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インド音楽

67、呼吸器・意識のRaga:

Meditation power

呼吸器の働きを助けるRagaは、意思、知識から創造性、判断力にまで至る精神力をも高めると言われます。それは言うまでもなく、第5のChakra:Vishuddhaの働きと符合するものです。

厳密には、この呼吸器には「肺」がもちろん含まれるという説と、別系統であるという説があるようです。確かに中医・漢方弁証論治でも「肺」は「大腸」などと関わり、下焦(横隔膜より下)の健康・変調と関わりがあるとしています。もちろん「肺」は酸素を摂り込む重要な臓器ですが、それ以前に、「気管・気管支」「喉」そして「鼻腔・口腔」の健康が大前提であることも言うまでもないことです。

もっとも、この「口腔、鼻腔、気管」は、腸内環境とも密接に繋がっていて、「粘膜・粘液」そして「細菌叢」の共通性も最近ではだいぶ語られるようになってきました。

しかし、他の多くの臓器が「自覚できる意思」によってその動きを制御出来ないのに対し、「口腔から食道」及び「鼻腔から肺」は、言う迄もなく「租借・嚥下」「呼吸」という意思で動きを早めたり、止めたりすることが出来るという点において、実に特殊な「臓器・機構」ということが出来ます。

もちろん、喜怒哀楽の外的要因によって、呼吸も早まったり、過呼吸症状なども現れますが、それも言わば「心因性」なのですから、「呼吸器と精神」は、かように密接な関係であるということは疑いのないことです。

トルコ系遊牧民族は、古代インドに迫るアニミズム文化の水準が高かったと思われます。しかし、古代インドでは、それをVedaやTantraの科学にまで高める土壌がありましたが、シルクロードにはそれは見当たりません。そんなトルコ系遊牧民族が音楽を盛り上げるために言う掛け声に、「長生きしろ!」があります。もちろん「いいぞ!もっとやれ!」の意味です。が、言葉としての「長生き」は、とりもなおさず「長い息」なので、掛け声を受けた歌い手は、驚異的なノンブレスで超絶的なコブシを着けて歌い上げます。同じ、文化を継承していて、もしかしたら血もかなり引いているかも知れない日本の「ことば」においては「長い生き」と「長い息」そして「長い行き」は、おなじ「ことば」と考えることも出来ます。

このように古来から東洋医学や民間医療の感覚では、「呼吸器の健康」は、「精神(心)の健康」と切っても切れない関係にあると、説いている訳です。

第5ChakraとそのRagaが司るとされる「意志、知識、創造性、判断力」のそれぞれの関係にも深い理解が求められます。ここで言う「意思」とは、外的要因に反応しているだけのものではなく「志」に近いものであるはずです。したがって「知識」も、「情報を豊富に集める」ということではなく、「整理整頓」と「理解」そして何よりも「解釈」が大切な訳です。いわゆる「見識」というものです。

それゆえに「独創的な創造力」が生まれ出ることが出来、挫折や失敗を含むその積み重ねによる「自信=誇り(プライド、自尊ではなく)」の裏付けによって、ブレない「意思、志」が「判断力」の正体となる訳です。

その一方で、呼吸器を活性化させたり、丈夫にしたり、正常な働きに戻す効果があるとされるRaga、及び、知識や創造性、独創性、を高める効果があるとされるRagaなどには、「第5Chakra:Vishuddha」と直接的には関わりがないものもあります。

逆に、「第5Chakra:Vishuddha」と直接的に関わるRagaの中には、呼吸器や聡明さに関わらず、頭痛や麻痺の緩和に効果があるとされるRagaも少なくありません。

また、本来はもっぱら他の効果・効能のRagaであったり、他のChakraと関係が深いRagaであるにもかかわらず、或るMudraを伴うことで、むしろ強力な「呼吸器疾患改善」の力を見せるRagaもあります。

おそらく、これらの矛盾や限定から外れる働きも、やはり「呼吸」が意思によって、速めたり、遅めたり、止めたりが出来るということや、怒鳴ったり大声を出して自らで痛めたり、ぶつくさ言ってはっきり言わない、とか、悪口を言うなどなどの意思・意識の変容に大きく振り回されることから生じる「多様性」ではないかと考えられます。

つまり、「Raga-Chikitsa(ラーガ治療」の立場からすると、「呼吸器の健康維持」は、それ自体(鼻腔、口腔、気管、気管支、肺」への働きかけ、と効果の他に、「精神面の是正から呼吸器官へ働きかける」ものもあれば、もっぱら「精神面の是正」という目的に限定して、二次的に呼吸器を改善する、などのタイミング、時差、段階が異なる効果や能力があるのだろう、ということです。

しかし、これらのRagaは、単に「リラクゼーション/精神安定」のRagaとは、働きが異なります。

例えば、強烈に「被害者意識」が強い人が興奮していて、リラクゼーションの効果があるRagaによって落ち着いたとしても、その精神性や意識は変わりません。逆に、「甘やかされる」「肯定される」ことによって、その精神性は、頑強になることもあるかも知れないのです。が、むしろ「精神性」の方面に強いRagaによっては、その意識を根底から改める効果や、それに気づく効果を与えるかも知れないということです。

しかし、「人間の意識」これさえかわればかなりの大きな変化が期待できるのですが、数多の臓器や機能、システムの中で、最もやっかりで手こずるのがこれですから、Raga治療にしても、YogaにしてもAyuruvedaにしても、その効果を発揮するには、この「壁」をどう乗り越えるか?が問題なのかも知れません。

(文章:若林 忠宏

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若林忠宏氏によるオリジナル・ヨーガミュージック製作(デモ音源申込み)
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