スピリチュアルインド雑貨SitaRama

アーサナ

ツルのアーサナ

ヨーガの聖典であるハタ・ラトナーヴァリーには、シヴァ神が説いたとされる84のアーサナ(ポーズ)が示されています。
その中のひとつに、バランス感覚を鍛える目的で実践される、バカ・アーサナがあります。
バカ・アーサナは、ツルのポーズを意味します。

ツルのポーズは、全体重を腕に乗せて身体を持ち上げるポーズであり、バランス感覚に加え、安定性や集中力が培われるとされます。
その姿勢には、優雅に佇立するツルのような美しさを見ることができます。

このツルのポーズは、マハーバーラタのユディシュティラとツルにまつわる神話(ヤクシャ・プラシュナ)に学びを深めることができます。
ユディシュティラは、パーンドゥの5王子の長兄で、ダルマプトラ(正義の子)とも呼ばれるように、徳性の高い人物でした。

パーンドゥの5王子が森を放浪していた時のこと、喉の渇きを感じ、末弟が水を探しに出かけます。
しかし、末弟が戻ることはなく、その後を追った兄弟全員も次々に姿を消してしまいました。
最後に残ったユディシュティラは、4人の兄弟を探しに出かけます。

すると、ユディシュティラは湖を見つけ、水辺で4人の兄弟が倒れているのを目にします。
4人の兄弟は、湖の神霊に許可を求めることなく水を飲んだために、そこに倒れたのでした。
ユディシュティラは神霊に許しを乞うと、神霊は質問に応えるよう要求します。
そして、矢継ぎ早に問われる難解な質問に、ユディシュティラは次々と答え続けました。
その問答には、たとえば以下のようなものがあります。

神霊の質問:手放すことで人を調和させるものは何か?
手放して後悔しないものは何か?
手放すことで人を裕福にするものは何か?
手放すことで人を幸福にするものは何か?

ユディシュティラの答え:己惚は手放せば人を調和させ、怒りは手放せば後悔せず、欲望は手放せば人を裕福にし、貪欲は手放せば人を幸福にする。

そして、湖のそばでこれらの質問を投げかけた神霊こそが、ツルの姿をした死の神であるヤマ神でした。
ヤマ神は、行為の善悪の記録から死者を裁くダルマの神でもあり、ユディシュティラのダルマに基づく的を得た答えに満足し、4人の兄弟たちを生き返らせたと伝えられます。

ユディシュティラとツルのこの問答は、私たちがダルマの道を生きる方法を明確に示しています。
それは、このツルのポーズの実践を通じても学ぶことができます。
安定性と集中力を鍛えるツルのポーズの実践は、優美に佇むツルのように、均衡と平静を保つ方法を教えてくれます。
それは、行いのすべてをヨーガとし、調和のある日々を過ごす方法にも他ありません。
こうした実践を通じて、ユディシュティラのように、ダルマの道に沿いながら美しい調和の中で生きることを努めたいと感じます。

(文章:ひるま)

参照:The Mahabharata, Book 3: Vana Parva, SECTION CCCXI

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3

CATEGORY

RECOMMEND

RELATED

PAGE TOP