95、Tri-Doshaと七つの楽音 図完、

今回の私が作成した図の中心の円は、「Tri-Dohsa」を示し、その回りは、「Pancha-Bhuta(この場合は、五元素)」です。ご覧のように、「Kapha-Dosha」は、五元素の「土/Prithvi」と「水/Jalaの半分」の「1.5Bhuta」と関係し、「Pitta-Dosha」は、「火/Agni」と「水/Jalaの半分」の「1.5Bhuta」と関係し、「Vata-Dosha」は、「風/Vayu」と「空/Akasha」の「2Bhuta」と関係すると説かれます。

その回りの円は、科学音楽の「七つの楽音」で、「S、R、G(サレガ/ドレミ)」の三音が、五元素の「土/Prithvi」と関係し、、必然的に「Kapha-Dosha」と関わります。「M(マ/ファ)」は一音で、五元素の「水/Jalaの半分」と関係し、「Kapha-Dosha」と「Pitta-Dosha」に関わります。「P(パ/ソ)」も単音で、五元素の「火/Agni」と関わり、「Pitta-Dosha」と「Kapha-Dosha」に関わります。
「D、N(ダニ/ラシ)」もまた、それぞれ「風/Vayu」と「空/Akasha」に「一対一」で関わり、双方とも「Vata-Dosha」と関わります。

ここで大切なことは、「関わる/関係するとはどういうことか?」を普遍的に理解すべきであるということです。極めて基礎的で重要なことですから、「分かった気になる」「文字的には分かった」では駄目ということです。

「関係性の概念」に関しては、「中医・漢方弁証論治」の方いささか長けているところがあります。「漢字」の共通性によって、日本人にも分かり易いということも含めて借用して来ますと、「関係性」には、「相生=互助相乗効果」「相剋=闘う」「相殺/相悪=打ち消し合う」「相反=想定外の結果(多くの場合副作用)が生じる」などがあります。

つまり、「七つの楽音」と「五元素、3Dosha」との関係性も単純ではない、ということです。加えて、「Dosha」は、その字義と近年のアーユルヴェーダ専門家さんの多くが言うような「元凶」という負のイメージではなく「あくまでもバランスの上で考えるべき、むしろ必須の要素」で或る訳です。更に、「Dosha」は、仮に「最も良いバランス(Sattuva)」の場合でさえも、「一日の時間帯」によっても「季節」によっても大きく変化します。なので、「○○には○○が効く」といった類いの単純で短絡的な謳い文句のようにはならない訳です。

例えば、同じ「生命体の各種機能の維持に欠かせないバランス機構:恒常性」の代表格のひとつ「pHバランス」に関して西洋科学(医学)でも常識になっている筈のことを例に挙げれば。例えば「ストルバイト結石(膀胱や尿道を傷つけ、最悪尿路閉塞となる)」が怖いからと言って「尿pHを下げましょう」の謳い文句に釣られてしまうと、下げ過ぎれば、「蓚酸カルシウム結石」というより重大な(閉塞したら手術しなない)問題に至る場合もありますし、そもそも「pHが低い状態が長く続く」と腎臓にはかなりのダメージです。

ところが、胃袋に食物が入っていれば、「胃酸製造」の為に、体内から「酸」がごっそりかき集められますから、血中、尿pHは当然下がります。しかし、その後、小腸で吸収されるころには復活します。また、全力疾走でもすれば,数分でpHがガクンと下がるとも言われます。このような働きを「pHを上げよう!下げよう!」の謳い文句に乗ってどうこうすることが、そもそも「出来るのか?」「して良いのか?」ということです。加えて言えば、そのような要素も含めて「貴方の体質です」と決めつけてしまうことにももっと熟慮が必要なのでは?と思う訳です。

これらのことを総合して、「科学音楽の楽音とDoshaの関係」を、大まかに申し上げますと。まず、当連載コラムの前回の私の「Doshaバランスの9パターン図」の左側、「何かひとつのDoshaが亢進し過ぎている場合」で、「そのDoshaが普遍的に活性する季節と時間帯」には、明らかに、「即効的にそのDoshaの働きを押さえる音を聴かせるべきである」と言えます。

逆の発想で、「明らかに、そのDoshaの亢進によって、既に症状が出ている場合」も当然です。しかし、これこそは「現代西洋医学の局所対処療法」的であると戒める必要があり、これと比較して、前述した考え方は、「予防医療」であると言えます。
しかし「中医・漢方弁証論治」でも、「標本緩急」という概念があり、「急の場合は、本来の『全身・根治療法=本治』に、『局所対処療法=標治』を優先する」とされます。分かり易く「先表後裏」とも言われます。

次に、何か「2種のDoshaが亢進している場合」は、「その2種を抑える」という「順手」の他に、「残され衰退した1種をサポートする」という「逆手」が考えられ、「科学音楽」では、「同時進行」する場合があります。

「中医・漢方弁証論治」でもこれは最も難しいテーマで、中級以上分かっている漢方薬局薬剤師さんでも、「証の看たて」を誤ることがあるようです。基本は「虚補瀉実」で「弱いものを助け,過剰を削ぐ」ですが、その際に、「虚則補其母、実則瀉其子」という、「側手」があります。即ち、「虚(衰弱している部分)」のみならず、その「母(相生関係にある親的存在)」を優先して助ける。「子が実(亢進)の場合は、その子を瀉して母を助ける」という手法です。

これを人間の「母子」に置き換えるとかなり過激です。「子が弱まった結果で母子が苦労している時は、子を指導するのではなく、「母親に元気・激励・栄養・休息・義援金を与えよ」であり、「子が暴れまくっている結果」の場合、「直接その子を叩け!」ということです。過激なようで「理に叶っている」とも思えます。

一方、「アーユルヴェーダ生薬」にも「中医・漢方生薬・方剤」にも、「インド科学音楽」にも、大別して以下の基本要素があります。
「何かを抑えるもの=瀉薬/抑薬」「何かを助けるもの=補薬/益薬」「何かのバランスを保つもの」

三番目の存在は、「ガチガチの現代性要医学のお医者さん」が最も「認めたがらない」ものでしょうか。例えば「下痢と便秘に効く」「高血圧と低血圧に効く」などです。しかし、実際多くの存在が太古から語られています。尤も私の経験では、やはり「即効性」には欠けるようで、「局所対処療法」には不向きで「予防医療」や「慢性症状の体質改善」なのかも知れません。

私の作図の最も外側の円には、具体的な「ラーガ(旋法)とひとつ内側の3Doshaとの関係」が書かれています。しかし、これが極めて難解かつ重要なテーマですが、「ラーガを正しく弾く」ということは勿論の最重要課題ですが、インドの今日の「音楽療法士」を自称する人でさえ、「あやしい」場合が少なく在りません。

加えて、前述の「Doshaのバランスに応じて、同じRagaを正しく弾きつつも、音のバランス(Bahutuva)を加減する必要」がある訳ですから、そこ迄分かっている療法演奏者となると、かなり厳しいというのが現実と思われます。

何故ならば、ひとつ内側の円で「Doshaと関わる音(単音~3音)」を示しましたが、外側の円のRagaで用いられる音を全て書き出すと、いずれも「12音楽の全て」が登場してしまうのです。

この難しさは「中医・漢方生薬・方剤」や西洋、アーユルヴェーダHerbのブレンドの難しさと全く同じです。厳密に考えれば、「古来からのレシピ」の経験を重んじつつ、何かを加減する必要がある、ということなのです。私の場合、八件目で、やっとその「加減」に快く応じてくれる「漢方薬局」さんに巡り合いました。「そこまで厳密でなくても」と言われそうですが、利き目が全く違いますし、副作用も変わりますから、或る意味、基本的な大問題でもあります。

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(文章:若林 忠宏

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