201、アーユルヴェーダ音楽療法入門63 (ヤントラ・マンダラと脳機能-8) (Yantra/MandalaとKosha論-4-)

今回の図は、シターラーマさんのファンの方々は、直ぐお気づきの「Shri-Yantra-Mandala」のまず最も外側の「Kosha」を特出したものです。
実は、(ご存知の方も多いかも知れませんが)
この「Shri-Yantra-Mandala」は、比較的近年に流行した。もしくは仮に古代にあったとしてもごく近年に復興したという説があります。
一説には、1980年代、ピラミッド・パワー・ブームの頃に創作された、とさえ言われます。

その根拠は、古くから伝わる「Shri-Mandala」は、神々の姿で描かれているのに対し、近年の「Shri-Yantra-Mandala」は「三角形」で表されていること。本来は様々な神々の集合体「Mandala」であるにも拘わらず、近年の「Shri-Yantra-Mandala」上向き下向きの三角形を、それぞれ「Shiva」「Shakti(Parvati)」のエネルギーである、と説明されていることです。
更には、「Omを唱えると水面にこの図称(図形)が現われた。それは17世紀に発見された」などの話もまことしやかに語られる訳ですが、17世紀であったとしても、伝統マンダラからしてみれば全く近年の感覚です。

従って、いささか苦しく「Shri-Yantra-Mandala」と呼ばれたりしますが、実際は「ほぼYantraであり、Mandalaと言うのは難しい」とも言えます。

尤も、1970年代米ヒッピー文化から生まれた「トリップ(用)映像」に端を発する線画を、今日のスピリチュアル・ファンの中で「マンダラ・曼荼羅」と称している人も少なくありません。私には懐かしい、小学生の頃に女子の間で流行っていた(今も「Spiro-Grapf」「くるくる定規」「ローリング・ルーラー」などの名で売られている)ものとほぼ同じ。無論、そこには「神々の配置・意味・曼荼羅の本質」は皆無で、「気分感情領域」で、「楽な気分・瞑想的なムード」を感じるに過ぎません。(多動や情緒不安定な幼児に「放送終了後のTVの俗称:砂嵐」を見せると落ち着く。に心理的操作は似ています。)斯様に、最早「曼荼羅」という言葉や、象形の本来の意味など、どうでも良い(表層的気分が良ければ良い)時代なのかも知れません。
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「Shri-Yantra」はまた、その一方で、あながち出鱈目でもなく、或る程度(かなりかも知れません)しっかり伝統マンダラを踏襲して説明されることもあります。つまりは、「その解釈」と「祈祷・祈願の方法・種類」によって、本物にも偽物にもなるということでしょう。

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今回の図で示しましたのは、「伝統マンダラ」に於ける、特別な性質を司る神々の配置と、その性質を「Shri-Yantra」にて解析し、「Kosha論」とリンクさせて邦訳したものです。

これによって、今までにご紹介した「チベット・マンダラ」および「日本の密教マンダラ」と同じ本質を持っていることが分かります。

最も外側の「Kosha」は、私たちの脳機能・精神構造に於いては「気分・感情領域」であると共に「気分感情系思考領域」である訳ですが。図に描かれている邦訳のいずれもが、私たちの日常生活に欠かせない「注意力・集中力・判断力・決断力・想像力・行動力」などに深く関係していること。前回のこのテーマの「ホルモンとの関係性」で言えば、近年誤解されることが多い「アドレナリン・ドーパミン系」であり、自律神経で言えば「交感神経系」ということになります。これらが聡明・鋭敏に活性していなければ「守るべきもの」も守れません。

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簡単な言葉では到底言えませんが、今、そのことを膨大な文章で説いても「即戦力」にもなりませんので、あえて簡単に述べるならば。

日々私たちは、「自然の摂理・物事の道理・宿命・使命・物事の筋道」という極めて重要な基本を、「人間関係・気遣い・遠慮・力関係・利害関係」などによってブレさせてしまいがちです。

そんな時に、この「Shri-Yantra」を、図のような意味合いを理解して頼ることは、大きな覚醒と勇気を与えてくれる、ということが出来ます。
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その一方で、
ヴェーダの叡智は、不思議なもので、その意味や、文言の発音が多少ズレていても、何らかの力を与えてくれるものです。例えば「アミターバ」を「阿弥陀」と発音しても成り立つというテーマです。

無論、それがより正確であるべきことは言うまでもなく、故に玄奘三蔵(7c)が当時既存の中国仏教に飽き足らず、自らインドに赴き。空海(8c)が同じように日本の既存に飽き足らず中国に赴き、と。より「原点・原典に近いもの」を求めた理由でもあります。

しかしヴェーダの「森羅万象の教え」は、「物事の一点を凝視していてもその本質は分からない」「むしろ遠山の見で俯瞰して見えてくる」というテーマでもあります。
つまり、「末梢的・近視眼的な精密さ・正確さ・枝葉次元の差異」だけでは、「むしろその対象の本質が分からなくなる」ということです。

実際、インド古典音楽の「Raga(旋法)」の習得・熟知に於いても、「或るラーガひとつに集中して、それを懸命に練習し覚え」だけでは全くアウトです。今日良く演奏される20前後のラーガは、「それぞれに最低十種の極めて近い類似ラーガがある」のです。それら全てを熟知せねば、「俺様はラーガ○○を習得した」などと思い込んで演奏する訳には到底いきません。(だからサラスワティー女神がリシ・ナーラダを戒めた逸話がある訳です)

そこには当然「比較・類推」から学ぶものがとても多い。ということでもあります。
「海外に暮らして初めて、日本のことが見えて来た」という人が少なくないのも、同じテーマです。
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逆に、「末梢的・近視眼的な精密さ・正確さ・枝葉次元の差異」にこだわる・注意を注ぐことも、「全体俯瞰」と同じだけ重要なことも言う迄もありません。
ものごとは、常に「相反する二つの性質」によって本質に近づき、本質の力を受け取り、リンクして行く。
これは、古代ヴェーダに於ける、「ドゥヴァイタ(二元論)」の本来(後に一元論同様に歪められた)の真髄です。

その意味では、「ヴェーダ・マントラ(もちろんバジャンもキールターンも)は、より正確な発音で」、「マンダラは、神々の意味・性質を深く理解して」「ヤントラも同様に、その隠された意味・性質を読み取って」と、「何も考えずに(言わば無の境地で)五感・六感で対峙する」ことの双方が「同じバランス」であることが理想(本来と言っても良いかもしれない)なのです。

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(文章:若林 忠宏

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