椅子のアーサナ

暗く寒い本格的な冬が到来し、心身を奮い立たせるようなヨーガの実践が恋しくなる時となりました。
ヨーガのポーズには、そんな冬の季節に勧められるウトゥカターサナと呼ばれるポーズがあります。
このポーズは、身体を刺激し温めるポーズとして知られる一方で、自分自身の中の大切な場所を気づかせてくれる意義深いポーズでもあります。

ウトゥカターサナは、見えない椅子に座っているように見えることから、椅子のポーズと呼ばれます。
もともと、ウトゥカタには「激しい、熱烈な、難しい、誇り高い、優れた、巨大な」といった意味があります。
このウトゥカターサナで示される椅子は、崇高な神が座す玉座として教えられたことがありました。

叙事詩のラーマーヤナにおいて、王国から追放されたラーマ神を慕う、異母兄弟のバラタがいました。
バラタは王位を継承する身でありながらも、ラーマ神を敬い、ラーマ神が不在の間は、その履物を玉座に祀り、ラーマ神を王として礼拝し続けます。
このポーズは、そんな神聖な場所を自分自身の内に見出す実践でもあります。

椅子のポーズでは、まず両足を揃えてまっすぐに立ちます。
骨盤を正面に向けたまま膝を曲げ、椅子に腰を掛けるような姿勢になるまで、腰を落とします。
背筋をしっかり伸ばし、腕を耳の横に沿って一直線に伸ばします。
不安定な状態で姿勢を維持するため、このポーズを通じては身体に適度な負荷がかかります。
下半身だけでなく上半身の筋肉もくまなく働き、全身が刺激されると、ぽかぽかと温かさが巡る感覚に包まれます。

このポーズの実践を通じては、不安定な位置の中で感じる強力なエネルギーに驚かされることがあります。
それは、強固な支柱となる崇高な神がいる場所を、自分自身の内に見出す実践のように感じられるものです。

バラタが見えないラーマ神の姿を玉座に見出し続けたように、私たち自身も、崇高な神の存在を見出す玉座を内なる世界に抱き続けなければなりません。
このポーズの実践は、自分自身の内に、その場所を見出す力を与えてくれるものです。
その実践を通じては、どんな時も、温かな光の中で日々を歩むことができるはずです。

(文章:ひるま)