マントラで深まる神々との絆

悟りを求め修行を続ける者たちの霊的修練の一つに、神々の力が宿るマントラの詠唱があります。マントラには、神々の名前や形、性質をあらわしたサグナ・マントラがあり、ある特定の神格のマントラを唱え続けると、やがてその神格の力があらわれると信じられます。また、神々の名前や形、性質を含まず、より抽象的な概念をもつニルグナ・マントラもあります。

純粋な意識である神そのものをあらわすマントラは、発声された際に神聖な音の波動として顕現します。マントラを唱える際には、正しい発音と発声で繰り返し唱える必要があります。古代から受け継がれてきたマントラには神聖な音の波動が含まれており、新たな独自の解釈では、その波動を呼び覚ますことはできず、マントラとしての力を持たないからです。神聖なサンスクリット語のマントラを正しく唱えることで、唱える者の不安定な波動が調整され、純粋な意識があらわれると信じられます。

マントラは、悟りを求め続けてきた聖者たちによって古代より伝えられてきました。例えば、サグナ・マントラとニルグナ・マントラの他に、種子真言といわれるビージャ・マントラがあり、これは神々の力が宿るマントラの真髄として、特別な力を授けると信じられます。こうしたマントラには、純粋な意識を覆い隠す障害を取り除く力が秘められています。マントラを絶え間なく繰り返し唱えることでその障害が取り除かれると、純粋な意識があらわれ、悟りに至ると信じられます。

インドではグルよりマントラが伝授される際、特別な関係を持つ神格(イシュタ・デーヴァター)とその神格のマントラが選ばれます。これは、誰もが過去世で何らかの神格を礼拝しており、その礼拝の痕跡が無意識のうちにあらわれることによります。これらは人々の心理に影響を与え、その行為を浄化するために役に立つものです。もし特定の神格があらわれない場合は、グルの洞察によって選ばれることもあります。礼拝すべき神格と適切なマントラが選ばれると、グルとの神聖な縁を結び、悟りに達するまでマントラの修行を続けます。その他、望む特定の力を得るために、他の神々のマントラを唱えることもできます。

例えば、サラスヴァティー女神のマントラである「オーム アイーン サラスヴァッテャイ ナマハ」を繰り返すと、知恵や知性、創造性が授けられると伝えられます。ガネーシャ神のマントラはあらゆる行いから障害を取り除き、マハームリティユンジャヤ神のマントラは事故を防ぎ、病気や不幸を払いのけ、健康と長寿をもたらすと信じられます。中でも、ガーヤトリー・マントラは、ヴェーダにおいて最高のマントラとして、現代においても広く唱え続けられています。

高い目標に到達するためには、自身の努力はもちろんのこと、神々の恩寵も必要不可欠な要素です。マントラや神の御名を繰り返し唱えることは、神々とのつながりを深める手段として、欠かすことができない、誰にでもできる簡単な方法です。心を込めて、繰り返し唱え続けるならば、やがて水が源泉から湧き出るように、神々の恩寵が内なる泉から湧き出ることでしょう。

(SitaRama)