バイラヴァ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ क्षेत्रपालाय विद्महे तीक्ष्णदंष्ट्राय धीमहि ।
तन्नो भैरव प्रचोदयात्‌ ॥
・om kṣetrapālāya vidmahe tīkṣṇadaṁṣṭrāya dhīmahi |
tanno bhairava pracodayāt ||

・オーム クシェートラパーラーヤ ヴィッドゥマヘー ティークシュナダンシュトラーヤ ディーマヒ
タンノー バイラヴァ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが地を守る方(クシェートラパーラ)を知り、鋭い歯をもつ方(ティークシュナダンシュトラ)を瞑想できるように
バイラヴァよ、我らを導き給え

バイラヴァ神は、シヴァ神の化身した恐ろしい姿として知られています。
欲望にまみれ驕り高ぶった態度を見せたブラフマー神を罰するために、シヴァ神はバイラヴァ神の姿となり、5つあったブラフマー神の頭を切り落とし苦行を行いました。
それ故、ブラフマー神の頭は4つとなり、一方バイラヴァ神は切り落としたブラフマーの頭を持った姿で描かれます。
シヴァ神のもっとも恐れられる姿にも関わらず、バイラヴァ神への礼拝は限りのない保護と繁栄を授けると伝えられます。
それは、私たちの欲望という最も恐ろしい敵を倒すとともに、優れた精神力を授けてくれるからだと信じられています。

個々の魂を解脱へと導くパシュパティ神(シヴァ神)への祈り


・ॐ पशुपतये नमः
・om paśupataye namaḥ

・オーム パシュパタイェー ナマハ
・意味:パシュパティ神に帰依いたします。

パシュパティはシヴァ神の姿です。パシュは個々の魂(ジーヴァ)を意味し、パティは神、師やシヴァを意味します。したがってパシュパティは、個々人の神、動物の神としてのシヴァ神をあらわします。

シャイヴァ(シヴァ派)・シッダーンタによると、本来ジーヴァとしての個々の魂は、無限に拡がり、遍在しています。しかし、個人が所持する不純物が、本来無限である魂を限定し、無知なるものと貶めています。このような個人を束縛する不純物は索縄(パーシャ)と呼ばれ、自然界には、アーナヴァ、カルマ、マーヤーの3種類のパーシャが存在します。パーシャの文字通りの意味は糸ですが、その糸は、個我の汚れというアーナヴァ、行為の汚れというカルマ、幻力であるマーヤーという3本のより糸から構成されています。この3本のより糸が、個人を束縛へと結びつけています。

アーナヴァは無知であり、無始以来個我と結びつき、妄想の原因となる不活性なエネルギーです。それは、個人の束縛の根本原因であるといわれています。しかし、拭い去ることもまた可能です。

カルマは、想い、言葉、行為の結果として個人を束縛します。カルマは、生死の輪廻へと個人を結びつけ、利と不利益を生みだします。しかし、抑制・消滅させることも可能です。

マーヤーは、道具としての肉体、そして経験の対象を個人に与えます。マーヤーは、悪用と足枷の原因となる無知の影響下にもかかわらず、進化のために宇宙を創造します。マーヤーもまた、消滅させることが可能です。

カシュミール・シャイヴィズム(シヴァ派)によると、この3種類の束縛のために、個人の魂はパシュ(家畜、動物、神と区別しての個人の魂)と呼ばれています。個人の魂が霊性の道に向かって前進するとき、その本質はシヴァ神と合致し、永遠不滅の真理としての本性をあらわし、すべてに浸透して光輝の意識へと到達します。

自らの魂がシヴァ神と同一であると思い起こされたとき、解脱に到達するといわれます。すべての障壁が取りのぞかれたとき、この思いがこの人生で想起されるでしょう。

パシュパティ神への祈りは、パーシャからの解放をもたらし、この人生におけるモークシャの妨害となるものを取り除くとされています。また、パーシャの束縛による感情の荒波を鎮める作用があるといわれます。この生における魂をモークシャへと導き、束縛や執着によって生じる無知、苦悩、苦痛を滅ぼす意識、すなわちルドラ・コンシャスネスへと高めると信じられています。

アイヤッパ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ बोधनाथाय विद्महे भवपुत्राय धीमहि ।
तन्नो शास्त प्रचोदयात्‌ ॥
・om bodhanāthāya vidmahe bhavaputrāya dhīmahi |
tanno śāsta pracodayāt ||

・オーム ボーダナーターヤ ヴィッドゥマヘー バヴァプットラーヤ ディーマヒ
タンノー シャースタ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らが覚醒の主を知り、シヴァ神の息子である方を瞑想できるように
シャースタよ、我らを導き給え

アイヤッパ神のガーヤトリー・マントラのひとつです。
アイヤッパ神は、ヨーガの補助具であるヨーガパッタを膝に巻いた姿で描かれ、南インドのケーララ州でとくに人気の高い神です。
シヴァ神とヴィシュヌ神の子孫であるダルマ・シャースタの化身と言い伝えられることから、シャースタとも呼ばれます。
アイヤッパ神は超人的、神的な知識と勇気を持ち合わせ、人々に恩恵を授け、病を治癒する神として古くから崇められています。

ダクシナームールティ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ दक्षिणामूर्तये विद्महे ध्यानस्थाय धीमहि ।
तन्नो धीशः प्रचोदयात्‌ ॥
・om dakṣiṇāmūrtaye vidmahe dhyānasthāya dhīmahi |
tanno dhīśaḥ pracodayāt ||

・オーム ダクシナームールタイェー ヴィッドゥマヘー ディヤーナスターヤ ディーマヒ
タンノー ディーシャハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがダクシナームールティを知り、瞑想に耽るお方を瞑想できるように
知性の主よ、我らを導き給え

ダクシナームールティは、シヴァ神の師としての姿であり、知識や悟りの化身として崇められる存在です。
容易く見つかる存在ではないグルを求める中で、ダクシナームールティは誰もがグルとして崇められる偉大な存在です。
ダクシナームールティは、サンスクリット語で「南面を向く者」の意味があります。
一説にシヴァ神は、ヒマラヤの地で弟子に教えを説いた時、南を向いて座っていたといわれます。
このシヴァ神のダクシーナムールティとしての姿を崇める者は、死から不死へと導かれると信じられています。
インドにおいて、南は死を意味する方角のため、ダクシナームールティは死すなわち変化をもたらす神といわれます。

困難を超越するためのルドラ・マントラ・サーダナ

ルドラとしてのシヴァ神を讃えるマントラを通じた、困難を超越するためのマントラ・サーダナをご紹介いたします。

「ルドラ」は、本質的な意味として、「困難を超越する」と解されます。
ルドラは、シヴァ(吉兆)の怒りの側面を表した神格として知られています。
ルドラは、文字通りの意味としては、「恐ろしいもの」「恐怖のもの」「暴風神」などが挙げられますが、この文字が、「ル」と「ドラ」に分割される場合、「悲哀からの脱却」「悲しみからの解放」「困難を超越した状態」を意味する言葉となります。
これらはすべてルドラ・シヴァの本質であり、サマーディすなわちサダーシヴァと呼ばれる無の境地を示し、心の束縛から解放され、かつてない吉兆(シヴァ)と光輝をもたらすものです。


・ॐ नमो भगवते रुद्राय
・om namo bhagavate rudrāya

・オーム ナモー バガヴァテー ルドラーヤ

このルドラ・シヴァのエネルギーは、アグニ(火)のエネルギーと同質と考えられています。
ルドラすなわちアグニは、地上における物質的生活を破壊し、再建する神です。
彼は本性として怒りの性質を持ち、私たちの中で、火の属性すなわち怒りとして表現されます。
過度の怒りは、病気の元となり、肉体や心を傷つけます。
しかし、自己の肉体を維持し、社会生活向上の手段として、怒りは時として必要不可欠な性質です。

このマントラは、毎日11回唱えることで、病を払拭し、健康な身体を手にすることができると信じられます。
マントラの詠唱は、シヴァ神を礼拝する吉日である月曜日、プラドーシャ、シヴァラートリーなどに開始することが勧められます。
16日間で125000回を唱え終えると、このマントラのシッディを得ることができるとも伝えられます。
健康のために唱えられることが多いこのマントラは、心願成就のために唱えることもでき、マントラ・サーダナを成功させるための可能性を高めると信じられます。

この旋律は、神々と自然のすべての要素を歓ばせるといわれます。
怒りをなだめ、心に平安をもたらし、困難を脱却した光輝の状態へと導かれるでしょう。

参照:Rudra Mantra for Fulfilling Wishes

ムリタ・サンジーヴァニー・マントラ

インドには、死者を蘇らせると信じられる強力なマントラが伝わります。
ムリタ・サンジーヴァニー・マントラと呼ばれるこのマントラは、ガーヤトリー・マントラとマハームリティユンジャヤ・マントラが交互に唱えられるマントラです。

ガーヤトリー・マントラは、万物に命を吹き込む太陽の光を讃えるマントラです。
マハームリティユンジャヤ・マントラは、死に打ち勝つマントラとして知られ、すなわち輪廻の鎖を断ち切るマントラとして崇められます。

ムリタ・サンジーヴァニー・マントラは、賢者のシュクラーチャーリヤによって見出されたと伝えられます。
シュクラーチャーリヤは、長年にわたるシヴァ神への苦行によりこのマントラを発見し、このマントラを唱えることで、死者を蘇えらせることができたと伝えられます。

ムリタ・サンジーヴァニー・マントラは次のように唱えられます。


ॐ हौं जूं सः
ॐ भूर्भुवः स्वः
ॐ त्र्यम्बकं यजामहे
तत् सवितुर् वरेण्यं
सुगन्धिं पुष्टिवर्धनम्
भर्गो देवस्य धीमहि
उर्वारुकमिव बन्धनान्
धियो यो नः प्रचोदयात्
मृत्योर्मुक्षीय मामृतात्
स्वः भुवः भूः ॐ सः जूं हौं ॐ
om hauṁ jūṁ saḥ
om bhūrbhuvaḥ svaḥ
om tryambakaṁ yajāmahe
tat savitur vareṇyaṁ
sugandhiṁ puṣṭivardhanam
bhargo devasya dhīmahi
urvārukamiva bandhanān
dhiyo yo naḥ pracodayāt
mṛtyormukṣīya māmṛtāt
svaḥ bhuvaḥ bhūḥ om saḥ jūṁ hauṁ om

オーム ハウン ジューン サハ
オーム ブールブヴァハ スヴァハ
オーム トリャムバカン ヤジャーマヘー
タット サヴィトゥル ヴァレーニャン
スガンディン プシュティヴァルダナム
バルゴー デーヴァッシャ ディーマヒ
ウルヴァールカミヴァ バンダナーン
ディヨー ヨー ナハ プラチョーダヤートゥ
ムリティヨールムクシーヤ マームリタートゥ
スヴァハ ブヴァハ ブーフ オーム サハ ジューン ハウン オーム

※このマントラは非常に強力であるため、グルの教えのもとでしか唱えてはならないとされる場合があります。

参照:Sanjeevani Mantra to bring back the life in a dead body

シャンカラ・ガーヤトリー・マントラ


・ॐ सदाशिवाय विद्महे सहस्राक्ष्याय धीमहि ।
तन्नो साम्बः प्रचोदयात्‌ ॥
・om sadāśivāya vidmahe sahasrākṣyāya dhīmahi |
tanno sāmbaḥ pracodayāt ||

・オーム サダーシヴァーヤ ヴィッドゥマヘー サハスラークシャーヤ ディーマヒ
タンノー サーンバハ プラチョーダヤートゥ
・意味:我らがサダーシヴァ(永遠のシヴァ神)を知り、サハスラークシャ(千眼を持つ方)を瞑想できるように
サーンバ(宇宙の母を伴う方)よ、我らを導き給え

シヴァ神を讃えるガーヤトリー・マントラのひとつです。
永遠であるシヴァ神を讃えるサダーシヴァは、無の境地を示します。
かつてない吉兆(シヴァ)と光輝をもたらすものでもあります。
また、千眼を持つシヴァ神はすべてを見通す存在であり、サハスラークシャという御名で崇められます。
宇宙の母であるアンバー女神を伴うシヴァ神は、サーンバという御名で崇められることもあります。

身体の毒素を取り除くためのマントラ・サーダナ

シヴァ神を讃えるマントラを通じた、身体から毒素を取り除くためのマントラ・サーダナをご紹介いたします。

世界の安寧を願い瞑想を続けるシヴァ神は、ニーラカンタという御名で崇められることがあります。
ニーラカンタは青い首を意味します。
シヴァ神がニーラカンタという御名で崇められる理由には、乳海撹拌の神話に由来があります。

乳海撹拌は、不死の霊薬であるアムリタを得るために、神々と悪魔が協力し海を撹拌したと伝えられる神話です。
その過程では、霊薬であるアムリタだけでなく、猛毒であるハラーハラも生み出されてしまいます。
世界を救うために、その猛毒であるハラーハラを飲み込んだのがシヴァ神でした。
猛毒によって青くなった首を持つシヴァ神は、後にニーラカンタと呼ばれ、崇められるようになります。

このマントラは、そんな慈悲深いニーラカンタとしてのシヴァ神を礼拝する意味のマントラです。
このマントラを唱えることで、身体に溜まったさまざまな毒素を取り除くことができると伝えられます。
そして、恐ろしい病を払拭することができるとも信じられています。


ॐ नमो भगवते नीलकण्ठाय नमः
om namo bhagavate nīlakaṇṭhāya namaḥ

オーム ナモー バガヴァテー  ニーラカンターヤ ナマハ

シヴァ神は、自身の内外に潜む悪の性質を破壊し、その結果として、繁栄や幸運をもたらす慈悲深い神です。
マントラを通じて、その力を自分自身の内に呼び覚ますことで、身体的な毒素だけでなく、心の中に潜む不純物や悪徳も払拭することができるでしょう。

参照:Shiva Mantra To Remove Poison

罪を浄化するためのマントラ・サーダナ

シヴァ神を讃えるマントラを通じた、罪を浄化するためのマントラ・サーダナをご紹介いたします。

過去の罪や過ちは、それが意図的であるにせよ、偶発的であるにせよ、いつまでも私たちを悩ませ続けます。罪悪感が心に深く根を下ろし、人生が辛く感じることも少なくありません。

シヴァ神は、別名にハラという御名があります。ハラには、破壊する、取り除く、持ち去るなどといった意味があります。このマントラは、罪を取り除くシヴァ神を礼拝する意味のマントラです。

罪悪感に苦しむ人は、このマントラを唱えることが勧められます。また、過去の罪や過ちに心が悩まされる時はいつでも、このマントラを唱えることが良いと伝えられます。合計で600,000回に達すると、このマントラは非常に強い力を発揮すると信じられます。マーラーを使用する必要ななく、シヴァ神を瞑想する長期的な取り組みにおいて唱えることも良いでしょう。


ॐ हराय नमः
om harāya namaḥ

オーム ハラーヤ ナマハ

シヴァ神は、自身の内外に潜む悪の性質を破壊し、その結果として、繁栄や幸運をもたらす慈悲深い神です。マントラを通じて、その力を自分自身の内に呼び覚ますことで、清らかな心で豊かな日々を歩むことができるでしょう。

参照:Shiva Mantra To Cleanse Sins

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世界を破壊し、万物に限りない恵みをもたらすシヴァ神の千の御名

神の言語であるサンスクリット語による祈りは、精神的・肉体的な問題を癒すヒーリング・サウンドとして作用し、人々の願望や、魂の欲求を満たすことができると信じられています。
その一つに、破壊神であるシヴァ神を讃える千の御名(シヴァ・サハスラナーマ)があります。

シヴァ神の御力と栄光は、宇宙全体に浸透し、生きとし生けるものすべての内に、意識として輝いています。
シヴァ神の偉大なる性質を賛美し、また伝統的な方法で礼拝することは、あらゆる分野での勝利をもたらし、究極的には内なる神の存在を悟り得ます。
シヴァ神は、もっとも微細な象徴のアーカーシャでもある至高の存在です。

ヴェーダにおけるルドラとしての姿では、真理の悟りへの障害となる暗黒と悪を滅ぼします。
ダクシナームールティの姿においては、シヴァ神は究極の教師であり、熱意を持って帰依者を指導し、知恵と叡智を授けます。
アルダナーリーシュヴァラの姿においては、男性性と女性性のように完全に相反する形態でさえも、完全な調和がとれることを示し、結婚生活やその他の社会生活における調和を帰依者に祝福します。
チダムバラムを踊るナタラージャの姿においては、広大な宇宙とわたしたち内部に存在する神聖エネルギーを鼓舞する踊りを舞います。
マールガヴァンドゥの姿においては、シヴァはわたしたちの守護神として、人生という旅の期間、護り導いてくれます。
カーラヴァイラヴァの姿においては、帰依者が時間を最大限有効に使い、人生の目的に到達できるよう手を差しのべます。
光のリンガを意味するジョーティリンガの姿においては、あらゆる神々の中心的存在としての姿で顕現し、帰依者に祝福と叡智を授けます。
5文字からなるマントラ、ナマーシヴァーヤの姿においては、神聖光輝への道標となり、導き手となります。
ムリティユンジャヤの姿においては、帰依者を健康と長寿で祝福し、不死を授けます。

真摯に心を込めてシヴァ神への祈りに耳を傾けることで、誰もがその祝福を得ることができるでしょう。