アシュタヴィナーヤカ ― 八体のガネーシャがつくり出す曼荼羅

ガネーシャは、シヴァの妃であるパールヴァティー女神の門番役として誕生したといわれています。そのためインドでは、ガネーシャは魔除けのために寺院の門前に置かれることが少なくありません。また従神としてガネーシャを祀る寺院、そしてガネーシャを本尊として祀る寺院も数多くあります。
インドで有名なガネーシャ寺院の中でも、特に注目を集めているのは、アシュタヴィナーヤカと呼ばれる、マハーラーシュトラ州のプネーを中心とした半径100km内に点在するガネーシャの特徴的姿を祀る八寺院でしょう[1]。八寺院のガネーシャには、それぞれに神話や伝説があり、それらのガネーシャが一体になることで、「ガネーシャの聖なる宇宙を表現する曼荼羅を形成している」[2]といいます。
これらの寺院で祀られているガネーシャには、人間が作ったものではなく、自然が創り出したスヴァヤンブというガネーシャがあるといわれます。
アシュタヴィナーヤカの巡礼は、いくつかのルートがありますが、シャーストラ(教典)では次のようなルートが勧められています。
アシュタヴィナーヤカ
1. シュリー・マユレーシュワラ(モーレーシュワラ)寺院
2. シュリー・シッディヴィナーヤカ寺院
3. シュリー・バッラレーシュワラ寺院
4. シュリー・ヴァラダヴィナーヤカ寺院
5. シュリー・チンタマニ寺院
6. シュリー・ギリジャートマジャ寺院
7. シュリー・ヴィグナハラ寺院
8. シュリー・マハーガナパティ寺院
中でも一番重要な寺院といわれるのが、最初の巡礼地である「シュリー・マユレーシュワラ(モーレーシュワラ)寺院」です。アシュタヴィナーヤカの巡礼は、最後に再びこの寺院に戻り終了します。
シュリー・マユレーシュワラ寺院の入り口には、通常はシヴァ寺院でしか見られない牛のナンディがあるなど、各寺院にはそれぞれ個性豊かな特色があります。
インドの旅行会社では、アシュタヴィナーヤカ巡礼のための数日間の巡礼ツアーが組まれています。総距離数約700kmの長い巡礼コースになりますが、霊験あらたかなガネーシャ巡礼のひとつとしておすすめのコースです。
本日、8月23日は、ガネーシャ・チャトゥルティー(ガネーシャ神の降誕祭)です。皆さまにガネーシャの祝福がありますよう、心よりお祈り申し上げます。
[1]Ashtavinayaka, Wikipedia, http://en.wikipedia.org/wiki/Ashtavinayak
[2]Grimes, John A., Ganapati: Song of the Self, State University of New York Press, 1995
※この原稿は、「ハムサの会 会誌No.21 2009年5月号」に掲載された記事に加筆・修正を加えたものです。