バガヴァッド・ギーター第8章第5節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

अन्तकाले च माम् एव
antakāle ca mām eva
アンタカーレー チャ マーム エーヴァ
そして死の時において、私のみを

antakāle【男性・単数・処格 antakāla】[〜において、〜のなかで]死、死亡の時刻;世界の終末
ca【接続詞】そして、また、〜と
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】[〜を、〜に]私
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)

स्मरन् मुक्त्वा कलेवरम् ।
smaran muktvā kalevaram |
スマラン ムクトヴァー カレーヴァラム
心に留めて、肉体を離れて

smaran【男性・単数・主格、現在分詞 √smṛ】[〜している]記憶する、心に留める、想起する、思い出す、遺憾に思う;伝える、教える、主張する;読誦する
muktvā【絶対分詞 √muc】[〜して、〜してから](具格、従格)から放たれる、〜から釈放される;ゆるめられる、離される;捨てられる、中止される;罪(または)存在の束縛から逃れられる
kalevaram【男性・単数・対格 kalevara】[〜に、〜を]身体

यः प्रयाति स मद्भावं
yaḥ prayāti sa madbhāvaṁ
ヤハ プラヤーティ サ マドバーヴァン
行く人、彼は私の状態に

yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】[〜は、〜が]〜であるもの、〜である人
prayāti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 pra√yā】[彼は〜、それは〜]出て行く;出発する;〜に行く・赴く;(対格)に向かって進む;(対格)に(道が)通ずる、(対格)に向かって(河が)流れる;(対格)に到着する;行く、歩む;離れる、消える;飛散する、散る;離れる=死ぬ;経過する;陥る、経験する、得る、を招く;やってゆく、振る舞う
sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼
madbhāvam【男性・単数・対格 madbhāva】[〜に、〜を]私の本性;私の状態;私の存在

याति नास्त्य् अत्र संशयः ॥
yāti nāsty atra saṁśayaḥ ||
ヤーティ ナースティ アトラ サンシャヤハ
達する。この点について、疑いはない

yāti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √yā】[彼は〜、それは〜]動く、行く、歩く、赴く;前進する、行進する、敵に向かって前進する;旅行する;出立する、去る、立ち去る、離れる;遠ざかる;逃げる、逃れる;(道が)通ずる;通過する、過ぎ去る;消滅する、消失する;生起する、継起する;振舞う;〜に達する;邂逅する;〜に到着する
na【否定辞】〜でない
asti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √as】[彼は〜、それは〜]ある、存在する、実在する
atra【副詞】ここに、この場所に、この点において;その際、その時に
saṁśayas【男性・単数・主格 saṁśaya】[〜は、〜が]〜に関する疑い、疑わしさ、不確実さ、懸念、ためらい;疑わしい事柄;〜に対する危険、冒険

अन्तकाले च मामेव स्मरन्मुक्त्वा कलेवरम् ।
यः प्रयाति स मद्भावं याति नास्त्यत्र संशयः ॥५॥

antakāle ca māmeva smaranmuktvā kalevaram |
yaḥ prayāti sa madbhāvaṁ yāti nāstyatra saṁśayaḥ ||5||
そして死期において、私のみを心に留めて、肉体を離れて行く人は、
私の状態に達する。この点について、疑いはない。