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マントラ

ガーヤトリー・マントラについて

瞑想法として、また願望成就のための最高のマントラとして、ガーヤトリー・マントラは古より多くの聖者・聖賢たちに称賛されてきました。ガーヤトリーとは、もとはヴェーダの韻律の名称です。俳句が五・七・五の音節からなるように、ガーヤトリーは八・八・八の音節からなりたちます。この定型詩は、のちにガーヤトリー女神として神格化されました。
ガーヤトリー・マントラの典型は、タイッティリーヤ・アーラニヤカ第十章のマハーナーラーヤナ・ウパニシャッドに見ることができます。
そこでガーヤトリーの詩形は、次のように記述されています[1]。
「(1) ヴィッドゥマヘー
(2) ディーマヒー
タンノ (3) プラチョーダヤートゥ」
「われらは(1)を知り、
(2)を瞑想できますように。
そこにわれらを(3)は導きたまえ」
(1)、(2)、(3)にはそれぞれの神格に応じた詩句が入ります。
たとえば、ハムサ・ガーヤトリーでは、
(1)「ハムサーヤ」
(2)「パラマハムサーヤ」
(3)「ハムサ」
が当てはまります。
その意味は、
「われらはハムサーヤ(アートマン、自己)を知り、
パラマハムサーヤ(究極のアートマン)を瞑想できますように。
そこにわれらをハムサ(アートマン)は導きたまえ」
となります。
(ハムサ(ハンサ)は白鳥とも訳され、ヴェーダにおいては太陽と結びつき、豊饒の男性原理として表されます。また「ソーハム」をハムサ・ガーヤトリーと呼ぶこともあります)
しかし、その中でも最高位とされるガーヤトリー・マントラは、太陽神サヴィトリに捧げられる讃歌であり、このマントラを1日3,000回唱える人は、いかなる罪を犯そうとも一ヶ月でその罪から解き放たれるともいわれています[2]。
「オーム ブール ブワッ スワハ
タットゥ サヴィトゥル ワレーニャム
バルゴー デーヴァッシャ ディーマヒー
ディヨー ヨー ナッ プラチョーダヤートゥ」
「死すべき者、不死なる者、神なる者の上に平和あれ
わが瞑想は太陽神の最も輝ける光のため
われらが知の力、神が掻き立て給わんことを
(かくして、正しき時に正しきおこないをなす霊感を授からんことを)
(リグ・ヴェーダ-3.62、訳:浜田吾愛)
このガーヤトリー・マントラについては、多くの偉人、聖仙や聖者たちがその効果を実感し、人々にこのマントラを唱えるよう勧めています[3]。
・マハトマ・ガンジー(インド独立の父)
「絶え間なくガーヤトリー・マントラを唱えることは、病を癒し、霊的進化に非常に有効である。落ち着いた気持ちで、心を込めて唱えることで、いかなる試練や逆境も乗り越えることができる。」
・ガンガダール・ティラク(インド独立に貢献した政治家)
「政治的な力だけでは、インド国民が多くの領域で受ける束縛を克服することはできない。そのためには、インド国民が心の領域で互いに結びつく必要があり、それによって何が真実で何が不正であるかが分かるだろう。ガーヤトリー・マントラは、束縛の道から離れ、正義の道へと進もうとする人々に敬虔な気持ちを抱かせる。」
・マダン・モーハン・マラヴィヤ(政治家、バナーラス・ヒンドゥー大学創立者)
「聖仙から受け継いだ数多くの宝石の中で、もっとも価値ある宝石はガーヤトリーと呼ばれる。ガーヤトリーの礼拝は我々の知性を清める。神聖な光が我々の魂を照らし、この光によって、実に多くの人々が物質に束縛される大海原を乗り越えてきた。ガーヤトリーの礼拝によって、我々の信仰はより強固に神へと向かう。これとともに、我々はまた、物質的な利益も得る。ガーヤトリー礼拝は、ブラフミン(僧侶階級)にとってもっとも必要なものだ。ガーヤトリー・マントラを唱えないブラフミンは、行うべき当然の義務を怠るという罪を被る。」
・ラビンドラナート・タゴール(詩人、思想家)
「一息で唱えられ、インドを大国として目覚めさせるマントラ。それがガーヤトリー・マントラである。極めて純粋なこのマントラが唱えられている限り、いかなる道理の対立、意見の相違、弊害はないだろう。」
・ラーマクリシュナ・パラマハンサ(近代の代表的聖人)
「私は常々、霊的修行に長日月を費やすべきでないといっている。しかし、この短時間のガーヤトリー礼拝による霊性修行は別だ。ガーヤトリー・マントラを唱えることで、偉大な霊的目標に到達するだろう。このマントラはとても短いが、無限の力を秘めている。」
・スワミ・シヴァナンダ(近代の代表的聖人)
「毎朝午前3時から午前6時の神聖な時間帯に、ガーヤトリー・マントラを唱えることで、魂は磨かれ、心は神聖となる。肉体は病を克服し、性格は清らかになる。知性が研ぎ澄まされ、記憶力が鋭くなることで、物事を見通す力がつく。耐え難い逆境にあるとき、ガーヤトリー・マントラの力は助けとなる。その結果、人はあらゆるものに浸透する精妙なもの(神)を理解する。」
・ラマナ・マハリシ(近代の代表的聖人、神秘思想家)
「ヨーガの科学においては、マントラの科学がもっとも価値あるものだ。マントラの力は、人々を計り知れない成功に導く。ガーヤトリーは、物質的、精神的な恵みを与えるマントラである。」
・スワミ・ヴィヴェーカーナンダ(ヴェーダンタ哲学の霊的指導者)
「王には、些細な物でなく、重要な物を請うべきである。それと同じように、全知全能の神には、はかない物質的な快適さではなく、純粋な知性のみを請うべきである。神を喜ばせるとき、信奉者は純粋な知性を手にできる。人は、純粋な知性によって、正しい道を歩み、あらゆる種類の快適さを味わうことができる。人が真理の道を歩むとき、彼は自動的にすべての喜びを味わうのだ。ガーヤトリーは純粋知のマントラだ。したがって、あらゆるマントラの中でも、ガーヤトリーは最高の宝である。」
・シャンカラチャリヤ(不二一元論を提唱した思想家、哲学者)
「ガーヤトリー・マントラの栄光を歌うのに、人はあまりにも無知である。知性に関する限り、ガーヤトリーの右に出るものはない。ガーヤトリーの礼拝を通じて、純粋知が働き、真我に至る。ガーヤトリーは、根源的なマントラである。誤りを正し、真理を確立するために、このガーヤトリー・マントラが明らかになった。」
・スワミ・ラームティールト(近代の代表的聖人)
「この世で最大の仕事は、神に到達することである。ガーヤトリーは、欲望に囚われた知性を、欲望のない神聖な知性に変える助けとなる。純粋な知性を通じてのみ、神に至ることができる。ガーヤトリーは、知性に穢れがあってはならず、物質的な利益よりも、神の実現に目を向けるべきであると述べている。」
・聖仙パラーシャラ(マハーバーラタの作者のひとりとされる)
「すべてのスークタ(讃歌)やヴェーダのマントラの中でも、ガーヤトリーがもっとも優れている。ガーヤトリー・マントラを信心込めて唱える人は、解脱に至り、あらゆる面で浄化されるだろう。ヴェーダ、プラーナ、イティハーサ(歴史)のすべてを学んでも、ガーヤトリーを唱えないならば、ブラフミン(僧侶階級)とは呼べない。」
・聖仙シャンカ(マハーバーラタ・ヴィラータ編のヴィラータ王の息子とされる)
「ガーヤトリーは、罪の海で溺れている人々を救う尊い手のようなものだ。地上においても、天界においても、ガーヤトリーより優れているものはない。ガーヤトリーを知る者は、確実に天界へ到達するだろう。」
・聖仙アトリ(リグ・ヴェーダに最も多く登場する聖仙)
「ガーヤトリーの礼拝は、魂を浄化するもっともよい方法である。その偉大な力によって、人々の罪や欠点は清められる。ガーヤトリーの原理を真に理解した人は、この世界のすべての喜びを手にするだろう。」
・聖仙ヴィヤーサ(マハーバーラタの作者のひとりとされる)
「花は密に、ミルクはバターに濃縮されるように、すべてのヴェーダはガーヤトリーに濃縮される。ガーヤトリーを揺るぎない信念で礼拝するとき、それはカーマデーヌ(願いを叶える聖牛)となる。ガンジス河は、肉体のあらゆる罪を清め、ガンジス女神の姿をしたガーヤトリーは魂を清める。ガーヤトリーを礼拝せずに、他の霊性修行を追求する者は、誠に愚かである。なぜなら、それは家にご馳走があるのに、他で残飯を乞うようなものだからだ。ガーヤトリーより偉大なものはない。この苦行に耐えるならば、解脱は近い。」
・聖仙バラドヴァージャ(リグ・ヴェーダの作者のひとりとされる)
「ブラフマーのような神々でさえ、神を実現するためのガーヤトリー・マントラを唱える。ガーヤトリーのおかげで、卑しい行為は完全に阻止されるからだ。ガーヤトリーの礼拝を避ける人々は、奴隷より劣る。」
・聖仙チャラカ(アーユルヴェーダに多くの貢献をしたとされる)
「禁欲をし、ミロバランの実を食べることを避け、ガーヤトリー・マントラを唱えるならば、長命を手にする。」
・聖仙ナーラダ(リグ・ヴェーダの作者のひとりとされる)
「ガーヤトリーは、バクティ(信愛)が形となったものである。ガーヤトリーのあるところ、バクティがある。ナーラーヤナ(神)の存在を疑ってはならない。」
・聖仙ヴァシシュタ(リグ・ヴェーダの作者のひとりとされる)
「心の弱き者、堕落した人生を過ごす者、理性に欠ける者は、ガーヤトリーの礼拝によって最高の状態を獲得する。彼の死後、高貴な霊的境地に達することは確かだ。純粋な決意と、確固たる信念を持ってガーヤトリーを礼拝する者は、魂の英知を手にする。」
インドでは、ガーヤトリー・マントラを授かることは第二の誕生を意味するといわれています。日本でこのマントラに触れる機会に恵まれた人は、その意味を理解し、正しく唱え続けることで、かつての聖仙・聖人たちが悟り得た究極のゴールに一歩近づくことができるでしょう。
参照
[1]インド思想史略説 http://user.numazu-ct.ac.jp/~nozawa/b/narayana.htm
[2]インド神話伝説辞典、菅沼晃編、東京堂出版
[3]Shiram Sharma, “A Most Widely Accepted and Stupendous Spiritual Endeavor”, http://ezinearticles.com/?A-Most-Widely-Accepted-and-Stupendous-Spiritual-Endeavor&id=484527
※この原稿は、「ハムサの会 会誌No.16 2008年7月号」に掲載された記事に加筆・修正を加えたものです。

コメント

    • マーメイド
    • 2010.08.16 3:47pm

    私もガーヤトリーマントラをみんなといっしょに850万回唱えますが、シーターラーマさんの説明で、今からみんなで行なうことの意義がより見えてきました。二度とない、とても意義深いことに参加できて幸せです。ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

    • SitaRama
    • 2010.08.21 6:46am

    マーメイド様
    ありがとうございます。今月25日は、ガーヤトリー・ジャパの日とされておりますので、この機会にぜひガーヤトリー・マントラを唱えられるとよいかと存じます。
    今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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