パールヴァティー女神の苦行

シヴァ神の妃として美しく姿をあらわすパールヴァティー女神には、アパルナーという別名があります。
アパルナーには、「葉がない」という意味があります。
その別名が生まれた神話には、シヴァ神を夫としようと苦行を行った、パールヴァティー女神の揺るぎない思いを見ることができます。
その神話は、私たちに美しく日々を歩むための道を示してくれるものでもあります。

最初の妃であるサティーを亡くしたシヴァ神は、長く深い瞑想に耽っていました。
そんなシヴァ神と結ばれようと、パールヴァティー女神は深い森に入り、厳しい苦行を始めます。
柔らかな身体を守るものも身につけず、雨風にさらされながら、長きに続いたその苦行の間、パールヴァティー女神は一枚の葉さえ食べることはありませんでした。

そんな姿を目にした賢者たちは、パールヴァティー女神を「一枚の葉さえ食べることを拒む者」と呼ぶようになりました。
そうして肉体が生み出す欲望を克服したパールヴァティー女神の姿は、深い瞑想を続けるシヴァ神の心を揺さぶります。
やがて、シヴァ神はパールヴァティー女神を受け入れ、二人は結ばれたと伝えられます。

アパルナー女神としてのパールヴァティー女神は、葉のない蔦に例えられます。
何があっても、ずっと巻きついて離れない蔦には、永遠や不滅の象徴があります。
パールヴァティー女神の思いは、まさにそんな蔦のようであり、アーディ・シャンカラーチャリヤはアーナンダ・ラハリの中で、その美しさを詩にしています。
華やかな姿をひととき見せる葉よりも、永遠の至福に留まる無垢な蔦に、真の美しさが見えるようです。

肉体を持つ私たちは、そこに沸き起こるさまざまな欲望によって、シヴァ神という純粋な意識から遠く離れてしまいがちです。
そうして暗闇に落ちていくことも少なくありません。
アパルナー女神のように、何があっても永遠の存在と絶対に離れない定まった思いを育む時、私たちは何よりも美しい人生を歩むことができるはずです。

(文章:ひるま)