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インド音楽

101、Jotisha(インド占星術)とインド科学音楽

インド占星術の混乱
前回、「カルチャー論」に留まらず、近現代の人間社会のありとあらゆることが、「自然の摂理」に反して、渾沌とし、対立し合い、急速に偏重を増大させ、或る種の破滅の方向に向かっていると説きました。

近年、インド・ファンのみならず、むしろ旧来の「占い好き」や「西洋占星術ファン」をインドの魅力の世界に誘っているとも言えるほど関心を呼んでいる「インド占星術(Jyotish)」もまた、決して例外ではない筈です。

しかし、インド占星術の場合、ヴェーダの時代から「渾沌・混乱」を余儀なくされたという事実もあります。

そもそも占星術に限らず、古代ペルシア(ソロアスターより遥か以前)と共有であった「アーリアン科学」に於いて、インド勢がペルシア勢と何らかの理由で決定的な決別をした頃に、既にあらゆる「理論」が渾沌とし、或る種の「確執」と「歪み」が生じたことは否めず、「やむを得ない」とも考えられます。

そして、その後、ペルシア勢は、ミトラ教、ゾロアスター教、その他の新興勢力及びアブラハム系3新興宗教と対峙し更に渾沌とし、インド勢は言う迄もなく、仏教と様々な反仏教勢力、ヒンドゥーの台頭などによって混乱します。

この史実は、或る側面では、「西洋占星術」と「インド占星術」が、同源の分派同士であることをも意味していますが、同時に「各混乱の時代に守られた理論と守られなかった理論」があることをも意味しています。

その結果「同情する」などと言ったら極めて無礼ですが、インド占星術では、様々な「理論」、有名なところでも三四種類を「混在させながら説かねばならない」という、極めて複雑で難解なことが要求されているのです。

インド科学音楽と占星術

しかし、上記しました「渾沌の歴史」や、「様々な勢力の恣意・思惑」の所為だけでもなく、本来「あらゆる物事」は、そもそも複雑な関係性を持って居ることも事実であり、或る種それこそが「最大の基本」かも知れません。
その意味では、否応が無しに「遠隔的(非直接的)である天体・宇宙」との関係性を説く「占星術」ですから、「アーサナや生薬や施術」と言った「直接的」なヨガやアーユルヴェーダよりも「複雑」に思えるのも無理ないことかも知れません。

しかしそれも、何度も申し上げているように、「直接的なものの方が、表面的な認知感覚(表層的・日常的な自我/意識)にとって分かり易い」からに他ならず、実際、ヨガもアーユルヴェーダも、一般に理解されている程単純ではないということでもあります。

インド科学音楽にとっての占星術は (今更言うのも表題と矛盾していますが)、そもそも「占い」が基本にあった訳ではありません。しかし、古今東西で、為政者・権力者が、「占い」で物事を決断しようとしたことが「占星術」の発展及び継承の原動力であったが為に「(所謂)占い」がメインになったということです。本来の「基本」は、あくまでも「神学」です。「神が創りたもうた物事を分かりたい」のひとつに尽きます。

より正確に言えば、「表面的な自我よりも論理的思考を伴って悟った摂理を重視する精神性」にとっては、「全てが天啓に従って決められる」「天啓を知る=占い」という意味では「Jotish」は「占い」以外の何ものでもありません。

しかし、数百年千数百年前のインドの為政者・権力者から今日の私たちに至る、人間の多くが陥る「不安に負けて、占いの助言を欲する」感覚や、「都合の良い肯定的な答えを求める」とか「不遇・苦しみの理由を知り、少しでも心を落ち着かせる」などなどといった、「表層意識の満足」のための「答え探し」という次元に於いての意味の「占い」では断じてないのです。

この違いを端的に言うならば、前者は「絶対的に従うべき答え」であり、後者は「感情にとって都合の良い答えを探す(だけを取込む)」ということです。

ヴェーダやヒンドゥーが「アニミズム的である」などと言うと、誤解や反発を招きかねず、その説明の為に膨大な文言が必要になってしまいますが。仮に「アニミズム的である」とした場合、同様の文化が近年迄根強く残っていたアフリカと日本にも、「絶対服従」的な「天啓/教え」というものが存在しました。

仮にそれらを「真実」とするならば、人間は、その「真実の厳しさ」に対し、負けそうな精神力を高めることこそが、与えられた最重要課題であるということなのではないでしょうか。 しかし洋の東西を問わず、人間はその逆ばかりして来ただけでなく、時代と共に増長し、近年ではその放蕩振りは年々酷くなっています。

インド科学音楽では、オクターブに存在する「楽音(12~22の)」は、先ず「9惑星(Nava-Graha)」と関係します。「9惑星」は、「七曜の七惑星(太陽は恒星ですが)」に「月の軌道の南北の交点」を「惑星」に見立てて加えたものです。

次に「楽音」は、「12星座(12Rasi)」との関係性を持ち、その後、本来は「淘汰(滅ぼされた)された筈」の古い概念(理論)である「27(28)の星宿(Nakshatra)」との関連が説かれ、これは日々及び一日の中で刻々と変化します。

「滅ぼされた筈」と言うのは、紀元前数千年前に、世界的レベルで行われた「太陰系と太陽系の価値観の決戦(主導権争い)」によって、破れた筈の太陰系の理論の名残だからです。

「世界的レベル」と言ったのは、ヴェーダの時代以前の古代ペルシアから地中海、北欧にさえその片鱗が見られ、日本の神道神話にも確かに見られます。

しかし、何故か、世界中で、「太陰系の理論」は、根絶やしにはならず、細々であっても生き続け、更に不思議なことに、「世の中が荒廃する(要するに人間の人間力(精神力と思考力)が衰える・荒廃するということですが)」と、突然、「暗黒の世界(悪い意味ではない)」からその存在感を増し始めるのです。

従って、この「Nakshatra」は、太陽系の概念と理論とは、全く別な概念・理論ですから、「センチメートルで体を計り、布を切り、服を作っていた」ところに、「インチ」で同じことを始め、その双方の答えを無理矢理関係させるというほど複雑なことなのです。しかし、より高度な占星術では、実際この「併用」が、より正確な「占い(答え)」を導いてしまうため、専門家は、この複雑で難解な課題を必死で学ばねばならない訳です。

尤も、言い換えれば「センチもインチも、オクターブの分割も」何れも、本来「無限のように分割出来得ると共に、決して割り切れないもの」を「便宜上分割した一例」に過ぎないのですから、「センチとインチ」「太陽系と太陰系」などの「二点測量」は、、最低限不可欠なのかも知れません。

一方、「インド科学音楽とJyotishの関係性」をより複雑にしているのが、「枝葉のように分岐し伸びる関係性」の存在です。

上記しましたように「楽音→惑星の関係性」が解明されると同時に、「惑星の守護神→楽音の関係性」も説かれます。
更に、「星座」には、「星座の守護星(中心星)」と「星座の守護神」があり、当然「星座の守護星の守護神」が別に(奇しくも同一の場合も)存在し、それと楽音の関係も説かれます。

これらに加えて、実際の「インド科学音楽=そもそも療法音楽の性質が濃厚」では、「単音を聴かせる」のではなく、「科学の真髄であり唯一の具現方法」である「ラーガ(旋法)の即興演奏」によって施術が為されます。

したがって、七音音階の「或る選ばれたラーガ」には、「七つの音の役割」があり、「全体像(Swarup)」と「本質(Prakriti)」があり、それらが、上記の「惑星守護神と関係の深い他の星、星座守護星、星座守護神と関係の深い他の星」との関係性も深く理解しないとならないのです。

加えて、「Jyotish」も同様ですが、「持って生まれた性質(特性)」「後天的な性格」「総論的な人生」「現在現時点の位置づけ」という「占星術からの考察」と、「ラーガ(旋法)とその音が直接的に心と体に作用するテーマ」と、「ラーガとチャクラの関係」「ラーガとドーシャ・バランスの関係」が同時に作用しますから、気が遠くなるほど複雑です。

従って、「ラーガ(インド科学音楽)と天体の関係」は、「クライアントの関心事(学び理解すべきこと)」というよりは、「施術側の絶対的な重要情報」ということが出来るかも知れません。

何故ならば、体質や症状がほぼ同じでも、「星が異なる」場合に、同じラーガで効果が得られない場合があるどころか、反作用、副作用も大いにあり得るからです。

従って、悲しいかな、少なくとも言えることは、「これが貴方の誕生ラーガ(旋法)ですから、これを聴くと元気になりますよ」程度の類いは、殆ど「まゆつば」だろう、ということです。

何時も最後まで、ご高読をありがとうございます。

近いご案内で恐縮ですが、来る9月30日と10月1日、福岡市の自宅スタジオで、「インド太鼓Tabla無料体験」「弦楽器Sitar半額体験」を行います。是非、近郊のお友達にお知らせください。詳しくは、若林の音楽教室のページ「Zindagi-e-Mosiqui」で、

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是非ご参考にして下さいませ。

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Hindu Chant講座Vol.2

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(文章:若林 忠宏

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