アイヤッパ神の光

太陽の北方への回帰を祝福するマカラ・サンクラーンティは、インドの各地でさまざまな祝福が行われる吉祥な時です。
南インドのケーララ州では、年間1億人もの巡礼者が訪れるといわれるサバリマラ巡礼がピークを迎えます。

サバリマラ巡礼で礼拝されるのは、ヴィシュヌ神とシヴァ神の息子と信じられるアイヤッパ神です。
サバリマラは、アイヤッパ神が悪魔を倒した後、瞑想についた地として崇められます。

巡礼者は、マカラ・サンクラーンティにおいてマカラ・ジョーティを目にするために、このサバリマラの地に赴きます。
マカラ・ジョーティは、アイヤッパ神の現れと信じられる光であり、それは冬の大三角を形成するシリウスであると伝えられます。
暗い冬の夜空で一際輝く明るいその光は、太陽を除き地球上から見えるもっと明るい恒星です。

アイヤッパ神はさまざまに異なる名前で崇められますが、そのひとつに、カリユガ・ヴァラダという名前があります。
カリユガは暗黒の時代ともいわれ、正義が失われるとともに不正が横行する時代です。
そして、ヴァラダは恩寵を授ける神を意味します。

現代はカリユガにあり、憎悪や狂気、貧困や悪疫など、あらゆる悪が蔓延る時代にあると伝えられてきました。
このカリユガの終わりに、ヴィシュヌ神の10番目の化身であるカルキが現れ世界の悪が滅ぼされるまで、アイヤッパ神は人々を保護し、恩寵を授けると信じられます。

禁欲を貫くアイヤッパ神を崇めるサバリマラ巡礼は、とりわけ厳しい戒行を努めることで有名な巡礼です。
その先に見える光は、どんな暗闇にあっても、正しい歩みには光が授けられることを伝えているようです。

マカラ・サンクラーンティは、インドの冬至ともいわれ、1月14日に祝福されます。
一年でとりわけ暗いその夜に、もっとも輝く星をアイヤッパ神として崇めることは、カリユガに正義の光を灯す行いであるのかもしれません。
自分を制して日々の生き方を見つめ直し、正しい歩みを心がけることで、どんな暗闇にも光を見ることができるはずです。

(文章:ひるま)