グルとアールニの神話

霊性が豊かな神秘の国インドにおいて、現代においてもとりわけ重要視されているのが、グルの存在です。
その伝統の中では、私たちに深い教えを示す多くの神話が伝えられてきました。
グルの存在について、マハーバーラタで説かれる有名な神話を通じ、気づきを深めたいと思います。

ダウミャと呼ばれる聖仙をグルとして、アーシュラムで学びを続けるアールニと呼ばれる弟子がいました。
アールニは、後にウパニシャッドの代表的哲人のひとりに数えられる存在です。

ある寒い冬の日、アーシュラムの畑の溝が崩れ、水が畑に流れ込んでいました。
ダウミャはアールニに、溝の崩れを修復するように指示をします。
アールニは畑へ向かい、さまざまな方法で溝を塞ごうとしますが、溝はいっこうに塞がりません。
大切な畑が台無しになってしまうと焦り始めたアールニは、崩れた畑の溝に横たわり、自らの身体で溝の崩れを塞ぐと、流れ込んでいた水を堰き止めました。

夜になっても戻らないアールニを心配したダウミャは、畑へ向かうと、溝のそばに横たわっているアールニを見つけます。
アールニは冷たい水を身体で受けながら、崩れた溝を塞いでいました。
その姿に感銘を受けたダウミャは、アールニの学びは達成されたと、祝福を授けたといわれます。

グルの喜びは、弟子にとって最高の祝福であると伝えられてきました。
グルに従い聖典の教えを学んでいたアールニは、日々の小さな出来事を通じ、その究極の境地に至ります。
他のために自分を犠牲にすることのできるアールニに、それ以上の学びは必要なかったからです。
そこには、自我の消えた何よりも大きな平安があることに、ダウミャは気づいていたに違いありません。

インドでは現代でも、自分自身を解脱へと導くグルの存在を求め、多くの人々が探求を続けています。
それは、自分自身の本質を見つけるための歩みにも他ありません。

私たちの周りには、人生という多くの学びの機会が溢れています。
与えられた人生の一瞬一瞬をグルとして、謙虚に信愛を持って日々を生きることで、何よりも大きな祝福が与えられるに違いありません。

グル・プールニマーを通じ、自分自身を育む全てに敬意を払うとともに、感謝を捧げたいと感じます。
皆様にも、大きな祝福がありますように、心よりお祈り申し上げます。

(文章:ひるま)