川の女神を招来する沐浴時のマントラ(ティールタへの祈念)

तीर्थ प्रार्थना tīrtha prārthanā ティールタ・プラールタナ(ティールタへの祈念)

 

このマントラは、身を清めるときに用いる水にインド国内の複数の川の女神を招来するものです。

ヒンドゥー教では、物理的な汚れのみならず、宗教的な罪や穢れ(けがれ)を水で祓い身を清める行為、「沐浴」が信仰や生活と結びついています。そのため、沐浴に適した池や川辺は神聖な場所として人々の信仰を集め、聖地となりました。

聖地のことをサンスクリット語では「ティールタ」と言います。今日では水辺とは関係のない聖地もティールタといいますが、その語源は√tṝ-(渡る)なので、もともとは渡れるような川の浅瀬、川辺の意味であり、まさに沐浴場を指していたのでしょう。さらには俗から聖、現世から解脱への「渡し場」であり、穢れを祓い浄化してくれる「聖地」なのです。

 

「プラールタナ」は、祈願、誓願、の意味の言葉です。川の女神を招来し、体を清めるための水を聖地の水と同一化、浄化の力を高めるマントラです。

 

【原文】

गङ्गे च यमुने चैव गोदावरि सरस्वति।

नर्मदे सिन्धु कावेरि जलेऽस्मिन्  संनिधिं कुरु॥

gaṅge ca yamune ca_eva godāvari sarasvati |

narmade sindhu kāveri jale ‘smin  saṁnidhiṁ kuru ||

ガンゲー チャ ヤムネー チャイヴァ ゴーダーヴァリ サラスヴァティ

ナルマデー シンゥ カーヴェーリ ジャレー‘スミン サンニッィン クル.

 

【逐語訳】

おお!ガンガーよ!ヤムナーよ!ゴーダーヴァリーよ!サラスヴァティーよ!

ナルマダーよ!シンドゥーよ!カーヴェーリーよ!

どうぞ、この水においでください!

 

【単語の意味と文法の解説】

 

左から、デーヴァナガーリー表記、ローマ字表記、<名詞の語幹形、動詞の語根形 >、語意、(文法的説明)、「訳」、という順番で説明しています。√の記号は動詞語根を表わします

 

गङ्गे gaṅge < gaṅgā- > ガンジス川(女性名詞、呼格、単数)「ガンガーよ!」

च < ca > また(不変化詞)「また」

यमुने yamune < yamunā- > ヤムナー川(女性名詞、呼格、単数)「ヤムナーよ!」

च < ca >

एव < eva > (不変化詞、強調詞)「実に」

गोदावरि godāvari < godāvarī- > ゴーダーヴァリー川(女性名詞、呼格、単数)「ゴーダーヴァリーよ!」

सरस्वति sarasvati < sarasvatī- > サラスヴァティー川(女性名詞、呼格、単数)「サラスヴァティーよ!」

नर्मदे narmade < narmadā- > ナルマダー川(女性名詞、呼格、単数)「ナルマダーよ!」

सिन्धु sindhu < sindhu- > シンドゥ川(女性名詞、呼格、単数)「シンドゥよ!」

कावेरि kāveri < kāverī- > カーヴェーリー川(女性名詞、呼格、単数)「カーヴェーリーよ!」

जले  jale < jala- > 水(中性名詞、処格、単数)「水に」

ऽस्मिन् ‘smin = अस्मिन् asmin < idam- > これ、この(指示代名詞、中性、処格、単数、jaleを修飾)「この~」

सन्निधिं sannidhiṁ < sannidhi- > 間近、座(男性名詞、対格、対数、次の√kṛ- の目的語)

कुरु kuru < √kṛ- > ~する、(sannidhim+√kṛ- 鎮座する:命令法、能動態、2人称、単数)「あなたが鎮座なされますように!」

 

 

(文章:pRthivii)