バガヴァッド・ギーター第5章第29節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

भोक्तारं यज्ञतपसां
bhoktāraṁ yajñatapasāṁ
ボークターラン ヤジュニャタパサーン
祭祀と苦行の享受者を

bhoktāram【男性・単数・対格 bhoktṛ】[〜に、〜を]享受者、食する者;使用者、所有者、(快楽・苦痛の)経験者;支配者、王
yajña【男性】(祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式
tapasām【中性・複数・属格 tapas】[〜らの、〜らにとって]熱;火;苦悩;苦行、自責、抑制、宗教的苦行、敬虔
→yajñatapasām【中性・複数・属格】[〜らの、〜らにとって]祭祀と苦行

सर्वलोकमहेश्वरम् ।
sarvalokamaheśvaram |
サルヴァローカマヘーシュヴァラム
全世界の偉大な主を

sarva【形容詞】すべての、一切の、各々の;全体の
loka【男性】空間、余地、場所;地方、地帯、国;世界、宇宙の区分;天;地;人類、一般の人民、国民;男子(複数);(複)団体、仲間;日常生活、慣例、世事、俗事;視ること
maheśvaram【男性・単数・対格 maheśvara】[〜に、〜を]偉大な主、首長;神;シヴァ神およびヴィシュヌ神の名称
→sarvalokamaheśvaram【男性・単数・対格、限定複合語】[〜に、〜を]全世界の偉大な主、全世界の神

सुहृदं सर्वभूतानां
suhṛdaṁ sarvabhūtānāṁ
スフリダン サルヴァブーターナーン
一切衆生の友人を

suhṛdam【男性・単数・対格 suhṛd】[〜に、〜を]友人、親友;同盟者
sarvabhūtānām【中性・複数・属格 sarvabhūta】[〜らの、〜らにとって]一切の存在物、万物、一切衆生

ज्ञात्वा मां शान्तिमृच्छति ॥
jñātvā māṁ śāntimṛcchati ||
ジュニャートヴァー マーン シャーンティムリッチャティ
私を知って、彼は寂静に達する

jñātvā【絶対分詞 √jñā】[〜して、〜してから]知る;〜を察知する、〜の知識を有する、(具格)によって認識する;悟る;覚える、経験する、確かめる、調べる;是認する;〜と考える、〜と仮定する、〜と推測する;認める、証す、許す
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】[〜を、〜に]私
śāntim【女性・単数・対格 śānti】[〜に、〜を]心の静穏、心の平和;(火が)消えること;平和、好運、繁栄;寂静、寂滅;涅槃
ṛcchati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √ṛ】[彼は〜、それは〜]動かす;起きる;出会う;達する、得る、取る、獲得する

भोक्तारं यज्ञतपसां सर्वलोकमहेश्वरम् ।
सुहृदं सर्वभूतानां ज्ञात्वा मां शान्तिमृच्छति ॥२९॥

bhoktāraṁ yajñatapasāṁ sarvalokamaheśvaram |
suhṛdaṁ sarvabhūtānāṁ jñātvā māṁ śāntimṛcchati ||29||
祭祀と苦行の享受者であり、全世界の偉大な主であり、
一切衆生の友人である私を知る者は、寂静に達する。

バガヴァッド・ギーター第5章第28節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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यतेन्द्रियमनोबुद्धिर्
yatendriyamanobuddhir
ヤテーンドリヤマノーブッディル
感官と心と知性を制御し

yata√yamの過去受動分詞】抑制された、制御された、阻止された
indriya【中性】神の力;支配;偉大な行為;活力;体力;精力;感官;感覚
manas【中性】心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分
buddhis【女性・単数・主格 buddhi】知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定
→yatendriyamanobuddhis【女性・単数・主格、所有複合語】感官と意と知性を制御した、感覚と思考器官と理性を統御した

मुनिर् मोक्षपरायणः ।
munir mokṣaparāyaṇaḥ |
ムニル モークシャパラーヤナハ
解脱に専念する聖者は

munis【男性・単数・主格 muni】[〜は、〜が]霊感を得た人;賢人、予言者、苦行者、隠者、沈黙の誓約をした者
mokṣa【男性】〜からの解放・釈放・脱出;(未来の)輪廻からの解放、永遠の解脱
parāyaṇas【男性・単数・主格 parāyaṇa】[〜らは、〜らが]最高の目的、最後の頼り、保護(処)、主要事、精髄;(属格)を決定するもの 【形容詞】〜に全くふける、余念のない、一身を捧げた、専心した
→mokṣaparāyaṇas【男性・単数・主格 mokṣa-parāyaṇa】解脱に専念する、解脱を主な目的とする

विगतेच्छाभयक्रोधो
vigatecchābhayakrodho
ヴィガテーッチャーバヤクロードー
欲望と恐怖と怒りを離れ

vigatavi√gamの過去受動分詞】離れた、立ち去った、止まった、消えた、亡くなった、無くなった
icchā【女性】願望、欲望
bhaya【中性】恐れ、驚き、恐怖、心配、不安
krodhas【男性・単数・主格 krodha】怒り、激怒、憤怒、激情
→vigatecchābhayakrodhas【男性・単数・主格、所有複合語】欲望と恐怖と怒りを離れた

यः सदा मुक्त एव सः ॥
yaḥ sadā mukta eva saḥ ||
ヤハ サダー ムクタ エーヴァ サハ
常にこのような人は、まさに解脱している

yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】[〜は、〜が]〜であるもの、〜である人
sadā【副詞】始終、常に、何時でも
mukta【男性・単数・主格 mukta√mucの過去受動分詞)】(具格、従格)から放たれた、〜から釈放された;ゆるめられた、離された、落下した;弛緩した;捨てられた、中止された;罪(または)存在の束縛から逃れた、解脱した
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼

यतेन्द्रियमनोबुद्धिर्मुनिर् मोक्षपरायणः ।
विगतेच्छाभयक्रोधो यः सदा मुक्त एव सः ॥२८॥

yatendriyamanobuddhirmunir mokṣaparāyaṇaḥ |
vigatecchābhayakrodho yaḥ sadā mukta eva saḥ ||28||
感官と心と知性を制御し、欲望と恐怖と怒りを離れ、
常に解脱に専念する聖者は、まさに解脱している。

バガヴァッド・ギーター第5章第27節

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स्पर्शान् कृत्वा बहिर् बाह्यांश्
sparśān kṛtvā bahir bāhyāṁś
スパルシャーン クリトヴァー バヒル バーヒヤーンシュ
外界との接触を斥け

sparśān【男性・複数・対格 sparśa√spṛśから派生)】[〜らに、〜らを]接触、感触;感情、感覚;快感;触覚
kṛtvā【絶対分詞 √kṛ】[〜して、〜してから]為す、作る、遂行する、用いる
bahis【副詞】(家・町・国などの)外側に;戸外に
bāhyān【男性・複数・対格 bāhya】外側にある、〜の外側に位した;外の、外部の;他国の、外国の;種姓(階級)または共同社会から除外された、放逐された、〜の外にある、〜と接触する、〜の範囲外の、〜となんら関係のない

चक्षुश्चैवान्तरे भ्रुवोः ।
cakṣuścaivāntare bhruvoḥ |
チャクシュシュチャイヴァーンタレー ブルヴォーホ
また眼を眉間に

cakṣus【中性・単数・対格 cakṣus】[〜に、〜を]眼;視界;視力;瞥見;光、光明 【形容詞】見る
ca【接続詞】そして、また、〜と
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
antare【中性・単数・処格 antara】[〜において、〜のなかで]内部;中間、距離;入口;時、時間;機会、弱点;差異、種別、特徴、確実 【形容詞】他の;近い、親しい;内部の
bhruvos【女性・両数・属格 bhrū】[〜の、〜にとって]眉、眉毛

प्राणापानौ समौ कृत्वा
prāṇāpānau samau kṛtvā
プラーナーパーナウ サマウ クリトヴァー
呼気と吸気を均等にして

prāṇa【男性】息、呼吸;活力、生気;風気;出息;そよ風、風;気力、精力、力;精神;個人我、全体と一致される宇宙精神;感官
apāna【男性】下息;肛門;入息
→prāṇāpānau【男性・両数・対格 prāṇāpāna】[〜に、〜を]プラーナとアパーナ、呼気と吸気、出息と入息
※プラーナ(prāṇa)とアパーナ(apāna)という対語は、ブラーフマナやウパニシャッド諸文献に出る。W.Calandは、ブラーフマナとヴェーダ祭式文献を調べ、プラーナを「出息」、アパーナを「入息」とする。しかし、『マイトリ・ウパニシャッド』(2.6)では、プラーナは「上方に吐き出される息」、アパーナは「下方に向かう息」と定義されている。(中略)(BG4.29 上村勝彦注)
samau【男性・両数・対格 sama】平らな、滑らかな、水平の、並行した;類似の・似た・等しい・同等の・同じ・同一の;不変の;偶数の;正常な;普通の、中等の;無関心の、中立の;善良な、正しい、正直な;容易な
kṛtvā【絶対分詞 √kṛ】[〜して、〜してから]為す、作る、遂行する、用いる

नासाभ्यन्तरचारिणौ ॥
nāsābhyantaracāriṇau ||
ナーサービヤンタラチャーリナウ
鼻孔を通る

nāsā【女性】鼻孔、鼻
abhyantara【形容詞】内の、内にある;〜に含まれた;近い、次の、親しい、親密な、愛する;〜に着手・入門・精通する;類似の;〜に属する;秘密の
cāriṇau【男性・両数・対格 cārin】動き得る;〜の中に動く・行く・徘徊する・住する・生活する;行動する、遂行する
→nāsābhyantaracāriṇau【男性・両数・対格】鼻孔を通る

स्पर्शान्कृत्वा बहिर्बाह्यांश्चक्षुश्चैवान्तरे भ्रुवोः ।
प्राणापानौ समौ कृत्वा नासाभ्यन्तरचारिणौ ॥२७॥

sparśānkṛtvā bahirbāhyāṁścakṣuścaivāntare bhruvoḥ |
prāṇāpānau samau kṛtvā nāsābhyantaracāriṇau ||27||
外界との接触を斥け、眼を眉間に注ぎ、
鼻孔を通る呼気と吸気を均等にして、

バガヴァッド・ギーター第5章第26節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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कामक्रोधवियुक्तानां
kāmakrodhaviyuktānāṁ
カーマクローダヴィユクターナーン
欲望と怒りから離れ

kāma【男性】〜に対する願望、欲望;愛、快楽;利益;性愛;愛の神
krodha【男性】怒り、激怒、憤怒、激情
viyuktānām【男性・複数・属格 viyuktavi√yujの過去受動分詞)】離された;分離させられた;〜から離された、自由な、に欠乏した、〜を欠いた
→kāmakrodhaviyuktānām【男性・複数・属格、限定複合語】[〜の、〜にとって]欲望と怒りを離れた

यतीनां यतचेतसाम् ।
yatīnāṁ yatacetasām |
ヤティーナーン ヤタチェータサーム
心を抑制した苦行者たちにとって

yatīnām【男性・複数・属格 yati】[〜らの、〜らにとって]指導者;世捨て人、苦行者、隠遁者
yata√yamの過去受動分詞】抑制された、制御された、阻止された
cetasām【中性・複数・属格 cetas】[〜らの、〜らにとって]様子;光輝;自覚;知能;感官;心、精神、意志
→yatacetasām【男性・複数・属格、限定複合語 yatacetas】[〜の、〜にとって]精神の抑制された、心が鎮静した

अभितो ब्रह्मनिर्वाणं
abhito brahmanirvāṇaṁ
アビトー ブラフマニルヴァーナン
ブラフマンにおける涅槃は近くに

abhitas【副詞】こちらへ、近く、周囲に;全く
brahmanirvāṇam【中性・単数・主格 brahmanirvāṇa】[〜は、〜が]ブラフマン(梵)の中に帰入すること、ブラフマンにおける涅槃、梵涅槃

वर्तते विदितात्मनाम् ॥
vartate viditātmanām ||
ヴァルタテー ヴィディタートマナーム
存在する、自己を知る者たちにとって

vartate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √vṛt】[彼は〜、それは〜]転ずる、回転する、転がる;進む、進行する、執行される;〜を条件とする、伴う;(ある場所に)ある、止まる、住する、滞在する;存在する、生存する;〜の中に見出される
vidita√vidの過去受動分詞】〜として確かめられた・知られた・認知された
ātmanām【男性・複数・属格 ātman】[〜の、〜にとって]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
→viditātmanām【男性・複数・属格、所有複合語】[〜らの、〜らにとって]自己を知った、自己を認識した

कामक्रोधवियुक्तानां यतीनां यतचेतसाम् ।
अभितो ब्रह्मनिर्वाणं वर्तते विदितात्मनाम् ॥२६॥

kāmakrodhaviyuktānāṁ yatīnāṁ yatacetasām |
abhito brahmanirvāṇaṁ vartate viditātmanām ||26||
欲望と怒りから離れ、心を抑制し、自己を知る
苦行者たちにとって、ブラフマンにおける涅槃は近くにある。

バガヴァッド・ギーター第5章第25節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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लभन्ते ब्रह्मनिर्वाणम्
labhante brahmanirvāṇam
ラバンテー ブラフマニルヴァーナム
彼らはブラフマンにおける涅槃に達する

labhante【三人称・複数・アートマネーパダ・現在 √labh】[彼らは〜、それらは〜]捕らえる、遭遇する、発見する;看取する;取得する、獲得する、受け取る
brahmanirvāṇam【中性・単数・対格 brahmanirvāṇa】[〜に、〜を]ブラフマン(梵)の中に帰入すること、ブラフマンにおける涅槃、梵涅槃

ऋषयः क्षीणकल्मषाः ।
ṛṣayaḥ kṣīṇakalmaṣāḥ |
リシャヤハ クシーナカルマシャーハ
罪障を滅した聖仙たちは

ṛṣayas【男性・複数・主格 ṛṣi】[〜らは、〜らが](聖讃歌の)詩人・作者、詩人、詩人の祭官;聖人、賢人、聖仙;隠者
kṣīṇa√kṣiの過去受動分詞】減った、欠けた(月);失われた、尽きた、終わった;微かな;弱い、薄い、痩せた;貧弱な;哀れな;破られた、傷つけられた
kalmaṣās【中性・複数・主格 kalmaṣa】汚物;汚点;屑、廃物、沈殿物;道徳的汚点;犯罪、罪過;暗黒
→kṣīṇakalmaṣās【中性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが]罪悪を滅した、罪障が消滅した

छिन्नद्वैधा यतात्मानः
chinnadvaidhā yatātmānaḥ
チンナドヴァイダー ヤタートマーナハ
疑惑を断ち、心を制御し

chinna√chidの過去受動分詞】切られた、切り取られた、切断された;刻目を付けられた;束縛された;失われた
dvaidhās【中性・複数・主格 dvaidha】二元性;二重;相違、分離;論争、論議、反駁;疑惑、不安、不確実;予備の陣列;軍隊の分割 【形容詞】二つに分けられた;二重の、二倍の 
→chinnadvaidhās【男性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが]疑を去った、疑惑を断ち切った
yata√yamの過去受動分詞】抑制された、制御された、阻止された
ātmānas【男性・複数・主格 ātman】気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
→yatātmānas【男性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが]自己を抑制した、心を制御した

सर्वभूतहिते रताः ॥
sarvabhūtahite ratāḥ ||
サルヴァブータヒテー ラターハ
一切衆生の幸福を喜ぶ(聖仙たちは)

sarvabhūta【中性】一切の存在物、万物、一切衆生
hite【中性・単数・処格 hita√dhāの過去受動分詞)】ためになること、利益、有利、安寧、善;よい忠告 【形容詞】〜のなかへ置かれた、横たえられた;〜に位置した・横たわっている・含まれている;建てられた、用意された、並べられた;〜に対して有益な・ためになる・有利な・好都合な・適した;好意ある;好意を有する、友好的な、親切な
→sarvabhūtahite【中性・単数・処格】[〜において、〜のなかで]一切衆生の利益、すべての生類の幸福
ratās【男性・複数・主格 rata√ramの過去受動分詞)】[〜らは、〜らが]喜んだ、満足した、喜ばしい

लभन्ते ब्रह्मनिर्वाणमृषयः क्षीणकल्मषाः ।
छिन्नद्वैधा यतात्मानः सर्वभूतहिते रताः ॥२५॥

labhante brahmanirvāṇamṛṣayaḥ kṣīṇakalmaṣāḥ |
chinnadvaidhā yatātmānaḥ sarvabhūtahite ratāḥ ||25||
罪障を滅し、疑惑を断ち、心を制御し、一切衆生の幸福を喜ぶ
聖仙たちは、ブラフマンにおける涅槃に達する。

バガヴァッド・ギーター第5章第24節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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यो ऽन्तःसुखो ऽन्तरारामस्
yo ‘ntaḥsukho ‘ntarārāmas
ヨー ンタハスコー ンタラーラーマス
内に幸福あり、内に喜びある人

yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】[〜は、〜が]〜であるもの、〜である人
antaḥsukhas【男性・単数・主格 antaḥsukha】内に幸福がある
antarārāmas【男性・単数・主格 antarārāma】内に歓喜がある、内に喜びをもつ

तथान्तर्ज्योतिर् एव यः ।
tathāntarjyotir eva yaḥ |
タターンタルジョーティル ヤハ
また、内に光明ある人

tathā【副詞】そのように、同様に;そして、また
antarjyotis【中性・単数・主格 antarjyotis】内に光明がある、内に光輝をもつ
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】[〜は、〜が]〜であるもの、〜である人

स योगी ब्रह्मनिर्वाणं
sa yogī brahmanirvāṇaṁ
サ ヨーギー ブラフマニルヴァーナン
かのヨーガ行者は、ブラフマンにおける涅槃に

sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼
yogī【男性・単数・主格 yogin】[〜は、〜が]ヨーガ行者、修行者、実践者
brahmanirvāṇam【中性・単数・対格 brahmanirvāṇa】[〜に、〜を]ブラフマン(梵)の中に帰入すること、ブラフマンにおける涅槃、梵涅槃
※バラモン教におけるbrahmanと仏教におけるnirvāṇaとの合成語、梵への没入。(辻直四郎注)
※生前に解脱してもなお身体が残っている。死後に完全に解脱し、輪廻から脱すると考えられたようである。(上村勝彦注)

ब्रह्मभूतो ऽधिगच्छति ॥
brahmabhūto ‘dhigacchati ||
ブラフマブートー ディガッチャティ
ブラフマンと一体化し、彼は達する

brahmabhūtas【男性・単数・主格 brahmabhūta】ブラフマンとなる、ブラフマンに帰入する、ブラフマンと一体化する
adhigacchati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 adhi√gam】[彼は〜、それは〜]〜に行く、近づく、達する;入手する、獲得する;娶る、結婚する;見出す、発見する;完成する

योऽन्तःसुखोऽन्तरारामस् तथान्तर्ज्योतिरेव यः ।
स योगी ब्रह्मनिर्वाणं ब्रह्मभूतोऽधिगच्छति ॥२४॥

yo’ntaḥsukho’ntarārāmas tathāntarjyotireva yaḥ |
sa yogī brahmanirvāṇaṁ brahmabhūto’dhigacchati ||24||
内に幸福あり、内に喜びあり、そして内に光明あるヨーガ行者は、
ブラフマンと一体化し、ブラフマンにおける涅槃に達する。

バガヴァッド・ギーター第5章第23節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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शक्नोतीहैव यः सोढुं
śaknotīhaiva yaḥ soḍhuṁ
シャクノーティーハイヴァ ヤハ ソードゥン
この世において、克服できる人は

śaknoti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √śak】[彼は〜、それは〜]することができる・する能力を有する・する力をもつ;遂行する
iha【副詞】ここで[へ・に];この世で、地上で
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】[〜は、〜が]〜であるもの、〜である人
soḍhum【不定詞 √sah】[〜すること](敵など)を征服する、(戦闘など)に勝つ;勝利を得る;力を有する;(くびき)を負う;(感情)を克服する、抑制する;許容する、忍ぶ、忍耐強く耐える、静かに耳を傾ける、見逃す;(人を)我慢する

प्राक् शरीरविमोक्षणात् ।
prāk śarīravimokṣaṇāt |
プラーク シャリーラヴィモークシャナートゥ
身体から解放される前に

prāk【中性・単数・主格 prāñc】前方に向けられた;前面にある、面した;東の、東方の;(従格)の東方にある;〜したがる、欲する;前の、先だった、〜より以前の
śarīravimokṣaṇāt【中性・単数・従格 śarīra-vimokṣaṇa】[〜から、〜より]身体からの解放、死

कामक्रोधोद्भवं वेगं
kāmakrodhodbhavaṁ vegaṁ
カーマクロードードゥバヴァン ヴェーガン
欲望と怒りから生じる衝動を

kāma【男性】〜に対する願望、欲望;愛、快楽;利益;性愛;愛の神
krodha【男性】怒り、激怒、憤怒、激情
udbhavam【男性・単数・対格 udbhava】[〜に、〜を]起源、出生、出現;成長;誕生地 【形容詞】〜より生じた、〜より造られた
→kāmakrodhodbhavam【男性・単数・対格、限定複合語 kāma-krodha-udbhava】欲望と怒りから生じた
vegam【男性・単数・対格 vega】[〜に、〜を]激突、衝撃;突進、衝突、洪水、激流;推進力、力、速力、速度;驀進、激烈、急ぎ、突然の衝動;突発、勃発、興奮;(病気の)襲来;(毒の)循環、作用;衝動

स युक्तः स सुखी नरः ॥
sa yuktaḥ sa sukhī naraḥ ||
サ ユクタハ サ スキー ナラハ
彼は専心した幸福な人である

sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼
yuktas【男性・単数・主格 yukta√yujの過去受動分詞)】[〜は、〜が]くびき(軛)につながれた、(処格)に従事した、〜に専心した;(具格)に忙殺された、〜に専念した;(処格)に熱中した;集中した
sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼
sukhī【男性・単数・主格 sukhin】幸福な、楽しい、嬉しい、快適な、愉快な;繁栄する
naras【男性・単数・主格 nara】[〜は、〜が]人;男;人物;夫;勇士

शक्नोतीहैव यः सोढुं प्राक्षरीरविमोक्षणात् ।
कामक्रोधोद्भवं वेगं स युक्तः स सुखी नरः ॥२३॥

śaknotīhaiva yaḥ soḍhuṁ prākṣarīravimokṣaṇāt |
kāmakrodhodbhavaṁ vegaṁ sa yuktaḥ sa sukhī naraḥ ||23||
この世において、身体から解放される前に、欲望と怒りから生じる
衝動を克服できる人は、専心した幸福な人である。

バガヴァッド・ギーター第5章第22節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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ये हि संस्पर्शजा भोगा
ye hi saṁsparśajā bhogā
イェー ヒ サンスパルシャジャー ボーガー
なぜなら、接触から生じる享楽は

ye【男性・複数・主格、関係代名詞 yad】〜であるところの、〜であるもの、〜である人
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
saṁsparśajās【男性・複数・主格 saṁsparśaja】接触から生じる
bhogās【男性・複数・主格 bhoga】[〜らは、〜らが]食うこと、享受すること、消耗すること;享有、享受;使用、使役、適用;用益;性的享楽;支配、統括;感覚、知覚;功用、利益;快楽、歓喜;享楽の対象;財産、収益

दुःखयोनय एव ते ।
duḥkhayonaya eva te |
ドゥフカヨーナヤ エーヴァ テー
不幸の根源であり

duḥkha【中性】不安、心配、苦痛、悲しみ、悲哀、困難、苦しみ
yonayas【男性・複数・主格 yoni】子宮、陰門、母胎;膝;生地;家庭、住所、巣、獣穴;生産の場所、起源、出所;貯蔵所、容器、所在、場所;出生、血統、種族、家柄、種姓(階級)
→duḥkhayonayas【男性・複数・主格、限定複合語 duḥkha-yoni】悲しみの源、不幸の根源;苦を生むもの
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
te【男性・複数・主格、指示代名詞 tad】[〜らは、〜らが]それ、あれ、彼

आद्यन्तवन्तः कौन्तेय
ādyantavantaḥ kaunteya
はじめと終わりのあるもの、アルジュナよ

ādi【男性】始、初;最初、始め
antavantas【男性・複数・主格 antavat】際限を有する、有限の、最終の、無常の、消滅すべき
→ādyantavantas【男性・複数・主格 ādyantavat】始終を有する、始めと終わりのある
kaunteya【男性・単数・呼格】[〜よ]クンティーの息子、アルジュナの別名

न तेषु रमते बुधः ॥
na teṣu ramate budhaḥ ||
ナ テーシュ ラマテー ブダハ
賢者はそれらにおいて楽しまない

na【否定辞】〜でない
teṣu【男性・複数・処格、指示代名詞 tad】[〜らにおいて、〜らのなかで]それ、あれ、彼
ramate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √ram】[彼は〜、それは〜]とどめる、休息させる、固着させる;〜を喜ばせる;静止する、休息する;とどまることを好む;喜ぶ、満足する;楽しむ、好む
budhas【男性・単数・主格 budha】[〜は、〜が]知者、賢人、聖者;神;[ソーマの子の名]水星;[諸神の名] 【形容詞】理解力のある、怜悧な、賢い

ये हि संस्पर्शजा भोगा दुःखयोनय एव ते ।
आद्यन्तवन्तः कौन्तेय न तेषु रमते बुधः ॥२२॥

ye hi saṁsparśajā bhogā duḥkhayonaya eva te |
ādyantavantaḥ kaunteya na teṣu ramate budhaḥ ||22||
なぜなら、接触から生じる享楽は、不幸の根源であり、
有限である。アルジュナよ、賢者はそれらにおいて楽しまない。

バガヴァッド・ギーター第5章第21節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

बाह्यस्पर्शेष्वसक्तात्मा
bāhyasparśeṣvasaktātmā
バーヒヤスパルシェーシュヴァサクタートマー
外界との接触に執心しない者は

bāhya【形容詞】外側にある、〜の外側に位した;外の、外部の;他国の、外国の;種姓(階級)または共同社会から除外された、放逐された、〜の外にある、〜と接触する、〜の範囲外の、〜となんら関係のない
sparśeṣu【男性・複数・処格 sparśa√spṛśから派生)】[〜において、〜のなかで]接触、感触;感情、感覚;快感;触覚
asaktaā√sañjの過去受動分詞】〜にしがみつかない・執着しない・固執しない;無執着の;世俗を超越した;束縛のない
ātmā【男性・単数・主格 ātman】[〜は、〜が]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
→bāhyasparśeṣvasaktātmā【男性・単数・主格、所有複合語】[〜は、〜が]外界との接触に執着しない自己、外界との接触に心が執着しないもの

विन्दत्यात्मनि यत् सुखम् ।
vindatyātmani yat sukham |
ヴィンダティヤートマニ ヤット スカム
自己の中に幸福を見出す

vindati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √vid】[彼は〜、それは〜]見出す、遭遇する、獲得する、取得する;所有する;探し出す、求める
ātmani【男性・単数・処格 ātman】[〜において、〜のなかで]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
yat【中性・単数・主格、関係代名詞 yad】〜であるもの、〜である人、〜であるとき
sukham【中性・単数・対格 sukha】[〜に、〜を]安楽、歓喜、幸福、享楽、繁栄、成功

स ब्रह्मयोगयुक्तात्मा
sa brahmayogayuktātmā
サ ブラフマヨーガユクタートマー
彼は、ブラフマンのヨーガに専心し

sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼
brahmayoga【男性】ブラフマンのヨーガ、ブラフマンとの合一;叡知を養うこと
yukta√yujの過去受動分詞)】くびき(軛)につながれた、(処格)に従事した、〜に専心した;(具格)に忙殺された、〜に専念した;(処格)に熱中した;集中した
ātmā【男性・単数・主格 ātman】[〜は、〜が]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我

सुखम् अक्षयम् अश्नुते ॥
sukham akṣayam aśnute ||
スカム アクシャヤム アシュヌテー
不滅の幸福を得る

sukham【中性・単数・対格 sukha】[〜に、〜を]安楽、歓喜、幸福、享楽、繁栄、成功
akṣayam【中性・単数・対格 akṣaya】不滅の、永遠の、破壊できない
aśnute【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √aś】[彼は〜、それは〜]到達する;達成する;遭遇する;捧げる;楽しむ

बाह्यस्पर्शेष्वसक्तात्मा विन्दत्यात्मनि यत्सुखम् ।
स ब्रह्मयोगयुक्तात्मा सुखमक्षयम् अश्नुते ॥२१॥

bāhyasparśeṣvasaktātmā vindatyātmani yatsukham |
sa brahmayogayuktātmā sukhamakṣayam aśnute ||21||
外界との接触に執心しない者は、自己の中に幸福を見出す。
彼は、ブラフマンのヨーガに専心し、不滅の幸福を得る。

バガヴァッド・ギーター第5章第20節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

न प्रहृष्येत् प्रियं प्राप्य
na prahṛṣyet priyaṁ prāpya
ナ プラフリシェート プリヤン プラープヤ
喜ばしいものを得ても喜ばず

na【否定辞】〜でない
prahṛṣyet【三人称・単数・パラスマイパダ・願望 pra√hṛṣ】[彼は〜だろう、彼は〜するべき]喜ぶ、嬉しい、愉快である
priyam【男性・単数・対格 priya】〜に親しい、〜に愛された;寵愛を受ける、慈しまれた;喜ばしい、愉快な;高価な;〜を好む、〜に傾いた・執着した 【中性名詞】好意、親愛、親切、愛、楽しみ、喜び
prāpya【絶対分詞 pra√āp】[〜して、〜してから]到達する、会する、邂逅する、見出す;獲得する、娶る;蒙る

नोद्विजेत् प्राप्य चाप्रियम् ।
nodvijet prāpya cāpriyam |
ノードヴィジェート プラープヤ チャープリヤム
不快なものを得ても嫌悪しない

na【否定辞】〜でない
udvijet【三人称・単数・パラスマイパダ・願望 ud√vij】[彼は〜だろう、彼は〜するべき]身震いする、(〜から)尻込みする、〜を恐れる;〜を中止する・控える;〜を嫌悪する;〜することにあきる;恐れさす
prāpya【絶対分詞 pra√āp】[〜して、〜してから]到達する、会する、邂逅する、見出す;獲得する、娶る;蒙る
ca【接続詞】そして、また、〜と
apriyam【男性・単数・対格 apriya】意に適わない、不快な、歓迎されない 【中性名詞】不愉快な事物、不愉快な報知

स्थिरबुद्धिर् असंमूढो
sthirabuddhir asaṁmūḍho
スティラブッディル アサンムードー
志操堅固で迷いなく

sthirabuddhis【女性・単数・主格 sthirabuddhi】志操堅固な、不動の、決然とした
asaṁmūḍhas【男性・単数・主格asaṁmūḍha(a-sam√muhの過去受動分詞)】当惑しない、明瞭な意識を有する

ब्रह्मविद् ब्रह्मणि स्थितः ॥
brahmavid brahmaṇi sthitaḥ ||
ブラフマヴィッド ブラフマニ スティタハ
ブラフマンを知り、ブラフマンに安住する者は

brahmavid【男性・単数・主格 brahmavid】ヴェーダ・ブラフマンを知っている、聖智ある;呪術に巧みな 【男性名詞】ヴェーダ学者、神学者、哲学者
brahmaṇi【中性・単数・処格 brahman】[〜において、〜のなかで]聖智に満ちた者、婆羅門;祭官とくにヴェーダ祭式を総監する祭官;ブラフマンを神格化した最高神、梵天、宇宙の創造者として保持者ヴィシュヌおよび破壊神シヴァとともにトリムルティを形成する神格;理性
sthitas【男性・単数・主格 sthita】立っている、立ち上がっている;〜に留まる・残る・位置している;〜に従事した・熱中した・耽った・献身した・実践する・に屈しない;着実な、守られた;定着した

न प्रहृष्येत्प्रियं प्राप्य नोद्विजेत्प्राप्य चाप्रियम् ।
स्थिरबुद्धिरसंमूढो ब्रह्मविद् ब्रह्मणि स्थितः ॥२०॥

na prahṛṣyetpriyaṁ prāpya nodvijetprāpya cāpriyam |
sthirabuddhirasaṁmūḍho brahmavid brahmaṇi sthitaḥ ||20||
志操堅固で迷いなく、ブラフマンを知り、ブラフマンに安住する者は、
喜ばしいものを得ても喜ばず、不快なものを得ても嫌悪しない。