サンスクリット語 動詞の種類:パラスマイパダとアートマネーパダ

サンスクリット語は名詞の格変化の種類もたくさんあるうえに、
動詞にもたくさんの種類の語尾があります。

サンスクリット語の動詞で大事なのは、

「語幹」という部分で動詞の意味を伝えることと、
「語尾」という部分で主語を限定すること。

「語尾」の違いによって

「私は」「私たち二人は」「私たちは」
「あなたは」「あなたたち二人は」「あなたたちは」
「彼は」「彼ら二人は」「彼らは」

と、いずれかの主語であることを区別できます。

さらに語尾は、時制を区別したり、
話し手の気持ちや態度をあらわす場合もあります。

今回取り上げるのは、語尾で区別される
「パラスマイパダ(能動態)」と「アートマネーパダ(反射態)」。

パラスマイパダとはサンスクリット語で「他者のための語」を意味する文法用語で、
動作主以外の何かのために行為を行うときの活用。

アートマネーパダとは「自分のための語」を意味する文法用語で、
動作主自身のために行為を行なうときの活用。

 

動詞 √यज्- yaj- 「祭祀する」を例にすると、

(1)यजति। yajati.「彼(=祭官)は(祭主のために)祭祀を行なう」
(パラスマイパダ:能動態)

主語「彼」とは祭祀を行なう祭官のことで、
祭祀の依頼主である祭主のために祭祀を行ないます。

一方、

(2)यजते। yajate.「彼(=祭主)は(自分のために)祭祀を行なう」
(アートマネーパダ:反射態)

主語の「彼」は、祭祀の執行を祭官に依頼した祭主のことです。

最後の母音が違うだけで、こんなにも意味が変わってくるところが
サンスクリット語の奥の深さでもあります。

 

しかし、全ての動詞が両方の態を持つわけではなく、
どちらかだけで活用する動詞も多数あります。
古典サンスクリット以降、態の区別はあまり意味をなさなくなっていきます。

とはいえ、リグヴェーダなどの古い聖典で使われていた
ヴェーダ語の場合は、アートマネーパダとパラスマイパダの
区別は明確に意識されており、意味を知る上でかなり重要です。

(文章:prthivii)