183、アーユルヴェーダ音楽療法入門45(脳機能正常化のプロセス)

インド太鼓Tablaの勧め(その2)

まず、今回のグラフ的な図をご覧下さい。
前回タブラ-1-で紹介した表の音の性質が位置で可視化されています。
「タブラ」に限らず、あらゆる楽器は、弦楽器でも太鼓でも打楽器でも、「余韻と立ち上がり(歯切れの良さ・パーカッシブさ)は相反する」もので、「同一直線上の両極端」ですから、一方に偏って増長すれば他方は減衰します。従って縦横線内のスペースの右上「余韻が豊かで・立ち上がりが良い音」や、縦横線の交点近くの「余韻が乏しく立ち上がりが悪い音」は、本来有り得ないのです。
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そもそも、西洋民族楽器も含めて、民族楽器というものは、「第一に音本位」「第二に楽器本位」「第三に人間本位」に作られ存在し、それ故に多くが滅んできました。西洋ポピュラーミュージックの楽器は、食べ物の「ファストフード」と同じく「何時でも何処でも誰もが簡単に安全にそこそこ楽しめる」と極めて「人間本位」に作られているので、ある意味真逆の観念で作られています。

グラフ風の図の音は、左上の「TeTe」「Tir」「Ka」が似た位置にありますが、これは、むしろこれを活用して、タブラと言ったら多くの人がイメージする「超絶技巧的な速い指捌きのロール」に「組み合わせて(歯車の噛み合わせのようにズラして)」用いるために「ほぼ同じ音」なのですが、それ以外は、二つとして同じ位置の音が無いのです。

これをピアノに置き換えるならば、「ドレミの音の高さ」だけでなく、しばしば身を乗り出してピアノの弦を張ってある内部に手を入れて「弦に金属を触れさせたり、竹を触れさせたり、鈴を触れさせたり」などして全く異なる音を付けたり付けなかったり、のようなことです。腕二本では足りないはずです。

そもそも大小二個セットのタブラのそれぞれの太鼓の鼓面は、「A:縁皮」「B:本皮」「C:黒い重り」の「三層構造」になっており。更に「B’=B:本皮の倍音」「C’=C:の重りの外周に軽く触れ本皮の響きを50%だけミュートする」などを行います。それが左の太鼓にも「D、E、F」とある訳です。この「A、B、B’、C、C’、D、E、F」の組み合わせによって、「基本音=14」は容易に至ってしまうのです。

この「音」の為に、人間には、前述したような「様々な苦労」が強いられる訳なのです。

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次に、何故、この「タブラ」が「脳機能活性化・正常化」に良いのか?

1、全てが「二元論の複合・組み合わせで、極めて論理的な世界を具現している」から。

まず「KhulaとBand(※)」「右手と左手」「余韻の多少」「立ち上がりの良し悪し」という「相反する性質」の組み合わせで「基本音14」が作られています。
これは、アーユルヴェーダの「医食同源論」の中の、「食物(生薬)の質/食物(生薬)の味」の「二元論」と一致しますし、言う迄もなく、「生命体の生命維持の基本:恒常性=相反する作用の拮抗的バランス」とも一致します。これを練習することで、おのずと「偏った脳機能の使い方」が、是正されるのです。言い換えれば「タブラの音出し」に苦労する人ほど「脳機能バランスが壊れている」と言えます。
(※)前回タブラ-1-でお話した「開く・響く音」と「閉じる・響かない音」

2、殆どの「音出し動作(奏法)」で、左右の手でカテゴリーが子異なる。

表の左右の音「左手のGeとKa」「右手のNa、Tin、Tun、TeTe、Tir」を同時に叩いた音は、左右の単音の交差点に書かれている「Dha、Tha、Dhin、Kra-n、Dhun、Dhete、Dhir」で、
「Dha=Na+Ge」「Tha=Na+Ka」「Dhin=Tin+Ge」「Kra-n=Tin+Ke」「Dhun=Tun+Ge」「Dhete=TeTe+Ge」「Dhir=Tir+Ge」ということです。

ところがこれらの「重音」は、単純な足し算では、なく、左右の手と指が、しばしば全く異なる次元で用いられるので、大変なのです。

「Dha=Na+Ge」は、NaがHalf-Bandなので、叩いた指は鼓面から離れませんが、GeはKhulaなので、打った瞬間に離れます。「Tha=Na+Ka」は、逆に左手は鼓面から浮くことさえ在り得ません。
「Dhin=Tin+Ge」は、Dhaと同じですが、右の指先は浮いていて、根元は太鼓の縁にしっかり押し付けられます。「Kra-n=Tin+Ke」の左は、Thaと同じです。
「Dhun=Tun+Ge」の右は、Tinのように、手のひらの中央は太鼓の縁に押し付けられますが、指先は浮いています。「Dhete=TeTe+Ge」と「Dhir=Tir+Ge」の右は鼓面にぴったり着きますが、左指先は、着いた自覚があってはNG、ということです。

これによって、脳機能は、すみずみまでフル稼働を強いられ、日常生活で偏った使い方では、全く通用しなくなります。

3、極めて科学的で、理に叶っており、論理的であること。

既に痛感されていると思いますが、タブラ奏法は、単に「複雑・難しい」のではなく、極めて論理的で理に叶っており、科学的なのです。ここでは書き切れない事もまだまだあります。
逆に、このタブラ奏法を「難しい」と考える思考性は「気分感情領域」でしか日常「思考しない、悪い習慣」の表れであり、「復旧がかなり困難」な人かも知れません。

逆に言えば、私の論理学の最大の師匠が、この「タブラ」と、旋法ラーガだったのかも知れません。
更に言えば、タブラやシタールを学んでいる人は、論理力活性化と脳機能正常化の可能性が高いということですが、残念ながら、殆どの人が、今回書いたような考え方・理解の仕方をせず(論理思考領域で認識しないという意味)、最悪「体で覚えた」という人が多い。実際、「手はやたらと器用に早く動く」人でも「口タブラがちっとも音楽的じゃない」「シタールで弾いた即興を歌で復唱出来ない」という人ばかりなのも、その現れなのでしょう。

4、太鼓奏法を言葉で覚えることで、脳機能がフル稼働すること。

実は、タブラの音出しは、世界中の人が「母国語」を話す時に既にやっていることです。
つまり、「タブラの左右の組み合わせ」は、「母音と子音の組み合わせ」と同じことなのです。
それを「言葉で覚える」ということは、極めて理に叶ったことであると共に、「手で体で覚える」では偏った脳機能使用ですが、「口と手を同時進行」させることで、脳機能がフル活性するのです。
Jazzのソロ回しで、しばしばベーシストが「スキャットのように歌いながら」弾いているのも、これと同じで、アドリブに全脳機能が向かっている姿です。また、昔の小中学校で、教科書を「音読」させたのも、「声を出して読んだもの」と「出さないで読んだもの」は、記憶のシステムが異なるからでもあり、後者は一時記憶で終わってしまい忘れ易くなるから、とも考えられています。

5、タブラは「Mantra」であり「Yantra」であり「Yoga」であり「Mudra」である。

インドやパキスタン現地の演奏会に聴衆で参加し(演奏者の時も数回ありました。恐らく日本人で最初だと思います)た際。シタール奏者には、何故か「妙な体の使い方や手つき」の演奏者が居て、やはり下手糞。「貸してみ?」と思わず言いたくなるような人がいました。ところが、タブラに関しては、見事に(上手な人ほど)皆が同じ手つき、体の使い方なのです。

これは明らかに「ヨガ的・ムドラー的な道理」を、意識せずとも実践出来ている現われです。出来ない人は修行中に脱落する訳です。
同時に、その手の動きと太鼓の関係性は「ヤントラ」であり、それを言葉で覚え詠唱することは「マントラ」に他なりません。

これらが総合的に行われているということは、「歌いながらのヨガ」のようなものですから、凄いことだとご理解頂けることと思います。

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(文章:若林 忠宏

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