バガヴァッド・ギーター第5章第15節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

नादत्ते कस्यचित् पापं
nādatte kasyacit pāpaṁ
ナーダッテー カスヤチット パーパン
彼は何人の罪悪を受け取らない

na【否定辞】〜でない
ādatte【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 ā√dā】[彼は〜、それは〜]取る、受け取る、獲得する;専有する;(従格)より奪取する、〜より取り去る;(勇気を)損なう;捕らえる、握る、掴む
kasyacit【男性・単数・属格、不定代名詞 kim + cit】[〜の、〜にとって]誰か、誰かある人
pāpam【中性・単数・対格 pāpa】[〜に、〜を]罪、悪、不正、悪事

न चैव सुकृतं विभुः ।
na caiva sukṛtaṁ vibhuḥ |
ナ チャイヴァ スクリタン ヴィブフ
主は、善行をも(受け取らない)

na【否定辞】〜でない
ca【接続詞】そして、また、〜と
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
sukṛtam【中性・単数・対格 sukṛta】[〜に、〜を]善行、功徳ある行為、正義、徳行、道徳的功徳
vibhus【男性・単数・主格 vibhu】[〜は、〜が](―゜)の主・支配者・主権者・長;全能の神(ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ) 【形容詞】遠くに広がる、行き渡る、遍在する;豊富な、永続する;威力ある、強力な

अज्ञानेनावृतं ज्ञानं
ajñānenāvṛtaṁ jñānaṁ
アジュニャーネーナーヴリタン ジュニャーナン
知識は無知により覆われ

ajñānena【中性・単数・具格 ajñāna】[〜によって、〜をもって]無知、不注意;無智
āvṛtam【中性・単数・主格 āvṛtaā√vṛの過去受動分詞 )】覆われた、隠された、囲まれた;広げられた
jñānam【中性・単数・主格 jñāna】[〜は、〜が]知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官

तेन मुह्यन्ति जन्तवः ॥
tena muhyanti jantavaḥ ||
テーナ ムッヒヤンティ ジャンタヴァハ
それにより生類は迷う

tena【中性・単数・具格、指示代名詞 tad】[〜によって、〜をもって]それ、あれ
muhyanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √muh】[彼らは〜、それらは〜]迷う、困惑する、混乱する;誤る、欺かれる、惑わされる
jantavas【男性・複数・主格 jantu】[〜らは、〜らが]児、子孫;生物、実在するもの;人;人物;召使い、侍者

नादत्ते कस्यचित् पापं न चैव सुकृतं विभुः ।
अज्ञानेनावृतं ज्ञानं तेन मुह्यन्ति जन्तवः ॥१५॥

nādatte kasyacit pāpaṁ na caiva sukṛtaṁ vibhuḥ |
ajñānenāvṛtaṁ jñānaṁ tena muhyanti jantavaḥ ||15||
主(自我)は、何人の罪悪も、善行も受け取らない。
しかし、知識は無知により覆われ、それにより生類は迷う。