111、歴史の理解力を高めることは、心身の健康に最適・最短の手法 (その1)

「人間は手足の生えたナマコ」である。

学生の頃から、友人の中で「歴史が好き」という人は、五人にひとりくらいだったような気がしますが、近年ではその割合はもっと減ったのではないかと危惧します。その一方で、TVではこの十年、歴史物語が多くなりましたから、歴史に対する思いを新たにした人が増えていて、五人に三人位に増えているのかも知れません。尤も、昭和30年代40年代のようには、「未来」を明るくはイメージ出来なくなって来た所為で、「非日常への逃避的感動」も含めての「歴史ロマン」に一時酔うだけでは何も残らない、何も変わらないかも知れませんが。

逆に、今も昔も「歴史は苦手・興味無い」という人が、半数以上いるのだとして。これは、ひとつに学校教育に於いて、歴史を如何につまらなく教えて来たか、というテーマでもあり、一方では「今に生きる」ということの意味を誤解・極解した、以前も述べました「イマジン病」の所為もあると思われます。「イマジン病」とは、「枝葉執着症候群」の典型的なもののひとつで、たいがい「常識・観念・流行依存症」「向い合い・振り返り・自壊困難症」そして「自意識過剰・自尊過剰が根底にある優劣過敏症」を伴い、重度の場合は「目先過集中・先急ぎ・死に急ぎ・やり過ごし病」となり、最悪の場合「本当の自分」は勿論「かりそめの自分」さえも見失い、外因に対する反応だけに流された「生ける屍」状態に陥ります。

しかし、これもまた、心身の基本的なシステムの異常~誤作動~崩壊方向でありますから、逆なタイプの自負心旺盛な人々が言うような「根性(精神性)問題」ではないのです。

ここは極めて重要なポイントです。

体に取込まれる「空気・水・食物」同様に、「言葉・文字・思い・感情」そして、「音楽・美術」つまり、古代ヴェーダの叡智が極めて重視した「マントラ:音・言葉(ことだま)・音楽」「ヤントラ:文字・象形・図形・オブジェ・美術」「タントラ・論理・思考・科学性・普遍性」に象徴されるものを「正しく消化・吸収・代謝出来ない状態」に近づいている場合に起る、或る種の「心と体がS..O.S.を発している」状態であると言えます。

「正しい消化・吸収・代謝」は、「対峙する二つの要素のバランス」と「滞らないこと」が最優先課題であることもまた言う迄もないことですが、体に関しては、「Detox」ばかり励み、心に関しては「拒絶とスルー」ばかりですが、これでは全く意味も効果も為さないばかりか、むしろ「本来のデフォルトの機能を脆弱にし、やがては破壊する」と言っても過言ではありません。しかし、世界的規模で、そのような状態の人間が増え、その結果、「悪因=犯人探しと排除」のヒステリックな状態に急速に進んでいるのは事実です。それは国際情勢の問題ではなく、国の社会情勢でもなく、個々の人間の「心身の偏った状態」に起因していることは言う迄もありません。

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生命体は或る種の「筒」である
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ヴェーダの叡智は、人間を或る種の「筒」と考えます。ご存知の方も多いと思われます「Taittiriya-Upanishad」などが説いた「Kosha(鞘)論」です。これを「鞘」と訳した方が何処の何方なのか? 当たっているようでいて、ピンと来ないものも禁じ得ません。

いずれにしてもその基本に、ヨガでも、アーユルヴェーダでも、そして「Shastriya-Sangit(科学音楽)」でも説いていることですが、「Nada(Purana/気)」が正しく滞らずに流れる、栄養・酵素・リンパ・ホルモン・神経伝達物質などが行き交う無数とも思える「管」のあつまりが「生命体」であり、様々な臓器は言わばChakra同様の「節(ジャンクション・分岐点)」であるという考え方の有無が極めて重要です。でなくては「鞘がある」「ふーん、そうなのか」では、何の役にも立たないからです。

この考え方では、この私も含め人間という生き物は、ところどころがささやかに進化(?)しただけの「ナマコ」に過ぎないとも言える訳です。

言い換えれば、その「ささやかな進化(手足や五感や思考力)」が正しく機能せず、成長・向上と活用がないのであるならば、「ナマコにも劣る」「ナマコの方が遥かに偉い」とも言える訳です。

更に言い換えれば、むしろ「ナマコ」に成れれば、この世知辛い世の中、海の底でじっとしてやり過ごせれて楽なのでしょう。(私のキューバ歌謡の十八番に、ナマコではなく海老ですが、そんな想いを歌ったPachangaがあります)

しかし残念ながら、正しい手段があったとして、それによって、人間としての五感・手足・思考などを正しく削ぎ落として捨てない限りに、「正しい(健康な)ナマコ」にはなれません。(或る意味。勿論良い意味で「悟り」「梵我一如」は、「正しくナマコになること」なのかも知れませんが)

即ち、「ナマコに無い(余分な)機能」を、「正しく停止させる」「正しく捨てる」方法でもない限りには、それは「壊れた機械を更に壊した」に過ぎないということです。

つまり「瞑想」にしても「悟り・梵我一如」にしても、今更どうしようもなく備わっている私たちの「様々な機能=多数の機械」が、新品同様で良く動作し、良く働き、活用されている状態で電源をオフにしたような状態でなくては、「壊れた機械だらけの崩壊寸前の工場」が遂に「息の根を止めた」状態と同じである、ということです。

論法は唐突のようですが、「歴史を面白く理解する力」を育て鍛えるということは、錆び付き焼き付いた機械をメンテナンスするには、実に効果的な手法のひとつなのです。よって、今回の名題「歴史の理解力を高めることは、心身の健康に最適・最速の手法」ということになるのです。

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Kosha論の正しい解釈
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今回の二つの円で表した図の左が、Pancha-Kosha(5層の鞘)を新たなスタイルで説明したもので、右は、かつてこの連載で説きました、5つの意識と存在(形而上的なものも含む)の図です。(宇宙の意識の象徴であるPurshaは図の円には描かれていません。

おそらく多くの方が、以前ご紹介した私の右図の構造を理解して下さったと思います。しかし、その感覚で「Pancha-Kosha」を理解してしまうと、今回の左図のようになってしまう筈なのです。実際、インドでも日本でも、「Annamaya-Kosha」「Pranamaya-Kosha」「Manomaya-Kosha」「Vijnanamaya-Kosha」「Anandamaya-Kosha」の順に「奥へ」「内面へ」と説いています。

勿論これ自体は紛れもない事実であり、或る意味今回の左図は、「心を閉ざす」とか「殻をまとった」などと言われる姿をも表しているとも言えます。

同様に、「常識や価値観や観念」などや、「共感・気分的(非思考的・非論理的)解釈」そして「動物的(とは言っても不自然な)直感頼りの反応と敏感さ」などに依存してこの世の中をどうにか生き延びようとしている状態をも「堅い殻に隠った・守られた」ということが出来ます。つまり「愛想が良いだけ」の人は少なくなくとも、本当の意味で「心がオープン」という人は、そうそう居ない。ということです。

また、この左図のような構造のままで、外側が「防御の堅い殻」では、「必要なもの」も心や魂には届きません。

尤も、現代人の多くが外堀の「気分・感情(本来は悟性と叡智満ちた知性と感性)=Manomaya-Kosha 」内堀の「価値観や観念(本来は思考・論理)=Vijnanamaya-Kosha」が脆弱になっていますから、外的要因の数々は、ほぼダイレクトに心に影響を与え、心は最早ずたずたなのかも知れませんが。       (つづく)

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何時も、最後までご高読を誠にありがとうございます。

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是非、奮ってご参加下さいますよう。宜しくお願いいたします。

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Vedic Chant入門講座(基本理解編)

Ayurveda音楽療法紹介(基礎理解編)

アーユルヴェーダ音楽療法 (実践編1)

アーユルヴェーダ音楽療法 (実践編2)

アーユルヴェーダ音楽療法 (実践編3)

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(文章:若林 忠宏

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