ガンガーの聖地

母なるガンガーとして崇められるガンジス川は、インドとバングラデッシュを流路とし、ネパールやブータンにまで流域を持つ大河です。ヒマラヤ山脈のガンゴートリー氷河から湧き出た後、ベンガル湾に注ぐまで、その全長は2500㎞を超えます。ナンダー・デーヴィーやカメット峰といった標高7000mを超える山々からの雪解け水が流れ込むこの大河は、ヒマラヤの峡谷を約250km南下すると、巡礼の聖地であるハリドワールに流れ出ます。ハリドワールでは、ガンジス運河が形成され、周囲に豊富な水を供給しています。

聖地ハリドワールを流れ大平原へと出た後、次なる聖地イラーハーバード(アラーハーバード)で、最大の支流であり、ガンガーと同じように聖なる川として崇められるヤムナー川に合流します。 イラーハーバードは、ガンガーとヤムナー川に加え、地下を流れるサラスヴァティー川の3つが合流していると神話において伝えられ、聖なる川が交わるプラヤーグと呼ばれ崇められています。ガンガーはここで、北部平野の南東方向へと流れを変えます。

インドの地は、遠い昔からこの大河を、マカラという怪魚に乗る母なる女神、ガンガーとして崇めてきました。古代の聖典では、ガンガーはヴィシュヌ神の御足から流れ出ていると伝えられることから、崇高なヴィシュヌ神の御足から流れ出たことを意味する「ヴィシュヌパディー」と呼ばれることもあります。

ヒンドゥー教徒は、死す時、ガンガーの聖水に触れることで、魂が解放されると信じます。ガンガーでの沐浴なしに人生は完結せず、その恩恵を求め、日常的に沐浴を行う人々もいれば、特別な時を選び沐浴を行う人々もいます。ガンガーで肉体を離れる時、その魂は解放され、解脱に到達すると信じられることから、苦しみを生み出す輪廻転生からの解放、そして永遠の至福を求め、家族の遺灰をガンガーに流す人々の姿も見られます。インドの家庭では、神聖さをもたらすガンガーの聖水が入った壺を祀ります。

「クンブ・メーラー」や「チャタ・プージャー」など、ヒンドゥー教における数々の祝祭の儀式は、その多くがガンガーのほとりで行われます。聖地ヴァーラーナシーには、雨季の洪水に耐えながら、ガンガーに沿って数百もの古い寺院が祀られています。数あるガンガーの聖地の中でも、ヴァーラーナシーはヒンドゥー教徒にとって永遠の聖地であり、解脱の地であり、最も重要な巡礼の地としてあり続けています。

(SitaRama)