パラシュラーマ神の苦行

世界に危機が生じた時、特別な姿となってあらわれ世界を救うと信じられるヴィシュヌ神。
そんなヴィシュヌ神の6番目の化身として崇められるパラシュラーマ神の降誕祭が、2021年は5月14日に祝福されます。

パラシュラーマ神の降誕祭は、願われた物事が朽ち果てることなく続いていくと信じられる1年の大吉日、アクシャ・トリティーヤーに重なります。
パラシュラーマ神は、司祭階級のブラフミンの生まれであったとされますが、武士階級のクシャトリヤの質を備えていたといわれます。
シヴァ神を師として仰ぎ、厳しい苦行を行うと、シヴァ神は斧(パラシュ)を授けるとともに、武道を伝授しました。

そうして得たパラシュラーマ神の力は、この世の中の混乱を鎮めるために発揮されます。
武士階級のクシャトリヤがその力を乱用し、世の中を混乱に陥れていた時のことでした。
パラシュラーマ神はシヴァ神から授けられた斧で、数々のクシャトリヤを倒し、世の中に平和をもたらしたと伝えられます。

そんなパラシュラーマ神は、ハヌマーン神とともに、7人のチランジーヴィー(不死者)に数えられる存在です。
悪を滅ぼす術を会得したパラシュラーマ神は、カリ・ユガの最後、ヴィシュヌ神の10番目の化身であるカルキ神があらわれ世界の悪を滅ぼす時、カルキ神の師になると信じられています。

チランジーヴィー(不死者)として、パラシュラーマ神は今どこにいるのでしょうか。
一説に、パラシュラーマ神はマヘーンドラ山脈(オリッサ州)で苦行を続けているとされますが、パラシュラーマ神がいるのは、私たちの内なる世界でもあります。

欲望に目がくらみ、自分自身の役割や本質をいとも簡単に見失う私たちは、日々の中で繰り返し混乱を経験します。
真の幸福に至るためには、本質に定まり、自分自身の内に潜む混乱を鎮める術を学ぶ必要があります。
パラシュラーマ神は、シヴァ神への長い苦行の賜物として、その術を獲得し、世界に平和をもたらしました。

私たちが神々に心を定め自分自身の役割をまっとうする時、それは何よりもの苦行となり、世界は真の幸福に向かって巡っていきます。
不滅を意味するアクシャ・トリティーヤーに、パラシュラーマ神の存在を明確にし、永遠の幸福に留まる術を学びたいと感じます。
そうして個々の内にパラシュラーマ神が生き、世界に平和がもたらされることを心より願っています。

(文章:ひるま)