クベーラ・ムドラー

目的意識を高めることは、願望成就のために何よりも重要であるといわれることがあります。
日々の中で、私たちは行動の目的をどれだけ明確に意識することができているでしょうか。
時には目的が見えず、何をすればいいのか、身動きが取れないことも少なくありません。

この目的意識の実現を助けてくれる、クベーラ・ムドラーと呼ばれるムドラーがあります。
財宝の神であるクベーラの名前を持つこのムドラーは、私たちの目的意識を高め、願望成就をもたらし、最終的には大きな財産を授けるムドラーとして知られます。

クベーラ・ムドラーでは、親指、人差し指、中指の先端を合わせ、薬指と小指は手の平に丸めこみます。
瞑想時などにゆったりと座りながら、両手で形作ったこの手を、膝の上や胸のあたりで組むのがクベーラ・ムドラーです。

親指は火、人差し指は風、中指は空、薬指は地、小指は水というように、5本の指には、それぞれ5元素の象徴があります。
クベーラ・ムドラーで合わせる親指、人差し指、中指は、それぞれ、火と風と空を象徴します。

「火」は、激しさや鋭さをもたらす性質であるピッタの象徴です。
ピッタが適切に活性化すると、集中力が高まり、自信に満ち、勇気に溢れると信じられます。
また、「風」と「空」は、自由に何かを動かし変化をもたらす性質であるヴァータの象徴です。
ヴァータが適切に活性化すると、豊かな創造力、発想力、好奇心が生まれると信じられます。

さらに、それぞれの指は惑星に関連し、それぞれに異なる力を持つとされます。
親指は勇気や強さを象徴する火星、人差し指は学びや成長を象徴する木星、中指は安定や正義を象徴する土星に対応するとされています。
これらを合わせその力が高まるとき、意志が強まり、正しい知識を得ながら、着実に成長する力を得ることができると信じられます。

ムドラーは、自分自身の内なる世界からその周囲まで、取り巻くエネルギーを向上させる術として伝えられます。
このムドラーがクベーラという名前を持つように、こうして明確になる目的意識は、私たちを願望成就に向けて突き動かします。
それはやがて、私たちに大きな財産をもたらしてくれるものとなるでしょう。

(文章:ひるま)