カーリー女神の首飾り

女神たちが9日間に渡って礼拝されるナヴァラートリーは、ドゥルガー女神が凶悪な悪魔と戦った9日間であると伝えられます。
このナヴァラートリーにおいて、とりわけ重要視されるのが、8日目を意味するアシュタミーです。
2019年は、10月6日にあたります。

アシュタミーが重要視されるのは、悪魔との戦いの中で、ドゥルガー女神の額からカーリー女神が生まれた時とされるためです。
暗黒の女神と称されるカーリー女神は、悪魔の血を吸う真っ赤な舌を伸ばし、切り落とされた無数の人間の腕をスカートのように巻きつけています。
その鬼気迫る様相とは対照的に、カーリー女神は人々を偉大な愛の中に包み込みます。

カーリー女神の胸には、切り落とされた人間の頭、もしくは髑髏が、首飾りのように巻きついています。
ムンダマーラーと呼ばれるこの首飾りは、カーリー女神だけでなく、他の神格も身につけることがあります。
カーリー女神が身につけるこの首飾りには、さまざまな言い伝えがありますが、それは私たちの頭の中を駆け巡る思考の数々であると教えられたことがありました。

私たちは、とめどなく溢れる思考に振り回されることが少なくありません。
そうして心の平安を失い、不安や恐怖、迷いや疑いに苛まされることもあります。
嫉妬や嫌悪といった感情が生まれ、自らを悪に導いてしまうことも少なくありません。
さらには、頭に浮かぶ思考に自分自身を重ね、自分自身の本質を見失うことも往々にあります。

カーリー女神は、このようにとめどなく溢れる思考を次々と切り落とし、自らの体に身につけるのだといいます。
良い思考も悪い思考も、カーリー女神はすべてを受け入れ、私たちを解放するとともに本質へと導きます。

カーリー女神に身を委ねる時、とめどなく溢れる思考は消えていき、心には静寂が広まるはずです。
その静寂の中で、私たちは自分自身の本質に気づくことができるに違いありません。
カーリー女神が差し伸べる偉大な愛に気づき、その愛の中で生きることができるように努めたいと感じます。

(文章:ひるま)