あうんの瞑想

お互いの息がぴったり合うとき、あうんの呼吸といわれます。
この「あうん(阿吽)」という言葉はよく聞きますが、これがサンスクリット語に由来するというのは、あまり知られていないかもしれません。
聖音オームを3つの音に分解すると「ア・ウ・ム」になり、「あ・う・ん」との間に大きな共通点が見えますが、一般的な説明によると、あうんの言葉は「アー・フーン」のマントラに由来しているとされています。
チベット仏教では、仏教における三業である身語意(身口意)を清めるマントラとして、「オーム・アー・フーン」(ॐ आ हूं :om ā hūṁ)が用いられ、単独で唱えられたり、また他のマントラの前に置かれて唱えられることもよくあります。
「オーム」は、身体にあらわれるすべての動作をあらわす身業を清める音として、
「アー」は、言語に関する口の動作をあらわす語業を清める音として、
「フーン」は、心や意識のはたらきに関する意業を清める音として、用いられます。
以下に、「オーム・アー・フーム」の瞑想法について、「Lama Yeshe Wisdom Archive」よりご紹介いたします[1]。

瞑想するときは、常にリラックスしていましょう。あなたが普段しているように、楽な姿勢で座り、呼吸のエネルギーが自然に流れるようにします。
そのとき、「私は瞑想をしている」と考える必要はありません。「私は謙虚です」とも、「私には自信がある」とも考える必要はありません。何も考えず、ただありのままであれば良いのです。
瞑想
身体の浄化
あなたが楽だと思うところに手を置き、目を閉じます。頭の中に白い「オーム」を、喉に赤い「アー」を、そして胸に青い「フーム」をイメージします。これらの文字から光が放射されていることをイメージしましょう。チベット語あるいはサンスクリット語でこれらの文字をイメージすることができなければ、英語や他の言語でもかまいません。
まず、頭の中の白いオームに集中します。この白いオームが、仏陀や菩薩の神聖な身体の清らかなエネルギーであることを意識します。
「オーム」と声に出して、その音から白く輝く光が放射されていることをイメージします。そして、それがあなたの霊的な中心経路を降りていき、至福に満ちた白い光の放射で、全身が満たされることをイメージします。
すべての思考と、身体の不浄なエネルギーが清められ、浄化されていきます。
頭からつま先まで、至福に満ちた白く輝く光のエネルギーで、完全に満たされていることをイメージすることが大切です。白い光で満たされて、至福であることを感じてみましょう。2〜3分間、「オーム」と唱え続けて瞑想し、心身の浄化を行います。
復唱を止めるときも、何もすることなく、何も考える必要もありません。じっとして、心を開き、善悪を考えず、何にも反応せず、心中の雑談から自由になり、ただ頭の中にある光の意識に集中しましょう。
ありのままでいてください。怠慢にならず、気を散らさず、期待せずに、意識を広げて自由になります。
自己を知ることは、ゼロすなわちエゴのない無の体験へと導きます。この自己認識を知って、自身を解放させましょう。
言葉の浄化
夕焼けのような赤の「アー」を、喉のチャクラのところでイメージします。そしてこの赤い「アー」が、仏陀や菩薩の清らかな言葉であることを意識します。
2〜3分間、「アー」と声に出して、その音から赤く輝く光が放射されていることをイメージします。そして、それがあなたの霊的な中心経路を降りていき、至福に満ちた赤い光の放射で、全身が満たされることをイメージします。
すべての思考と、身体の不浄なエネルギーが清められ、浄化されていきます。
また復唱を止める時は、自分の心に集中するだけで、何の期待や意識をせずに、ただありのままでいましょう。
自己という区別なく、至高存在と一体になる体験をし、ゼロ・無・空が真理であり実在であることを理解しましょう。これによって、実在(霊魂)を理解するのためのエネルギーが増加します。この体験は、あなたが目覚めて体験しているこの空想的な感官の世界よりも、より現実的なものです。
瞑想をしているとき、コントロールできない雑念が生じたとき、あなただけではなく、感情をもつ存在はすべて、あなたと同じように心がコントロールできない状態にあるのだと理解してください。この理解によって、心が落ち着き、生きとし生けるものすべてに対する慈愛が芽生えます。
こうして、コントロールできない雑念は、他者への愛を育むためのエネルギーとなります。その場合には、慈愛の意識をあなたの心へ向けましょう。
さて、これまで2種類の瞑想を行いました。あなたの心に対して意識を向ける方法と、雑念が生じたときに、あなたの心に対して慈愛の意識を向けることです。この2つの方法を交互に行いましょう。
そうすれば、愛と慈しみが、あなたの心中に満月のように現れるでしょう。
心の浄化
あなたの満月のような心の中に、青く輝く「フーム」をイメージします。その青い「フーム」は、仏陀や菩薩すべての一元的智慧であると意識しましょう。あなたの心は、純粋で穏やかに落ち着いて、輝く月光と「フーム」によって開かれています。無限の青い光が、「フーム」から放射されています。あらゆる偏狭な考え、優柔不断な思い、雑念は消え去ります。
月と「フーム」から放射される青く輝く光は、あなたの全身を満たします。そして、あなたの身体は、至福に包まれます。光で満たされると、偏狭的な考え、二元的な概念の居場所はもうありません。同時に、2〜3分間、「フーム」と声に出してみましょう。それから、あなたの意識のような無限の青い光が、実在(霊的)世界のすべてを包み込んでいくことを感じてみてください。あなたの強い意識が、実在(霊的)世界のすべてを包み込みます。期待も憶測もせずに、ただ感じ、ありのままでいましょう。
まとめ
この瞑想を通じて達成できる重要な体験が2つあります。ひとつは、智慧であり、もうひとつはメソッドです。
智慧の体験とは、あなた自身の心の自己認識です。
メソッドの体験とは、あなたの気が紛れたとき、そのコントロールの欠如を、慈愛の心を育むためのエネルギーとして利用することです。そうして、再び集中力を取り戻して、智慧の体験に留まることができます。
要するに、うまく集中できるときは、意識を智慧に向かわせ、集中力が落ちたときは、慈愛の心を育むことを意識します。
「オーム・アー・フーム」のマントラの詠唱はとても有益です。長いマントラを唱える時間がない人でも、この短いマントラなら唱えることができます。そして、このマントラは、他のすべてのマントラを代表するマントラなのです。特に「オーム」と唱えるとき、自己認識が活性化され、あなたの心が内部から覚醒します。
この瞑想の目的は、無知の深い眠りから、私たちを覚醒することです。それは、いつもの空想的な現実世界ではなく、実在(霊的)世界への覚醒です。マントラは、広範な実在に作用するため、とても有効なものです。

出典
[1]Lama Thubten Yeshe, “OM AH HUM Meditation”, http://www.lamayeshe.com/index.php?sect=article&id=45#