バガヴァッド・ギーター第3章第43節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

एवं बुद्धेः परं बुद्ध्वा
evaṁ buddheḥ paraṁ buddhvā
エーヴァン ブッデーヘ パラン ブッドゥヴァー
このように、理性より優れたものを知り

evam【副詞】このように、こんなふうに、そんなふうに
buddhes【女性・単数・従格 buddhi】[〜から、〜より]知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定
param【中性・単数・主格 para】最高の;より優れた、より高い、より良い、より悪い;最上の、卓越した、最善の;最大の
buddhvā【絶対分詞 √budh】[〜して、〜してから]目覚める;意識を回復する;〜に注意する、留意する;知覚する、理解する、学ぶ、知る

संस्तभ्यात्मानम् आत्मना ।
saṁstabhyātmānam ātmanā |
サンスタッビャートマーナム アートマナー
自ら自己(アートマン)を高めて

saṁstabhya【絶対分詞 saṁ√stabh】[〜して、〜してから]支持する、維持する、励ます;(感官を)麻痺させる;(魔術によって)阻止する;硬直させる;(水を)凝固させる;抑止する、(悲しみ・涙を)抑える;強固にする
ātmānam【男性・単数・対格 ātman】[〜に、〜を]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
ātmanā【男性・単数・具格 ātman】[〜によって、〜をもって]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我

जहि शत्रुं महाबाहो
jahi śatruṁ mahābāho
ジャヒ シャトルン マハーバーホー
アルジュナよ、敵を倒せ

jahi【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法 √han】[あなたは〜せよ]打つ、たたく;打ち落とす;たたき落とす;命中する;殺す、殺害する;いためる、害する、破壊する、(暗黒を)追い散らす
śatrum【男性・単数・対格 śatru】[〜に、〜を]敵、競争者;自然の敵、隣国の王
mahābāho【男性・単数・呼格 mahābāhu】[〜よ]強大な腕力を持つ(者)、長い腕を持つ(者)、強い臂を持つ(者)。ここではアルジュナのこと。

कामरूपं दुरासदम् ॥
kāmarūpaṁ durāsadam ||
カーマルーパン ドゥラーサダム
欲望という姿の恐るべき(敵を)

kāma【男性】〜に対する願望、欲望;愛、快楽;利益;性愛;愛の神
rūpam【中性・単数・対格 rūpa】[〜に、〜を]外観、色;夢・幻に現れる形;肖像、像、映像;文法上の形、派生語;美しい形、美、見目よいこと;現象;記号、指示、しるし、象徴、顕現;特徴、特質、性質;情況;類、種類;痕跡;単一の見本;戯曲
→kāmarūpam【中性・単数・対格、所有複合語 kāma-rūpa】[〜に、〜を]欲望の形、欲望の姿
durāsadam【中性・単数・対格 durāsada】近づき難い、近づくのは危険な;見出し難い;完成し難い;比類なき、無敵の

एवं बुद्धेः परं बुद्ध्वा संस्तभ्यात्मानमात्मना ।
जहि शत्रुं महाबाहो कामरूपं दुरासदम् ॥४३॥

evaṁ buddheḥ paraṁ buddhvā saṁstabhyātmānamātmanā |
jahi śatruṁ mahābāho kāmarūpaṁ durāsadam ||43||
このように、理性より優れたものを知り、自ら自己(アートマン)を高めて、
アルジュナよ、欲望という姿の恐るべき敵を倒せ。

バガヴァッド・ギーター第3章第42節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

इन्द्रियाणि पराण्याहुर्
indriyāṇi parāṇyāhur
インドリヤーニ パラーニヤーフル
人々は、諸感官は優れたものであると言う

indriyāṇi【中性・複数・主格 indriya】[〜は、〜が]神の力;支配;偉大な行為;活力;体力;精力;感官;感覚
parāṇi【中性・複数・主格 para】最高の;より優れた、より高い、より良い、より悪い;最上の、卓越した、最善の;最大の
āhus【三人称・複数・パラスマイパダ・完了 √ah】[彼らは〜した、それらは〜した]話す、言う;表示する、呼ぶ、宣言する

इन्द्रियेभ्यः परं मनः ।
indriyebhyaḥ paraṁ manaḥ |
インドリイェービヤハ パラン マナハ
思考器官(マナス)は諸感官より優れている

indriyebhyas【中性・複数・従格 indriya】[〜から、〜より]神の力;支配;偉大な行為;活力;体力;精力;感官;感覚
param【中性・単数・主格 para】最高の;より優れた、より高い、より良い、より悪い;最上の、卓越した、最善の;最大の
manas【中性・単数・主格 manas】[〜は、〜が]心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分

मनसस् तु परा बुद्धिर्
manasas tu parā buddhir
マナサス トゥ パラー ブッディル
しかし、理性は思考器官より優れている

manasas【中性・単数・従格 manas】[〜から、〜より]心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分
tu【接続詞】しかし、一方(虚辞としても使用)
parā【女性・単数・主格 para】最高の;より優れた、より高い、より良い、より悪い;最上の、卓越した、最善の;最大の
buddhis【女性・単数・主格 buddhi】[〜は、〜が]知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定

यो बुद्धेः परतस् तु सः ॥
yo buddheḥ paratas tu saḥ ||
ヨー ブッデーヘ パラタス トゥ サハ
しかし、理性より優れたもの、それが彼(個我)である

yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】〜であるもの、〜である人
buddhes【女性・単数・従格 buddhi】[〜から、〜より]知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定
paratas【副詞】最高の;他に属する;遙かに、今後、その後;高く;(従格)より上に高く、(力や身分を)超えた
tu【接続詞】しかし、一方(虚辞としても使用)
sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼

इन्द्रियाणि पराण्याहुरिन्द्रियेभ्यः परं मनः ।
मनसस् तु परा बुद्धिर्यो बुद्धेः परतस्तु सः ॥४२॥

indriyāṇi parāṇyāhurindriyebhyaḥ paraṁ manaḥ |
manasas tu parā buddhiryo buddheḥ paratastu saḥ ||42||
人々は、諸感官は優れたものであると言う。
思考器官(マナス)は諸感官より優れ、理性(ブッディ)は思考器官より優れている。
しかし、理性(ブッディ)より優れたもの、それが彼(個我)である。

バガヴァッド・ギーター第3章第41節

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तस्मात् त्वम् इन्द्रियाण्यादौ
tasmāt tvam indriyāṇyādau
タスマート トヴァム インドリヤーニヤーダウ
それ故、あなたはまず、感官を

tasmāt【男性・単数・従格、指示代名詞 tad】それ故に、そのために、したがって、だから、その結果
tvam【単数・主格、二人称代名詞 tvad】[〜は、〜が]あなた
indriyāṇi【中性・複数・対格 indriya】[〜に、〜を]神の力;支配;偉大な行為;活力;体力;精力;感官;感覚
ādau【男性・単数・処格 ādi】[〜において、〜のなかで]始、初;最初、始め

नियम्य भरतर्षभ ।
niyamya bharatarṣabha |
ニヤミヤ バラタルシャバ
制御して、アルジュナよ

niyamya【絶対分詞 ni√yam】留めて;縛って;抑制して;引き締めて;阻止して、支配して、制御して;制限して
bharatarṣabha【男性・単数・呼格 bharatarṣabha】[〜よ]インドの雄牛;インドの後裔、インドの王;アルジュナの呼称、ヴィシュヴァーミトラの呼称

पाप्मानं प्रजहि ह्येनं
pāpmānaṁ prajahi hyenaṁ
パープマーナン プラジャヒ ヒエーナン
この邪悪なものを捨て去れ

pāpmānam【男性・単数・対格 pāpman】[〜に、〜を]悪、災難、苦痛;罪悪、罪、悪業;悪鬼、悪魔 【形容詞】害の多い、有害な、悪い
prajahi【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法 pra√han】[あなたは〜せよ]打つ、〜に打ってかかる;打ち倒す、殺す
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
enam【男性・単数・対格、指示代名詞 idam, etadの附帯形】[〜に、〜を]これ、それ

ज्ञानविज्ञाननाशनम् ॥
jñānavijñānanāśanam ||
ジュニャーナヴィジュニャーナナーシャナム
理論知と実践知を滅ぼす

jñāna【中性】知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
vijñāna【中性】識別;熟練、上達、技術;教義;策略、詭計;神聖でない知識、世俗的な知識[jñānaの対義語];知力、判断力;意識の器官(=manas 意)
nāśanam【男性・単数・対格 nāśana】〜を破壊する、除去する、移す 【中性名詞】消失させること;破壊、零落させること、撤去
→jñānavijñānanāśanam【男性・単数・対格、限定複合語】理論知と実践知を破壊する、理論的知識と応用的知識を滅ぼす

तस्मात्त्वमिन्द्रियाण्यादौ नियम्य भरतर्षभ ।
पाप्मानं प्रजहि ह्येनं ज्ञानविज्ञाननाशनम् ॥४१॥

tasmāttvamindriyāṇyādau niyamya bharatarṣabha |
pāpmānaṁ prajahi hyenaṁ jñānavijñānanāśanam ||41||
それ故アルジュナよ、あなたはまず、感官を制御して、
理論知と実践知を滅ぼすこの邪悪なものを捨て去りなさい。

バガヴァッド・ギーター第3章第40節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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इन्द्रियाणि मनो बुद्धिर्
indriyāṇi mano buddhir
インドリヤーニ マノー ブッディル
諸感官と思考器官(マナス)と理性(ブッディ)は

indriyāṇi【中性・複数・主格 indriya】[〜は、〜が]神の力;支配;偉大な行為;活力;体力;精力;感官;感覚
manas【中性・単数・主格 manas】[〜は、〜が]心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分
buddhis【女性・単数・主格 buddhi】[〜は、〜が]知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定

अस्याधिष्ठानम् उच्यते ।
asyādhiṣṭhānam ucyate |
アスヤーディシュターナム ウッチャテー
その(欲望の)居所であるといわれる

asya【男性・単数・属格 指示代名詞 idam】[〜の、〜にとって]これ、この、彼
adhiṣṭhānam【中性・単数・主格 adhiṣṭhāna】[〜は、〜が]立脚点;立場、場所、席、住所、住宅;主権、権力;王廷;決心、覚悟
ucyate【三人称・単数・現在・受動活用 √vac】[彼は〜される、それは〜される]言う、話す

एतैर् विमोहयत्येष
etair vimohayatyeṣa
エータイル ヴィモーハヤティエーシャ
これらによって、それ(欲望)は惑わす

etais【男性・複数・具格、指示代名詞 etad】[〜によって、〜をもって]これら
vimohayati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在・使役活用 vi√muh】[彼は、それは]困惑させる、知覚を失わせる;惑わす、魂を奪う;(路を)消す
eṣas【男性・単数・主格、指示代名詞 etad】[〜は、〜が]これ

ज्ञानम् आवृत्य देहिनम् ॥
jñānam āvṛtya dehinam ||
ジュニャーナム アーヴリティヤ デーヒナム
知識を覆って、個我を(惑わす)

jñānam【中性・単数・対格 jñāna】[〜に、〜を]知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
āvṛtya【絶対分詞 ā√vṛ】覆って、かくして、囲んで;広げて
dehinam【男性・単数・対格 dehin】[〜に、〜を]生物;人間;(肉体をそなえた)精神、魂;個我、自我

इन्द्रियाणि मनो बुद्धिरस्याधिष्ठानमुच्यते ।
एतैर्विमोहयत्येष ज्ञानमावृत्य देहिनम् ॥४०॥

indriyāṇi mano buddhirasyādhiṣṭhānamucyate |
etairvimohayatyeṣa jñānamāvṛtya dehinam ||40||
諸感官と思考器官(マナス)と理性(ブッディ)は、その欲望の居所であるといわれる。
これらによって、欲望は知識を覆い、個我を惑わす。

バガヴァッド・ギーター第3章第39節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

आवृतं ज्ञानम् एतेन
āvṛtaṁ jñānam etena
アーヴリタン ジュニャーナム エーテーナ
知識は、これによって覆われている

āvṛtam【中性・単数・主格 āvṛta(過去受動分詞 ā√vṛ)】覆われた、隠された、囲まれた;広げられた
jñānam【中性・単数・主格 jñāna】[〜は、〜が]知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
etena【男性・単数・具格、指示代名詞 etad】[〜によって、〜をもって]これ

ज्ञानिनो नित्यवैरिणा ।
jñānino nityavairiṇā |
ジュニャーニノー ニッティヤヴァイリナー
知識ある者の(知識は)、永遠の敵によって

jñāninas【男性・複数・主格 jñānin】[〜は、〜が]知識あるもの;占術家、占星家
nitya【副詞】恒久的に、不易に、常に;不変に
vairiṇā【男性・単数・具格 vairin】[〜によって、〜をもって]敵;敵意 【形容詞】怨恨を含んだ、敵意のある

कामरूपेण कौन्तेय
kāmarūpeṇa kaunteya
カーマルーペーナ カウンテーヤ
欲望の形によって、アルジュナよ

kāma【男性】〜に対する願望、欲望;愛、快楽;利益;性愛;愛の神
rūpeṇa【中性・単数・具格 rūpa】[〜によって、〜をもって]外観、色;夢・幻に現れる形;肖像、像、映像;文法上の形、派生語;美しい形、美、見目よいこと;現象;記号、指示、しるし、象徴、顕現;特徴、特質、性質;情況;類、種類;痕跡;単一の見本;戯曲
→kāmarūpeṇa【中性・単数・具格、所有複合語 kāmarūpa】[〜によって、〜をもって]欲望の形、欲望の姿
kaunteya【男性・単数・呼格】クンティーの息子よ。アルジュナの別名。

दुष्पूरेणानलेन च ॥
duṣpūreṇānalena ca ||
ドゥシュプーレーナーナレーナ チャ
また飽くことを知らない火によって

duṣpūreṇa【男性・単数・具格 duṣpūra】充たし難い;満足させ難い
analena【男性・単数・具格 anala】[〜によって、〜をもって]火;アグニ神
ca【接続詞】そして、また、〜と

आवृतं ज्ञानमेतेन ज्ञानिनो नित्यवैरिणा ।
कामरूपेण कौन्तेय दुष्पूरेणानलेन च ॥३९॥

āvṛtaṁ jñānametena jñānino nityavairiṇā |
kāmarūpeṇa kaunteya duṣpūreṇānalena ca ||39||
アルジュナよ、知識ある者の知識は、この永遠の敵に覆われている。
欲望という飽くことを知らない火によって。

バガヴァッド・ギーター第3章第38節

インドの古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

धूमेनाव्रियते वह्निर्
dhūmenāvriyate vahnir
ドゥーメーナーヴリヤテー ヴァフニル
火が煙に覆われ

dhūmena【男性・単数・具格 dhūma】[〜によって、〜をもって]煙、蒸気、霧
āvriyate【三人称・単数・現在・受動活用 ā√vṛ】[彼は〜される、それは〜される]覆う、隠す、秘める;包囲する;(処格)に閉じ込める;(路を)妨げる、邪魔する;(門を)占拠する、(小屋を)占有する;満たす、浸透する;(望みを)遂げる
vahnis【男性・単数・主格 vahni】[〜は、〜が](車を)ひくもの、駿馬;戦車の御者;(神々に供物を)もたらす者、アグニ神;火、火神

यथा ऽदर्शो मलेन च ।
yathā ‘darśo malena ca |
ヤター ダルショー マレーナ チャ
そして鏡が塵に覆われるように

yathā【接続詞】〜のように、あたかも〜のように(tathāとともに)
ādarśas【男性・単数・主格 ādarśaā-√dṛśより)】[〜は、〜が]見ること;鏡;像;写本
malena【中性・単数・具格 mala】[〜によって、〜をもって]汚物、垢、不浄;(身体の)分泌物
ca【接続詞】そして、また、〜と

यथोल्बेनावृतो गर्भस्
yatholbenāvṛto garbhas
ヤトールベーナーヴァリトー ガルバス
胎児が羊膜に覆われるように

yathā【接続詞】〜のように、あたかも〜のように(tathāとともに)
ulbena【中性・単数・具格 ulba】[〜によって、〜をもって]羊膜、卵膜;子宮
āvṛtas【男性・単数・主格 āvṛta(過去受動分詞 ā√vṛ)】覆われた、隠された、囲まれた;広げられた
garbhas【男性・単数・主格 garbhas】[〜は、〜が]子宮;内部;胎児;嬰児;小児;子孫、親を同じくする雛の群;受胎;芽

तथा तेनेदम् आवृतम् ॥
tathā tenedam āvṛtam ||
タター テーネーダム アーヴリタム
この世は、それに覆われている

tathā【副詞】そのように、同様に;そして、また
tena【中性・単数・具格、指示代名詞 tad】[〜によって、〜をもって]それ、あれ(前節のkāmaやkrodhaを指す)
idam【中性・単数・主格、指示代名詞 idam】[〜は、〜が]これ
āvṛtam【中性・単数・主格 āvṛta(過去受動分詞 ā√vṛ)】覆われた、隠された、囲まれた;広げられた

धूमेनाव्रियते वह्निर्यथाऽदर्शो मलेन च ।
यथोल्बेनावृतो गर्भस्तथा तेनेदमावृतम् ॥३८॥

dhūmenāvriyate vahniryathā’darśo malena ca |
yatholbenāvṛto garbhastathā tenedamāvṛtam ||38||
火が煙に覆われ、鏡が塵に覆われ、また胎児が羊膜に覆われるように、
この世は、欲望や怒りに覆われている。

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バガヴァッド・ギーター第3章第37節

श्रीभगवान् उवाच ।
śrībhagavān uvāca |
シュリーバガヴァーン ウヴァーチャ
クリシュナは語った

śrībhagavān【男性・単数・主格 śrībhagavat】栄光ある方、神聖な神、威厳ある尊者。ここではクリシュナのことを指す。
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】[彼は]言った、語った

काम एष क्रोध एष
kāma eṣa krodha eṣa
カーマ エーシャ クローダ エーシャ
それは欲望であり、それは怒りであり

kāmas【男性・単数・主格 kāma】[〜は、〜が]〜に対する願望、欲望;愛、快楽;利益;性愛;愛の神
eṣas【男性・単数・主格、指示代名詞 etad】[〜は、〜が]これ
krodhas【男性・単数・主格 krodha】[〜は、〜が]怒り、激怒、憤怒、激情
eṣas【男性・単数・主格、指示代名詞 etad】[〜は、〜が]これ(前節の悪行へと駆り立てる力を指す)

रजोगुणसमुद्भवः ।
rajoguṇasamudbhavaḥ |
ラジョーグナサムッドバヴァハ
激質(ラジャス)という要素(グナ)から生じたものである

rajas【中性】(精神を激昂または曇らせる性質)激情、動性(サットヴァ、ラジャス、タマスの三徳(グナ)のひとつ);空、空気、大気;水蒸気、霧、薄暗がり;耕された土壌、耕された畠;塵、塵の粒子;花粉;月経、経水
guṇa【男性】紐、網;灯心、弓弦;種類;要素;性質;根本的元素(地・水・火・風・空)の属性;根本的(三)原素
samudbhavam【男性・単数・主格 samudbhava(sam-ud√bhū)】[〜は、〜が]産出、起源;現れること 【合成語語末:形容詞】〜から生ずる、〜から造られる、〜の源泉である
→rajo-guṇa-samudbhavas【男性・単数・主格、限定複合語】[〜は、〜が]激質(ラジャス)の要素(グナ)から生じたもの

महाशनो महापाप्मा
mahāśano mahāpāpmā
マハーシャノー マハーパープマー
非常に貪欲で、邪悪なものである

mahā【形容詞 mahat】偉大な、大きな、巨大な、広い
aśana【中性・単数・主格・対格 現在分詞 √aś】食事、食物 【合成語語末:形容詞】〜を食する
→mahāśanas【男性・単数・主格 mahāśanas】[〜は、〜が]貪欲なもの、食欲旺盛なもの、大食漢
mahāpāpmās【男性・単数・主格 mahāpāpman】[〜は、〜が]非常に邪悪なもの、凶悪なもの

विद्ध्येनम् इह वैरिणम् ॥
viddhyenam iha vairiṇam ||
ヴィッディエーナム イハ ヴァイリナム
この世で、それが敵であると知れ

viddhi【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法 √vid】[あなたは〜せよ]知る、理解する、気付く、学ぶ
enam【男性・単数・対格、指示代名詞 idam, etadの附帯形】[〜に、〜を]彼、それ
iha【副詞】ここで[へ・に];この世で、地上で
vairiṇam【男性・単数・対格 vairin】[〜に、〜を]敵;敵意 【形容詞】怨恨を含んだ、敵意のある

श्रीभगवान् उवाच ।
काम एष क्रोध एष रजोगुणसमुद्भवः ।
महाशनो महापाप्मा विद्ध्येनमिह वैरिणम् ॥३७॥

śrībhagavān uvāca |
kāma eṣa krodha eṣa rajoguṇasamudbhavaḥ |
mahāśano mahāpāpmā viddhyenamiha vairiṇam ||37||
クリシュナは語った。
それは欲望、怒りであり、激質(ラジャス)という要素(グナ)から生じたものである。
それは非常に貪欲で、邪悪なものである。この世で、それが敵であると知りなさい。

バガヴァッド・ギーター第3章第36節

अर्जुन उवाच ।
arjuna uvāca |
アルジュナ ウヴァーチャ
アルジュナは言った

arjunas【男性・単数・主格 arjuna】[〜は、〜が]アルジュナ
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】[彼は]言った、話した

अथ केन प्रयुक्तो ऽयं
atha kena prayukto ‘yaṁ
アタ ケーナ プラユクトー ヤン
それでは、何に駆られて、この(人は)

atha【接続詞】さて、また、そして、それから;もし
kena【単数・具格、疑問代名詞 kim】何、誰、なぜ、どんな、どのように
prayuktas【男性・単数・主格 prayukta(過去受動分詞 pra√yuj)】軛でつながれた;(風に)動かされた;使用された、利用された;なされた;貸された;適当な、適切な;駆られた、命令された
ayam【男性・単数・主格、指示代名詞 idam】[〜は、〜が]これ

पापं चरति पूरुषः ।
pāpaṁ carati pūruṣaḥ |
パーパン チャラティ プールシャハ
人は悪を為すのか

pāpam【中性・単数・対格 pāpa】[〜に、〜を]罪、悪、不正、悪事
carati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √car】[彼は、それは]動く、行く、歩む、さまよう、徘徊する、広がる、延びる;食べる;行動する、行為する
pūruṣas【男性・単数・主格 pūruṣa】[〜は、〜が]人;人間;霊魂;個人の本体、普遍的霊魂、最高精神

अनिच्छन्नपि वार्ष्णेय
anicchannapi vārṣṇeya
アニッチャンナピ ヴァールシュネーヤ
望みもしないのに、クリシュナよ

anicchan【男性・単数・主格 anicchat(現在分詞 an√iṣ】欲しない、望まない、不本意の
api【不変化辞】さらに、また、同様に;されど、なお
vārṣṇeya【男性・単数・呼格】[〜よ]「ヴリシュニの子孫」の意味で、クリシュナの別名、あるいはナラ王の御者の名前。

बलाद् इव नियोजितः ॥
balād iva niyojitaḥ ||
バラード イヴァ ニヨージタハ
あたかも力ずくで駆り立てられたように

balāt【中性・単数・従格 bala】[〜から、〜より]力、能力、体力、活力;強力な手段、暴力;効力;〜に熟練したこと;軍隊、軍勢、陸軍
iva【副詞】〜のように、〜と同様に、言わば
niyojitas【男性・単数・主格 niyojita(過去受動分詞・使役活用 ni√yuj)】〜と関連した、〜に付随した;命じられた、指示された;要請された、駆り立てられた、強いられた

अर्जुन उवाच ।
अथ केन प्रयुक्तोऽयं पापं चरति पूरुषः ।
अनिच्छन्नपि वार्ष्णेय बलादिव नियोजितः ॥३६॥

arjuna uvāca |
atha kena prayukto’yaṁ pāpaṁ carati pūruṣaḥ |
anicchannapi vārṣṇeya balādiva niyojitaḥ ||36||
アルジュナは言った。
「それでは、クリシュナよ。人は何に駆られて悪を為すのでしょうか。
望みもしないのに。あたかも力ずくで駆り立てられたように。」

バガヴァッド・ギーター第3章第35節

श्रेयान् स्वधर्मो विगुणः
śreyān svadharmo viguṇaḥ
シュレーヤーン スヴァダルモー ヴィグナハ
不完全であっても、自己の義務(ダルマ)はより勝る

śreyān【男性・単数・主格・比較級 śreyas】よりよき状態(または)幸運;安寧、幸福
svadharmas【男性・単数・主格 svadharma】[〜は、〜が]自己の権利;自分の義務;自分の属するカーストの義務
viguṇas【男性・単数・主格 viguṇa】糸のない;ある性質を欠く、〜に欠陥のある;無効な;逆境の(運命);特性のない;徳のない、無価値な、悪い(人);性質が変化した、不調となった

परधर्मात् स्वनुष्ठितात् ।
paradharmāt svanuṣṭhitāt |
パラダルマート スヴァヌシュティタート
よく遂行された他者の義務よりも

paradharmāt【男性・単数・従格 paradharma】[〜から、〜より]他人または他の種姓(階級)の法・義務;他人の特性
su【副詞】よく、うまく、実に、正しく、非常に、充分に
anuṣṭhitāt【従格・過去受動分詞 anuṣṭhita(anu√sthā)】実践された、実行された、仕遂げられた、遂行された、世話された;始められた

स्वधर्मे निधनं श्रेयः
svadharme nidhanaṁ śreyaḥ
スヴァダルメー ニダナン シュレーヤハ
自己の義務において死ぬことはより幸せである

svadharme【男性・単数・処格 svadharma】[〜において、〜のなかで]自己の権利;自分の義務;自分の属するカーストの義務
nidhanam【中性・単数・主格 nidhana】[〜は、〜が](下に置くこと)、住所、集合所;結論、終末;絶滅;死;(音楽の)終曲、終節、最後部
śreyas【中性・単数・主格・比較級 śreyas】よりよき状態(または)幸運;安寧、幸福

परधर्मो भयावहः ॥
paradharmo bhayāvahaḥ ||
パラダルモー バヤーヴァハハ
他者の義務は、恐怖をもたらす

paradharmas【男性・単数・主格 paradharma】[〜は、〜が]他人または他の種姓(階級)の法・義務;他人の特性
bhaya【中性】恐れ、驚き、恐怖、心配、不安
āvahas【男性・単数・主格 āvaha(ā√vah)】〜を持ってくる、〜を成し遂げる;産出する
→bhayāvahas【男性・単数・主格、限定複合語】恐怖をもたらす

श्रेयान् स्वधर्मो विगुणः परधर्मात्स्वनुष्ठितात् ।
स्वधर्मे निधनं श्रेयः परधर्मो भयावहः ॥३५॥

śreyān svadharmo viguṇaḥ paradharmātsvanuṣṭhitāt |
svadharme nidhanaṁ śreyaḥ paradharmo bhayāvahaḥ ||35||
不完全であっても、自己の義務(ダルマ)の遂行は、よく遂行された他者の義務に勝る。
自己の義務に死ぬことはより幸せである。他者の義務の遂行は、恐怖をもたらす。

バガヴァッド・ギーター第3章第34節

इन्द्रियस्येन्द्रियस्यार्थे
indriyasyendriyasyārthe
インドリヤスイェーンドリヤスヤールテー
各感官には、その対象についての

indriyasya【中性・単数・属格 indriya】[〜の、〜にとって]神の力;支配;偉大な行為;活力;体力;精力;感官;感覚
indriyasya【中性・単数・属格 indriya】[〜の、〜にとって]神の力;支配;偉大な行為;活力;体力;精力;感官;感覚
artha【男性】目的;原因、動機;利益、使用、利用、有用;褒美、利得;財産、富、金;物、事、事物
→indriyasyendriyasyārthe【男性・単数・処格】[〜において、〜のなかで]各感官の対象

रागद्वेषौ व्यवस्थितौ ।
rāgadveṣau vyavasthitau |
ラーガドヴェーシャウ ヴィヤヴァスティタウ
愛執と憎悪が定められている

rāga【男性】激しい欲望、情熱、愛、愛情、同情
dveṣa【男性】憎悪、嫌悪、〜を憎むこと;害心、悪意、敵意
→rāgadveṣau【男性・両数・主格、並列複合語】[〜は、〜が]愛執と憎悪、愛好と嫌悪
vyavasthitau【男性・両数・主格・過去受動分詞 vy-ava√sthā】規則正しく整列された;配置された・置かれた・たっている;(処格)に基づいた、依存している

तयोर् न वशम् आगच्चेत्
tayor na vaśam āgaccet
タヨール ナ ヴァシャム アーガッチェート
人はその両者に支配されてはならない

tayos【男性・両数・属格、指示代名詞 tad】[〜の、〜にとって]両者、両方
na【否定辞】〜でない
vaśam【男性・単数・対格 vaśa】[〜に、〜を]意志、願望、欲望;力、支配、権威、主権
āgaccet【三人称・単数・パラスマイパダ・願望法 ā√gam】[彼は〜だろう、彼は〜するべき](対格)に近づく、〜に来る;〜と出会う;獲得する、達する、到着する、取る;受ける、経験する、蒙る

तौ ह्यस्य परिपन्थिनौ ॥
tau hyasya paripanthinau ||
タウ ヒヤスヤ パリパンティナウ
なぜなら、それらは彼の敵であるから

tau【男性・両数・主格 指示代名詞 tad】[〜は、〜が]その両者、それら2つ
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
asya【男性・単数・属格 指示代名詞 idam】[〜の、〜にとって]これ、この、彼
paripanthinau【男性・両数・主格 paripanthin】[〜は、〜が]待ち伏せする者、敵対者、敵

इन्द्रियस्येन्द्रियस्यार्थे रागद्वेषौ व्यवस्थितौ ।
तयोर्न वशमागच्चेत्तौ ह्यस्य परिपन्थिनौ ॥३४॥

indriyasyendriyasyārthe rāgadveṣau vyavasthitau |
tayorna vaśamāgaccettau hyasya paripanthinau ||34||
各感官には、その対象についての愛執と憎悪が定められている。
人はその両者に支配されてはならない。なぜなら、それらは彼の敵であるから。