ナーラダ仙が現れる時

世界の各地で仏陀の降誕祭が祝福される5月の満月。
その満月の翌日は、聖仙であるナーラダの降誕祭が祝福される時です。
ナーラダ仙は、インドの神話において重要な聖仙のひとりに数えられる存在です。
世界に叡智を広めるために、ブラフマー神が念じて生じさせた聖仙といわれ、ナーラダ仙によって数々の叡智がこの世に伝えられてきました。

ヴィシュヌ神を心から愛するナーラダ仙は、ナーラーヤナの御名を唱えながら世界を自由に動き回り、人々を啓発しながら次々に真実を示していきます。
難解な叡智を親しみやすく示すために、時にはいたずら好きな聖仙として描かれることもあります。
神々と悪魔の間で陰口を叩いたり、不和を生じさせたり、秘密を漏らしたりすることもありました。

ナーラダ仙は、「論争好き」を意味する「カラハプリヤ」という名前でも呼ばれます。
インドでは、揉め事を起こしたり、噂話を広めたりする人のことを、象徴的に「あの人はナーラダだ」ということもあります。
突然やってきて、やっかいな状況を生み出す親類を、「ナーラダが来た」ということもあるほどです。

神々は、なぜそのように問題ばかり引き起こすのか、ナーラダ仙に尋ねたことがありました。
すると、ナーラダ仙は答えます。
「私は人々に学びを与え、真実を明らかにし、信愛を育んでいるのです。」

私たちは問題に直面する時、どう向き合い、対処するでしょうか。
そこでは、怒り、疑い、嫉妬、恐怖、不安など、さまざまに湧き出る感情に、自分自身を見失うことが少なくありません。
しかし、それらを克服しようと努める時、私たちはさまざまな気づきを得て成長していくことができます。
自分自身の実践によって叡智は日々の中で生きるものとなり、そこで得る気づきこそ、私たちを真実へと導いてくれるものに他ありません。

問題に直面する時は、ナーラダ仙が教えを示すためにやってきてくれた可能性があります。
そこで学びを得て成長することができるよう、謙虚に困難を迎え入れる大きな心を持ちたいと感じます。
ナーラダ仙の降誕祭は、2020年は5月8日です。
皆様に大きな恩寵がありますように、心よりお祈り申し上げます。

(文章:ひるま)