラタは、主に北インドで行われる、ラクシュミー女神に捧げられる16日間の祈りや断食です。2019年は9月6日に始まり、9月21日まで続きます。

このヴラタでは、バードラパダ月(8~9月)シュクラ・パクシャ(月が満ちる約2週間)のアシュタミー(8日目)から、クリシュナ・パクシャ(月が欠ける約2週間)のアシュタミー(8日目)までの16日間、毎日のラクシュミー女神へのプージャーや、断食、もしくは菜食になるなどの食の節制を行います。

一説には、ユディシュティラ(パーンドゥの五王子の長兄で、パーンダヴァ軍の総帥)がクリシュナ神に、失った全てのものを取り戻すにはどうしたらいいか尋ねると、クリシュナ神はこのマハーラクシュミー・ヴラタを行うように説いたと言われています。このマハーラクシュミー・ヴラタを努め上げた者には、必要なものが全て授けられるとも信じられます。

敬虔な人々はこの16日間、食の制限を行い、真摯に祈りを捧げます。この間の祈りはとりわけ強くラクシュミー女神の下へ届き、多くの恵みが授けられると信じられています。

ダヒー・ハーンディー2019

今年は8月24日(もしくは23日)に、いよいよクリシュナ降誕祭を迎えます。
世界中で盛大な祝福が行われるこのクリシュナ降誕祭の中には、ダヒー・ハーンディーと呼ばれる熱狂的なお祝いがあります。
このお祝いは、クリシュナ降誕祭の次の日に行われ、今年は8月25日(もしくは24日)に祝福されます。

ダヒーはヨーグルト、ハーンディーは土壺を意味します。
このお祝いでは、人々が団結をしながら人間ピラミッドを作り、高いところに吊り下げられた土壺をココナッツなどで割ります。
そして、中にはいったダヒーを浴びると、クリシュナ神の大きな祝福があると伝えられています。

いたずら好きなクリシュナ神は、幼少の頃、大好物のバターやヨーグルトを盗んでは食べていました。
高いところに隠されたバターの入った壺を、友人たちと肩車をしながら盗む絵も描かれるほどです。

ダヒー・ハーンディーは、この一場面を真似た祝祭です。
現在ではピラミッドの高さが競われ、インドの数ある祝祭の中でも、とりわけ大きな熱狂に包まれるお祝いとして有名です。
このダヒー・ハーンディーにも、霊性を育むさまざまな教えが秘められています。

例えば、土壺は、私たちの肉体と見ることができます。
そして、その中に入ったダヒーは、肉体をまとった魂のように見えます。
私たちが大いなる至福を得るには、魂の永遠性を理解することが必要であると古代より説かれてきました。
そのためには、肉体は朽ち滅び、いずれ壊れるという事実を理解しなければなりません。
このダヒー・ハーンディーは、肉体から魂を解放する喜びの意味を私たちに伝えているかのようです。

しかし、それは決して簡単ではないことが分かります。
高いところに吊り下げられた土壺を割るには、目標に対する人々の固く定まった心が必要です。
一人の心でも乱れれば、ピラミッドはいとも簡単に崩れ落ち、土壺に届きません。
まるで、神の祝福は手の届かないところにあるもののように見えます。

しかし、クリシュナ神はどんなところに隠されたバターでも見つけ出し、その喜びを手にしてきました。
目標に対し、確かに定まった心があれば、どんな困難をも乗り越え、それを手にすることができるということをクリシュナ神は伝えています。
そうして人生を歩む時、私たちは肉体を超越した永遠の魂という、何よりもの祝福を得ることができるに違いありません。

(文章:ひるま)

ガネーシャ降誕祭

2019年9月2日は、ガネーシャ・チャトゥルティー(ガネーシャ降誕祭)です。熱心な信奉者は、およそ10日間に渡って毎日ガネーシャ神に祈りを捧げる盛大な祭典です。

ここに、ガネーシャ・チャトゥルティーについて、スワミ・シヴァーナンダのお話をご紹介します[1]。

『至高神であり、シヴァ神の活力であり、祝福の源泉であり、美徳そしてあらゆる試みの成功を授けるブラフマー自身であるガネーシャに礼拝します。

ムシカヴァーハナ・モーダカ・ハスタ
チャーマラ・カルナ・ヴィランビタ・スートラ
ヴァーマナ・ルーパ・マヘーシュワラ・プトラ
ヴィグナ・ヴィナーヤカ・パーダ・ナマステー

意味:
「ヴィナーヤカ神よ!障害を取り除かれる、小柄なシヴァ神の息子。
ねずみを乗り物とし、甘いお菓子を手に持ち、大きな耳と長い鼻を持ったお方。
あなたの蓮華の御足にひれ伏します!」

ガネーシャ・チャトゥルティーは、インドのお祭りの中でももっとも人気のあるお祭りのひとつです。この日は、ガネーシャの誕生日にあたります。これは、ガネーシャにとって、もっとも神聖な日となります。インドの太陰太陽暦では、バードラパダ月(8月〜9月)の新月から4日目にあたります。このお祭りは、インド国内はもちろんのこと、ガネーシャを信奉する世界中の人々によって祝福されます。

このお祭りでは、土のガネーシャ像が作られて、2日間から地域によっては10日間お祈りが捧げられた後、川に流されます。

ガネーシャ神は、象の頭をした神様です。そして、お祈りの最初にまず崇められます。神聖な仕事がされる前、さまざまな祈祷が行われる前には、ガネーシャの御名が最初に唱えられます。

ガネーシャは、力と英知の神様です。ガネーシャは、シヴァ神の長男であり、軍神スカンダ(カールッティケーヤ)の兄にあたります。ガネーシャは、シヴァ神の源泉であるため、シャンカラとウマー・デーヴィーの息子ともいわれます。母親にとって、ガネーシャ神を礼拝することは、子供たちにガネーシャのような美徳を身につけてほしいとの願いが込められます。

次の物語は、象の頭をどのようにしてもつようになったかという、ガネーシャの誕生にまつわるお話です。

昔、ガウリー女神(シヴァ神の妃)が沐浴をしている時、彼女の身体から出た垢から、真っ白なガネーシャを作り、家の玄関に置きました。彼女は、自分が沐浴をしている間は、決して誰も中に入れてはならないと、ガネーシャに言い聞かせました。すると、そこへシヴァ自身が、急いで家に帰ってきましたが、玄関でガネーシャに止められてました。シヴァは怒り、ガネーシャを門外漢だと思い込んで、彼の首を切り落としてしまいました。

それを知ったガウリーは、悲哀に暮れました。彼女の悲しみを慰めるために、シヴァ神は家来たちに、北を向いて寝ている生き物を探し出し、その生き物の首をここへ持ってくるよう命令しました。家来たちはさっそく行動に移し、象だけがその方向へ向いて寝ているのを見つけました。こうして象が生贄となり、象の首がシヴァに届けられました。すると、シヴァ神は、象の首をガネーシャの身体につなぎ合わせました。

シヴァは、仕事、結婚、旅行、学問、その他すべての行為の始めに、ガネーシャを礼拝の対象にするようにしました。そして、毎年、バードラパダ月(8月〜9月)の新月から4日目に、ガネーシャの礼拝を行うことを定めました。

ガネーシャの恩寵と援助がなければ、どのような試みも達成することができません。私たちのすべての行為は、ガネーシャの援助、恩寵、祝福によって支えられています。

マハーラーシュトラの子供たちは、アルファベットの最初のレッスンは、「オーム・シュリー・ガネーシャーヤ・ナマハ」という、ガネーシャ神のマントラ(真言)から始まります。そうしてはじめて、アルファベットが教えられるのです。

次の名前は、ガネーシャ神に共通の名前です。
ドゥームラケートゥ、サンムカ、エーカダンタ、ガジャカルナーカ、ランボーダラ、ヴィグナラージャ、ガナーディヤクシャ、パラチャンドラ、ガジャーナナ、ヴィナーヤカ、ヴァックラトゥンダ、シッディヴィナーヤカ、スールパカルナ、ヘーランバ、スカンダプールヴァジャ、カピラー、ヴィグネーシュヴァラ等。そして、ガネーシャ神は、マハー・ガナパティとしても知られています。

ガネーシャ神のマントラ(真言)は、「オーム・ガン・ガナパタイェー・ナマハ」です。ガネーシャを守護神として信奉する霊性修行者は、このマントラか、または「オーム・シュリー・ガネーシャーヤ・ナマハ」のマントラ(真言)を繰り返し唱えるとよいでしょう。

ガネーシャの信奉者は、次のガネーシャ・ガーヤトリー・マントラのジャパを行うこともできます。これは、次のようになります。

タットゥ・プルシャーヤ・ヴィッドゥマヘー
ヴァックラトゥンダーヤ・ディーマヒー
タンノ・ダンティ・プラチョーダヤートゥ

ガネーシャ神は、英知と至福の化身です。ガネーシャ神は、ブラフマチャリヤ(自己実現を探求する独身者)たちの神様であり、禁欲主義者にとってもっとも重要な神様です。

ガネーシャ神は、小さなネズミを乗り物としています。ガネーシャ神は、クンダリニー・シャクティが宿り、身体の霊的中枢であるムーラーダーラ・チャクラに安住する神様です。

ガネーシャ神は、霊性修行者が歩む道のすべての障害を取り除き、霊的な成功はもちろん、世俗的な成功を授ける神様です。そのため、ガネーシャ神は、ヴィグナ・ヴィナーヤカと呼ばれます。ガネーシャ神のビージャ・アクシャラ(種子)は、「ガン(Gung)」です。これは英語の「sung(singの過去分詞形)」と同韻を踏む発音になります。彼は、調和と平安の神様です。

ガネーシャ神は、ヒンドゥー教徒の間で主要なマントラである「オーム」すなわちプラナヴァ(原初音)を示します。これを唱えることなしには、何事も行うことができません。これは、あらゆる儀式や計画の前に、ガネーシャ神を召喚するための習慣です。ガネーシャ神の2本の足は、知識と行為の力を示します。象の頭は、自然の造詣の中で、オームを象徴している唯一のものとして、重要な意味を持ちます。

ガネーシャ神がネズミを乗り物とする意義は、エゴを完全に克服することです。アンクシャ(槍のような武器)を手に持つ姿は、ガネーシャ神が世界の支配者であることを示し、これは、神々の王族の紋章でもあります。

ガネーシャ神は第一番目の神様です。自然の中でもっとも小さい生き物のひとつであるネズミに乗り、すべての動物の中でもっとも大きい象の頭をもつことは、ガネーシャ神がすべての動物の創造者であることを意味します。象はとても賢い動物です。これは、ガネーシャ神が英知の象徴であることを示します。またネズミは、進化して象になり、最終的に人間になるように、進化の過程を意味します。ガネーシャ神が、人間の身体や象の頭を持ち、ネズミを乗り物とすることには、このような理由があります。これが、ガネーシャ神の姿の哲学的象徴です。

ガネーシャ神は、元素のグループ、感覚のグループなどのガナ(群)の神様です。ガネーシャ神は、シヴァ神の従者の長であり、シヴァ神の最高の家来になります。

ガネーシャ神は、ヴァイシュナヴァ派の信奉者たちにも礼拝されます。彼らはガネーシャ神を、象の鼻をもつ神様という意味のトゥンビッカイ・アルワールと呼びます。

ガネーシャ神の持つ2つの力は、クンダリニーとヴァッラバすなわち愛の力です。

ガネーシャ神は、甘いプディング菓子(甘い中実が詰まった米粉の饅頭)が大好物です。誕生日には、ガネーシャ神は甘いお菓子の供物を受け取りに、家から家へと渡り歩きます。たくさんのお菓子を食べ、夜も更けたとき、ガネーシャはネズミに乗って出発します。しかし突然、蛇が襲いかかってきたのを見たネズミがつまずいてしまい、ガネーシャはネズミから落ちてしまいました。その衝撃で、ガネーシャのお腹は破裂し、詰め込んだ甘いお菓子が全部外に飛び出てしまいました。しかし、ガネーシャはそのお菓子をお腹に再び詰め込むと、蛇を捕まえ、彼のお腹に縛り付けました。

この一部始終を見ていた夜空の月は、腹の底から大笑いしました。ガネーシャは、月の失礼な態度に腹を立て、彼の牙の一本を月に向かって投げつけました。そして、ガネーシャ・チャトゥルティーの期間は、誰も月を見てはいけないと呪いをかけたのです。もし誰かが月を見るようなことがあれば、悪名や批判、不運は避けられないだろうと……。しかし、この期間に間違って月を見てしまった場合は、スヤマンタカ宝に関するクリシュナの逸話を聞いたり、読んだりすることが、呪いを解く唯一の方法だといわれています。この逸話は、シュリーマド・バーガヴァタムに引用されています。ガネーシャ神はこの取り決めを喜びました。帰依者たち優しく、慈愛に満ちたガネーシャ神に栄光あれ!

ガネーシャと彼の兄弟であるスブラマニヤは、かつてどちらが年長者であるかで競ったことがあります。事態は、シヴァ神の最終的な判断に委ねられました。シヴァは、宇宙を一周して、先にこの出発点に戻ってきた者を、年長者とすると決めました。スブラマニヤは、彼の乗り物であるクジャクに乗って、すぐに宇宙を周り始めました。しかし、賢いガネーシャは、尊敬の念を持って、彼の両親の周りを一周すると、勝利を求めました。

シヴァ神は問いかけます。
「賢い最愛のガネーシャよ。お前は宇宙を一周していないのに、どうして勝利を要求するのか?」
ガネーシャは答えました。
「私は両親の周りを一周しました。両親は全宇宙を象徴しています!」

こうして兄弟論争はガネーシャの勝利で幕を閉じ、その後、2人の中でガネーシャが長男として知られるようになりました。母のパールヴァティーは、賞品として、ガネーシャにフルーツを与えたといいます。

ガナパティ・ウパニシャッドでは、ガネーシャは至高神と同一と見なされます。ガネーシャにまつわる伝説は、ブラフマヴァイヴァルタ・プラーナのガナパティ章に記されています。

ガネーシャ・チャトゥルティーの日は、早朝のブラフマムフルタの神聖な時間帯に、ガネーシャ神にまつわる神話を瞑想しなさい。それから、沐浴をした後、寺院に行き、ココナッツや甘いお菓子とともに、ガネーシャ神に祈りを捧げなさい。愛と信仰をもって祈りを捧げることで、ガネーシャは霊的な進化の過程で経験するすべての障害を取り除いてくれるでしょう。家でもお祈りを捧げることです。パンディット(僧侶)の援助を得てもよいでしょう。ガネーシャ神の絵や写真、神像を家に飾り、ガネーシャがそこにいるように感じなさい。

この期間に月を見てはいけないということは、忘れてはいけません。ガネーシャ神に失礼な行為になります。この行為の真意は、この日から神を冒とくしたり、あなたの霊的な師や宗教を蔑む信仰のない仲間たちを避けなさいという意味があります。

心新たに霊的な決意をし、あらゆる試みで成功するための精神的な強さをガネーシャ神に祈りなさい。

ガネーシャの恩寵が、すべての人々に降り注ぎますように。
ガネーシャが、あなた方の霊的道程に立ちふさがるすべての障害を取り除きますように。
そして、あなた方に精神的成就のみならず、物質的な豊かさがもたらされますように。

スワミ・シヴァーナンダ』

ガネーシャ・チャトゥルティーでは、期間中にお世話になったガネーシャ神像を最終日に川に流します。そのため通常は土でできたガネーシャ神像を特別に買い求め、その期間中はその土のガネーシャ神像を礼拝することが行われています。

ガネーシャ・チャトゥルティーを本格的にお祝いしたい方は、日本では土製のガネーシャ神像を入手することは難しいと思いますが、次のビデオなどを参考にして、粘度でガネーシャ神を造ってみるのも面白いかもしれませんね。

このようにして造られたガネーシャは、きっと愛着のわく素敵なガネーシャになるでしょう。もちろん、すでにお持ちのガネーシャ像にお祈りを捧げてもよいと思います。
どうぞガネーシャとともに、楽しいガネーシャ・チャトゥルティーをお過ごしください。

参照
[1]Sri Swami Sivananda, Ganesh Chaturthi, http://www.dlshq.org/religions/ganesh.htm
[2]SitaRamaブログ, ガネーシャ・チャトゥルティー, http://blog.sitarama.jp/?eid=297450

ヴァラ・ラクシュミー・ヴラタ2019

ashta lakshmi

2019年8月9日はヴァラ・ラクシュミー・ヴラタの吉日です。

ヴァラ・ラクシュミー・ヴラタは、富や幸運の女神であるラクシュミー女神へ捧げられるお祈りです。神聖なシュラヴァナ月、満月を迎える前の女神の日である金曜日に、主に南インドで行われる祝祭です。

ヴァラ・ラクシュミー・ヴラタには、ある言い伝えがあります。

子どもを愛し、そして尽くす信心深い女性の夢にラクシュミー女神が現れ、喜びを伝えます。朝目を覚ました女性は、ラクシュミー女神の恩恵を確かめるために、身を清め祈り始めました。これを見た他の女性たちも同じようにラクシュミー女神への礼拝を始め、広まっていったとされています。

この日に礼拝されるのは、富(シュリー)、地(ブー)、学び(サラスヴァティー)、愛(プリーティ)、名声(キールティ)、平和(シャーンティ)、喜び(トゥシュティ)、強さ(プシュティ)をあらわす8体のラクシュミー女神(アシュタ・ラクシュミー)です。

目には見えないこの8つの力は、8つのラクシュミー女神として姿をあらわし崇められています。その8つの姿すべてに祈りを捧げてはじめて、ラクシュミー女神を完全に礼拝したともいわれます。

アシュタ・ラクシュミーとして姿をあらわすラクシュミー女神の姿は以下のように知られます。ラクシュミー女神は、広く富や豊かさの女神として知られています。私たちが所有するもの、例えば土地や財産、家畜や穀物など、また形ではなくとも、純粋さや忍耐と言った美徳も、私たちの富であり、栄光であります。

*アーディ・ラクシュミー(マハー・ラクシュミー)
*ダナ・ラクシュミー
*ダーニャ・ラクシュミー
*ガジャ・ラクシュミー
*サナータナ・ラクシュミー
*ヴィーラ・ラクシュミー
*ヴィジャヤ・ラクシュミー
*ヴィディヤー・ラクシュミー(アイシュワリヤ・ラクシュミー)

ヴァラ・ラクシュミー・ヴラタにおいてアシュタ・ラクシュミーを思う人々には、この8つの力としてのラクシュミー女神の祝福が授けられると信じられます。

参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Varalakshmi_Vratam

クリシュナ降誕祭

2019年8月24日はクリシュナ神の降誕祭です。

クリシュナ降誕祭には、クリシュナ・ジャヤンティ、クリシュナ・ジャンマーシュタミー、ゴークラーシュタミー、クリシュナーシュタミーなどさまざまな名称があります。

クリシュナ降誕祭は、地域や教派によって行われる日程が異なります。
これは、伝統的なインド占星術によると、クリシュナ神の誕生日が、シュラヴァナ月の2回目の満月から新月に向かう8日目(アシュタミー)で、月の星座(ラーシ)がヴリシャバ(牡牛座)、ナクシャトラがローヒニーであることに由来します。

クリシュナ降誕祭は、上記すべての条件が揃う必要がありますが、多くのヒンドゥー教派の暦では、すべてが一致することがほとんどありません。

教派によっては、満月から新月に向かう8日目(アシュタミー)を重視するところもあれば、ナクシャトラがローヒニーであることを重要視する教派もあります。そのため、ヒンドゥー教派ごとに、独自の基準を設けて、クリシュナ神の降誕祭を祝うため、地域や教派によって、日程に違いが生じるようです[1]。(2019年は、8月23日に祝福が行われる地域もあります。)

ところで、クリシュナ降誕祭の日に、もっとも重要とされるマントラは、「オーム ナモー バガヴァテー ヴァースデーヴァーヤ」といわれます[2]。この日は、バジャンやキールタン、また瞑想や断食を行い、クリシュナを念想しながら神聖な1日を過ごします。
またこの日にできるもっとも簡単で偉大なクリシュナ神への礼拝は、バガヴァッド・ギーターを読むことであるといわれます。
バガヴァッド・ギーターを読むことは、クリシュナの偉大な教えを私たちに思い起こし、クリシュナを讃える最高の礼拝方法であるとされています。

また以下のような簡潔なクリシュナ・プージャーを行う事もできます[3]。

1.身体を洗い清め、静かで清浄な場所を用意します。
2.クリシュナ神とガネーシャ神の像や絵画を設置します。
3.ランプと花・果物・お菓子をお皿に用意します。
4.ガネーシャ神に祈りを捧げます。
5.心を落ち着かせるために、数分間瞑想します。
6.ランプに火を灯します。
7.クリシュナ神への瞑想または祈りを捧げます。
8.花を捧げ、お香を焚きます。トゥラシーの葉があればベストです。また花を捧げるときに、ベルを鳴らしても良いでしょう。
9.「オーム・ナモー・バガヴァテー・ヴァースデーヴァーヤ」あるいは「オーム・ナモー・ヴァースデーヴァーヤ・ナマハ」のマントラを唱えます。
10.このとき、用意した果物やお菓子、食物を捧げます。その後、聖水をふり撒いても良いでしょう。
11.この後、数分間瞑想するか、バガヴァッド・ギーターを読んだりして、神聖な時を過ごします。

プージャーの後は、果物やお菓子は、プラサード(神のお下がり)として、皆でいただくことができます。

クリシュナは、ギーターの中で、行為のすべてを彼に捧げ、彼を信愛することの大切さを説いています。魅力溢れる彼の人生を学び、クリシュナへの想いで、この神聖な1日を過ごすことができれば、クリシュナはきっとその想いに応えてくれるに違いありません。
皆さまにクリシュナ神の祝福がありますように。

[1]”Why is Sri Krishna Jayanti celebrated on two different days?”, http://www.hindu-blog.com/2007/08/why-is-sri-krishna-jayanti-celebrated.html
[2]”Significance of Sri Krishna Jayanti”, http://www.hindu-blog.com/2007/09/significance-of-sri-krishna-jayanti.html
[3]”How to do a Simple Shri Krishna Puja?”, http://www.hindu-blog.com/2008/08/how-to-do-simple-shri-krishna-puja.html

カルキ・ジャヤンティ2019

kalki

2019年8月5日はカルキ・ジャヤンティ(降誕祭)です(日本時間では6日)。

カルキはヴィシュヌ神の10番目の化身と信じられ、「永遠」や「時間」を象徴します。その名には、「不潔」や「汚物」という意味があり、悪や暗闇、無知を破壊する者として崇められます。

カルキはカリ・ユガの最後に現れ、世界の悪をすべて滅ぼし、新たな世界を築くと信じられています。シュラヴァナ月(7~8月)の新月から6日目に誕生すると信じられており、2019年は8月5日(日本時間では6日)にあたります。

カルキ・プラーナには、シャンバラという村に生まれることも記されています。白い馬に乗り、剣をもって描かれます。雷や大雨、厳しい日照りなどが関連付けられることも多く、古代の人々が大自然の破壊と不要な要素の破壊を示唆していたとも伝えられています。

参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Kalki

ラクシャ・バンダン2019

2019年8月15日は、ラクシャ・バンダンの祝日です。ラクシャ・バンダンについての簡単な解説を、以下Raksha-Bandhan.comよりご紹介させていただきます。

ラキ:愛の紐
ラキは、兄弟・姉妹の愛情で彩られた神聖な紐のお守りです。ラクシャ・バンダン(守護を結ぶの意味)として知られるこの日は、ヒンドゥー暦におけるシュラヴァナ月の満月の日に祝われます。一筋の紐に過ぎないラキは、 愛と信頼の固い絆の中でもっとも美しい関係を結ぶとき、鉄の鎖より強いとみなされます。 また、誰もが助け合い、仲良くするべきという概念を広めるために、ラキの祝日は社会的な意義があります。

伝統と習慣
ラクシャ・バンダンの祝日は、兄弟・姉妹間で分かち合う愛情に捧げられます。 この日、姉妹たちは、兄弟の長寿と祝福を神に祈ります。 姉妹たちは兄弟たちに美しいラキを贈り、兄弟たちはこの世界の悪から姉妹たちを守ることを約束します。この習慣は古くからあり、ここで行われる儀式は地域によって異なりますが、その美しい意義はどこにおいても変わることはありません。

ラキの意味
調和をもたらし、家族をひとつにまとめるために、ラキの祝日には大きな意味があります。ラキは、兄弟・姉妹間の愛、すなわち彼らが子供の頃から共有している愛の絆を表しています。 ラクシャ・バンダンを祝う習慣は遙か昔に遡り、今なお、人々は伝統的な方法でその愛情を表現しようとしています。ラキは、古い時代から、兄弟・姉妹間の愛の絆を強く結びつけてきたのです。

ラキのお祝い
ラクシャ・バンダンのお祝いは、兄弟・姉妹間の穢れのない愛を表す祝日です。 古くから、この祝日は歓喜をもって祝福されてきました。ラキは兄弟・姉妹間の無条件の愛の証です。 女性たちは、少なくとも祝日の2週間前から準備を始めます。その一日を特別な日にするために、人々はラキや贈り物、ラキ・プージャーのプレート、お菓子などを買います。 これはまた、この神聖な祝日を祝うために家族が集まるという一つの機会にもなります。愛する人々の間での贈り物は、この特別な日を心に残る美しい思い出にしてくれます。

出典:Raksha Bandhan, http://www.raksha-bandhan.com/
より翻訳転載

2019年のチャトゥルマース

2019年は7月12日のエーカーダシーより、聖なる4ヶ月間といわれるチャトゥルマースが始まります。この4ヶ月間は、断食や瞑想といった霊性修行を実践するのに適した時となり、神々を讃える大祭が続きます。

チャトゥルマースの4ヶ月間は、インドでは雨季であるモンスーンにあたります。その最初の1ヶ月間であるシュラヴァナ月は、シヴァ神に捧げるとりわけ神聖な月とされ、多くの人々が霊性修行に努めます。モンスーンは、さまざまな病が媒介する季節です。この間、神々への瞑想や断食を実践することで、病から遠ざかり、心を穏やかに、健やかな日々を過ごすことができると伝えられます。

チャトゥルマースは、太陽が北より南へ動く(夏至より冬至に向かう時)ダクシナーヤナにあたり、夜が長くなり、人々の心に大きく作用する冷たい月の影響が出てくる時でもあります。この間は神々の夜ともいわれるように、モンスーンの恵みの雨が降り注ぐ一方で、さまざまなネガティブなエネルギーが満ちる時と信じられてきました。この間に続く大祭は、私たちを神々へ近づけ、その中で実践される善行が、ネガティブなエネルギーを払拭し、ポジティブなエネルギーを生み出すといわれます。

この間には、次のような大祭が続きます。

7月12日:エーカーダシー(チャトゥルマースの始まり)
7月16日:グル・プールニマー
8月5日:ナーガ・パンチャミー
8月15日:ラクシャ・バンダン/ガーヤトリー・ジャヤンティ
8月24日:クリシュナ・ジャヤンティ(降誕祭)
9月2日:ガネーシャ・チャトゥルティー(降誕祭)
9月29日~10月7日:秋のナヴァラートリー祭
10月8日:ダシャラー祭
10月25日:ダンテーラス
10月27日:ディーワーリー祭
11月8日:エーカーダシー(チャトゥルマースの終わり)

※上記は2019年の日程(インド現地時間)です。インドの祝祭の多くは月齢に従うため、毎年日時に差異が生じます。
※チャトゥルマースの始まりは、グル・プールニマーの満月とする慣習もあります。
※祝祭とその詳細について、インド暦カレンダーでご紹介しております。

この間にヴラタ(戒行)を怠ると、私たちはタマスやラジャスのエネルギーに飲み込まれ、さまざまな悪行を生み出すともいわれます。神々を礼拝する行いは、サットヴァなエネルギーを生み出す、何よりも優れた行いです。その実践は、自分自身を神聖に保つとともに、幸せと健康を授けてくれるものとなるに違いありません。

参照:2019 Hindu Festivals

シュラヴァナ・マース2019

2019年7月17日〜8月15日は、シュラヴァナと呼ばれる神聖な期間に入ります(地域によっては8月2日から8月30日となります)。

シュラヴァナ月(シュラヴァナ・マース)は、ヒンドゥー暦の5番目の月であり、もっとも神聖な月の1つです。この月は、チャトゥル・マース(4つの聖なる月)の最初の月にあたり、多くの祭典や吉兆の日で満たされています。
満月の日やシュラヴァナ月の期間は、ヴェーンカテーシュヴァラ神の誕生星である「シュラヴァナ」が天球を支配するため、この月はシュラヴァナ月と呼ばれるようになったといわれます。

特に、シュラヴァナ月の月曜日は、もっとも重要といわれます。この日は、シヴァ神に敬意を示し、多くの帰依者たちが、名高いソームヴァール・ヴラット(月曜絶食)を行います。
またシヴァ寺院では、この期間の月曜日は、一日中シヴァリンガムに聖水を浴びせ、シヴァ神を讃えます。

伝説によると、天地創造の神話であるサムッドラ・マンタン(乳海攪拌)は、この月に起きたといわれています。
シヴァ神が、世界を救うためにハラハラの毒を飲んだ結果、シヴァ神の喉は青くなってしまいました。そのため、シヴァ神は、ニーラ・カンタ(青い喉)と呼ばれるようになりました。
またその毒は、あまりに強力であったために、毒の影響を和らげるために、シヴァ神は三日月を頭に乗せて冷やしました。他の神々たちは、ガンジスの水をシヴァ神に浴びせ、毒の影響を和らげようとしました。
シヴァ神の頭に、三日月とガンジス河が描かれているのは、このような言い伝えがあるためです。

シュラヴァナ月の月曜日に、シヴァ神の象徴であるルドラークシャを身につけることはとても功徳ある行為とされています。
またシヴァ神像やシヴァリンガムに、ミルクやガンガージャルを浴びせることは、多くの功徳を積む行為とされています。

シュラヴァナ月に行うと良い行為には、以下のようなものがあります。
・ルドラークシャを身につける。またはルドラークシャ・マーラーでジャパを行う。
・シヴァ神像にヴィブーティをつける。または自身の眉間につける。
・シヴァリンガムにパンチャームリタ(ミルク、ヨーグルト、ギー、蜂蜜、ヤシ糖を混ぜた甘露)を捧げる。
・シヴァ・チャーリーサーやアーラティを唱える。
・マハー・ムリティユンジャヤ・マントラを唱える。
・月曜日に断食をする。未婚女性は、シュラヴァナ月のすべての月曜日に断食をすると、よい男性に巡り会えるといわれています。(シヴァ神はマッチメーカー(仲介役)としても有名な神様です)

またシュラヴァナはサンスクリット語で、「聴聞」の意味があるため、この期間は、グルの講話などを聞くことも大きな功徳を積む行為といわれています。
この神聖な期間を有意義に過ごしましょう。

参照:
Wikipedia, “Shravan”, https://en.wikipedia.org/wiki/Shraavana

グル・プールニマー2019

インドでは、グル(師)に対しては、とても大きな尊敬が払われます。家庭にあっては親、学校にあっては先生、会社にあっては上司など、グルの指導のもと、人は大きく成長していくことができます。インドでは、グルは神と同一のものと見なしなさいといわれています。それは、太陽の光が反射して月が輝いて見えるように、グルの英知に照らされて、人々が輝きだすといわれるからです。

2019年7月16日は、グルに感謝の意を捧げるグル・プールニマー(師への満月祭)です(日本時間では、17日となります)。
グル・プールニマーの起源は、聖仙ヴィヤーサの誕生日にあたります。
聖仙ヴィヤーサは、ヴェーダ・ヴィヤーサ(ヴィヤーサは編者の意味)とも呼ばれ、ヴェーダ聖典を編纂したことで知られています。彼は、後の時代に、人々の心が醜くなり、すべてのヴェーダを学ぶ能力がなくなることを見通して、莫大なヴェーダを現在の4部(リグ、ヤジュル、サーマ、アタルヴァ)に編纂したといわれています。
さらに、彼はプラーナを記述し、物語や寓話を通じてヴェーダと同様の霊的英知をやさしく説き、それによって多くの人々がヴェーダの英知に触れることができるようになりました。また彼は、ヴェーダンタの本質をなすブラフマー・スートラの作者としても知られています。このような偉業を残したグル・ヴィヤーサを祝福するため、彼の誕生日がグル・プールニマーとして祝われることになりました。

グル・プールニマーの日には、新しい誓いを立て、それを実行することが慣例的に行われています。
例えば、霊的な師がいれば、師からマントラを授かり、それを毎日唱える誓願を立てます。
あるいは毎日瞑想をする、肉食をしないなど、その他の霊的な誓願を立て、実行するのもよいでしょう。

グルの役割について、スワミ・シヴァーナンダは次のように語っています[1]
「人が成長するために、あなたはグルの重要さと神聖な意義について理解していますか。インドがいままでグルを大切にし、グルの意識の光の中で生き続けているのには理由があります。理由もなく、毎年この古くからの伝統を祝い、度々グルへ敬意を払い、信義と忠誠を再確認しているのではありません。グルは、悲しみと死の束縛から脱却させ、真理を体験させる、人々にとっての唯一の保証人なのです。」

またスワミ・シヴァーナンダは、グル・プールニマーの日に行うべきことについて次のように語っています。
「このもっとも神聖な日は、ブラフマームフルタ(午前4時)に起床しなさい。そして、グルの蓮華の御足を瞑想するのです。心の中で、彼の恩寵を祈りなさい。こうしてはじめて、あなたは成就に至ることができます。早朝には、熱心にジャパや瞑想を行いなさい。」
「沐浴したあと、グルの蓮華の御足を礼拝しなさい。また彼の絵や写真に、花やフルーツを供え、お香や樟脳を焚くのもよいでしょう。この日は、断食をするか、食べても牛乳やフルーツだけにするべきです。午後は、あなたのグルの信奉者たちと一緒になり、彼の栄光や教えについて話し合うとよいでしょう。」
「夜は、信奉者たちが集まり、神の御名やグルの栄光を歌いなさい。グルを礼拝するもっともよい方法は、彼の教えに従うことです。彼の教えの顕現としてあなた自身が輝き、彼の栄光とメッセージを伝えなさい。」

グル・プールニマーの日からは、チャトルマースとよばれる神聖な時期が4ヶ月間続き、インドではこの期間に多くのお祭りが行われます。特に2019年7月17日から2019年8月15日までの期間は、シュラヴァナと呼ばれ、チャトルマースの中でも特に神聖な期間とされています(地域によって異なります)。
この時期は、シュラヴァナ(聞くこと)と呼ばれるように、聴聞等による学習に適した期間です。師の教えを聞き、それを実行に移せるよう努力すれば、きっと大きな実りがあることでしょう。

[1]Subhamoy Das, “The Guru Purnima”, http://hinduism.about.com/od/festivalsholidays/a/gurupurnima.htm