ハヌマーンとマイナーカ山

インドでは、3月を過ぎると太陽の光が燦々と降り注ぎ、4月に入ればもっとも暑い季節が始まります。
眩しいほどの光が溢れるこの時に祝福されるのが、太陽の象徴であるラーマ神の降誕祭です。
そして、そのラーマ神の降誕祭を過ぎると、ラーマ神を心から愛するハヌマーン神の降誕祭が祝福されます。
2021年は4月27日の満月です。

ラーマ神に献身的に仕えるハヌマーン神は、山を持ち上げたり、海を飛び越えたりと、障壁を次々に乗り越えていく果敢な姿が広く崇められます。
そのハヌマーン神の歩みには、私たちを教え導く力が秘められています。
叙事詩のラーマーヤナに見られる、マイナーカ山との神話にも学ぶべきことがあります。

ハヌマーン神は、愛するラーマ神の妃であり、誘拐されたシーター女神を救うべく、ランカー島に向かって飛び立ちました。
しかし、四方八方に広がる広大な海を飛び越えることは、決して容易なことではありません。
その険しい道を進んでいる時、海の真ん中に美しいマイナーカ山が現れ、休息をとるようハヌマーン神を招きました。

限られた時間しかないハヌマーン神にとって、マイナーカ山から差し出された善意は、有り難くも、その歩みを阻む障壁になるものでした。
その障壁は、単に進路を塞ぐものではなく、誘惑という困難を伴う任務の中で自らの心を試されるものでした。

しかし、ラーマ神に固く定まったハヌマーン神の心が揺れ動くことはなく、ハヌマーン神はマイナーカ山の申し出を丁重に断ります。
その際、マイナーカ山の山頂に触れて、その善意に敬意を示すことも忘れませんでした。

周囲を慮りながら、自分の道を突き進むハヌマーン神の姿には、日々の歩みを見つめ直す気づきを与えられます。
制約の多い日々を過ごす中で、私たちはどれだけ他者を想いながら、自分自身の努めをまっとうすることができるでしょうか。

日々の歩みにおいては、さまざまな障壁が待ち受けています。
しかし、ラーマ神という正義に心が定まったハヌマーン神の歩みに学ぶことで、私たちはどんな障壁をも乗り越える正しい力を得ることができるはずです。
そこでは、調和のある真に豊かな人生を突き進むことができるに違いありません。

(文章:ひるま)