ジャパにもちいられる念珠

マントラを唱えるときは、何回唱えたかというのもひとつの重要な目安になりますが、その数を数えるためには、いろいろな手段があります。通常は、数珠(マーラー)を使用するのがもっとも数えやすく、効果のある方法だといわれています。ここで、タントラのエッセンスを集めた『タントラサーラ』から、どのような数珠をもちいるのが効果的であるかを記述している部分を抜粋してご紹介します。
『ジャパを行うにあたり、親指の先をもちいて数を数える方法【註:人差し指から小指まで、各指の3つの関節の間を、親指の先をあてながら数を数えていくと、人差し指→小指→人差し指の1往復で合計21数えることができる】は、通常の数を数える方法に比べて8倍の効力がある。プトラジーヴァ【ツゲモドキ属の植物】と呼ばれる神聖な木の種子でできた数珠をもちいると、通常の10倍の効力がある。ほら貝からつくられた数珠をもちいると、通常の100倍の効力がある。光り輝く石からつくられた数珠をもちいると、通常の1,000倍の効力がある。宝石でできた数珠をもちると、通常の10,000倍の効力がある。水晶の数珠もまた同様の効力があるが、真珠でできた数珠は、通常の10万倍の効力がある。そして、蓮からできた数珠は、前述の数珠のさらに10倍の効力がある。金でできた数珠は、100万倍の効力がある。それらすべての中でもさらに、クシャソウのの結び目、トゥラシー(ホーリーバジル)の数珠、そして神聖なルドラークシャからできた数珠は、無限大の効力をもたらす。』
ヴィシュヌ派の信者は、トゥラシーの数珠を用い、ガネーシャの信者は、象牙でできた数珠を用いることが神聖であるとされています。また、カーリーやシヴァの信者は、サンダルウッドやルドラークシャの数珠を用いるといわれています。
その他、願望を叶えるための数珠、子どもを授かるための数珠、罪を浄めるための数珠など、あらゆる目的のために最適な数珠が、『カーリカー・プラーナ』に記載されています。インドの伝統には、永年にわたって言い伝えられている「開運方法」が記載されているので、興味深いですね。
なお、ヒンドゥーでは人差し指は自我(エゴ)をあらわす指だとされていますので、数珠を括るときは人差し指はもちいず、中指に数珠をかけて、親指でひとつひとつ数珠を括っていきます。数珠袋に、わざわざ人差し指用の穴が開いているのは、このような理由からです。また、108回以上を連続で数える場合には、数珠の親玉(頂点に付いている珠)をまたぐのは良くないとされていますので、数珠を反転させて、親玉をまたがずに数えるようにします。
参照文献
Sadguru Sant Keshavadas, “Gayatri The highest Meditation”, Motilal Banarsidass Publishers Pvt. Delhi, 2002