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雑記帳

もっとも偉大な信仰者の姿

2018年は5月16日から6月13日まで、インドの一部の暦でアディカ・マーサが生じています。
アディカ・マーサは、太陰暦と太陽暦の間で生じる差異を合わせるために、約2年半に一度だけ生じる特別な月(閏月)にあたります。

このアディカ・マーサは、ヴィシュヌ神やクリシュナ神に捧げられる月として知られます。
この神聖なアディカ・マーサを迎えている今、ヴィシュヌ神の敬虔な信仰者として知られる聖仙ナーラダの話をご紹介します。

ナーラダは重要な聖仙の一人であり、数々の聖典をこの世に伝えてきました。
ヴィシュヌ神を崇め、その御名「ナーラーヤナ」を常に唱えているといわれます。
ナーラダは、ヴェーダをより親しみやすく伝えるために、いたずら好きな一面も多く描かれる聖仙です。

ある時、「もっとも偉大な信仰者は誰ですか。」とナーラダはヴィシュヌ神に尋ねました。
ヴィシュヌ神は、ある農父を指さします。
ナーラダはその農父の生活を窺うも、農父は朝と晩にヴィシュヌ神の御名を唱えるだけで、あとは農作業に明け暮れています。

「どうしてあの農父が一番なのですか。」ナーラダはヴィシュヌ神に問いました。
するとヴィシュヌ神は、オイルがなみなみと入った壺をナーラダに渡し、「このオイルを一滴もこぼさないように、丘を一周して来なさい。」とナーラダに指示しました。
次の日、ナーラダは一滴もオイルをこぼさず、丘を一周して戻ります。

誇り気に成果を求めたナーラダに、ヴィシュヌ神は聞きました。
「今日、何回私の名前を唱えましたか。」
ナーラダは愕然としました。
オイルをこぼさないようにと集中することが精一杯で、ヴィシュヌ神の御名を唱えることを忘れていたのです。

「一瞬たりとも、あなたを思い出すことがありませんでした。」
そういうと、ナーラダは農夫の姿を思い出します。
農父は、自らの義務と責任を全うする忙しい毎日の中でも、決して忘れることなく、1日に2度、ヴィシュヌ神の御名を唱えていました。
そんな農夫を、ヴィシュヌ神はもっとも偉大な信仰者として示しました。

忙しい日々の一瞬において、農夫のように神の存在に気づくことができれば、そこには何よりも大きな祝福があるに違いありません。
すでに注がれている神の恩寵を受け取るには、行為の結果への執着を捨て、自分自身で帆を広げることが大切なのだと感じます。

(文章:ひるま)

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