ラクシュミー女神のいるところ

明るい日が差し、清々しい朝を迎える季節となりました。
そんな爽やかな朝、目覚めた時に、私たちはまず何をするでしょうか。
飛び起きたり、慌てて身支度を整えたり、忙しく過ごすことが往々にあります。
時には、昨日のことを後悔したり、今日のことを思い煩ったり、清々しい朝が程遠く感じることも少なくありません。

ヒンドゥー教には、そんな毎朝の目覚めの時に、自分の掌を見つめてから、手を合わせて唱えられるマントラが伝わります。
その最初に唱えられるのが、「指先におわす繁栄の女神ラクシュミー」です。
豊かさの女神であるラクシュミー女神は、一説に、私たちの指先に宿ると信じられます。

指は、私たちにとって行為を生み出す主要な手段の一つです。
食事をすること、仕事をすること、触れて愛を育むこと。
その行為は、私たちの人生において、重要な働きを担います。
そして、その働きがあるところには、豊かさが生まれていきます。

食事をすれば、私たちの心身は健やかに成長していきます。
書いたり、持ったり、組み立てたり、その行為は仕事において欠かせない働きであり、大きな成果を生み出します。
誰かに愛を持って触れる時、家族や大切な関係が築かれていきます。
豊かな人生のために、指先の果たす役割は計り知れません。

光が満ちるこの時期に祝福されるアクシャヤ・トリティーヤーは、太陽と月の光がもっとも明るくなる時と信じられます。
一年の大吉日といわれるこの日には、永遠に続く豊かさを願い、ラクシュミー女神への祈りが盛大に捧げられることも少なくありません。
一方で、ヒンドゥー教の叡智は、毎朝、大切な働きを持つ自らの指先を見つめ、ラクシュミー女神への祈りを育むことを伝えています。

その行為の中で、授かった働きに気づく時、私たちはより正しい思考を保つことができるはずです。
そうして正しい道を知り、正しい目的を持って行動することで、限りのない喜びや幸せを得ることができるに違いありません。
人生の一日一日が大吉日となるように、毎朝の目覚めの時に指先を見つめ、自分自身に宿るラクシュミー女神の存在に気づいていたいと感じます。

(文章:ひるま)