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インド音楽

169、アーユルヴェーダ音楽療法入門31(Tri-Doshaと精神構造)

今日の日本に於いて、着実にファンを増やしているアーユルヴェーダですが、無論「薬事法」「医療法」の壁があれば、「サプリメント」や「健康法」の領域で活動するしかないのもやむを得ないことです。
しかし、だからと言って、「Detox(解毒)」ばかりがもてはやされるということは、本来のヴェーダの叡智に於いても偏ったものであることは言う迄もありません。「食物・水・空気・滋養」にしても「情報・言葉・流行・風潮・思想・論理」にしても「ファッション・動画・映画・絵画・ヤントラ・音楽・マントラ」にしても、「心と体に取込むもの」に対する「感受性の偏り」と「消化吸収力の正常化」を考えずに、「Detox(解毒)」が先に立つというのもおかしな話です。
確かに、今の世の中、拒みたくても入ってくる有害なものに溢れています。しかし、上記の「感受性・消化吸収力の問題」を考えないこと自体が、「既に病気」とさえ言いたい位です。何故ならば、そもそも「偏り」が病気の始まりであることは、アーユルヴェーダでも、中医・漢方でも古くから説いていることですし、消化吸収力の衰えは、西洋医学でも「様々な病気の始まり」と説いているからです。その「病気の始まり」を「病気になるとは思いたくない」というならば、それはもっと重症な大問題であると言わざるを得ない、ということです。
特に昨今のアーユルヴェーダ・ブームでは、本来のアーユルヴェーダでは様々な病状の中でも極めて深刻なもののひとつであると説く「アパタルパナ(栄養吸収消化代謝障害)」を、あたかも「痩身法」のように語っている人が少なくないことには驚嘆します。
尤も、体のみならず、心も感性もアパタルパナ状態に近づく一方の現代人にとっては、「有益なもの」も消化吸収出来なければ「有害」となり、その後は、「Detox(解毒)」しか能が無い。のかも知れませんが。
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その一方で、
人間個々個人の「体質・気質」を判断する。中医・漢方の「証」とも共通する概念である「Tri-Dosha」は、「三つの資質とそのバランスを説いた理論」ですが、そもそも「Dosha」の語源が「有害・毒」のようなものですから、「Detox(解毒)観念」が先行するのもやむを得ないのかも知れません。何故、生命体の根本的な性質を「Dosha:毒のような」という語彙で表現したのでしょう。
それは二つの考え方で容易に理解できます。
ひとつは、古代の人間は、今日の人間からは比べようが無いほどに「健康・自然体」だったであろうからです。基本的に「三つのDosha」が、誰もが皆、均等のバランスであったならば、頻繁に「Detox(解毒)」する必要もないでしょうし、世の中に毒々しい「食物・音・オブジェ・言葉」もそうそう無かったのでしょう。
しかし、それならば、「Dosha」ではなく、「Bhuta」や「Guna」などの言葉でも良かったはずです。
もうひとつの理由が、「恵み」は常に「脅威」でもあるという、古代人の常識です。本来は、現代人とて同じく、人間にとって全てのものは、「恵みであり脅威である」ということです。
それは、「神」に始まり、あらゆる自然現象や、大自然の環境全てに当てはまります。
薬は言う迄もなく「毒」でもあり、「医食同源」ならば、あらゆる食物も「恵みであり毒である」という事実です。
「河」や「海」、および「雨風」に対して、この十年。日本人は、その「絶対的な基本」を改めて痛感するばかりの日々が続きますが、これが本来なのだ、とも言える訳です。

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「ピッタ:火」は、「消化力」であると共に、自律神経・交感神経、アドレナリンでもある訳ですから、消化のみならず、モチベイション、エネルギー、注意力、観察力、判断力など、生きて行く上で欠かせない能力にも直結します。
逆に言えば、「社会に守られていることに慣れ・当たり前・当然と感じている現代人」の場合、「注意力、観察力、判断力」が衰え、「ピッタ」は、その他のことに過剰に働くことになりかねません。
つまり「ストレス云々」と被害者意識ばかりで考えては駄目で、自らの「鈍り」が「ピッタの活用に偏りを生じさせている」と気づくべきでしょう。

「ヴァータ:風」は、消化吸収代謝した栄養素を「運搬」することに欠かせない力です。無論、老廃物や毒素の運搬にも欠かせません。病気の一番の問題は、「ストレス」などではなく「滞り」と「バランス異常」ですが、後者は、前者の結果と考えるべきならば、全ては「滞り」が原因と言えます。(感染症さえも、滞りが無ければ、自然に流される=スルー出来る筈です)

例えば、「犯罪者」や「異常者」が町に侵入したとして、「隠れ家」になるような淀んだエリアが町に無く、はつらつとした市民が、常に元気で健康で、笑顔で行き来し、他人同士が自然に笑顔と言葉を交わしている「本来当たり前の状態」であったならば、「犯罪者も異常者も住み難い」というものです。
ところが実際は、人々は誰もが何時も険しい表情で「何か文句あるのか?」と何時でも一瞬のうちに「キレ」そうな様相で町をせわしく闊歩している。すれ違いに肩がぶつかろうものならば、ファッション雑誌の表紙モデルも出来そうなお嬢さんが「舌打ち」をする世の中。赤の他人の様子など無関心は勿論、声掛けなどありえません。
そんな世の中ですから、そのつもりで自転車を漕いでいたら、或る時
見知らぬ筈の小学校低学年の少女に「こんにちは!」と言われ驚きました。
「すみません。何時どちらでお会いしましたか?」と丁寧に訊けばなんと!
「今」と答えられ更に仰天。
彼女は、初めてすれ違う私に挨拶をしてくれたのです。
お言葉お気遣いを頂戴するほど老けた様相に至ったということでしょうが。
そのあまりの純真さに
「この子はクマリか?」と思ってしまいました。

しかし1980年代以前は、それが「普通」だったのです。

「カパ:地」は、乾ききった荒野ではなく、潤沢な豊かな大地であり、自然に草木が茂り、生き物が豊かに宿る野原のようなものです。カパの力によって、細胞と細胞、臓器と臓器、が連結し、滋養・エネルギーを蓄え、代謝し、還元出来ているのです。
ピッタは、炎が立ち昇る中で中華鍋を激しく振る、手際の良い料理人かも知れません。ヴァータは、颯爽でスマート且つ、スピーディーに客席の間を巡る、良く働くウェイターさんかも知れません。しかし、それもこれも、カパが用意したテーブルも皿も、冷蔵庫も無ければ、私たちの食事は、毎日毎食が、「パン喰い競争」「流しそうめん」「立ち喰い廻る寿司屋」のようなものか、「鵜飼の鵜」のようなものになってしまいます。

このような「ありがたい存在たち」を、何故「毒」が語源の「Dosha」と呼ぶのか?
それは、私たちそれぞれが、体の中に、「ピッタ:アグニ火の神」「ヴァータ:ヴァーユ風神」「カパ:プリトゥヴィー地神」を住まわせているようなものだからです。
そして、
本来神々は「荒神」と「和神」の両面を持っているのです。
しかし、この道理も、
例えば古代エジプトでは、新王朝の時代で既に「人間にとって都合の良い神ばかり」の解釈に変えてしまいました。日本の神道の神々の場合、まだ少し「荒神」が残っていますが。
インドの場合は、世界的に稀に見るほど、その「道理」をしっかりと考えているかも知れません。
尤も、シヴァ派の神々はむしろ「荒神」に偏っており、ヴィシュヌ派は「和神」に偏っている感は否めませんが。

このように認識を新たにしていただければ、
三つのDoshaは、いずれも「恵みであり毒である」ということがお分かり頂けると思います。

尤も、今回お話しましたようなことは、ある程度の勉強をされたアーユルヴェーダ専門家の方々は、とうにご存知のことに違いありません。

しかし、その方々も、殆どの関係者・専門家が語っていないのが、「ドーシャの性質・役割の二面性(相反する対極的な性質)」が、何時・どのような時に、何故現れるのか? 反転するのか? ということです。
おそらく、それが分かってらっしゃらないが為に「バランス問題」とおっしゃるのでしょう。

確かにバランス問題も存在します。しかし、「恒常性」は、日々刻々と相反する要素がせめぎあってバランスを保っているのです。その「恒常性力・バランス制御力」が衰えた時に、「補ってやる」ことを無駄とも愚かとも言いませんが、「対処療法」であることは紛れも無いことです。「Detox(解毒)」もまたしかり。東洋医学が東洋医学たる所以「全身医療と予防医療」および「自然治癒力サポート」の概念を捨て「局所対処療法」になってしまってどうするのか?という大問題です。

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何時も、最後までご高読を誠にありがとうございます。

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アーユルヴェーダ音楽療法 (実践編2)

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(文章:若林 忠宏

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