宇宙創造の卵の女神

木々が色づき空が高くなる秋の日には、変化する自然を肌で感じる瞬間があります。
インドではそんな季節の変わり目に、自然を動かす偉大な力である女神たちが9日間に渡って礼拝されます。
ナヴァラートリー祭と呼ばれるその祝祭において、一夜ずつ崇められるのが、ドゥルガー女神の9つの姿です。

そのドゥルガー女神の9つの姿の中に、クシュマーンダーと呼ばれる女神がいます。
クシュマーンダー女神は、ドゥルガー女神の9つの姿の4番目の姿であり、ナヴァラートリー祭では第4夜に礼拝される神格です。

クシュマーンダー女神は、宇宙を生み出す卵であるといわれます。
一説に、まだ宇宙が存在せず暗闇しかなかったところに、クシュマーンダー女神が微笑むと、光が生まれたと伝えられます。
言い伝えでは、クシュマーンダーの「ク」は小さい、「ウシュマ」は暖かさや熱意、「アンダ」は卵という意味があるといわれます。

インド占星術においては、4室に母親、出生地、幸福、家庭といった象意があるとされてきました。
自分自身が生まれるところであり、無条件の愛があるその場所は、ナヴァラートリー祭で第4夜に礼拝され、宇宙を生み出し育むクシュマーンダー女神の姿に重なります。

また、クシュマーンダには、かぼちゃという意味があります。
実りの秋の象徴でもある丸々としたかぼちゃは、その実の中に多くの種を含みます。
大きく成熟していくかぼちゃは、この宇宙の中で、私たち一人ひとりが成長していく姿のようです。
私たちは、蔓を通して大地に繋がり栄養を受け取るかぼちゃのように、常に本質に繋がりながら成長しなくてはなりません。

肉体を持って生まれた私たちは、クシュマーンダー女神を礼拝する時、無条件の愛の中で成長していくことができると信じられます。
自らが生まれる場所に繋がりながら、深い愛と安定の中で生きれば、私たちは自分自身の本質に気づくことができるはずです。
その時、内にある暗闇には暖かな光が灯るに違いありません。

クシュマーンダー女神の力がなければ、私たちは太陽の光とそのエネルギーを受け取ることができないといわれます。
ナヴァラートリー祭は、そんな女神の力が活発になる時です。
小さな光が宇宙を満たすように、内なる世界に輝く光に常に気づいていられるよう、この時に女神たちへの祈りを捧げたいと感じます。

(文章:ひるま)