ガルダ・ムドラー

季節が巡り、乾いた冷たい風が吹く寒い冬が近づいてくる頃となりました。
身体が縮こまるこれからの季節は、心身の不調を感じることが多くなる季節でもあります。
そんな冬の季節を健やかに過ごすために、ヨーガの実践法を活用することができます。
そのひとつが、ガルダ・ムドラーです。

ガルダはヴィシュヌ神の乗り物であり、炎のように熱く光り輝く鳥として知られます。
大きな羽を広げて空を舞い、ヴィシュヌ神を自由に運ぶ姿が象徴的な聖鳥です。
ガルダ・ムドラーは、そんなガルダのように、鳥が大きく羽を広げるような形を組むムドラーです。

まず、左手の手首の上に右手の手首を重ね、左右の親指をしっかり交差させます(右手の手首の上に左手の手首を重ねる場合もあります)。
残りの4本の指は大きく広げたまま手の平を上に向け、組んだ手をお腹の前で維持しながら、10回ほど深呼吸をします。
または、胸の前に手の平を広げるように組みながら、同じように10回ほど深呼吸を行うのがガルダ・ムドラーです。

親指は火、人差し指は風、中指は空、薬指は地、小指は水というように、5本の指にはそれぞれ5元素の象徴があります。
ガルダ・ムドラーでは、火を象徴する左右の親指を交差させることで、身体の内で火のエネルギーが調和しながら高まると信じられます。
そして、大きな羽で自由に空を飛ぶ鳥のように、高まった火のエネルギーが全身に運ばれると信じられてきました。

このガルダ・ムドラーは、ヴァータに均衡をもたらすと伝えられるムドラーです。
私たちの身体を司るエネルギーの性質の中で、ヴァータは風の要素にあたります。
ヴァータには、乾性や冷性といった性質があり、乾いた冷たい風が吹く冬の季節に活発になるといわれてきました。

ヴァータが適切に活性化すると、豊かな創造力、発想力、好奇心が生まれると信じられます。
しかし、ヴァータが乱れると、不安を感じたり、落ち着かなくなったり、寝つきが悪くなったりと、心身にさまざまな不調が生じると伝えられてきました。
このガルダ・ムドラーの実践により、温かなエネルギーが身体を巡ることで、ヴァータに均衡が生じるとされています。

ムドラーは、自分自身の内なる世界からその周囲まで、取り巻くエネルギーを改善し向上させる術として実践されます。
こうしたムドラーを取り入れることで、自分自身の持つエネルギーと向き合い、自然に調和しながら健やかに過ごす方法を学ぶことができるはずです。

(文章:ひるま)