198、アーユルヴェーダ音楽療法入門60 (ヤントラ・マンダラと脳機能7:Yantra/Mandalaと脳機能Kosha論-3-)

表題のテーマの前回(Vol.195)では、最中心円(魂と書かれたピンクの円)の如来とその上下左右の菩薩を「魂と心の領域」と説きました。実際その内容は、見事にkosha論と一致するのです。

今回は、その周り。Kosha論では、「VijnanaMaya-Kosha」とされる「論理的思考領域」です。
日本の密教曼荼羅では、上下左右に四如来(紫色で示した)が、それぞれ上下左右に四菩薩を従えて配置され、その間(四隅)に供養妃菩薩が置かれ、更に全体を取り巻く四隅に「地天、火天、水天、風天」が置かれます。

この配置が、如何に「論理思考領域」であるか、を見て見ましょう。
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まず四如来は、それぞれ「安」「徳」「時」「成」を象徴しているとしました。
仏教説法では、それぞれ「下:煩悩・妄執に屈しない悟り」「左:智慧の宝」「上:永遠の寿命」「右:業と行の成就→涅槃」などと説かれ、よほどの信仰心が無ければ、やはり「へー」で終わってしまいます。
しかし、下の如来の別な性質は「堅固で不動」です。つまり「堅い意思・決意」があってこそ「煩悩・妄執に屈しない」という因果を説かない限り、大衆には距離感がある訳です。このセットを庶民向けに文字で表すことを考えてみて下さい。それは「安定」に他ならず、一文字ならば「安」に至る訳です。
実生活でも、「安定・安心・安寧」を脅かし乱すものは、「雑音・誹謗中傷・批判非難・誘惑・騙し・煽動」などですが、サバンナの大型草食獣が、背中にハエが止まった程度では微動だにしないか、たまに尾ではたく程度の反応であるがごとくに「動じない」ということは、真の意味での「自信」があるからに他成りません。
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そして、見事にその如来が従えている菩薩が象徴するのが「安」の如来を取り囲む「善・浄・慈・済」です。
「迷わず善悪を分別出来る」「迷いの汚れを浄化する」と解釈すれば、私たち自身が実践すべき「論理思考」のあり方を示してくれています。「済」は仏教では「救い」の意味がありますが、「置き換え」でもあります。仏教説法では、「正しい場所へ置き換える」としますが、「依存的・ご利益宗教」に陥りがちです。(言うまでもなく、仏教説法を批判しているのでは毛頭無く、受け取る側の私たちの思考力を問ういているのですが)「置き換えの正しさ」を論理的に理解するには、「AをBに」のみならず「AをCに」のような逆の性質に「置き換える」という検証が瞬時に思考出来る力が必要です。これは、日常生活に於ける「置き換え力」であると共に「比喩力」であり、或る意味「切り替え力」であり。「置き換え力」が豊かな人間は「非末梢的」であり、「全体俯瞰力」が豊かです。それに対し「依存気質が強い」「枝葉感覚・価値観に依存している」「物事に捕らわれ、その反応の内発感情に支配され易い」という傾向が強い現代人は、「安と済の力が極めて脆弱になっている」ということが分かります。
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何故ならば。
幼少期から「選択・二者択一」を強いられ、その訓練を積まされてしまった現代人は「Aを最も正しい、BCDFのどれに置くべきか?」しか考えない「感情領域思考」に極めて偏っています。
そして、「気分感情領域」で「外因に反応しただけの答え」で、どれかを選んでしまう。
例えば、海難事故や交通事故で、対向車(船)が、急に右折して来て衝突する!という場面で、「相手(その瞬間は、敵であり害である)を避ける→逃げる→左にハンドル(舵)を切る」という「反応思考」で行動してしまいます。無論、相手・自分のそれぞれのスピードや距離感覚によっても異なりますが、それでも多くのパターンに於いて「左に曲がろうとする」は、極めて愚かな判断であるとすることに異論は無い筈です。そして、そもそも「避ける=逃げる=相手に背を向ける=相手に向かっては行かない」という性質があることは紛れも無い事実です。

何故「愚か」と言うか? それは「左に逃げる」は、「相手を回避する=逃げる」の中で、最も「相手との関わりの時間を長くする」からに他なりません。「相手背を向けて逃げる」と同じく、振り切る力が無い限り、何時迄も「危険と恐怖」を味わうことになり、結果も最悪に至ります。
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私にこの事を教えてくれたのは、猫エイズで奇跡的に六年延命した野良幼猫で保護した子でした。逃げ場の無い庭で遭遇した時、彼はコンクリ塀を登ろうとしましたが、滑って駄目。すると何と彼は私に向かって突進して来て、ひるんだ私の足元をすり抜けて行きました。
彼もまた、私の師匠のひとりとなり、他にも六年、多くのことを学びました。この時の教えは
「逃げるなら前に逃げろ!」でした。
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船でも車でも、「相手との時間を極限まで短縮する」ことは「被害を最小限にする」ということです。
最も成果が少ないのは、右にハンドルを切ったことで、むしろ正面衝突することですが、その直前や直後であれば、相手の車は、自分の車の後部に当たります。無論、後部座席に我が子を乗せていれば出来ませんが、直前直後でなければ、リスクはかなり軽減出来ます。
逆に「相手と関わる時間」を不必要に長くしてしまえば、あらゆる最悪の事態の可能性を高めてしまいます。

この例も、現代人の極めて多くが陥る「感情思考=置き換えが出来ない」日常的な習慣・癖が元凶にあるのです。

すがって・依存してご利益を期待するばかりでなく。「置き換えの意味」を常日頃から考えていれば、とっさの時に「二つの答え」を編み出すことが出来ます。しかし、その訓練が足りないと、奇妙でたくみなほどに「同じ答えを異なる言い方で想起してしまう」という「どつぼ」にはまります。まず想起したものの「真逆」を瞬時に考える癖をつけるべきでしょう。

お勧めは「事故で電車が遅れる→遅刻する→苛々する・焦る」というような場面で、「対応策」を「直感と真逆のセット」で考えてみるのが良いでしょう。そして「どうにもならない」となったら、その時間「論理思考:置き換え」の練習にでもあてれば、「精神状態・思考性」は、自ずと「安定・安寧」に至ります。

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何時も、最後までご高読を誠にありがとうございます。
本連載は、インドスピリチュアル・グッズweb-Shopのシーターラーマさんのご好意で長年連載を続けさせていただいております。皆様の応援も大きな支えです。少しでもお役に立てる内容がございましたら、ぜひ「いいね」の応援を下さいますよう。よろしくお願い致します。

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「インドに関係ないじゃないか!?」と思われるかも知れませんが、無論、当書では書き切れませんでしたが、「日本の楽器→ルーツ(ペルシアとインド)」の物語の背景には、「Naga-Sadhu(裸形上人)」や「Saraswati(妙音天)派修行僧」などの活躍が大であるという解釈が存在します。機会を得る度に、その核心に迫って行きますので、どうぞ応援下さいませ。

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若林は現在、福岡及び近郊の方の「通いレッスン」の他に、全国の民族音楽・民族楽器ファンの方々にSkypeでのレッスンを実施しています。体験の為に、インド楽器とVedic-Chant、アーユルヴェーダ音楽療法の「無料体験講座」も行っています。詳しくは「若林忠宏・民族音楽教室」のFacebook-Page「Zindagi-e-Mosiqui(毎月の実施日時も掲載しています)」か、若林のTime-Lineにメッセージでお尋ね下さい。 九州に音楽仲間さんが居らっしゃる方は是非、ご周知下さると幸いです。

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(文章:若林 忠宏

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