死の神の手紙

インドでは、毎年9月頃に、ピトリ・パクシャと呼ばれる先祖供養の期間を迎えます。
一説に、亡くなった3世代の先祖の魂は、死の神であるヤマが司る天と地の間のピトリ・ローカにいると伝えられます。
先祖供養の期間には、その先祖たちの魂が地上に舞い戻ると考えられ、この間に供養を行うことで、亡くなった魂は私たちを祝福し、幸せに旅立っていくと信じられます。

死の神として崇められるヤマ神は、太陽神であるスーリヤ神と妃のサンジュニャーとの間に生まれました。
土星の神であるシャニ神とは、兄弟にあたります。
シャニ神は、私たちの人生に多くの試練を与えながら、その歩みに指針を授ける神格である一方、ヤマ神は肉体の死後、私たちの行為の善悪の記録から罪の判定を行う神格です。

そんなヤマ神にまつわる、ある有名な神話が伝わります。

ある時、死の恐怖を克服したいアムリタという男が、ヤマ神への苦行を行っていました。
ヤマ神は、死は不可避であるから、死を迎える前に手紙を送り、事前にその時期を教えてあげようと述べました。
アムリタは再び人生を歩み始めるも、なかなか来ないヤマ神の手紙に、根拠のない自信を持つようになります。

その過程では、白髪が出始め、歯が抜け、視力は弱り、身体は思うように動かなくなっていました。
それでも、ヤマ神の手紙はまだ来ないと、アムリタは祈ることも忘れ、思うままに人生を過ごし続けます。
するとある日突然、アムリタの前にヤマ神があらわれ、その時が来たと述べました。

驚いたアムリタは、まだ手紙を受け取っていないと反論します。
しかし、ヤマ神はすでに4通もの手紙を送ったといいました。
1通目の手紙は白髪が出始めた時、2通目の手紙は歯が抜けた時、3通目の手紙は視力が弱った時、4通目の手紙は身体が思うように動かなくなった時でした。

肉体はいずれ朽ち滅びます。
それは不可避のことであり、悲しむ必要はないとクリシュナ神も述べました。
そこにある魂は永遠だからです。

時間に限りがある肉体をまとう私たちは、その貴重な時の中で、永遠の魂に気づき、常に幸せにあることを学ばなくてはなりません。
その時、自分自身のやるべき物事ときちんと向き合いながら、日々を大切に過ごすことができるはずです。

(文章:ひるま)

参照:Yamraj sends 4 letters of Death to every mortal; yet no one realizes it!