カーレーシュヴァラ・ムドラー

コロナ禍を機に大きく変わりつつある社会において、今、私たち自身もかつてない変化を求められています。
しかし、変化を恐れる心を持つ私たちは、新しい何かを不安に思うことも少なくありません。
そんな時に取り入れたいもののひとつに、前向きな変化をもたらすムドラーの実践があります。
そのムドラーは、カーレーシュヴァラ・ムドラーと呼ばれます。

時間の支配者であるカーレーシュヴァラ神(シヴァ神)の名前を持つこのムドラーは、変化の扉を開くムドラーとして実践されてきました。
このムドラーの実践は、長い時間の経過の中で形成された、習慣、姿勢、傾向に変化を生み出し、新たな道筋を築いてくれると信じられます。

カーレーシュヴァラ・ムドラーでは、まず左右の中指の先端を合わせます。
そして、左右の人差し指を第2関節で曲げ、指の背を合わせます。
次に、左右の親指の先端をあわせます。
また、薬指と小指も第2関節で曲げ、それぞれ指の背を合わせます。
親指の先端は自分の胸の方に伸ばし、そこにハートの空間ができるように手を形作ります。
この手の形が、カーレーシュヴァラ・ムドラーです。
このムドラーは、瞑想などを通じて、20分ほど実践することが勧められます。

親指は火、人差し指は風、中指は空、薬指は地、小指は水というように、5本の指にはそれぞれ5元素の象徴があります。
このムドラーで空の要素を持つ中指を真っ直ぐに伸ばし、残りの指を自分自身の方へ向ける時、内なる世界に広い空間を生み出すことができると信じられてきました。

それは、頭の中を占めるさまざま思考を整理しながら、不必要な思考を排除していく実践でもあります。
その過程において、私たちの内には清浄なエネルギーが流れ、望ましくない習慣や傾向を克服する力を得ることができると考えられます。
そうしてできた広い空間に、私たちは幸せに満ちた前向きなエネルギーを新たに満たすことができるに違いありません。

ムドラーの実践は、意識に強く働きかけるものであり、自分自身の内なる世界からその周囲まで、変化をもたらす力があるとされてきました。
この与えられた日々を成長の機会とし、より良い道へと進むことができるように、古代から受け継がれる叡智の実践を、今取り入れたいと感じます。

(文章:ひるま)