スピリチュアルインド雑貨SitaRama

インド音楽

163、アーユルヴェーダ音楽療法入門25(心から発する-その2-)

1)論理思考は気分感情の状態を見て開門する。
当連載コラムの前々回(Vol.161)と、前回(Vol.162)で、「心を守る城壁:論理的思考領域」は、外部からの情報(雑音・雑語・刺激)を分別して『開門』し、「(より内面に在る)心(の領域)に必要かつ有効的なものだけを」を届けると共に、「心からの発信」に関しては「(外部の)届け先と梱包(音や言葉の使い分け)」を吟味してから『開門』する、と説きました。
例外的に「相手が誰であれ、選ばずに発信・述べねばならないこと」もある、と述べました。
しかし、むしろこれこそは「論理的思考」が極めて慎重かつ吟味した「理念・信念」に基づくものに他なりません。

続編の今回は、このテーマを「外因反応ではない、内発・自発的な心からの発信」という意味に集中しつつ、「論理的思考力」の衰えが、どのような展開を作り出すか?についてご説明します。
...............................................
2)自閉系を含む四つの円図の説明
今回の図もまた、かつてご紹介したものですが、
上段右の円図は、「人間の(健康的な)本来の精神構造図」で、左が「現代人の病んだ精神構造図」です。
左の図では、赤い矢印で示した「外部からの刺激」に対して、反応することに辟易としながらも、休む間もなく。休んだとしても「現実逃避的な『ストレス解消』や『癒され』ばかり」な結果「論理思考領域の城壁」が崩れ、「心の領域」迄もが「気分感情と同様の反応領域」に変質してしまっている状態を示しています。
その結果、このような状態の人間は「本当の自分の意思・感情は何なのだ?」「自らこみ上げて来る想いはあるのか?」と日々悩むことでしょう。そして、遂には、その「悩むこと」からも逃避し、『考えないように』して、さらに「消え掛かった思考回路の余力・片鱗」さえも崩壊させてしまうのです。

無論、「本来の健康な精神構造」でも、「何らかの刺激」によって「内発する」ことはあります。
例えば「お腹が空いた」「眠い」など、個人の内面から発したとしても、それは「心・思考・気分感情」にとっては「与えられた刺激に対する反応」に過ぎません。
この意味では「全く反応ではない発信・発現は存在し得ない」とも言えますが、
「病んだ精神構造」と「本来の(健康な)精神構造」とでは、「反応の意味・種類」と「自主性・自発性・ヴィジョン・筋道・脈絡の有無」が全く異なります。
...............................................
一方、図の下段は、「別な意味・次元で問題のある精神構造」です。
下段左図は、かつて「低機能自閉症」と呼ばれた人格の精神構造で、何らかの医学(病理学)的障害によって、「論理的思考領域」の機能不全はもとより、「気分感情領域」に於ける理性、感情制御もままならない場合で、同時に言語の理解も厳しいために「低機能」と呼ばれた障害です。
下段右図は、かつて「高機能自閉症」と呼ばれた人格の精神構造で、低機能に対し「言葉がある程度理解出来る」他、何らかの限られた分野に於いて、むしろ常人を上回る才能を示したりする人格です。エジソン、アインシュタインや芸術家に多く見られます。
「低機能/高機能」が「差別的」という奇妙な解釈が発展し始めた頃、後者は、「アスペルガー症候群」という呼び方に改められましたが、程なく、全てを総括して「自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder:ASD)」や「発達障害(Developmental disability:DD)」などに改められました。
更に「注意欠陥・多動性障害(Attention-deficit hyperactivity disorder:ADHD)」などの呼称も加わり、昨今の「人権問題・差別問題・社会的包摂観念・障害者福祉」の観念の改善・浸透を受けて、一般への紹介や理解もかなり発展しています。
..............................
自閉系が世界を救う?
.................................
自閉系についての考察は、次回により詳しく述べますが、ここでは本旨の「音楽や言葉の発信について」おおよその結論を述べます。

結論から言えば、「自閉系には大きな問題が内在されているが、大きな可能性がある」「自閉系は、社会の大半を占める『非自閉系の病んだ(ほとんどの)人間』を救う可能性さえある。ひいては、それは『社会を救う』ことに他ならない」ということです。

まず、四つの図を見ていただければ明白ですが、
上段左の『世の中の圧倒的多数である非自閉系の病んだ(ほとんどの)人間』は、主に「外部からの情報・刺激」に疲弊し切っており、「アパシー症候群」や「うつ病」もその発生率を上げています。私は、(まだ裏づけが不充分ですが)「アレルギー」「癌」「認知症」もこの関連から発症率が高まっているとさえ考えています。
...................................................................................................................................
「自閉系」も「本来の健康な人間」も、もちろん「何らかの情報・刺激」によって、その「内発感情・思考」を作り出しますが、「現代の多くの病んだ人間」との大きな違いは、「その自主性度合い」です。

その結果、
「自閉系」と「非自閉系」とでは、「発信された『音』や『言葉』には、大きな違いが生じる」ことは間違いがないことです。

その根拠のひとつに「反応思考が主な非自閉系」には、決定的に「時系列の整理が出来ない」「自分の行動の根拠を認識出来ない」「自らの行動・思考に脈絡がない」という大問題があります。幼稚な例えで言えば、「民法のTVをだらだらと眺め、次々に脈絡なく飛び込んで来るCMに対し、『好きだ・面白い・楽しい・興味ない・嫌だ』を認識する生活」に慣れ切ったようなものです。

次々に繰り出される「TV-CM」同士には、当然「脈絡」がありません。
当然、より根源的な「幹」や「太枝」を想わせる、思考させ、気づかせ、学ばせる要素は皆無に等しいといえます。当然、「地に足が着いた」とか「大地に根を張った」などからも遥かに乖離した「感覚世界・印象世界」です。

それどころか「TV-CM(ネットの様々な広告もしかり)」は,個々個人が「アイデンティティーを認識している立ち位置(ひとつの枝葉)からさえも遊離した世界」を、次々に見せられる訳です。

「自分の枝葉にしがみつきながらも」「視覚聴覚は、とんでもなく乖離した様々な枝葉を見せられる日常」なのです。しかもそれらには、一切の「脈絡・根拠」もなければ「関連・リンク」さえもありません。
にも拘わらず、「アンテナを張る」などという全く逆のことを推奨してしまえば、現代人の「脳機能・精神構造」は、痛めつけられおかしくなって行くばかりです。

.................................................................................................
そのような日常に疲弊し・慣れさせられた人間が発する「音や言葉」に、深みが在り得るでしょうか?

明白なことです。

「いや俺様は、『発信』に関しては、深みがあるぞ!」とおっしゃる人が居たならば、
そこには、極めて「論理的な根拠」がある筈です。
..........................................................................................................................................

一方、自閉系の人々の中に、常人にはないすばらしい芸術・文化の才能を持っていることは昔から良く知られています。

その他に、近年では積極的に「発達障害者」を雇用し、常人にはない「集中力・発想」を活かす企業が増えていることも頻繁に報道されています。

それは、
「きっかけ」は、「外部からの刺激・情報」があったとしても、「発信する動機」は、内面から湧き上がったものであるからに他なりません。

ただ、問題は、「深みのない音や言葉」を発することに慣れた「非自閉系」の人々に、そもそもの「深み」が感じられない人、本能的に分からない人、求めない人、も急増し始めたことです。

「結果と現象が重視される企業(や職場)」の場合、上記のような試みが評価されつつあるとしても、日常のプライベートな価値観に於いて「良さが分からない」のでは、「自閉系の人々の才能」が、受け入れられ、選ばれ、喜ばれ、求められる可能性は、一気に激減すると考えられる問題があります。

加えて、既に「プロを自認する、非自閉系音楽家・文筆家・評論家」には、恣意的から無意識までグラデーションで差を持ちながら、「自閉系の才能」を、黙殺するのみならず、不当な過小評価・巧みな取り込みによって利己に利用し、ひいては根絶やしにしてしまおうという人間も存在します。その動機・理由は様々です。
.....................................................................................................................
「好き嫌い」の問題や、「自然食や添加物云々」を抜きにして、
ファミレスなどに行ってみれば、良く分かることでしょう。

「論理思考領域」を鍛え、日々活用し、「気分感情領域の思考」と即座にスウィッチを切り替えられる人は、ファミレスの周囲の会話に全く邪魔させず「自分の世界」を保つことが出来ます。

が、そのような人でも、スウィッチを「気分感情領域」に入れれば、周囲の会話は辟易とするほど不条理に飛び込んで来ます。故に、他方の「論理思考領域」を痛めてしまった人の場合は、さぞ「落ち着かなく不愉快な気分」でありましょう。

そのような場でのテーブルごとの「仲間・グループ」の会話に、「知人、職場の同僚、上司などの悪口」のなんと多いことか。
これなどは、典型的な「込み上げる思い(誰かに言わずに居られない)」に他なりませんが、「発信源」が「気分感情領域」なのです。
「論理的思考領域からの込み上がって来る想い」があるとしたら、時勢や状況・環境に拘わらず、長年抱いて来た「文化・芸術への想い」や「人生論」「人間論」などの類でしょう。
稀に「処世術」のような話を、あたかも「人生論・社会論」のごとく熱弁している人も居ますが、殆どが「個人的経験論」の域を出ないことで「論理的思考領域」からの発信ではないことが分かります。
「経験論」に普遍性(置き換え・応用性)が見出されない限り、そこには論理性は希薄だからです。

.................................................................................................................

何時も最後迄ご高読をありがとうございます。

福岡市南区の自宅別棟楽器倉庫の教室では、インド楽器とVedic-Chant、アーユルヴェーダ音楽療法の「無料体験講座」を行っています。詳しくは「若林忠宏・民族音楽教室」のFacebook-Page「Zindagi-e-Mosiqui」か、若林のTime-Lineにメッセージでお尋ね下さい。 九州に音楽仲間さんが居らっしゃる方は是非、ご周知下さると幸いです。

.................................................................................................................

You-Tubeに関連作品を幾つかアップしております。
是非ご参考にして下さいませ。

Hindu Chant講座Vol.1

Hindu Chant講座Vol.2

Hindu Chant講座Vol.3

Hindu Chant講座Vol.4

Vedic Chant入門講座(基本理解編)

Ayurveda音楽療法紹介(基礎理解編)

アーユルヴェーダ音楽療法 (実践編1)

アーユルヴェーダ音楽療法 (実践編2)

アーユルヴェーダ音楽療法 (実践編3)

「いいね!」「チャンネル登録」などの応援を頂けましたら誠に幸いです。

(文章:若林 忠宏

‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥
若林忠宏氏によるオリジナル・ヨーガミュージック製作(デモ音源申込み)
‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3

CATEGORY

RECOMMEND

RELATED

PAGE TOP