「オーム ブールブヴァハ スヴァハ」の神秘

ॐ भूर्भुवः स्वः
om bhūrbhuvaḥ svaḥ
オーム ブールブヴァハ スヴァハ
(オーム 地よ、空よ、天よ)

ガーヤトリー・マントラの始まりに唱えられる「オーム ブールブヴァハ スヴァハ」。これは、ヴィヤーフリティと呼ばれる宣言文のひとつにあたります。日々の祈りやホーマなどにおいても唱えられ、三界の神々を讃え、呼び覚ますとされます。

ガーヤトリー・マントラについて多くの言及がなされるウパニシャッドにおいて、この「オーム ブールブヴァハ スヴァハ」に関する記述が見られます。サーマ・ヴェーダに付属し、最初期のウパニシャッドとされるチャーンドーギヤ・ウパニシャッドでは、以下のように述べられています(第4章第17節)。

(1)プラジャー=パティ(創造主)は諸世界を抱きあたためた。それらが抱きあたためられている間に、彼は種々の漿液をそれらから搾った。大地から火を、虚空から風を、天から太陽を絞りとった。
(2)それから、彼はこれらの三神格を抱きあたためた。それらが抱きあたためられている間に、彼は種々の漿液をそれらから搾った。火から讃歌を、風から祭詞を、太陽から旋律を絞りとった。
(3)彼はこれらの三種の聖知を抱きあたためた。これらのものが抱きあたためられている間に、彼は種々の漿液をそれらから搾った。讃歌より空界を、祭詞より地界を、旋律より天界を搾りとった。
(4)供犠祭が讃歌の側から害われるとき、「空界は、スヴァーハー」と唱えて、ガールハパトヤ祭火に供物を投げ入れよ。彼は讃歌の漿液により、讃歌の威力により、讃歌と供犠祭の損害を償うのである。
(5)また、祭詞の側から害われるとき、「地界は、スヴァーハー」と唱えて、南側の祭火に供物を投げ入れよ。彼は祭詞の漿液により、祭詞の威力により、祭詞と供犠祭の損害を償うのである。
(6)また、旋律の面から害われるとき、「天界は、スヴァーハー」と唱えて、アーハヴァニーヤ祭火に供物を投げ入れよ。彼は旋律の漿液により、旋律の威力により、旋律と供犠祭の損害を償うのである。
(岩本裕編訳『原典訳 ウパニシャッド』ちくま学芸文庫,2013:100-101)

地・空・天(虚空)とされる三界は、物質・精神・魂であり、現在・過去・未来ともいわれます。また、太陽神サヴィトリへの賛歌であるガーヤトリー・マントラは、感覚を司るガーヤトリー女神、生命力を司るサーヴィトリー女神、そして叡知を司るサラスヴァティー女神の三女神の象徴でもあります。こうした神々を呼び覚すガーヤトリー・マントラは、自分自身の存在を通じて、私たちを真理へと導くでしょう。