バガヴァッド・ギーター第3章第5節

न हि कश्चित् क्षणमपि
na hi kaścit kṣaṇamapi
ナ ヒ カシュチット クシャナマピ
実に、誰であっても、一瞬たりとも

na【否定辞】〜でない
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
kaścit【男性・単数・主格、不定代名詞、kim + cit】誰か、誰かある人
kṣaṇam【中性・単数・主格】瞬間;機会、暇
api【不変化辞】さらに、また、同様に;されど、なお

जातु तिष्ठत्यकर्मकृत् ।
jātu tiṣṭhatyakarmakṛt |
ジャートゥ ティシュタティヤカルマクリト
全く行為をしないでいることはない

jātu【副詞】全然、確かに;少なくとも、概して、おそらく;今まで、かつて
→na … jātu:決して〜せず、少なくとも〜せず
tiṣṭhati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在、√sthā】[彼は、それは]立つ;静止する、停止する、とまる;流れが止まる;滞在する、とどまる;存在し続ける;〜のままである;し続ける
akarmakṛt【男性・単数・主格】無為の、行為をしない、行動しない

कार्यते ह्यवशः कर्म
kāryate hyavaśaḥ karma
カーリャテー ヒアヴァシャハ カルマ
なぜなら、否応なく行為をさせられるから

kāryate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在・使役活用 √kṛ】[彼は、それは](対格)に(対格)を為させる・作らせる;準備させる;遂行させる
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
avaśas【男性・単数・主格、avaśa】(他人)の意志に従わない;独立の、自由な;欲しない;自分の自由意志を有しない、(他人)の嫌がることをする
karma【中性・単数・対格、karman】[〜に、〜を]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業

सर्वः प्रकृतिजैर् गुणैः ॥
sarvaḥ prakṛtijair guṇaiḥ ||
サルヴァハ プラクリティジャイル グナイヒ
すべての人は、根本原質プラクリティから生じる要素グナによって

sarvas【男性・単数・主格、sarva】[〜は、〜が]すべての人、あらゆる人、各人
prakṛtijais【男性・複数・具格、prakṛti-ja】生来の;プラクリティ(根本原質)から生じる、原物質より生じる
※プラクリティ:サーンキヤ学派では、精神的原理としてプルシャ(純粋精神)を、物質的原理としてプラクリティ(根本原質)を立てる。プラクリティは三構成要素(グナ)よりなり、それから現象界が開展する。『ギーター』においては、クリシュナに属する高次のプラクリティ(サーンキヤ学派の「プルシャ」に対応)と低次のプラクリティ(根本原質)があるとされる。(上村勝彦注)
guṇais【男性・複数・具格、guṇa】[〜によって、〜をもって]紐、網;灯心、弓弦;種類;要素;性質;根本的元素(地・水・火・風・空)の属性;根本的(三)原素

न हि कश्चित् क्षणमपि जातु तिष्ठत्यकर्मकृत् ।
कार्यते ह्यवशः कर्म सर्वः प्रकृतिजैर्गुणैः ॥ ५ ॥

na hi kaścit kṣaṇamapi jātu tiṣṭhatyakarmakṛt |
kāryate hyavaśaḥ karma sarvaḥ prakṛtijairguṇaiḥ || 5 ||
実に、誰であっても、一瞬たりとも完全に行為をしないでいることはできない。
なぜなら、すべての人は、根本原質プラクリティから生じる要素グナによって、否応なく行為をさせられるから。