チャンダン・ティラカの力

インドの生活の中で欠かすことのできない行いに、ティラカ(印)を塗布する行いがあります。主に額に塗布されるこのティラカは吉兆の印とも言われ、インドでは現代社会でも多くの人々がティラカを塗布し、日常を過ごしています。

体の重要なポイントに塗布されるティラカの中でも、特に眉間は重要視されています。眉間は真実を見るための第3の目がある場であり、それは第6のチャクラとしても知られます。イダー、ピンガラ、スシュムナーの3つの主要なナーディ(管)はここで集結するため、解脱の三合流点(ムクタ・トリヴェーニー)と呼ばれます。第3の目のチャクラのバランスは、英知、識別力、啓発を授けます。一方、この領域が不調和であることは、精神錯乱、無感覚、幻視などの原因となります。

この眉間に塗布するティラカで重要なのが、チャンダン・ペースト(サンダルウッド・ペースト)です。チャンダンは、神々が最も愛する神聖な香りと共に、その冷却作用が広く知られています。額がひんやりとする感覚は、緊張や高ぶる感情を静め、そして感じ取る神聖な香りは、心身を深く落ち着かせてくれるものです。その状態は、私たちの内に大きな平安を生み出し、霊性の向上へと導いてくれるものとされます。

チャンダン・ペーストは、両手を使って準備します。この時、イダー・ナーディとピンガラ・ナーディが混ざり合います。イダー・ナーディとピンガラ・ナーディは、それぞれシャクティとシヴァあり、月と太陽であり、それぞれが調和しながら活性化することで、人としての成長が助長されると信じられます。

一方、右手のみで準備されたチャンダン・ペーストは、ピンガラ・ナーディのみに働きかけ、亡くなった人に対して塗布されます。これにより、ピンガラ・ナーディのみが活性化し、遺体の分解が進むとともに、より早く自然に還ることができると伝えられます。

神像や神々の絵を礼拝する際にも、その眉間にチャンダン・ペーストを塗布します。これによりピンガラ・ナーディが目覚め、その神格のエネルギーが周囲に充満すると信じられます。

チャンダンはサットヴァのエネルギーを持つため、霊性を向上させる目的で使用する場合は、何も混ぜずに、聖水のみで作ることが勧められます。クムクム(朱粉)、ハルディ(ターメリック)、サフランなどはラジャスのエネルギーを持つため、日々の生活においてその2要素のエネルギーを活用したい場合は、クムクム、ハルディ(ターメリック)、サフランなどと混ぜて使用することができます。

参照:K V Singh, “Hindu Rites and Rituals: Origins and Meanings”, Penguin