サトウキビの弓を持つ女神

心が浮き立つ喜ばしい春の訪れが近づいてきました。
この春の到来に迎える満月は、究極の美しさが崇められるラリター女神の降誕祭が祝福される時です。
その満月は、2021年は2月27日に迎えます。

ラリター女神を讃えるラリター・サハスラナーマム(千の御名)は、唱えるだけで完全な解脱を得ることができると信じられる賛歌です。
そのラリター・サハスラナーマムの中に、マノールーペークシュコーダンダーという御名があります。

マノールーペークシュコーダンダーは、心の現れとしてのサトウキビの弓を持つ者を意味します。
ラリター女神は、その左手にサトウキビの弓を、右手には5本の花からなる矢を持って崇められます。

そんなラリター女神が生まれたのは、凶悪な悪魔であるバンダースラを倒すためと伝えられます。
バンダースラは、欲望に基づいた愛の神であるカーマデーヴァの灰から生まれました。
それは、瞑想に耽るシヴァ神を目覚めさせようと、カーマデーヴァが愛の矢を放ったことに始まります。

カーマデーヴァは、怒ったシヴァ神の第3の目から出た閃光によって焼き尽くされ、灰となりました。
カーマデーヴァの妻であるラティは、カーマデーヴァを蘇らせるよう懇願すると、シヴァ神はその灰に恩寵を与えます。
すると、灰からバンダースラが生まれてしまい、世界には大きな混乱が生じ始めました。
それは、生じた欲望によって混乱する、私たちの内なる世界のようです。

そして、世界を混乱に陥れたバンダースラを倒したのが、ラリター女神です。
ラリター女神の手に握られた5本の花の矢は、私たちの5つの感覚であり、その矢を放つサトウキビの弓は、私たちの心であるといわれます。
心がラリター女神のもとにある時、私たちは5つの感覚が向かう方向を制御し、起こり得る欲望の混乱を防ぐことが可能になります。
そこでは、甘いサトウキビと美しい花を思わせる、真に甘美な人生を享受することができるに違いありません。

カーマデーヴァは春の神であるヴァサンタを親友とし、春の季節に活発になると伝えられます。
草花が芽吹き、心が躍る春の心地よい気候の中でラリター女神を崇める時、揺らぎがちな私たちの心は定まり、究極的に美しい日々を紡ぐことができるはずです。

(文章:ひるま)

参照:The Sugarcane Bow