霊性修行の道のり

霊性修行を実践するための重要な期間であるシュラヴァナ月は、シヴァ神を礼拝する吉兆な時であると伝えられます。それは、シヴァ神がヒンドゥー教の天地創造神話である「乳海撹拌」において、生み出された猛毒ハラーハラを飲み干し、世界を救った時であると信じられているからです。

乳海撹拌は、不死の霊薬であるアムリタを得るために、神々と悪魔が協力し海を撹拌したと伝えられる神話です。この乳海撹拌は、私たちが歩む霊性修行の道のりが記された神話として伝えられることがあります。

クシーラ・サーガラといわれる神々と悪魔が共に撹拌をした乳海は、私たちの心として例えられます。さまざまな思考や感情が大きく波を立てる心という大海において、私たちはその波に飲み込まれ、大きな苦難を経験することも少なくありません。

そんな波立つ大海において内なる幸福を得るためには、ヨーガや瞑想といった、心の集中や欲望の制御を行う霊性修行が必要です。その過程では、乳海撹拌で猛毒ハラーハラが生み出されたように、時に混乱や動揺が生じ、猛毒のような試練が生み出されることもあります。それは、自分自身を破壊するほどの力を持つものかもしれません。

しかし、シヴァ神がその猛毒を飲み込んだように、私たちの内にはその試練を乗り越えるための、純粋な意識としてのシヴァ神の力が内在しています。その存在に身を委ねる時、霊性修行も確固たるものとなると、インドの霊的叡知を通じ幾度となく学ぶ機会がありました。

牛乳を撹拌し続けると豊かなバターが生み出されるように、乳海撹拌を通じては、猛毒だけでなく14の宝石も生み出されます。ラクシュミー女神のその宝石の一つです。14の宝石は14のシッディともいわれ、私たちが霊性修行を通じて得る恩恵であり、幸福です。

牛乳の中に遍在するバターのように、私たちの心という大海には大きな幸福が満ちています。常にその大海を撹拌しながら内なる世界を浄化し、幸福を得られるように、霊性修行を実践し続けたいと感じています。シュラヴァナ月を通じては、猛毒を飲み込むシヴァ神の大きな恩寵の中で、心強くその実践を行うことができるはずです。

(文章:ひるま)