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インド音楽

世界初の音楽家:聖者Narada

Narada01

インドのヒンドゥー教徒の音楽家ならば誰もが知り、そして誰もがその息子や弟子に語り継ぐであろう逸話で知られる聖者(Rish)が、音楽家でもあった「Narada(ナーラダ)」でしょう。Naradaは、芸術と才能の女神「Saraswati(サラスワティー)女神」の人間で唯一の弟子であり、世界で初めての音楽家であるとされています。ところが、Naradaの逸話からは、インドの音楽家たちの敬虔な思いと裏腹な、弟子を育てることや伝統を守り継承させて行くことの難しさなど、「神話の世界の話し」だけでは終わらない多くの学びを得ることが出来ます。
これも理論が極めて論理的であり不偏的である一方、実践においてはとても現実的であるという、一見一聞して矛盾するようなインド文化の特性ならではことだと思われます。もちろん、この矛盾のような姿こそは、まず「森(森羅万象=論理)」を観、常に感じながら、個々の樹を見るというインド文化およびヒンドゥー科学の根本的姿勢に根ざしているから有り得ることなのです。

「Rish:Narada」の逸話に始まり、インド音楽数千年の歴史の中で、今日まで続く永遠のテーマは、「教えの厳守」と「独創性」という、本来相容れないふたつの性質の対峙でありましょう。
中学生の私が、ターラの手のひらを返す所作を演奏中にするのだと思い込んで読んだ本の著者(イギリス人宣教師)も、同じテーマの「Rish:Narada」の最も有名な逸話を紹介しています。

人間で初めて演奏を許されたと自負するNaradaは、ヒンドゥー寺院音楽の最高峰に位置し、バラモン高僧も一目を置く存在になっていたのですが、ある時、道に迷い見知らぬ森に入り込むと、程なくあちこちで男や女が「痛い」「苦しい」とか弱い悲鳴を上げているのに気付きます。何があったのかを訊ねると、男女は、様々なラーガとラーギニの「精霊」であり、Naradaという馬鹿者が彼等を誤って弾いたがために、体のあちこちに支障が生じたと嘆いていたのでした。
ところが私は、この一文を読んだ中学生の時も、成人した後インドで師匠の何人かからこの話を聞いた時も、その意味は分かっておらず「神話好きなインド人好みのお伽噺」程度しか理解していませんでした。

しかし、これも数十年経ってみれば、「Raga演奏」は、言わば「降霊術」のようなものであり、分かった気になって出鱈目を弾けば、体中を痛めた「精霊」が、元の世界に帰ることも出来ず、私の回りに魑魅魍魎のように、のたうち回っている程の重大なことであると理解するのでした。

などと言うと、かつての私がそうであったように、多くの現代人は、まやかしとか考え過ぎとかの印象を受けるに違いありません。しかし、アーユルヴェーダの音楽療法に照らさずとも、音楽や音が、水や食物と同じように、私たちの体と心に摂り込まれるものである以上、「医食同源」と同じ、言わば「医音同源」であれば、むやみな摂取や「食べ合わせ」の様な禁忌もきっと多くあるに違いないのです。もっとも、ある種の「プラセボ効果」で、よろず「癒された」と聴いていれば、「毒も薬」になるのかもしれません。ある程度は。

ここ十年二十年の外科医学の技術的進歩はめまぐるしいものがありますが、逆に内科医学では、漢方薬を取り入れるお医者さんが急増したり、代替医療、全身医療に関心を示す人も増えるどころか、「腸内環境問題」に至っては、従来の抗生物質の立場やあり方が揺らぎそうなほどの転換点にあるようにも言われます。また、有害物質に対する関心は、日々高まる一方です。
ところが、何故か音楽に関しては同じように体と心に摂り込むものであるにもかかわらず、相変わらず「心地よければ良い」「楽しければ良い」「癒されれば良い」が主流ではないでしょうか。
私の先輩の世代の人が言っていました。戦後の食糧難に生き延びた子供たちは、とにかく「甘い」というだけでとてつもない御馳走と歓喜したそうです。ですが、その当時の「甘味料」や「スウィーツ」は、今日ではとんでもなく有害と言われるものばかりなのです。

最後になりましたが、森での精霊との出逢いで深く痛み入ったリシ・ナーラダは、一から厳しい修行をやり直し、今日のあらゆる音楽学校や音楽堂にその肖像画が掲げられるまでの楽聖になったことは、もちろんな話ですが、語り添えねばなりませんでした。
しかし、ここで大切なこと (ナーラダの気づき)は、「全てに渡って寸分違わず正確にすべき」ではなく、「決して変えたり手を抜いてはならぬ部分と、その場の空気(温度湿度響き波動)で変化すべき部分の分別」を正しく理解するということに他なりません。

(おしらせ)
もうご存知の方も居て下さると思いますが。アーユルヴェーダライフさまのサイト・コラムにも、ゆっくり連載を書かせて頂いております。このSita-Ramaさんの「科学音楽」のお話に至る以前の「人間と音楽の関わり」についてから「医療音楽」に至るお話です。是非、合わせてご覧下さいませ。
また、音楽とは少し離れますが、世界の著名人の名言を網羅した数在るサイトの中でも、かなり掘り下げたサイト「癒しツアー」さまで、この度、「猫の名言」の連載コラムを始めさせて頂きました。猫に対しての好き嫌いもございましょうが、「心と心のコミュニケーション」という点で、興味を抱いて頂けましたら幸いです。どちらも、SitaRamaさまがご用意下さっております、若林忠宏プロフィールにURLがございます。宜しくお願い致します。

(文章:若林 忠宏

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若林忠宏氏によるオリジナル・ヨーガミュージック製作(デモ音源申込み)
世界の著名人の名言のサイト「癒しツアー」さまでの、「猫の名言」連載コラム
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