バガヴァッド・ギーター第2章第9節

संजय उवाच ।
saṁjaya uvāca |
サンジャヤ ウヴァーチャ
サンジャヤは言った

saṁjayas【男性・単数・主格】サンジャヤは。ドリタラーシュトラ王に仕える吟唱詩人。
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】彼は言った、彼は語った

एवम् उक्त्वा हृषीकेशं
evam uktvā hṛṣīkeśaṁ
エーヴァム ウクトヴァー フリシーケーシャン
クリシュナにこのように言って

evam【副詞】このように、こんなふうに、そんなふうに
uktvā【絶対分詞 √vac】言って、話して
hṛṣīkeśam【男性・単数・対格】フリシーケーシャに。クリシュナの別名。名前は「感官の主」〔hṛṣīka(感官) + iśa(主)〕、あるいは「髪を逆立てている者」〔hṛṣī(逆立てている) + keśa(髪)〕の意。

गुडाकेशः परंतप ।
guḍākeśaḥ paraṁtapa |
グダーケーシャハ パランタパ
敵を悩ます者アルジュナは、

guḍākeśas【男性・単数・主格】グダーケーシャは。アルジュナの別名。名前は「濃い毛髪の者」〔guḍā(濃い) + keśa(髪)〕の意。
(「睡眠の主」guḍāka(睡眠) + iśa(主)ととられる場合があるが、guḍākeśaを説明するための当て字とされ、アルジュナが睡眠の主である記述は古典で見あたらないといわれる)
paraṁtapa【男性・単数・呼格】敵を悩ます者よ。アルジュナのこと。paraṁtapasとして主格が採用される場合がある。また別の解釈では、サンジャヤからドリタラーシュトラ王への呼びかけとみる場合がある。

न योत्स्य इति गोविन्दम्
na yotsya iti govindam
ナ ヨーツシャ イティ ゴーヴィンダム
「私は戦わない」と、クリシュナに

na【否定辞】〜でない
yotsye【一人称・単数・アートマネーパダ・未来 √yudh】私は戦うだろう、私は対戦するだろう
iti【副詞】〜と、〜ということ、以上(しばしば引用句の後に置かれる)
govindam【男性・単数・対格】ゴーヴィンダに。クリシュナの別名。名前は「牛飼いの主」の意。

उक्त्वा तूष्णीं बभूव ह ॥
uktvā tūṣṇīṁ babhūva ha ||
ウクトヴァー トゥーシュニーン バブーヴァ ハ
言って、彼は沈黙した

uktvā【絶対分詞 √vac】言って、話して
tūṣṇīm【副詞】黙して、沈黙して
babhūva【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √bhū】彼は〜となった、彼は〜した
ha【不変化辞】もちろん、確かに(先行する語を強調する付加語);詩の終わりに用いられる意味を持たない虚辞

संजय उवाच ।
एवमुक्त्वा हृषीकेशं गुडाकेशः परंतप ।
न योत्स्य इति गोविन्दमुक्त्वा तूष्णीं बभूव ह ॥ ९ ॥

saṁjaya uvāca |
evamuktvā hṛṣīkeśaṁ guḍākeśaḥ paraṁtapa |
na yotsya iti govindamuktvā tūṣṇīṁ babhūva ha || 9 ||
サンジャヤは言いました。
アルジュナはクリシュナにこのように言うと、
クリシュナに「私は戦わない」と告げて、沈黙しました。

※この節から、シュローカの韻律に戻ります。第2章5節〜8節のトリシュトゥブの韻律は、アルジュナの苦悩を強調し、クリシュナの教説へと導く場面展開の役割を担っています。