生と死の喜び

カラフルな色粉が飛び交い、この上ない喜びに満ちるホーリー祭は、毎年2~3月の満月に祝福されます。
その満月の3日前となる2月27日、聖地ヴァーラーナシーでは、少し異なったホーリー祭が祝福されました。

このホーリー祭が祝福されるのは、火葬場があることで有名なマニカルニカー・ガートです。
満月の4日前は、ラングバリー・エーカーダシーと呼ばれ、シヴァ神とパールヴァティー女神の結婚が成就した日であると信じられます。
そして、次の日にかけ、シヴァ神は群衆とホーリー祭を祝福したと信じられ、現在でもシヴァ神の帰依者たちがこの時にホーリー祭を祝福するのだといわれます。

マニカルニカー・ガートで祝福されるホーリー祭では、色粉の代わりに、荼毘にふした際の薪の灰が用いられます。
解脱の地であるヴァーラーナシーで死すことを求め、世界中から人々が訪れるマニカルニカー・ガート。
朝から晩まで、死者を荼毘にふす煙が立ち込めます。
人々の肉体を焼いたその灰を用いるこのホーリー祭は、死とは喜びであることを伝えているようです。
私たちは、恐れることなく、死を喜びとして受け入れることができるでしょうか。

シヴァ神とパールヴァティー女神の結婚の成就は、プルシャ(精神:男性原理)とプラクリティ(物質:女性原理)の結合によって世界が生まれることを象徴します。
その世界において、生まれ持った肉体という現象を通じ、私たちはさまざまな苦難を経験しながら、永遠の魂に気づくための歩みを続けています。
そして、限りある物質世界から、いつしか解放された魂となるとき、肉体の死すらも喜びとして受け入れることができるのかもしれません。

シヴァ神は、瞑想の邪魔をした愛神カーマデーヴァを焼き払い、その灰を身体に塗りました。
それは、苦難を生み出す欲望に打ち勝つことを意味し、身体に塗られた灰は、変化に富む物質世界のさまざまな影響から私たちを守ると信じられています。

古代より、輪廻からの解脱が説かれてきたインドの地。
そこでは今も、永遠の魂を喜ぶ祝祭が続いています。
恐れることなく死を受け入れることができるように、日々の苦難も喜びとして、魂の向上のための歩みを続けていきたいと感じています。

(文章:ひるま)